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残酷な家族
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「ぎゃはははは! お姉様! 婚約破棄されたのね!」
家に戻ると、妹のマーシュが、キャロを嘲笑った。
「……どうして、もう知っているのですか?」
自分は、先ほど婚約破棄を告げられたばかりなのに。
家にいたはずのマーシュが、知っているはずがない。
「お父様から聞いたのよ! もうとっくに、両家の親同士で話が済んでいるみたいね!」
話が早い……。
だから、オーゼフ家の当主様が、不在だったのか。
キャロはため息をついて、父であるカーセルの部屋に向かおうとした。
しかし、マーシュが立ちふさがり、行く手を阻んでくる。
「お姉様! 今、どんな気持ちなの? 婚約破棄された後って、悲しいの? 苦しいの? ねぇ教えて? お姉様!」
マーシュは、非常に性格の悪い女だ。
二つ上のキャロと違い、妹であるせいか、かなり甘やかされて育ったため、事あるごとに、キャロに対してバカにするような態度を取る。
怒りで、叫び出してしまいそうなところを、何とか抑え込み、マーシュを振り切って、キャロはカーセルの部屋へと向かった。
「やぁキャロ。残念だったね」
「残念だったねって……」
「君は、そこまで容姿が良くない上に、得意なこともあんまりなかったから、婚約破棄は仕方のないことだと思うよ」
「……実の娘に、かける言葉ですか?」
「長女だから、厳しく育てあげたのに、期待に応えられなかった君が悪い。マーシュは甘やかしたのに、とても可愛い子に育った。ジャルミーも嘆いていたよ。姉と妹、逆にできたら良いのにって」
ジャルミーは、カーセルの妻。キャロとマーシュの母である。
姉のキャロに厳しくした分、マーシュへは異常なほどの愛を注いできた。
ちなみに今は、国外へ旅行している。キャロの婚約が破棄されていることなど、知りもしないし、知ったところで何も思わないだろう。
「キャロ。婚約破棄をされた令嬢は傷物だ。家の名前も汚れる。よって君は、今日からブリジット家の名前を捨ててもらえるかな」
「はっ!?」
さすがにこれには、全力で反抗せざるを得なかった。
いくらなんでも、めちゃくちゃな話だ。
「意味がわかりません。向こうが浮気し、強引に婚約を無かったことにしたのです。傷がつくのは、オーゼフ家の方でしょう?」
「馬鹿だな君は。相手の方が、爵位が高いんだよ? そのような事実、いくらでも捻じ曲げることができる。きっと、君がライアンに悪口を言ったとかが、婚約破棄の理由になるだろうさ」
「そんな……」
怒りで、体が震える。
拳を握りながら、キャロはカーセルを睨みつけた。
「親であるなら、子供を守るのが普通ではないのですか!?」
「君みたいな、不出来な子は……。もう、自分の子供と思いたくないんだ。傷物令嬢に、価値は無いからね……」
「……っ」
「ほら、ここに金を用意した。しばらくは暮らしていけるだろう。その間に、農家にでも、清掃員にでもなると良い。あるいはメイドかな? 君、手際だけはいいもんな」
金の入った袋を持って、キャロはさっさと自分の部屋に戻った。
数分で、小さな袋に必要なものを詰め込んで……。
泣きながら、ブリジット家を後にした。
家に戻ると、妹のマーシュが、キャロを嘲笑った。
「……どうして、もう知っているのですか?」
自分は、先ほど婚約破棄を告げられたばかりなのに。
家にいたはずのマーシュが、知っているはずがない。
「お父様から聞いたのよ! もうとっくに、両家の親同士で話が済んでいるみたいね!」
話が早い……。
だから、オーゼフ家の当主様が、不在だったのか。
キャロはため息をついて、父であるカーセルの部屋に向かおうとした。
しかし、マーシュが立ちふさがり、行く手を阻んでくる。
「お姉様! 今、どんな気持ちなの? 婚約破棄された後って、悲しいの? 苦しいの? ねぇ教えて? お姉様!」
マーシュは、非常に性格の悪い女だ。
二つ上のキャロと違い、妹であるせいか、かなり甘やかされて育ったため、事あるごとに、キャロに対してバカにするような態度を取る。
怒りで、叫び出してしまいそうなところを、何とか抑え込み、マーシュを振り切って、キャロはカーセルの部屋へと向かった。
「やぁキャロ。残念だったね」
「残念だったねって……」
「君は、そこまで容姿が良くない上に、得意なこともあんまりなかったから、婚約破棄は仕方のないことだと思うよ」
「……実の娘に、かける言葉ですか?」
「長女だから、厳しく育てあげたのに、期待に応えられなかった君が悪い。マーシュは甘やかしたのに、とても可愛い子に育った。ジャルミーも嘆いていたよ。姉と妹、逆にできたら良いのにって」
ジャルミーは、カーセルの妻。キャロとマーシュの母である。
姉のキャロに厳しくした分、マーシュへは異常なほどの愛を注いできた。
ちなみに今は、国外へ旅行している。キャロの婚約が破棄されていることなど、知りもしないし、知ったところで何も思わないだろう。
「キャロ。婚約破棄をされた令嬢は傷物だ。家の名前も汚れる。よって君は、今日からブリジット家の名前を捨ててもらえるかな」
「はっ!?」
さすがにこれには、全力で反抗せざるを得なかった。
いくらなんでも、めちゃくちゃな話だ。
「意味がわかりません。向こうが浮気し、強引に婚約を無かったことにしたのです。傷がつくのは、オーゼフ家の方でしょう?」
「馬鹿だな君は。相手の方が、爵位が高いんだよ? そのような事実、いくらでも捻じ曲げることができる。きっと、君がライアンに悪口を言ったとかが、婚約破棄の理由になるだろうさ」
「そんな……」
怒りで、体が震える。
拳を握りながら、キャロはカーセルを睨みつけた。
「親であるなら、子供を守るのが普通ではないのですか!?」
「君みたいな、不出来な子は……。もう、自分の子供と思いたくないんだ。傷物令嬢に、価値は無いからね……」
「……っ」
「ほら、ここに金を用意した。しばらくは暮らしていけるだろう。その間に、農家にでも、清掃員にでもなると良い。あるいはメイドかな? 君、手際だけはいいもんな」
金の入った袋を持って、キャロはさっさと自分の部屋に戻った。
数分で、小さな袋に必要なものを詰め込んで……。
泣きながら、ブリジット家を後にした。
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