漫画家へGO プロ漫画家インタビュー

No. 3異世界で『黒の癒し手』って呼ばれています
村上ゆいち先生

わたしの履歴書

第4回 これが『癒し手』の舞台裏! 村上先生と担当編集のぶっちゃけトーク

前の自分の絵と向き合うことで、今の自分の成長を認める。

――Webに掲載された漫画を初めて見た時はどう思いましたか?

村上

あまり言っていいのかわからないんですけど……ヘタだなー、と……。

担当

私にも「これ大丈夫ですか?」と聞いていましたよね。

村上

最初は3回分くらい描き溜めをしていたんですよ。だから初回を描いてから掲載までに半年ほどタイムラグがあったので、完全に客観的な目で見てしまうんです。それで軽く凹んで、次頑張ろう……と(笑)

担当

でもお声がけさせていただいた時点で、村上さんは漫画執筆がほぼ初めてということもあるのでダメ出しはしますよ、とお伝えしていたんです。村上さんも、気になった点はどんどん指摘してほしいと言ってくださったのもあったので、最初からかなり率直に意見を言わせてもらっていました。その上で出来上がった原稿なので、私は大丈夫だとお話ししていたんですが……。

村上

初回は背景、ほぼ全て描き直しでしたもんね(笑)。ラノベのモノクロイラストでは、キャラを立たせるために背景をぼかすというやり方が主流ということもあって、そういう仕上げが漫画だとおかしく感じると気付けなかったんですよ。でも理由をきちんと説明してもらえたので納得出来たし、指摘されたところをより良くするためにはどうしたらいいかを考えれば、原稿のクオリティも上がっていくので良いかな、と。自分の作業量は増えますが……!

担当

(笑)。村上さんは向上心がすごいんですよ。本当にそこは偉いと思います。

――修正は作品をよりよくするため、という共通の認識と、お互いの信頼関係があってこそのお話ですね。

担当

あとWebに掲載されてすぐ、村上さんからコミックス収録時に修正したいとご連絡いただいた箇所がありました。スサウゴテルスのところなんですが……。

村上

造形に納得がいかなかったんですよ。迫力が足りないよ、これじゃトカゲだよ! と(笑)。リィーンが初めて直面する、ファンタジー世界の象徴のような存在なので、もっと説得力を持たせたかったんです。

左がスサウゴテルスの初登場ページ。連載版に比べ、右のコミックス修正版は明らかに迫力がアップ!

――自分が描いた作品はなるべく見たくない、と言う漫画家さんもいらっしゃいますが、村上先生はいかがですか?

村上

積極的に見たくはないんですが、きちんと見ておかないと、悪いところがわからないじゃないですか。描きたての絵は自分にはすごく上手に見えているので、そこで満足して終わり、ではダメかと。でも良くないところが見つけられるということは、描き上げた時点よりは成長しているはずなので、そこは自分でも認めてあげたいと思っています。

担当

ただ村上さんは単行本作業の時、ほとんど修正しないんですよ。トーンミス等はもちろん直しますが、絵に関してはこの時はこの時、とそのままにしますね。だからスサウゴテルスの箇所はむしろ異例でした。

村上

描き直しをしだすと泥沼化しそうな気がするんですよ。正解が見えなくなってしまうというか……。だから基本的には、その時の自分が1番良いと思えるものを納品しているはずなので、後から見るとうーん、と思う部分も含めてそのままにしておこう、と。ただ、読者さんがコミックスを読み終えた時に、最初のページから少しは上手になっている、読みやすくなっていると思ってもらえるようにしようというラインを自分の中で設けて、そこに向けて頑張っていましたね。

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