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隣国 キーターン
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馬車に揺られること、およそ三日……。
隣国、キーターンへたどり着いたキャロは、少し休憩することにした。
馬車の中で眠り、馬車の中で簡単な食事をする。そんな三日間だったのだ。
今日くらいは、宿に泊まり、美味しい食事を食べよう。
そうでもしないと……。どんどん心が疲弊していってしまう。
手持ちの金を気にしながらも、近場のレストランへと向かったキャロ。
「うわっ!!!」
目の前で、一人の少年が転んでしまった。
膝を擦りむき、血が出てしまっている。
キャロは、すぐに駆け寄った。
「大丈夫?」
「うぅ……。痛い……」
「ちょっと待ってて」
涙を流す少年に、優しく微笑みかけながら、キャロは薬草を溶かした液を、傷口に塗り込んだ。
「少し、しみると思うけど、我慢してね……」
「……うん」
「よしよし。偉いね。我慢できた」
少年の頭を撫でたあと、消毒した傷口に、包帯を巻いていく。
「お姉さん。ありがとう」
「いえいえ。あなた、一人なの?」
「うん。この街に、美味しいパン屋があるんだ。ママにパンをプレゼントしたくて……。内緒で」
「良い子ね。家はどのあたり?」
「王都だよ」
ここから王都ヘは、歩いて一時間ほどかかってしまう。
この小さな少年が、一人でやってきたというのもすごいが、さすがに心配だ。
「パンを買ったら、私が馬車で送っていってあげる」
「え? そんな、悪いよ……」
「遠慮しなくていいの。……私も、一人じゃ寂しいから」
「一人なの?」
「うん。色々あってね。ほら、パン屋に行こう?」
「あっ、うん……」
少年と手を繋ぎ、キャロはパン屋へと向かった。
◇
馬車に揺られながら、パンを食べる。
なるほど。これは確かに美味しい。王都から、わざわざ買いに来る理由が、わかるような気がした。
「僕のパパは、騎士なんだ」
「へぇ……。すごいね」
「僕もいつか、立派な騎士になりたい! ……でも、転んで泣いてるようじゃ、ダメだよね?」
「そんなことないわ。誰しも昔は、子供だったんだから。きっと、たくさん泣いて、たくさん怪我をして、それで強くなったのよ」
「そうかなぁ……」
「家族のために頑張ることができるあなたは、きっと立派な騎士になれるわ。私が保証する!」
「本当? ありがとう!」
少年の笑顔に、キャロは励まされた。
自分も、クヨクヨしている場合じゃない。
王都なら、何かしらの仕事はあるだろう。
「そう言えば、まだ名前を聞いていなかったね。私はキャロだよ」
「僕はウシャーラ!」
「ウシャーラ。美味しいパン屋を教えてくれて、ありがとうね」
「うん!」
しばらく馬車に揺られ、ウシャーラの家に辿り着いた。
「まぁ……。それでうちの子を? 本当にありがとうございました」
ウシャーラの母が、深々と頭を下げる。
「馬車……。ということは、何か配達を?」
「いえ。その……。旅をしておりまして」
「泊まる宿はお決まりで?」
「まだ……ですね」
「でしたら、うちに泊まってください。お礼もしたいので」
「えっ、いや、そんな……」
「キャロ! ママの料理は、キーターンで一番美味しいんだよ!」
「こ、こらっ。ウシャーラ……。……あの、遠慮なさらず。恩を返せない方が、むしろ心残りですから。是非泊まってください」
「……それでは、お言葉に甘えて」
こうして、思わぬ形で、今日の宿が決まった。
隣国、キーターンへたどり着いたキャロは、少し休憩することにした。
馬車の中で眠り、馬車の中で簡単な食事をする。そんな三日間だったのだ。
今日くらいは、宿に泊まり、美味しい食事を食べよう。
そうでもしないと……。どんどん心が疲弊していってしまう。
手持ちの金を気にしながらも、近場のレストランへと向かったキャロ。
「うわっ!!!」
目の前で、一人の少年が転んでしまった。
膝を擦りむき、血が出てしまっている。
キャロは、すぐに駆け寄った。
「大丈夫?」
「うぅ……。痛い……」
「ちょっと待ってて」
涙を流す少年に、優しく微笑みかけながら、キャロは薬草を溶かした液を、傷口に塗り込んだ。
「少し、しみると思うけど、我慢してね……」
「……うん」
「よしよし。偉いね。我慢できた」
少年の頭を撫でたあと、消毒した傷口に、包帯を巻いていく。
「お姉さん。ありがとう」
「いえいえ。あなた、一人なの?」
「うん。この街に、美味しいパン屋があるんだ。ママにパンをプレゼントしたくて……。内緒で」
「良い子ね。家はどのあたり?」
「王都だよ」
ここから王都ヘは、歩いて一時間ほどかかってしまう。
この小さな少年が、一人でやってきたというのもすごいが、さすがに心配だ。
「パンを買ったら、私が馬車で送っていってあげる」
「え? そんな、悪いよ……」
「遠慮しなくていいの。……私も、一人じゃ寂しいから」
「一人なの?」
「うん。色々あってね。ほら、パン屋に行こう?」
「あっ、うん……」
少年と手を繋ぎ、キャロはパン屋へと向かった。
◇
馬車に揺られながら、パンを食べる。
なるほど。これは確かに美味しい。王都から、わざわざ買いに来る理由が、わかるような気がした。
「僕のパパは、騎士なんだ」
「へぇ……。すごいね」
「僕もいつか、立派な騎士になりたい! ……でも、転んで泣いてるようじゃ、ダメだよね?」
「そんなことないわ。誰しも昔は、子供だったんだから。きっと、たくさん泣いて、たくさん怪我をして、それで強くなったのよ」
「そうかなぁ……」
「家族のために頑張ることができるあなたは、きっと立派な騎士になれるわ。私が保証する!」
「本当? ありがとう!」
少年の笑顔に、キャロは励まされた。
自分も、クヨクヨしている場合じゃない。
王都なら、何かしらの仕事はあるだろう。
「そう言えば、まだ名前を聞いていなかったね。私はキャロだよ」
「僕はウシャーラ!」
「ウシャーラ。美味しいパン屋を教えてくれて、ありがとうね」
「うん!」
しばらく馬車に揺られ、ウシャーラの家に辿り着いた。
「まぁ……。それでうちの子を? 本当にありがとうございました」
ウシャーラの母が、深々と頭を下げる。
「馬車……。ということは、何か配達を?」
「いえ。その……。旅をしておりまして」
「泊まる宿はお決まりで?」
「まだ……ですね」
「でしたら、うちに泊まってください。お礼もしたいので」
「えっ、いや、そんな……」
「キャロ! ママの料理は、キーターンで一番美味しいんだよ!」
「こ、こらっ。ウシャーラ……。……あの、遠慮なさらず。恩を返せない方が、むしろ心残りですから。是非泊まってください」
「……それでは、お言葉に甘えて」
こうして、思わぬ形で、今日の宿が決まった。
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