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親書の納期
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フルナール国への返事を書き上げた。
ルカは隣の机でうつ伏せになり寝こけている。私も親書を大使に渡すまでしか記憶にない。
それからの記憶は一日空いてからの記憶しかなかった。起きてからの特に追い込みのここ三日の記憶を掘り起こしていく。魔法を使えばってツッコミもあったがそんな都合の良い魔法は存在しない。
だんだんと思い出してきた。そうだ、ルカを呼んで二週間は一日のほとんどの時間は親書を書くために使う日々になっていた。学園でのレポートで苦しんだルカとのパートナーであったかたこそできたと自信をもって言える。
調査項目は多数であり陛下と宰相との報告・連絡・相談の繰り返し。
ルカと互いに書き上げた書類をチェックする。誤字脱字と辻褄の合わない項目は改めてゼロベースから再調査。とにかくこれを徹底し、事実を正確に伝える事、自分の感情や主観は入れない事をなによりも優先した。ルカと一緒に決めた事だ。
二人で決めたことだが大人のアドバイスが参考になったのは確かだ。まったく大人はどこで勉強してきたのかと心底思うほどに数えきれないアドバイスをもらった。陛下、宰相、各大臣などなど、いつもなら耳に痛いけどスルーするアドバイスも説教と受け取らずに飲み込んで作業できたものだと不思議だ。
納期に間に合わせたことで提出後に陛下からお言葉をいただいたのだが、正直眠気に負けて覚えていない。ルカも同じだ。あとから聞くわけにもいかず、立ち会っていた宰相から内容を教えてもらうほど身体を追い詰めたようだ。眼の下の隈も髪の毛までボサボサなんて女子には見せることができない身だしなみだったそうだ。
「ご苦労だった。睡眠時間を削って仕上げてくれたことに感謝する。まずは二日休め。褒美は後ほど知らせる」
陛下からはこのようなお言葉をいただいた。
起きたのは翌日の夕方だった。夕日が差し込んできてふと目が覚めた。お腹は空いたがそれほどに困っていないのが変な感触だった。そうだルカは、、、隣のベッドでぐっすりと寝ていた。私ももう少し横になるかと思っていたら、次に気が付くのは翌日の朝だった。いつまでも寝ていられるのか私は。
「アンドレア!起きたか?」
「ルカ!久しぶり」
「同じ部屋にいたくせに変な奴」
「そうか?そうだな、ずっと会わなかった気がしたのだ、ははは!」
話し声に気が付いていつもの侍女が入ってきた。
「失礼いたします。アンドレア様。朝食の用意を致します。ルカ様とご一緒でよろしかったでしょうか?」
「ああ、頼む。それと私とルカに着替えを」
「承知いたしました。お待ちください。」
しっかり干されたお日様の香りがする動きやすい室内着が用意され顔を洗い食堂にむかう。用意されていたのは私の好物とルカの好物ばかり。
「嬉しい。朝から元気になる!」
「アンドレア?俺の好物ばかり何故知っている?」
「そういえば、ルカの好みのひとつのプレーンオムレツは私の家族みんなには話したから知っているが、ほかの好物と思われるフルーツなど私は知らない」
「変じゃないか?」
「確かに」
「種明かしをしましょうか?」
「母上?」
母ヴィクトリア二世の背後からの声に返す言葉の語尾が上がってしまった。恥ずかしい。
「簡単なこと。ルカさんの好みはルカさんのお母さまにお聞きしたのよ」
「え?」
「陛下が二人に美味しい物を用意するよう命をだしたの。宰相はそれならルカさんのお母さまに好みを聞くように使いを出したわけ。」
「あ、ありがとうございます。心から感謝します」
「そんなにも感謝しなくてもいいわ。こちらこそアンドレアと一緒に王宮の公務に参加して頂いて感謝しているわ。私は退出するからゆっくりとしっかり食べて回復してね」
「ルカ!たっぷり食べて今日は遊ぼうぜ!」
「ああ。王妃様はオーラがすごいのだな~」
「なにポーとしてやがる。今日はこないだのカードゲームの仕返しだからな!」
「負けっぱなしのアンドレアが何言ってやがる!連勝記録を伸ばしてやるから。わははは!!」
一回勝てば三回以上連続で負ける、私カードゲーム弱い。
陛下からのご褒美は二つあった。王宮での晩餐が一つ目。もう一つはこれからの私と親友のルカへの期待を込めた内容だった。隣国二国との歴史では習うことのない王家とそれにかかわるものだけが知ることを許される本当の歴史。
