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隣国の皇太子
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「ノア!ボールド国から返事はあったか?」
「いいえ陛下。まだでございます」
「もう二週間にもなるのに」
あれだけの要求をしておいて一つの独立国から二週間程度で返事が来るわけがない。僕の父親ながら勝手なことを要求する行為にうんざりしていた。野心が多くて宰相によく諫められているが、この先もどうかと不安は募る。
僕はノア。フルナール国の皇太子で妹ひとりと弟がひとりの三人兄弟で国王ラファエル二世と第一王妃エマ三世を父母に持つ。フルナール国は慣例で三人の妻をもつので第二王妃ローズ四世に第三王妃ジャッド二世の二人の王妃にも二人ずつ子供がいるがまだまだ小さい。第一王妃の僕たち三人兄弟のように公務は何もない。
僕の弟のピエールは僕と年も五歳離れていて兄貴として面倒を見ることも多い。それに優しいが弱虫な点があり魔法量も多いのだが、ためらうことがあり魔法の授業でも先生からよく怒られている。いざとなる場面で使えないのだ。
妹のアンナは二歳年下で乗馬も得意で弓も剣もクラスでトップグループだと聞く。それも男子も含めて、確かに僕と手合わせしても簡単にも点数はとれないほどの腕前である。魔法は癖があり回復と解毒系の魔法は全くダメで攻撃魔法ばかりが強いアンバランスなのだ。こんな妹だが十六歳になるのでボールド国への政略結婚への白羽の矢が立ったのだ。
「アンナ。僕も政略結婚の話は昨日聞いたが、父上と母上からも今日聞いたんだろう?逆らうことはできないけどな。なんかな、、、」
「お兄様らしくもない。そんな言い方。気を使っているつもり?」
「誰だって違う国へ嫁ぐとなればショック受けるだろう?」
「国王夫妻の子供だよ私たち。普通に恋愛できるわけないんだから気にしない。お兄様も皇太子であればピエール連れて様子見に来ることはできるでしょ!お兄様もボールド国からお妃もらったら、両国が強くつながっていいじゃない?」
「お前は簡単に言うな、、、」
こんな妹だから僕の友人からもファンが多い。国王の娘なんて関係なくどこでも生きていける奴なんだ。あいつは。政略結婚のことはまだ公にはできないけれど、僕や弟の友人連中には勝手にファンクラブみたいなことをしているのがいるくらいだから、、、あいつら落ち込むだろうな。
僕自身も国王の息子で皇太子には十歳でなっているから恋愛なんてできないのはわかっている。学園生活時代にラブレターをもらったことは何度もあり、返事はできないと断っているのだが何度も何人からももらうことはあった。フルナール国の風習に女性から男性に告白しても良い記念日が年に二回ありチョコクッキーをもらうイベントがあるのだ。その時は大きめのリュックで登校してあちこちに置いてあるチョコクッキーを回収をしながらチョコクッキーをもらえない男子に見つからないようにするのが大変だった。こんな苦労は弟のピエールも一緒に経験をしている。
あいつは優しいのが顔にでているので余計に人気があり、みんなに優しくできるので気の弱い優しい女子からの人気は絶大だそうだ。弟にラブレターの返事はするなと伝えたときには悲しそうにしていたが、国王夫妻の子供である以上特定の人物に恋愛感情を持つわけにはいかないのだ。返信のラブレターをいくつも書いてはいたから絶対に返すなよ!といつもと違い迫るように言ったら涙目になっていたな。悪いことをした。
