あら旦那さま。後ろで泣いている女性もあなたの不貞のお相手ですか?
ケイフォード男爵子息夫人のクラリッサは、用事で赴いた隣の領の町で偶然見てしまった。
自分の知らない男の子が「パパ」と呼び、その子を肩車する最愛の夫であるイライアスを――
すれ違いの日々で夫に会えず、クラリッサが悶々と過ごしていたある日、彼は肩車をしていた男の子と知らない女性を連れ屋敷に帰ってきた。
その女性――マルヴィナは、クラリッサに高らかに言い放つ。
自分のお腹の中には、イライアスとの赤ちゃんがいる、と――
その後、客間でお互いの家族を交えての話し合いの中、不意にクラリッサがきょとりと目を丸くさせ、夫に言った。
「あら、旦那さま。後ろで泣いている女性も、あなたの不貞のお相手ですか?」
……シンと静まり返る部屋。
イライアスの後ろに、女性なんて……いない。
その場にいた、イライアス以外の全員が思った。
夫の不貞という名の〝裏切り〟に、この女はついに心が壊れてしまったのだ、と――
※作者独自の世界観が入っています。
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