ボールド国年代記 史上初3D作戦誕生で世界は平和になる？

国家機密公開

ボールドの首都ホーストからハンド―ラ国のセントアイまで約半日の行程だ。ちょうど今は半分すぎて国境の寸前まで無事に移動できている。早馬がセントアイから戻ってきた。


「殿下に申し上げます。ハンド―ラのアーロ殿下より国境に護衛部隊を待たせてあるので合流して欲しいとのこと。それとボールドの旗はしまって移動するように頼まれてございます」
「伝言ご苦労。アロルド隊長。お聞きになりましたか？」
「承知いたしました。殿下」



国境で護衛部隊と合流してセントアイの町に入ると住民の反応が十人十色で複雑な気持ちになる。アロルド隊長も歓迎か敵視か両方ありますねとつぶやいてきた。アーロ殿下とリッキー隊長が出迎えてくれた。



案内されたのは屋根がついた大きな建物でその隣にある椅子と机が置いてある部屋で全員座って休むように説明された。雑談に花がさき和んでいるころハンド―ラ軍が部屋に入ってきた。アーロ殿下とリッキー隊長から説明がはじまる。ハンド―ラは部屋の左側に兵士が前で魔法使いが後ろに座るように指示される。ボールドの方々はご自由にお座りくださいと伝えられた。今日の予定のメモをリッキー隊長から渡された。ええっと？座って勉強するの？



「ボールド国の皇太子殿下とアロルド隊長。ボールドの王宮軍の皆様。遠くまで来ていただき感謝いたします。私はハンド―ラ国第一王子のアーロと申します。王宮軍隊長リッキーとともに一緒に戦闘訓練をさせていただきます。本日の予定はこの後食事をとり午後からはこの部屋で戦闘のシミュレーションをします。魔法使い部隊のwunitと歩兵と騎馬と弓の三軍を併せた戦い方をご説明致します。ではお肉をたっぷり用意しましたので食べに参りましょう！」
先ほどの屋根付きの建物に昼食が用意されている。肉を焼いたりパンを焼いたりと賄い係が忙しそうだ。積み上げられた料理に向かって兵士たちは走っていった。



両国の兵士たちはよく食べたくさんおしゃべりし打ち解けていく。国の境など簡単に超えて話しかけていくのも少数派だがいるものだ。魔法使い部隊には女性が半数はいるのでそれ狙いのも多いのだが・・・女性の魔法使い部隊もハンド―ラはwunit、ボールドはウィードと呼ばれ歩兵部隊に騎馬部隊に弓部隊に次ぐ四番目の部隊として存在している。しかしながら実態はボールドとしてはハンド―ラの真似をして立ち上げてまだ三年で実績はゼロに等しかった。


ルカと腹八分目まで肉肉肉をいただくとアーロ殿下を探して歩いている。人だかりの中に殿下はいらっしゃった。以外にも地べたに胡坐かいて円陣となり、わいわいガヤガヤの中心人物になっている。声をかけると円陣を広げて私とルカを入れてくれた。アンドレア殿下はこんな円陣に驚いていらっしゃるか？と問われ驚いていますと正直に返した。ドッと笑いが起きる。だから殿下！もう少しお行儀良くしたほうがいいですって！とハンド―ラ兵からいじられる。でもなあ、親父があれだから・・・また爆笑の渦が起きる！アンドレア殿下、ここでは言いたいことが言える環境をと親父の代からの伝統です。



午後の講習は誰もが肉を食べすぎたせいかすぐに眠くなる。ハンド―ラの眠気への対策は単純だった。居眠りすると【全員起立】だった。立ち上がるのが遅くなるからすぐにバレる。感心することが多々あって楽しいとも思える。隣のルカはメモ魔だ。なんでもメモするから、大量の紙がいる。まとめて本の様にまでなっていた。



講習を担当するのはハンド―ラの魔法使いwunitの小隊長ケイト。若いが五年小隊長を務める実力のある人物だそうだ。アーロ殿下もリッキー隊長もその実力を認めていた。


「ボールドの魔法使いの方々へ今から五つの魔法を説明します。入れ替わり、司令塔、連絡、突撃、防御の五つになります。この五つの魔法は単体で使っても効果は薄いです。歩兵、騎馬、弓の部隊と連携するのが前提になります」
大きく書き出して貼ってくれた。
・入れ替わりの魔法＝ペアカミ
・司令塔の魔法＝ピーサレフ
・連絡の魔法＝ユスポ
・突撃の魔法＝ドラッグ
・防御の魔法＝マルディ


想像がつかない魔法ばかりでボールドの人間は想像がつかないようだ。私もご多分に漏れることはないが・・・魔法使いウィードの連中も首をかしげるばかりだ。これを考えたのはハンド―ラのどなただろうか？