自慢するつもりはないが、僕たち三人の兄弟は国王を反面教師にしながら育っている。僕の本音をもらせば父母の余りある才能の前には勝てるわけがないとわかっている。なぜならば、父親は野心が多く家来を振り回すことなど気にしない人ではあるが、頭のキレと記憶力が抜群にいい。王宮にも多数の家来がいるが父親ほどの人はいない。だから誰もが父親との会話で論破できたことがない。国王にわざわざ勝つ人もいないと思うが、父親には国王に口喧嘩吹っ掛ける奴はいないよな?と思っているから触らぬ神に祟りなしってこと。あと僕もピエールも父譲りの切れ長の眼に王家の血の象徴である金髪でふわっと見えるが、でもストレートな髪。「一生に一度のお願いだからその髪触らせていただけませんか?」と学園時代は何人もの女子に言われたな。そんな自分の価値もよくわかっていない父親だが勝てると思えたことがない。
母親も社交界にデビューしてからその美貌に国内・国外問わずに婚姻の申し込みが後を絶たずに自宅回りが人であふれてしまった伝説をもつ。生活必需品すら手に入れることができなくなったそうだ。その状況を見かねて手を差し伸べたのは前国王である。母親(エマ)の婚姻は王家で管理する。エマの婚約者に名乗り出るものは私のところまで名乗りに来い!と宣言し家族全員と侍女たちを王宮に招き入れたのだ。王宮に世話になるうちにどうなって父親と母親が結婚したのか経緯を父母は決して教えてくれない。侍女たちもだれも口が固くて不明なままだ。妹はこの美貌を引継ぎ豪快で向こう見ずな父親の性格を引き継いでいるのでその言動は学園の男子に大人気である。
「ノア。お前はボールド国がどのように動くと予想する?」
「陛下。では私の考えを述べさせていただきます。小麦は必ず手に入れてくると思います。そのために農業用水を多少減らしても仕方ないと。小麦の技術は必ず取りに来ると思われますので。政略結婚はのらりくらりとかわしてくるのでないでしょうか?政略結婚はできないからその分小麦の技術に金銭を払うつもりでは?」
「ほう。それも一案だな。わしと宰相の意見もノアお前と殆ど一緒だ。絶対に小麦は欲しいと読んでいる。その分他のことは多少は犠牲にするのではないか?農業用水に対し金銭を払うこともあるだろうな。政略結婚もはじめてのことだからわからんが、これも小麦のために割り切る可能性もある。宰相は細かく気にするからすべてのパターンを部下とシミュレーションしておる」
「宰相は陛下にとっては無くてはならない方ですね。私など一パターンしか考えつかない。未熟者ですね」
「答えが決まっていないのが交渉だ。自分を安くするな。その先に何があるのか心配するのが大人だ」
強がることもできずにいる自分、やはり国を支えてきた人間の強さはオーラが違うんだろうな、僕と違って。
母から私室に呼ばれたので駆けつけてみるとお茶とお菓子が用意してあった。
「お呼びと聞きました。母上」
「これから色々と動き出す前にゆっくりとお話ししましょう」
「ボールドへの交渉の件でしょうか?」
「それもあるわ。でもあなたたち兄弟三人にも公務があります。陛下と私が考えたものがほとんどですからね」
母上から父上のことも弟と妹についても母上しか知らない様々なことを教えて頂いた。なんでそのようなことまで教えてもらえるのかと思いながらも母上との二人の貴重な時間を様々な思いを胸にずっと聞いていた。
「ノア。あなたは長男であり皇太子で我がフルナールを継ぐ大切な私の子。あなたが国王になる日もそう遠くではありません。この先は困難なことが起きることでしょう。心が弱くなったときは私の侍女頭に手紙を渡しなさい。母はこの部屋であなたの相談相手になります。いつでもあなたの味方よ!さあここで話したことは誰にも内緒ですよ」
「ありがとうございます。母上。今日の時間ですが、上手く言えませんが、、、、応援してもらっているのが分かり嬉しいです。では部屋に戻ります」
「ピエールとアンナにもこの部屋に一人ずつ来てもらって話するわ。みんな仲良く力を合わせればこの国はもっと強くなるからね」
僕はこの先国を継ぐまで色んな事が起きるのだろう。国王になれたとしても様々なことがあるのだろう。その先の自分の子供が生まれると予想できないことが待ち構えているに違いない。だからこそ母上は母として国王の妻として僕たち三人を勇気づけさせるために今日部屋に呼んでくれたのだ。今日は嬉しくてすぐに寝むれそうにないな。教えて頂いたことを記録にまとめておこう。
