ボールド国年代記 史上初3D作戦誕生で世界は平和になる?

虎徹周磨

文字の大きさ
53 / 81

魔法石との契約

しおりを挟む

朝食後にハンド―ラ宰相と皇太子三人と付き人二人が集められた。召喚獣の魔法の三つ目の条件が揃うのだ。ルーシアとの決戦への切り札が手に入るのだ。最終兵器や大魔王兵器と称されてもいい。みんな心して待つ。



ハンド―ラの宰相マッティア閣下が到着した。
「アンドレア殿下とルカ殿、陛下からの情報を持ってきましたぞ」
「お疲れ様です。閣下。こちらがアーロ殿下、ノア殿下とマチアス殿になります」
「よろしく」
「初めましてよろしくお願いいたします」
「こちらこそしばらく厄介になります」



召喚獣の魔法にはもうひとつ重要な要素が必要となる。それは強力な魔法を国として安全に運用すること。魔法使いの裏切りやパニックや錯乱による魔法事故を抑制するための仕組みを用意することになる。その仕組みがボールドの魔法使い部隊ウィードでできたので導入することになった。



一言で片付けてしまえば、魔法石と契約を結ぶと強大な魔法が手に入る反面、国を裏切る行為をすれば自らの命が無くなる契約だ。命が無くなる前に思考が危険と判断されると身体が停止する。その警告を理解しながら契約した魔法を唱えると途端に心臓が凍ることになり周辺の魔法使いに同時に連絡が飛ぶ仕組みだ。この仕組みに召喚獣の三つの魔法を加えて契約魔法として精鋭魔法使いと契約させることで国の魔法と軍の秩序を保つことができる。



魔法石とは王宮でも国王と皇太子と王宮軍の隊長と魔法使い部隊の隊長の四人しか入れない部屋があり、契約魔法を結ぶときのみに入室できる。四人の立ち合いのもとで国への忠誠を誓い国王陛下の許可を得て結ぶことができる。魔法石と契約魔法を結ぶ魔法使いは生涯一度だけ魔法石を見ることができる。つまり一度契約魔法を結ぶと解除することはできない。生涯責任を持つ覚悟がある人物のみが契約できるのだ。




これで召喚獣の魔法の準備はできた。人選は今も続きセントアイに集結している王宮軍では八人のみとなる。人数を増やそうかとの意見もあるが少なくともここに六人が追加されるので問題とは思わない。追加される六人とは皇太子三人と魔法使い部隊の隊長三人になる。この六人は母国で魔法石とは契約済みであるから、合計十四人が対象になるのでこれ以上は増やさなくていいとなった。明日宰相閣下三人でもう一度検討していただくが、ハンド―ラの宰相とボールドの宰相の目を通っているので問題ないと思われる。



「次は召喚獣の魔法かな。三つの召喚獣ってどんなのができるのかな?」
マチアス殿が耳元でささやく。
「手紙で困っていらっしゃるとか?私で良ければ相談していただけませんか?」
「頼むわ」
「では、部屋の外でお願いいたします」
「了解」



二人の移動のタイミングを外して部屋から出る。
「殿下、私の話を聞いて下さってありがとうございます。ノア殿下から頼まれた次第でお声がけいたしました」
「ありがとう。ノア殿下が気を使って下さったのだな。助かるよ。アンナ王女への手紙が書けていない件だよね」
「御意」
「もう少し砕けて接してもらってもいいのだが、マチアス殿は几帳面でいいよね。正直に話すとここセントアイに来てから書いた手紙は五行なのだ。内容なんて模範的な挨拶分だけ。これダメだよね」
「修正できる内容と思われます。もしよろしければ拝見できますでしょうか?」
「ああ、恥ずかしいけど、これだ」
「失礼いたします・・・三十分ほどいただけますでしょうか?失礼にあたらなければ修正させてもらった文章を見ていただきとうございます。よろしいでしょうか?」
「本当?では多分今日も私の部屋で飲み会だろうから持ってきてもらえる?頼む!」
「御意」



夕食も終わりノア殿下が酒を大量に持ってきて私の部屋で昨日の続きがはじまる。
「アンドレア陛下、こちらをご確認ください」
「ありがとう。マチアス殿」
修正して頂いたのは私の何も才能もないようなラブレターを美麗な文句に変えてしまったマチアス殿の才能に驚かされた。しかしこの内容でアンナ王女へ送ると勘違いされそうな危険な予感がする。


「マチアス殿、素晴らしい内容で感謝します」
その横でノア殿下が便箋を持っていった。しまった!!


「マチアス!OKOK!!百二十点だよ」
「ノア殿下、この盛った内容の手紙では問題があるかと思いますが」
「心配ないね。アンドレア殿下はもっともっと上がっていくからこれでも控えめだから。マチアスこれで送って。アンドレア殿下サインしといて。よろしく。今日はアーロ殿下おススメのハーブのグルートビールを堪能するよ」


仕方ないけど
「マチアス殿サインするから用意してもらえる?終わらせてハーブのグルートビールを楽しもう」
「承知いたしました。ありがとうございます」
心の声で(ノア殿下だからね。マチアスも楽しもうよ)



「アーロ殿下?ノア殿下?今日もルカとマチアス殿もこの場は身分差なしで楽しみますよ!」
「いいです」
「もちろん」
今晩も雑魚寝決定だな。夜具を先に頼んでおこう。




明日は三か国の宰相は集まる。今後五年の計画を詳細に皇太子と王宮軍の隊長と魔法使い部隊の隊長と練ることになる。



しかし、三か国だけで世界は動いているわけではない。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

処理中です...