婚約破棄された私は、世間体が悪くなるからと家を追い出されました。そんな私を救ってくれたのは、隣国の王子様で、しかも初対面ではないようです。

冬吹せいら

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食事中の婚約破棄

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「美味しいかい? キャロ」
「えぇ。とても」
「それは良かった。ところで……。君との婚約を、破棄しようと思うんだけど」

 フォークが、皿にぶつかる音が響いた。
 
 ここは、オーゼフ伯爵家の一室である。
 令息の、ライアン・オーゼフと、その婚約者で、子爵令嬢のキャロ・ブリジットが、食事をしていた。

 ライアンの一言に、驚いたキャロが、思わずフォークを落としてしまったのである。

「今、なんとおっしゃいました?」

 まさかと思い、聞き返すキャロ。

「君との婚約を、破棄しようと思うんだけど」

 同じことを繰り返されてしまった。

「あの、私が何か、気に障るようなことをしてしまったのでしょうか」
「いや何も? 君は悪くない」
「でしたら、一体なぜ……」
「新しく、好きな人ができたんだ」
「……は?」
「君と違って、ナイスバディな女性でね。十六歳なんだが、非常に大人っぽくて、綺麗な人なんだ」
「つまり……。浮気ということですか?」
「まだキスもしていないよ。君との婚約を正式に破棄してから、たくさんイチャイチャするつもりなんだ」

 満面の笑みで、そんなことを言うライアンに、キャロは戸惑っていた。
 元から、他の女に、良く目移りするような男だったが……。
 とうとう、婚約破棄ときたか。

「気になるだろう? 僕が新しく好きになった人」
「気になりません……。あの、正気ですか?」
「呼んでるんだ」

 ライアンが、指をパチンと慣らすと、執事が部屋の外へ出た。

 そして……。一人の美しい女性を連れて、戻ってくる。
 なるほど、確かに大人らしい容姿をしている。
 自分よりも、豊かな胸をしており、さらにそれを強調するような、いかがわしいドレスを着ていた。

 妖艶な笑みを浮かべ、ライアンの横の席に座る。

「彼女はカティ。リオゼルナ伯爵家の令嬢だよ」
「……そうですか」
「彼女はね、なんでもできるんだ。料理はもちろん、編み物だってできる。花の手入れも得意だし、知識も豊富。まさに、大人の女性そのものなんだよね」
「あら……。ライアン様。嬉しいことをおっしゃってくれるわね」

 あろうことか、ライアンとカティは、キャロの目の前で、身を寄せ合っている。
 さすがに、こんなところにはいたくないと、キャロは席を立った。

「待ちなさいキャロ。まだ料理が残っているよ?」
「結構です。体調が悪いので」
「マナーがなってないなぁ。カティ、彼女をどう思う?」
「仕方ないですわ。まだまだ子供ですもの」
「……私は、十五歳です。あなたと一つしか変わりません」
「まぁ。それはどうも失礼?」

 これ以上ここにいても、ストレスが溜まるだけだ。
 キャロは、早足で部屋を出た。
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