それから3日後。
以外とボールド国からの返事は早く来た。
二週間過ぎたあたりに早馬で。
「いいえ陛下。まだでございます」
「もう二週間にもなるのに」
あれだけの要求をしておいて一つの独立国から二週間程度で返事が来るわけがない。僕の父親ながら勝手なことを要求する行為にうんざりしていた。野心が多くて宰相によく諫められているが、この先もどうかと不安は募る。
僕はノア。フルナール国の皇太子で妹ひとりと弟がひとりの三人兄弟で国王ラファエル二世と第一王妃エマ三世を父母に持つ。フルナール国は慣例で三人の妻をもつので第二王妃ローズ四世に第三王妃ジャッド二世の二人の王妃にも二人ずつ子供がいるがまだまだ小さい。第一王妃の僕たち三人兄弟のように公務は何もない。
僕の弟のピエールは僕と年も五歳離れていて兄貴として面倒を見ることも多い。それに優しいが弱虫な点があり魔法量も多いのだが、ためらうことがあり魔法の授業でも先生からよく怒られている。いざとなる場面で使えないのだ。
妹のアンナは二歳年下で乗馬も得意で弓も剣もクラスでトップグループだと聞く。それも男子も含めて、確かに僕と手合わせしても簡単にも点数はとれないほどの腕前である。魔法は癖があり回復と解毒系の魔法は全くダメで攻撃魔法ばかりが強いアンバランスなのだ。こんな妹だが十六歳になるのでボールド国への政略結婚への白羽の矢が立ったのだ。
「アンナ。僕も政略結婚の話は昨日聞いたが、父上と母上からも今日聞いたんだろう?逆らうことはできないけどな。なんかな、、、」
「お兄様らしくもない。そんな言い方。気を使っているつもり?」
「誰だって違う国へ嫁ぐとなればショック受けるだろう?」
「国王夫妻の子供だよ私たち。普通に恋愛できるわけないんだから気にしない。お兄様も皇太子であればピエール連れて様子見に来ることはできるでしょ!お兄様もボールド国からお妃もらったら、両国が強くつながっていいじゃない?」
「お前は簡単に言うな、、、」
こんな妹だから僕の友人からもファンが多い。国王の娘なんて関係なくどこでも生きていける奴なんだ。あいつは。政略結婚のことはまだ公にはできないけれど、僕や弟の友人連中には勝手にファンクラブみたいなことをしているのがいるくらいだから、、、あいつら落ち込むだろうな。
僕自身も国王の息子で皇太子には十歳でなっているから恋愛なんてできないのはわかっている。学園生活時代にラブレターをもらったことは何度もあり、返事はできないと断っているのだが何度も何人からももらうことはあった。フルナール国の風習に女性から男性に告白しても良い記念日が年に二回ありチョコクッキーをもらうイベントがあるのだ。その時は大きめのリュックで登校してあちこちに置いてあるチョコクッキーを回収をしながらチョコクッキーをもらえない男子に見つからないようにするのが大変だった。こんな苦労は弟のピエールも一緒に経験をしている。
あいつは優しいのが顔にでているので余計に人気があり、みんなに優しくできるので気の弱い優しい女子からの人気は絶大だそうだ。弟にラブレターの返事はするなと伝えたときには悲しそうにしていたが、国王夫妻の子供である以上特定の人物に恋愛感情を持つわけにはいかないのだ。返信のラブレターをいくつも書いてはいたから絶対に返すなよ!といつもと違い迫るように言ったら涙目になっていたな。悪いことをした。
自慢するつもりはないが、僕たち三人の兄弟は国王を反面教師にしながら育っている。僕の本音をもらせば父母の余りある才能の前には勝てるわけがないとわかっている。なぜならば、父親は野心が多く家来を振り回すことなど気にしない人ではあるが、頭のキレと記憶力が抜群にいい。王宮にも多数の家来がいるが父親ほどの人はいない。だから誰もが父親との会話で論破できたことがない。国王にわざわざ勝つ人もいないと思うが、父親には国王に口喧嘩吹っ掛ける奴はいないよな?と思っているから触らぬ神に祟りなしってこと。あと僕もピエールも父譲りの切れ長の眼に王家の血の象徴である金髪でふわっと見えるが、でもストレートな髪。「一生に一度のお願いだからその髪触らせていただけませんか?」と学園時代は何人もの女子に言われたな。そんな自分の価値もよくわかっていない父親だが勝てると思えたことがない。
