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第6話 理由 マルグリット視点(1)
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「「「………………。どう、して……」」」
「僕は君達を一切信用していなくて、もしかしたら何かするかもしれない、と思っていてね。実を言うとずっと屋敷の外で見張っていて、不自然に馬車が動き出したからあとをつけていたのさ」
突然現れた馬車から降りて、わたし達の前で首を傾けて見せたクロード。ヤツの口から出てきた言葉を聞いて、わたし達は酷い立ち眩みに襲われていた。
そんな……。ずっと尾行されていただなんて……。
「「「気が、付かなかった……」」」
「ウチは商会を持っているが故に、厄介な敵も多くてね。こういうことも得意なのさ」
わたし達はしっかりと分析を行い、相手の力量を――ラファオール家の力を完璧に把握したつもりでいた。だけどそれは、大きな間違い。
アレはきっと、片鱗に過ぎなかった……。
「ぁ、ぁぁ……。ぁぁぁ……」
「ひぃぃぃぃい……。ひぃぃぃぃぃぃぃ……」
様々な意味で格上の相手に、露見してしまったんだもの。お父様とお母様が青ざめるのは当然で、わたしも全身から血の気が引いてしまっていた。
7か月も苦労して計画を動かして、うまく誘い込めてティナを手中に収めたのに……。最後の最後でこんなことになるだんて、最悪――…………。じゃない。最悪なんかじゃないわ!
「お父様お母様っ、しっかりして! わたし達は優勢で、まったくピンチじゃないわ!」
「「ま、マルグリット……?」」
「だってティナにこうすれば、ほら!! クロードはなにもできなくなるんだもの!!」
お母様が持っていたペティナイフを大急ぎで手に取り、眠っているティナの首筋に当てた。
――捕まれば人生は崩壊してしまう。なら道ずれにする――。
そうしておけば、クロードはなにもできなくなる! なぜなら最愛の人が目の前で死ぬのは、嫌だから!!
「お、おぉっ、おぉぉっ! そうだっ、その通りだ!!」
「すっかり忘れていたわ! そうっ、そうよねっ! この手があったわ!!」
「予想以外が起きたせいで、肝心な部分を見落としていたわ。……クロードさまぁ、実際はこちらが圧倒的に有利でしたねぇ? 大切な人を失血死させたくなければ、大人しくしていてくださいねぇ?」
ここはもう使えないから、とりあえずこの場を離れて別の場所に監禁する。ティナの行方を把握できない状態にした上で、脅すようにしましょう。
「もちろん尾行は、なしですよ? 次に少しでも怪しい真似をすれば、悲劇が待っていますよぉ? くれぐれも、余計なことはしないでくださいねぇ――……。なによ、なにがおかしいのよ」
口の端を吊り上げていたら、ふいにクロードがプッと噴き出した。
こんな時に、笑い出すなんて。なんなの……?
「僕は君達を一切信用していなくて、もしかしたら何かするかもしれない、と思っていてね。実を言うとずっと屋敷の外で見張っていて、不自然に馬車が動き出したからあとをつけていたのさ」
突然現れた馬車から降りて、わたし達の前で首を傾けて見せたクロード。ヤツの口から出てきた言葉を聞いて、わたし達は酷い立ち眩みに襲われていた。
そんな……。ずっと尾行されていただなんて……。
「「「気が、付かなかった……」」」
「ウチは商会を持っているが故に、厄介な敵も多くてね。こういうことも得意なのさ」
わたし達はしっかりと分析を行い、相手の力量を――ラファオール家の力を完璧に把握したつもりでいた。だけどそれは、大きな間違い。
アレはきっと、片鱗に過ぎなかった……。
「ぁ、ぁぁ……。ぁぁぁ……」
「ひぃぃぃぃい……。ひぃぃぃぃぃぃぃ……」
様々な意味で格上の相手に、露見してしまったんだもの。お父様とお母様が青ざめるのは当然で、わたしも全身から血の気が引いてしまっていた。
7か月も苦労して計画を動かして、うまく誘い込めてティナを手中に収めたのに……。最後の最後でこんなことになるだんて、最悪――…………。じゃない。最悪なんかじゃないわ!
「お父様お母様っ、しっかりして! わたし達は優勢で、まったくピンチじゃないわ!」
「「ま、マルグリット……?」」
「だってティナにこうすれば、ほら!! クロードはなにもできなくなるんだもの!!」
お母様が持っていたペティナイフを大急ぎで手に取り、眠っているティナの首筋に当てた。
――捕まれば人生は崩壊してしまう。なら道ずれにする――。
そうしておけば、クロードはなにもできなくなる! なぜなら最愛の人が目の前で死ぬのは、嫌だから!!
「お、おぉっ、おぉぉっ! そうだっ、その通りだ!!」
「すっかり忘れていたわ! そうっ、そうよねっ! この手があったわ!!」
「予想以外が起きたせいで、肝心な部分を見落としていたわ。……クロードさまぁ、実際はこちらが圧倒的に有利でしたねぇ? 大切な人を失血死させたくなければ、大人しくしていてくださいねぇ?」
ここはもう使えないから、とりあえずこの場を離れて別の場所に監禁する。ティナの行方を把握できない状態にした上で、脅すようにしましょう。
「もちろん尾行は、なしですよ? 次に少しでも怪しい真似をすれば、悲劇が待っていますよぉ? くれぐれも、余計なことはしないでくださいねぇ――……。なによ、なにがおかしいのよ」
口の端を吊り上げていたら、ふいにクロードがプッと噴き出した。
こんな時に、笑い出すなんて。なんなの……?
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