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第2話 失笑 マルグリット視点(4)
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「クロード様。支援はなし、そうはできませんぞ?」
っっ、思った通りだった!
お父様の顔はもう青ざめていなくて、自信たっぷりに立ち上がった。
「そちらの件に関しては、きっちりと書類を交わしております。事実がどうであれ書類にて約束をしていただいているですから、ご支援は『義務』となっております。反故は不可能なのでございますよ」
「っ、そうよっ。そうだわあなた! クロード様、そちらは無理ですわ!」
そういえばあの時、お父様達は書類を作成していた。あれは両家当主のサインと拇印がある正式なものだから、強制力があるわ!
「もしもそれでも拒否をされるのであれば、我々は保管している書類を裁判所へと持ち込みます。……そうしたらどうなるか、当然ご存じですな?」
「………………」
「どんなに有能な弁護士を雇っても、無駄。貴方がたは我々に援助をすることとなり、更には大きなイメージ低下が待っております」
「……商会関係者に、嘘や裁判沙汰は厳禁。仰る通りですが――そうすれば同時に、貴方がたの本性が知れ渡ることになりますよ? 社交界などに居場所がなくなってしまいますが、それでも構わないのですか?」
「ええ、それでも構いませんよ」「もちろん構いませんわ」「もちろん構いません」
本音を言うと、とっても困る。パーティに参加できなくなったり結婚相手が見つからなかったり、散々な目に遭うんだから絶対に嫌。
でもこうやって強気なのは、コレは脅しだと分かっているから。
わたし達とクロード様では、失うものの数が圧倒的に違う。
損得を考えればクロード様が『折れる』しかないから、揃って胸を張れるのよね。
「クロード様、我々のお返事はYESでございます。ですので、これより動かせていただきます。我が家(いえ)専属の弁護士に連絡を取り、お話を進めさせていただきます」
「……………………卿、お待ちください」
ほら、思った通り。お父様が踵を返していたら、声が上がった。
「クロード様? どうなさいましたか?」
分かっているくせに、お父様は人が悪い。ワザと理解できていないフリをして首を捻って、そうするとクロード様は――
「そういえばもう一つ、伝え忘れていたことがありました。こちらをご覧ください」
後ろで控えていた従者に指示を出して…………紙を受け取り、私達に向けて提示してきた。
それは、お父様達が交わしていた支援に関する書類みたい。これが、なに……?
っっ、思った通りだった!
お父様の顔はもう青ざめていなくて、自信たっぷりに立ち上がった。
「そちらの件に関しては、きっちりと書類を交わしております。事実がどうであれ書類にて約束をしていただいているですから、ご支援は『義務』となっております。反故は不可能なのでございますよ」
「っ、そうよっ。そうだわあなた! クロード様、そちらは無理ですわ!」
そういえばあの時、お父様達は書類を作成していた。あれは両家当主のサインと拇印がある正式なものだから、強制力があるわ!
「もしもそれでも拒否をされるのであれば、我々は保管している書類を裁判所へと持ち込みます。……そうしたらどうなるか、当然ご存じですな?」
「………………」
「どんなに有能な弁護士を雇っても、無駄。貴方がたは我々に援助をすることとなり、更には大きなイメージ低下が待っております」
「……商会関係者に、嘘や裁判沙汰は厳禁。仰る通りですが――そうすれば同時に、貴方がたの本性が知れ渡ることになりますよ? 社交界などに居場所がなくなってしまいますが、それでも構わないのですか?」
「ええ、それでも構いませんよ」「もちろん構いませんわ」「もちろん構いません」
本音を言うと、とっても困る。パーティに参加できなくなったり結婚相手が見つからなかったり、散々な目に遭うんだから絶対に嫌。
でもこうやって強気なのは、コレは脅しだと分かっているから。
わたし達とクロード様では、失うものの数が圧倒的に違う。
損得を考えればクロード様が『折れる』しかないから、揃って胸を張れるのよね。
「クロード様、我々のお返事はYESでございます。ですので、これより動かせていただきます。我が家(いえ)専属の弁護士に連絡を取り、お話を進めさせていただきます」
「……………………卿、お待ちください」
ほら、思った通り。お父様が踵を返していたら、声が上がった。
「クロード様? どうなさいましたか?」
分かっているくせに、お父様は人が悪い。ワザと理解できていないフリをして首を捻って、そうするとクロード様は――
「そういえばもう一つ、伝え忘れていたことがありました。こちらをご覧ください」
後ろで控えていた従者に指示を出して…………紙を受け取り、私達に向けて提示してきた。
それは、お父様達が交わしていた支援に関する書類みたい。これが、なに……?
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