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第11話 初配信を終えて
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「お疲れ様です。初配信、いかがでしたか?」
「楽しかったです! とっっても楽しかったですっ!」
配信画面を閉じたら、翔くんがちゅるっとした食べ物を――喉の状態を良くするVTuber界では有名な食べ物をくれて、それを両手で受け取りながら興奮気味にお返事しました。
「あんな風に色んな人と沢山話したのは、初めて。それに野球とかお相撲とかの話をあんなにしたのは、初めてで。夢みたいでした!」
外では一言も声を出してなかったから、知らない複数の人とお喋りしたことがなかった。
お父さんもお母さんも野球もお相撲もそこまで詳しくなくて、お家の中でも趣味の話をじっくりしたことがなかった。
それらが同時に実現しちゃって、ずっと興奮しちゃってました。
「それに、その。声を褒められて、ビックリしました」
可愛い。翔くんにそう言ってもらえたけど、他の人にもそう言ってもらえるとは思ってなかったんだよね。
あの時は一瞬頭の中が真っ白になって、見間違えたと思いました。
「タブレットの続きですが。美月さんの声は決して恥ずかしいものではなく、むしろ大きな才能なんですよ。その証拠があのコメントで、これまで美月さんを笑って来た人達がおかしかっただけなのですよ」
「で、でも……。そ、そうなんです、けど……。翔くんとかも、ずっと言ってくれてたんですけど……。笑うのは……ひとりとかちょっとだけじゃなくて、みんなで……。先生だって、わたしが喋ると、わたしの声を笑ってて……」
「その、『みんな』。確かに教室内では『全員』となりですが、外に出てしまえば――日本という枠で見てみたら、そんなの極々一部。1億数千万人ぶんの何十なのですから、少数意見になってしまいますよね?」
「え? で、です」
その通り、です。
「たまたま美月さんの周りには悲しい性格の持ち主が大集合してしまっていて、ずっと言い続けられてしまったから……。加えて、大人まで一緒になってしまったから……。ほんの一部の人の意見を、全員の意見だって思い込んでしまっていたんですよ」
「………………」
「だから僕があの日あのように言っても『珍しい意見』などと思ってしまったり、心の底から信じられなくなってしまったりするのは、仕方がないことで――。これまでは反対のことを言う家族以外の人は僕や僕の両親くらいしかいなくて、はっきり『違う』と証明することができませんでした。ですが、こちらをご覧ください」
17。
画面に映っている、視聴者さんの数字を指差しました。
「あの配信に来てくださった人の中に、『おかしい』『気持ち悪い』という人はいなかった。それどころか、『可愛い』とコメントを打ってくれましたよね?」
「は、はい」
「『外』に出てしまえば、こんなにも沢山、正反対の反応がある。これが、『変』は全員の意見ではない、というれっきとした証拠になるんですよ」
わたしの両肩に両手を置いて。真っすぐ、わたしの瞳を見て。はっきりと、そう言ってくれました。
「改めて、言いますね」
「……は、はい」
「『大丈夫だけど大丈夫じゃないかもしれない』。きっと美月さんがずっと思い続けてことは、過去の出来事によってそう思い込まされていただけなんですよ」
「っ!」
「美月さんの声は、変なのではなく『長所』。運動神経が良い、絶対音感がある、絵が上手などと同じ、素晴らしい個性、才能なんです。自分に自信を持って、誇っていいんですよ」
「……………………は、い。はい。はいっ。はいっ! はいっっ!」
色んな感情がこみ上げてきて、なんて言えばいいかの分からない。
色んな思いが溢れてきて、頭の中もワケが分かんなくなってる。
「ひぅっ。ひぅっ。ひぅっ。うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん……!!」
たくさんのことがごちゃ混ぜになって、なんでこんなに泣いちゃってるのかも分からなくなる。
でも。
そんなぐちゃぐちゃな状態でも、ちゃんと分かることもある。
心の中にあったモヤモヤが消えてスゥッとして、心の中全部に太陽の光が降り注いでいるみたいになっている。
それだけはちゃんと分かっていて、これも、初めてでした。
