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激変する日常
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「ねぇ!林さん、何で隼人と一緒に登校してんの?」
声をかけてきたのは田辺さん。
いつも白峰君の取り巻きをしているギャルのリーダー格。
もうすぐ朝のホームルームが始まるので他の生徒は各々の席に向かっているけど、気に留めていないらしい。
「白峰君の額の怪我、昨日私のせいで出来ちゃったものなの。」
余計に田辺さんの圧が上がるのは予想がついていたけれど、正直にそこを話して昨日の夜中に一生懸命考えた言い訳へと話を繋げる。
「そこで、お詫びとして白峰君の初恋の女性を探す約束をして、」
「初恋の女性って…っ、何よそれ!」
田辺さんの反応は予想していたより良かった。
その声量もだけど、初恋の女性というワードに、陰キャ陽キャに関わらず国王以外の教室内全生徒がこちらを振り返った。
人生初って言いきれるくらいの注目を浴びる。
「どうしても忘れられない人らしくて、今日も朝から一緒に探してたの。」
「えー!そんなに!?」
田辺は固まっていたが、周りで聞いていただけの生徒が驚きの声をあげる。
「何で俺達に言ってくれないんだよ!」
よくマーシーと呼ばれている前橋という生徒が国王に向かって言った。
「お前らに言えるわけないだろ、ずっと引きずってるとか、女々しいじゃん。」
さすが本人なだけはあって、完璧な白峰君ぶりに安堵する。
拗ねたようなふくれっ面は仲間内でネタにされた時の表情そのものだ。
「初恋の人探しだって…、」
「え?誰の?」
「うそ、白峰君の!?」
気が付けば隣のクラスの人達も騒ぎを聞きつけて頭を覗かせている。
人気者の初恋の女性となると、私だってどんな人か一目見たいと思う。
「それで!?どんな人探したらいいわけ?」
「茶色の髪に、ヘーゼルの目。」
「いや!それどこにでもいるし!」
私が昨日口に出せなかったツッコミを、そのまんま前橋が言った。
国王が困ったように視線を巡らせながら言った。
「私がこの世で一番可愛い!とよく言っていて、
誰にでも『可愛い私に尽くしなさい、当たり前でしょ。』
って強要する感じの人。」
初恋の人探しと聞いてにわかに沸き立っていた教室が静まり返った。
「え、隼人…そんなんが好みなん…?」
「だから言いたくなかったんだよ。」
クラスの内も外も、全生徒が納得してくれた。
けどこれで皆が気にかけてくれることだろう。
これぞ人海戦術!と内心ドヤっていると、完全に忘れていた担任の声が入ってきた。
「こら!席に着きなさ―い!時間過ぎてるよー!」
視線を向けた瞬間、記憶が蘇った。
国王様も固まっている。
「教育実習生は、王妃様でしたか…。」
その平たく言えば茶色の、日に当たるとバーガンディに色を変えて輝く髪に、夜明けの光を思わせる明るいヘーゼルの瞳。
顔かたちの造形は神が力を入れて精巧に作り上げたであろう、と思わせる程に美しい。
叱られた状況であるにも関わらず、担任の姿を見ている者は一人もいないだろう。
それくらいの美貌に、ほうっと息を吐く音が次々と聞こえてきた。
「この私が自己紹介してあげるんだから、さっさと席に座りなさいよ!
頭が高いわよ鼻ったれのガキども!」
この一言で生徒たちの羨望の眼差しが一斉に下を向いたのは間違いない。
かくして、『初恋の人探し』は秒殺で幕を閉じた。
声をかけてきたのは田辺さん。
いつも白峰君の取り巻きをしているギャルのリーダー格。
もうすぐ朝のホームルームが始まるので他の生徒は各々の席に向かっているけど、気に留めていないらしい。
「白峰君の額の怪我、昨日私のせいで出来ちゃったものなの。」
余計に田辺さんの圧が上がるのは予想がついていたけれど、正直にそこを話して昨日の夜中に一生懸命考えた言い訳へと話を繋げる。
「そこで、お詫びとして白峰君の初恋の女性を探す約束をして、」
「初恋の女性って…っ、何よそれ!」
田辺さんの反応は予想していたより良かった。
その声量もだけど、初恋の女性というワードに、陰キャ陽キャに関わらず国王以外の教室内全生徒がこちらを振り返った。
人生初って言いきれるくらいの注目を浴びる。
「どうしても忘れられない人らしくて、今日も朝から一緒に探してたの。」
「えー!そんなに!?」
田辺は固まっていたが、周りで聞いていただけの生徒が驚きの声をあげる。
「何で俺達に言ってくれないんだよ!」
よくマーシーと呼ばれている前橋という生徒が国王に向かって言った。
「お前らに言えるわけないだろ、ずっと引きずってるとか、女々しいじゃん。」
さすが本人なだけはあって、完璧な白峰君ぶりに安堵する。
拗ねたようなふくれっ面は仲間内でネタにされた時の表情そのものだ。
「初恋の人探しだって…、」
「え?誰の?」
「うそ、白峰君の!?」
気が付けば隣のクラスの人達も騒ぎを聞きつけて頭を覗かせている。
人気者の初恋の女性となると、私だってどんな人か一目見たいと思う。
「それで!?どんな人探したらいいわけ?」
「茶色の髪に、ヘーゼルの目。」
「いや!それどこにでもいるし!」
私が昨日口に出せなかったツッコミを、そのまんま前橋が言った。
国王が困ったように視線を巡らせながら言った。
「私がこの世で一番可愛い!とよく言っていて、
誰にでも『可愛い私に尽くしなさい、当たり前でしょ。』
って強要する感じの人。」
初恋の人探しと聞いてにわかに沸き立っていた教室が静まり返った。
「え、隼人…そんなんが好みなん…?」
「だから言いたくなかったんだよ。」
クラスの内も外も、全生徒が納得してくれた。
けどこれで皆が気にかけてくれることだろう。
これぞ人海戦術!と内心ドヤっていると、完全に忘れていた担任の声が入ってきた。
「こら!席に着きなさ―い!時間過ぎてるよー!」
視線を向けた瞬間、記憶が蘇った。
国王様も固まっている。
「教育実習生は、王妃様でしたか…。」
その平たく言えば茶色の、日に当たるとバーガンディに色を変えて輝く髪に、夜明けの光を思わせる明るいヘーゼルの瞳。
顔かたちの造形は神が力を入れて精巧に作り上げたであろう、と思わせる程に美しい。
叱られた状況であるにも関わらず、担任の姿を見ている者は一人もいないだろう。
それくらいの美貌に、ほうっと息を吐く音が次々と聞こえてきた。
「この私が自己紹介してあげるんだから、さっさと席に座りなさいよ!
頭が高いわよ鼻ったれのガキども!」
この一言で生徒たちの羨望の眼差しが一斉に下を向いたのは間違いない。
かくして、『初恋の人探し』は秒殺で幕を閉じた。
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