ダブルヒーロー

Tsumitake

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異世界転生!?

主人公って…

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雛乃の知る『学校』は、勉強や運動をする場所だった。
間違っても廊下に洗濯物がぶら下がっていたり、足元に人が毛布敷いて寝転がったりしている場所ではない。

1階の廊下はところどころ壁が壊されて瓦礫が通路を塞いでしまっている。
窓ガラスは割れていないものがあるのかどうか…。
割れた窓の窓枠に厚めのベニヤを打ち付けて風を防いでいて、光が取り込めない分、天井や壁には小さなロウソクが点々とついている。
窓が無事だったとしても、空は暗い灰紫の雲が埋め尽くしているからほとんど光は入らないのだろう。

こんな世界を、本当に救えるのかな?

一抹の不安が胸を過ぎる中、廊下を曲がり階段に差し掛かる手前の壁に目を留める。

「待って、主人公って何人いるの。」
「現在主人公は貴方達2人です。」

訊ねた雛乃の眼前には手書きの貼り紙と簡素な箱。
貼り紙には「主人公ヒーローパス返却所」の文字。
箱には見覚えのある白い装置が溢れんばかり、山積みになっていた。

「元主人公はここにいる生き残り人口の半分にあたります。」
「半分!?」

それってこの世界のほとんどの人が死んでいて、この世界に思い入れの無い人が半数って事?

主人公ヒーローパスって、捨てたらもう終わり?
 復活とかってナシなのかな?」
「わかりません。
 そもそも自分のパスがどれか、判断がつかないかと。」

山積みの主人公ヒーローパスは数百個。
ランプの色も5属性だから被ったりしてるし、何の装飾もない量産型のため、到底わかりそうもなかった。

そもそも何らかの理由あって諦めた相手の説得に割く時間があるとは思えない。
ヒーロー増殖作戦は難しそうだ。と雛乃は溜め息をついた。

階段を上った後、異臭が鼻を突いた。
その臭いから予想はしていたが、教室は壮絶だった。

1教室あたり30人くらいが、丸くなって寝れる程度の床面積を取り合うように荷物や毛布で区切りあっている。
区切りの上にはどちらのともつかないゴミが乗っかっているし、みんな風呂に入れていないのか、ボロ雑巾?手入れの悪い犬?みたいな匂いが充満している。
悪い病気なんかも発症しかねない。と雛乃は顔をしかめる。

「お風呂って無いの?」
「水道設備が機能していないのです。」

なるほど。
それもここ最近の話では無さそうだ。

「魔法は一部の人しか使えないの?」
「はい。
 数少ない魔道士は早々に襲われ、
 生き残った者の中で魔力を持っていた方達は
 魔物と戦い命を落としました。」
「ああー、そうかー。」

当然、力のある人間達はここまで絶望的に追い詰められる前に何かしらしているに決まっている。
学校に籠城するしかない状況にまでなっている時点で、まともな魔法使いや戦士がいるとは考えにくい。

現状を理解すればする程に、攻略不可能なゲームを強いられていると感じるが、雛乃はまだ諦める気がなかった。

「コレット、魔法の呪文って何処で学べるの?」

雛乃の発言が意外だったのか、コレットが目をパチクリさせる。

「早くこの状態を何とかしてあげたい。
 こんな不衛生な所じゃ、
 魔王が何かしなくてもじきに死んじゃうよ。」

「…はい、案内致します…勇者様。」

今迄、この現状に至る前ですら諦める主人公が多かった。
まして、この惨状を見ても自分から魔法を覚えようとする意欲的な主人公は見た事がない。

『女神様、今回の主人公はもしかすると可能性があるかもしれません。』
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