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覚醒は突然に
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「けど、国王様は未練や心残りがあって前世の記憶があるのだとして、
勝ったヘリクセンには何の未練も無いのでは?
前世の記憶を引き継ぐ理由がないと思うんですけど。」
私の問いに、国王の深い緑の瞳が揺れた。
逡巡した後、言いづらそうに、言いたくなさそうに、口を開く。
「ヘリクセンは、そなたの事を愛していた。
愛し方は間違っていたが…。
…だが、そなたは最後まで私を選んでくれた。」
え、私が未練かもって事?それも謝罪とかで消えてくれないかしら。
前世の自分がモテる展開はちょっと抵抗感がある。
「私のように、ふとしたきっかけで思い出すやもしれん。」
ふとしたなんてレベルのダメージじゃなかったはずなんだけど。
普通なかなか起こらないレベルの事故だったと思うんだけど。
軽くコブになっているし、明日には多分青あざになってるだろう…。
「ヘリクセンはどんな見た目でしょうか…。」
下手に思い出すと嫌な記憶が出そうで、極力考えずに訊いた。
「わからぬ…私の前では人に化けたりしなかった。」
「ん?」
「ヘリクセンはドラゴンだ。」
おっと、人外。
前世の私は何の縁があって人外から好かれてしまったのやら。
「黒い鋼のような鱗に金の瞳…」
「黒髪か、黒人系…?とりあえず金色の瞳が特徴なわけですね。
学校にはまずいないな…。」
と、入学から今までの1年半ちょっとの記憶を遡りながら呟くと、国王も軽く頷いた。
「ああ。現世の学校での記憶を振り返ってみたが、
妻もヘリクセンも見かけた事は無いと思う。」
「あ、奥様は…」
「栗茶色の髪にヘーゼルの瞳だ。」
いっぱいいるー!それ現代において結構居る髪色と瞳の色ー!
心の中で盛大にツッコみながら何か救いはないかと、重ねて問いかけてみる。
「他に何か特徴って…」
「特徴は見た目より性格だな。」
キッパリとした様子で答える国王。
そういえばさっきもそう言っていたな…と思いながら相槌を打つ。
「ああ、難ありって…」
「大人であの性格なら確実に世間で浮いているはずだ。」
どんだけ!?あと性格ってすぐには分からなくない??
それにしても、仮にも妻だった人物の人間性をこうも一刀両断してしまえるのって、
完全に政略結婚で愛が無かったパターンなんだろうか…。
「国王様は奥様を愛してはいなかったんですか?」
「26歳で7歳を嫁にと言われても、普通は女性として見れんだろう。」
歳の差デカ!
大人になってから出会っていたらまだあり得る歳の差だったりもするけど、確かに20代半ばで小学2年生くらいの幼い子に性的な目を向けていたら変態でしかないと思う。
「それに、既にそなたと出会った後だった。」
「え?」
ポロっと言ってしまったような発言だった。
思わず聞き返した私の声に、わずかに瞳がたじろいだが、国王は説明を続ける。
「妻に気に入られたそなたは世話係同然に城に呼び出されるようになり、
私と共に彼女の相手をしていた。
娘のような感覚と言った方が近い。」
私の「え?」はそっちじゃなくて…
「国王様は、前世の私を…どう思っていましたか?」
ポーカーフェイスで淡々と喋る人だけど、さっきの話の流れの感じだと、
前世の私と会ったから女性として見なかったってとれる…ような?
「……私に尽くしてくれた信頼できる神官だ。」
思っていた回答とは違った。
そりゃそうか、国王様と名前も分からない一国民とじゃ位が違い過ぎる。
一瞬とはいえ、ちょっと恥ずかしい勘違いだった。
「問題はいるかどうかも分からないヘリクセンを探すかどうかですね…。」
急いで話を逸らす。
「もしこちらの世界に居て、記憶を取り戻しちゃうと危険が及ぶかもだけど、
奥様見つけた後だと国王様は消えちゃってるわけだし。
かといって居ない人を探して未練が長引いても…こちらが困るというか…。」
「それもそうだな…。
妻にも前世の記憶など無いかもしれんが…。」
そしたら謝罪も意味無いじゃん。
なんて身も蓋もない言葉は胸の奥にしまった。
前世の記憶を引き継ぐほど、強く後悔したことなのだろうから。
勝ったヘリクセンには何の未練も無いのでは?