泣いているのにスッキリする。
そんな涙をわたしは、流し続けたのでした。
「楽しかったです! とっっても楽しかったですっ!」
配信画面を閉じたら、翔くんがちゅるっとした食べ物を――喉の状態を良くするVTuber界では有名な食べ物をくれて、それを両手で受け取りながら興奮気味にお返事しました。
「あんな風に色んな人と沢山話したのは、初めて。それに野球とかお相撲とかの話をあんなにしたのは、初めてで。夢みたいでした!」
外では一言も声を出してなかったから、知らない複数の人とお喋りしたことがなかった。
お父さんもお母さんも野球もお相撲もそこまで詳しくなくて、お家の中でも趣味の話をじっくりしたことがなかった。
それらが同時に実現しちゃって、ずっと興奮しちゃってました。
「それに、その。声を褒められて、ビックリしました」
可愛い。翔くんにそう言ってもらえたけど、他の人にもそう言ってもらえるとは思ってなかったんだよね。
あの時は一瞬頭の中が真っ白になって、見間違えたと思いました。
「タブレットの続きですが。美月さんの声は決して恥ずかしいものではなく、むしろ大きな才能なんですよ。その証拠があのコメントで、これまで美月さんを笑って来た人達がおかしかっただけなのですよ」
「で、でも……。そ、そうなんです、けど……。翔くんとかも、ずっと言ってくれてたんですけど……。笑うのは……ひとりとかちょっとだけじゃなくて、みんなで……。先生だって、わたしが喋ると、わたしの声を笑ってて……」
「その、『みんな』。確かに教室内では『全員』となりですが、外に出てしまえば――日本という枠で見てみたら、そんなの極々一部。1億数千万人ぶんの何十なのですから、少数意見になってしまいますよね?」
「え? で、です」
その通り、です。
「たまたま美月さんの周りには悲しい性格の持ち主が大集合してしまっていて、ずっと言い続けられてしまったから……。加えて、大人まで一緒になってしまったから……。ほんの一部の人の意見を、全員の意見だって思い込んでしまっていたんですよ」
「………………」
「だから僕があの日あのように言っても『珍しい意見』などと思ってしまったり、心の底から信じられなくなってしまったりするのは、仕方がないことで――。これまでは反対のことを言う家族以外の人は僕や僕の両親くらいしかいなくて、はっきり『違う』と証明することができませんでした。ですが、こちらをご覧ください」
17。
画面に映っている、視聴者さんの数字を指差しました。
「あの配信に来てくださった人の中に、『おかしい』『気持ち悪い』という人はいなかった。それどころか、『可愛い』とコメントを打ってくれましたよね?」
「は、はい」
「『外』に出てしまえば、こんなにも沢山、正反対の反応がある。これが、『変』は全員の意見ではない、というれっきとした証拠になるんですよ」
わたしの両肩に両手を置いて。真っすぐ、わたしの瞳を見て。はっきりと、そう言ってくれました。
「改めて、言いますね」
「……は、はい」
「『大丈夫だけど大丈夫じゃないかもしれない』。きっと美月さんがずっと思い続けてことは、過去の出来事によってそう思い込まされていただけなんですよ」
「っ!」
「美月さんの声は、変なのではなく『長所』。運動神経が良い、絶対音感がある、絵が上手などと同じ、素晴らしい個性、才能なんです。自分に自信を持って、誇っていいんですよ」
「……………………は、い。はい。はいっ。はいっ! はいっっ!」
色んな感情がこみ上げてきて、なんて言えばいいかの分からない。
色んな思いが溢れてきて、頭の中もワケが分かんなくなってる。
「ひぅっ。ひぅっ。ひぅっ。うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん……!!」
たくさんのことがごちゃ混ぜになって、なんでこんなに泣いちゃってるのかも分からなくなる。
でも。
そんなぐちゃぐちゃな状態でも、ちゃんと分かることもある。
心の中にあったモヤモヤが消えてスゥッとして、心の中全部に太陽の光が降り注いでいるみたいになっている。
それだけはちゃんと分かっていて、これも、初めてでした。
泣いているのにスッキリする。
そんな涙をわたしは、流し続けたのでした。
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