母親も社交界にデビューしてからその美貌に国内・国外問わずに婚姻の申し込みが後を絶たずに自宅回りが人であふれてしまった伝説をもつ。生活必需品すら手に入れることができなくなったそうだ。その状況を見かねて手を差し伸べたのは前国王である。母親(エマ)の婚姻は王家で管理する。エマの婚約者に名乗り出るものは私のところまで名乗りに来い!と宣言し家族全員と侍女たちを王宮に招き入れたのだ。王宮に世話になるうちにどうなって父親と母親が結婚したのか経緯を父母は決して教えてくれない。侍女たちもだれも口が固くて不明なままだ。妹はこの美貌を引継ぎ豪快で向こう見ずな父親の性格を引き継いでいるのでその言動は学園の男子に大人気である。
「ノア。お前はボールド国がどのように動くと予想する?」
「陛下。では私の考えを述べさせていただきます。小麦は必ず手に入れてくると思います。そのために農業用水を多少減らしても仕方ないと。小麦の技術は必ず取りに来ると思われますので。政略結婚はのらりくらりとかわしてくるのでないでしょうか?政略結婚はできないからその分小麦の技術に金銭を払うつもりでは?」
「ほう。それも一案だな。わしと宰相の意見もノアお前と殆ど一緒だ。絶対に小麦は欲しいと読んでいる。その分他のことは多少は犠牲にするのではないか?農業用水に対し金銭を払うこともあるだろうな。政略結婚もはじめてのことだからわからんが、これも小麦のために割り切る可能性もある。宰相は細かく気にするからすべてのパターンを部下とシミュレーションしておる」
「宰相は陛下にとっては無くてはならない方ですね。私など一パターンしか考えつかない。未熟者ですね」
「答えが決まっていないのが交渉だ。自分を安くするな。その先に何があるのか心配するのが大人だ」
強がることもできずにいる自分、やはり国を支えてきた人間の強さはオーラが違うんだろうな、僕と違って。
母から私室に呼ばれたので駆けつけてみるとお茶とお菓子が用意してあった。
「お呼びと聞きました。母上」
「これから色々と動き出す前にゆっくりとお話ししましょう」
「ボールドへの交渉の件でしょうか?」
「それもあるわ。でもあなたたち兄弟三人にも公務があります。陛下と私が考えたものがほとんどですからね」
母上から父上のことも弟と妹についても母上しか知らない様々なことを教えて頂いた。なんでそのようなことまで教えてもらえるのかと思いながらも母上との二人の貴重な時間を様々な思いを胸にずっと聞いていた。
「ノア。あなたは長男であり皇太子で我がフルナールを継ぐ大切な私の子。あなたが国王になる日もそう遠くではありません。この先は困難なことが起きることでしょう。心が弱くなったときは私の侍女頭に手紙を渡しなさい。母はこの部屋であなたの相談相手になります。いつでもあなたの味方よ!さあここで話したことは誰にも内緒ですよ」
「ありがとうございます。母上。今日の時間ですが、上手く言えませんが、、、、応援してもらっているのが分かり嬉しいです。では部屋に戻ります」
「ピエールとアンナにもこの部屋に一人ずつ来てもらって話するわ。みんな仲良く力を合わせればこの国はもっと強くなるからね」
僕はこの先国を継ぐまで色んな事が起きるのだろう。国王になれたとしても様々なことがあるのだろう。その先の自分の子供が生まれると予想できないことが待ち構えているに違いない。だからこそ母上は母として国王の妻として僕たち三人を勇気づけさせるために今日部屋に呼んでくれたのだ。今日は嬉しくてすぐに寝むれそうにないな。教えて頂いたことを記録にまとめておこう。
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