前世の記憶を引き継ぐ理由がないと思うんですけど。」
私の問いに、国王の深い緑の瞳が揺れた。
逡巡した後、言いづらそうに、言いたくなさそうに、口を開く。
「ヘリクセンは、そなたの事を愛していた。
愛し方は間違っていたが…。
…だが、そなたは最後まで私を選んでくれた。」
え、私が未練かもって事?それも謝罪とかで消えてくれないかしら。
前世の自分がモテる展開はちょっと抵抗感がある。
「私のように、ふとしたきっかけで思い出すやもしれん。」
ふとしたなんてレベルのダメージじゃなかったはずなんだけど。
普通なかなか起こらないレベルの事故だったと思うんだけど。
軽くコブになっているし、明日には多分青あざになってるだろう…。
「ヘリクセンはどんな見た目でしょうか…。」
下手に思い出すと嫌な記憶が出そうで、極力考えずに訊いた。
「わからぬ…私の前では人に化けたりしなかった。」
「ん?」
「ヘリクセンはドラゴンだ。」
おっと、人外。
前世の私は何の縁があって人外から好かれてしまったのやら。
「黒い鋼のような鱗に金の瞳…」
「黒髪か、黒人系…?とりあえず金色の瞳が特徴なわけですね。
学校にはまずいないな…。」
と、入学から今までの1年半ちょっとの記憶を遡りながら呟くと、国王も軽く頷いた。
「ああ。現世の学校での記憶を振り返ってみたが、
妻もヘリクセンも見かけた事は無いと思う。」
「あ、奥様は…」
「栗茶色の髪にヘーゼルの瞳だ。」
いっぱいいるー!それ現代において結構居る髪色と瞳の色ー!
心の中で盛大にツッコみながら何か救いはないかと、重ねて問いかけてみる。
「他に何か特徴って…」
「特徴は見た目より性格だな。」
キッパリとした様子で答える国王。
そういえばさっきもそう言っていたな…と思いながら相槌を打つ。
「ああ、難ありって…」
「大人であの性格なら確実に世間で浮いているはずだ。」
どんだけ!?あと性格ってすぐには分からなくない??
それにしても、仮にも妻だった人物の人間性をこうも一刀両断してしまえるのって、
完全に政略結婚で愛が無かったパターンなんだろうか…。
「国王様は奥様を愛してはいなかったんですか?」
「26歳で7歳を嫁にと言われても、普通は女性として見れんだろう。」
歳の差デカ!
大人になってから出会っていたらまだあり得る歳の差だったりもするけど、確かに20代半ばで小学2年生くらいの幼い子に性的な目を向けていたら変態でしかないと思う。
「それに、既にそなたと出会った後だった。」
「え?」
ポロっと言ってしまったような発言だった。
思わず聞き返した私の声に、わずかに瞳がたじろいだが、国王は説明を続ける。
「妻に気に入られたそなたは世話係同然に城に呼び出されるようになり、
私と共に彼女の相手をしていた。
娘のような感覚と言った方が近い。」
私の「え?」はそっちじゃなくて…
「国王様は、前世の私を…どう思っていましたか?」
ポーカーフェイスで淡々と喋る人だけど、さっきの話の流れの感じだと、
前世の私と会ったから女性として見なかったってとれる…ような?
「……私に尽くしてくれた信頼できる神官だ。」
思っていた回答とは違った。
そりゃそうか、国王様と名前も分からない一国民とじゃ位が違い過ぎる。
一瞬とはいえ、ちょっと恥ずかしい勘違いだった。
「問題はいるかどうかも分からないヘリクセンを探すかどうかですね…。」
急いで話を逸らす。
「もしこちらの世界に居て、記憶を取り戻しちゃうと危険が及ぶかもだけど、
奥様見つけた後だと国王様は消えちゃってるわけだし。
かといって居ない人を探して未練が長引いても…こちらが困るというか…。」
「それもそうだな…。
妻にも前世の記憶など無いかもしれんが…。」
そしたら謝罪も意味無いじゃん。
なんて身も蓋もない言葉は胸の奥にしまった。
前世の記憶を引き継ぐほど、強く後悔したことなのだろうから。
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