VTuberデビュー! ~自分の声が苦手だったわたしが、VTuberになることになりました~ 

柚木ゆず

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第10話 初配信、スタート!(2)

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「…………………………」

《あれ? 配信トラブル?》
《ミュートにしちゃった?》
《声が聞こえない?》

「…………あっ、ごめんなさいっ。声が可愛いってコメントがあってっ、ビックリしちゃってました。ミア今まで殆どそんな経験がなくって、驚いちゃいました」

 家族以外に褒められたのは、あの時――翔くんの時が初めて。
 ついさっきの最初のご挨拶で、わたしが喋っても笑われないんだって分かってはいたけど……。翔くん以外の人にこんな風に言ってもらえることがあるなんて思ってなくって、ポカンとしちゃいました。

《ええ!? マジ!?》
《逆にこっちがビックリ》
《本気で驚いてるっぽいから、本当なんですね。同じく可愛いと思いますよ》

 慌ててお返事をしているとそんなコメントが流れてくるようになって、

『そうなんです。美月さんの声がおかしくないのは当たり前で、それだけじゃない。その声は才能と言っていい、むしろ誇れるものなんですよ』

 喋っちゃうと配信に声が入っちゃうから。翔くんは持っていたタブレットこっちに向けて、優しく、自分のことのように微笑んでくれました。

『他にもお伝えしたい言葉はありますが、配信中ですのでこのあたりにしておきます。続きは、配信終了後にさせてもらいますね』
「………………」(コクコクコク)

 わたしも翔くんとお喋りできないから頷きでお返事をして、お顔を急いで横から正面に戻しました。

「あ、ありがとう、ございます。…………えとえと。じゃ、じゃあっ。ミアの自己紹介をさせてもらいます!」

 頭をブンブン振って戸惑いの気持ちを追い出して、途中になっていた操作を再開っ。今度こそ画面に、葉月ミアのプロフィールを表示させました。

「ミアの名前は葉月ミアっ。8月16日生まれの、17歳の高校2年生です! 学校ではチア部と応援団部に所属していて、好きな食べ物はカツオのタタキ。趣味は応援と、野球とお相撲の観戦と、レトロゲーです」

《レトロゲーかぁ。レトロゲー配信もするの?》

「はいっ、やりますっ。この次の配信でする予定です!」

《野球が好きなんだ。プロ野球? 高校野球? それともメジャー?》

「小さな頃から全部見ていて、どれも同じくらい大好きです! セリーグもパリーグも全試合チェックしてますし、メジャーリーグもナ・リーグア・リーグ全部チェックしてますっ! 高校野球も毎年地方大会からチェックしてて、8月なので甲子園が楽しみです!」

《高校野球で地方大会がパッと出るのは、ガチっぽい。野球の同時視聴とかやる予定はないの?》

「今のところないですけど、権利? 的に問題がないなら、いつかやってみたいです。お家に居るのに野球場みたくなって、すっごく楽しそう……!」

《問題。ピッチャー、キャッチャーとか、全てのポジションに割り振られてる番号を言ってみて》

「はい。1がピッチャー、2がキャッチャー、3ファースト、4セカンド、5サード、6ショート、7レフト、8センター、9ライト。です!」

《正解。試してごめんなさい。本物の野球好きでした》

「いえいえっ。いーですよーっ! 分かってもらえて嬉しいですっ!」

《相撲で注目している力士は誰?》

「幕内だと大関の『高の風』関と、前頭5枚目の『朝野藤』関。十両だと3枚目の『雅海』関、です。他にも幕下にふたり、序二段にひとり、注目してる人がいます!」

《詳しすぎて笑う。俺も相撲が好きで、高の風は応援してます。土俵際の粘りがいいよね》

「分かります! 土俵際の体捌き、上手ですよねっ! 追い詰められても最後まで諦めない心と技術が素敵で、それだけじゃなくてがっぷり四つもいいですよね! あの形になると必ず白星をあげられるのは、さすがベテラン! 相撲を知り尽くしていますよね!」

《そうそう! まさかVの配信見てこんな話ができると思わなかった。感動してる》
《へぇ~、なんか面白そう。相撲見たことなかったけど、見てみようかな》
《相撲って、いつもやってるの?》

「お相撲は、年間6場所――6回あって、1月、3月、5月、7月、9月、11月にあります! ついこのあいだ終わっちゃって、次は9月の九月場所。国技館でありますよっ」

《情報ありがとう。次見てみる》

「はいっ、ぜひぜひ見てみてくださいっ! 夢中になりますよ~!」

 わたしも『まさか』で、VTuberの配信でこんなお話をできるなんて、こんなに盛り上がってもらえるなんて、思ってもみなかった。
 だからドンドン嬉しくなって、ガンガン喋るようになって――。自己紹介が終わる頃には、なんと1時間が経っていました。

「わっ、気が付いたら8時になっちゃってました! とっても楽しくて、あっという間でした」

《こっちもあっという間だった》
《時計見てビックリした》

「初めての配信がこんなにも楽しくなったのは、みなさんのおかげです。本当にっ、ありがとうございました!」

 身体が熱くて汗びっしょりで、こんなになるくらい喋ったのは初めて。そんな状態がすごく気持ちよくって、心からみなさんに――この配信を見てくれている、17人の皆さんに、お礼をお伝えしました。

「ミアの次の配信は、2日後の午後7時。2回目は早速レトロゲー配信をやりますっ。ファニーコンピューターのソフト『スーパーブラザー』を遊ぶので、よかったらまた来てくださいっ!」

 今日はと~っても楽しかったから、すぐにでも2回目の配信を始めたい。
 でもわたしはお家以外でまったく喋ってこなかったから、他の人より喉が弱くなっちゃってる。翔くんはそんなわたしの喉を考えてくれて、1日空けることになったのです。

《楽しみ》
《絶対見に来る》
《必ず見るね》

「ありがとうございます! じゃあ今日はここまでっ! みなさんっ、また明日!」

 最後にもう一つわたしが考えた『終わりの挨拶』を元気よく言って、配信はお仕舞。
 こうして、わたしの――葉月ミアの初めての配信は、終わったのでした!


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