ルカは隣の机でうつ伏せになり寝こけている。私も親書を大使に渡すまでしか記憶にない。
それからの記憶は一日空いてからの記憶しかなかった。起きてからの特に追い込みのここ三日の記憶を掘り起こしていく。魔法を使えばってツッコミもあったがそんな都合の良い魔法は存在しない。
だんだんと思い出してきた。そうだ、ルカを呼んで二週間は一日のほとんどの時間は親書を書くために使う日々になっていた。学園でのレポートで苦しんだルカとのパートナーであったかたこそできたと自信をもって言える。
調査項目は多数であり陛下と宰相との報告・連絡・相談の繰り返し。
ルカと互いに書き上げた書類をチェックする。誤字脱字と辻褄の合わない項目は改めてゼロベースから再調査。とにかくこれを徹底し、事実を正確に伝える事、自分の感情や主観は入れない事をなによりも優先した。ルカと一緒に決めた事だ。
二人で決めたことだが大人のアドバイスが参考になったのは確かだ。まったく大人はどこで勉強してきたのかと心底思うほどに数えきれないアドバイスをもらった。陛下、宰相、各大臣などなど、いつもなら耳に痛いけどスルーするアドバイスも説教と受け取らずに飲み込んで作業できたものだと不思議だ。
納期に間に合わせたことで提出後に陛下からお言葉をいただいたのだが、正直眠気に負けて覚えていない。ルカも同じだ。あとから聞くわけにもいかず、立ち会っていた宰相から内容を教えてもらうほど身体を追い詰めたようだ。眼の下の隈も髪の毛までボサボサなんて女子には見せることができない身だしなみだったそうだ。
「ご苦労だった。睡眠時間を削って仕上げてくれたことに感謝する。まずは二日休め。褒美は後ほど知らせる」
陛下からはこのようなお言葉をいただいた。
起きたのは翌日の夕方だった。夕日が差し込んできてふと目が覚めた。お腹は空いたがそれほどに困っていないのが変な感触だった。そうだルカは、、、隣のベッドでぐっすりと寝ていた。私ももう少し横になるかと思っていたら、次に気が付くのは翌日の朝だった。いつまでも寝ていられるのか私は。
「アンドレア!起きたか?」
「ルカ!久しぶり」
「同じ部屋にいたくせに変な奴」
「そうか?そうだな、ずっと会わなかった気がしたのだ、ははは!」
話し声に気が付いていつもの侍女が入ってきた。
「失礼いたします。アンドレア様。朝食の用意を致します。ルカ様とご一緒でよろしかったでしょうか?」
「ああ、頼む。それと私とルカに着替えを」
「承知いたしました。お待ちください。」
しっかり干されたお日様の香りがする動きやすい室内着が用意され顔を洗い食堂にむかう。用意されていたのは私の好物とルカの好物ばかり。
「嬉しい。朝から元気になる!」
「アンドレア?俺の好物ばかり何故知っている?」
「そういえば、ルカの好みのひとつのプレーンオムレツは私の家族みんなには話したから知っているが、ほかの好物と思われるフルーツなど私は知らない」
「変じゃないか?」
「確かに」
「種明かしをしましょうか?」
「母上?」
母ヴィクトリア二世の背後からの声に返す言葉の語尾が上がってしまった。恥ずかしい。
「簡単なこと。ルカさんの好みはルカさんのお母さまにお聞きしたのよ」
「え?」
「陛下が二人に美味しい物を用意するよう命をだしたの。宰相はそれならルカさんのお母さまに好みを聞くように使いを出したわけ。」
「あ、ありがとうございます。心から感謝します」
「そんなにも感謝しなくてもいいわ。こちらこそアンドレアと一緒に王宮の公務に参加して頂いて感謝しているわ。私は退出するからゆっくりとしっかり食べて回復してね」
「ルカ!たっぷり食べて今日は遊ぼうぜ!」
「ああ。王妃様はオーラがすごいのだな~」
「なにポーとしてやがる。今日はこないだのカードゲームの仕返しだからな!」
「負けっぱなしのアンドレアが何言ってやがる!連勝記録を伸ばしてやるから。わははは!!」
一回勝てば三回以上連続で負ける、私カードゲーム弱い。
陛下からのご褒美は二つあった。王宮での晩餐が一つ目。もう一つはこれからの私と親友のルカへの期待を込めた内容だった。隣国二国との歴史では習うことのない王家とそれにかかわるものだけが知ることを許される本当の歴史。
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