ボールド国年代記 史上初3D作戦誕生で世界は平和になる?

虎徹周磨

文字の大きさ
72 / 81

会いたい

しおりを挟む
手紙三通は閃きで三通になった。もとはノア殿下の妹ぎみのアンナ王女への手紙一つを書く予定だったが何故かこの手紙の返信をアンナ王女が直々にお持ちになると思ってしまったからだ。何も証拠もないし連絡もない。私がアンナ王女だったら行動するように思えて仕方なかった。アンナ王女は十五歳になられると姉たちから教えてもらった。活発で乗馬も武器の扱いもそれなりだと聞く。ならばこんな機会は逃すはずがないと思えた。


こないだの手紙では早く会いたいと切望されている。私も会いたい。そのような人物であれば行動するだろう。ノア殿下のやる気を沸かせる答えはわからないが、それを引っ提げて来る人物だと確信している。


手紙の追加分はフルナール国の国王陛下ラファエル二世へノア殿下の件でアンナ王女への手紙を送る件と会いに行きたい旨を書いて奏上した。追伸にアンナ王女の活発な性格からすると王女自信が走る可能性があるので留めてくださいと申し上げておいた。


もう一通の追加の手紙は我が父上アレッサンドロ五世陛下宛で、フルナールのノア殿下の件にふれ解決策がわからないのでアンナ王女に頼ろうと思う。アンナ王女は活発で自分自身が早馬となり走る可能性があるのでラファエル二世陛下に留めて置いて下さるように手紙に書いて奏上した。自分は早馬よりは一晩遅れるがフルナールの魔法部隊の隊長ナディアに同行を頼みアンナ王女の魔力を測りながらもしものアンナ王女の行動にすれ違いにならぬように私もフルナールに向かう旨を送った。



アーロ殿下が人の手配はすべてしてくださっているので心配はない。今晩の宴会をぼちぼちと終わればいい話だが、ノア殿下の盛り上げっぷりはいつでも面白い。性格なのか根っからの盛り上げ役なのかは不明だが場が盛り下がることがないのはノア殿下の才能かも知れないと誰もが思う。


いつになく良く盛り上がったアーロ殿下のノマキの宿舎の宴会ではあるが、明日の朝早くにアンドレア殿下とナディア隊長への緊急の任務がある故解散となった。


ノア殿下は居続けたためにマチアスは残り、以外の人間は部屋に戻っていった。結果アーロ殿下の宿舎にはアーロ殿下、ノア殿下、レスター、マチアスの四人となっていた。



アーロ殿下のご苦労とは別にして私はお祝い酒も頂いたので気分が良かった。足だけ湯あみを頼んで終わり次第すぐに就寝とした。明日のことが気にはなるが、多分予想通りの人物だと私は思っている。身分は理解しているがまわりを巻き込んで動く人物な気がしていた。もしもそうならばパートナーとしていい相手だと……考えていると意識が消えた…



夜が明ける前に意識があがった。目を開けると薄暗いが部屋の窓の向こうの稜線に赤みのある光りが指していた。起きようと身体を起こすとルカもむくっと身体を起こす。おはようございます、殿下。おはようとかわし用意しておいた外出着に着替えをすませる。部屋を出て簡単な朝食をもらうために食堂に向かう。食堂の前にナディア隊長が待っていた。


「おはようございます。アンドレア殿下、ルカ殿。朝食を用意してもらいました。私もご一緒してよろしいでしょうか? 」
「おはようナディア。朝食の用意ありがとうございます。もちろんだ。一緒に食べよう」
「おはようございます。ナディア隊長。ご用意感謝いたします」



ナディアを迎えて三人での朝食は急ぐので簡単ではあったが、焼いたパンに温かいスープに羊肉の串焼きが二本ずつ用意されていてナディアのフルナールの情報の提供を受けながら楽しい時間が過ぎた。アーロ殿下が二人の護衛を付けてくれたので西南西に走り出す。ボールドの首都ホーストをかすめ、国境の町グッドインを通りフルナールの首都フリシュを目指す。


途中二回休憩を挟んでお昼前にはボールドの首都近くまで進んでいた。替え馬とお昼の食事と飲み物が用意されていた。いつの間に? 
「昨晩の早馬に替え馬と食事の手配の手紙も頼んでおきました」
「ルカ! 日に焼けてたくましなったかね~」
「ルカ兄~楽しそうだね~」
「殿下にナディア隊長。恥ずかしながら母親と妹です。叔父の店に替え馬と食事を頼んでおきました」
「母上、エリーザ、お久しぶりです。お元気でしたか? 」
「アンドレア、元気な顔を見られて私は幸せだよ。活躍しているってね。王妃様が教えてくださるのでいつも楽しみに聞いているのよ」
「殿下、大好きよ。エリーザは殿下のこと大大大好きなの~」
「母上にエリーザは私の家族同然だよ。エリーザ大好きだよ」



「ナディア。ルカとの家族とはいつもこんな感じで私のもう一つの家族みたいにしている。一緒に昼食にしていいかな? 護衛の二人も一緒に食べよう! 」
「お気になさらないでください、殿下。人数が多いほうが食事は楽しいですから」
「殿下、ありがとうございます。母と妹がお世話になります。この食事は一生涯の記念になります」
向こうで護衛二人が汗だくだが最敬礼でお礼を述べている。
「みんなのおかげで楽しい昼食を迎えることができた。みんな座ってくれ。食事を頂こう!! 」
「ありがとうございます!! 」



明るい女性が輪に入ると食事が賑やかになる。ルカの母とナディアにルカの妹のエリーザのことだ。朝早くから走り続けてきた疲れも癒される。笑わせようと話をしているわけではないが他愛もない話に自分の意見をかぶせるような考えに笑わずにはいられない。頭の切れがいいのだろうなと聞く専門になっている自分に気がついた。お腹も八分目まできたのでエリーザを誘って散歩に向かう。


エリーザの話はいつも目一杯元気で悪意がまったくない。子供の話は楽しい。エリーザは七歳になったところ。いつまで付き纏ってくれるかわからないが一人くらい女の子のファンがいてもいいだろう。



散歩が終わりルカの母とエリーザに別れを告げて、グッドインに向かう。エリーザは別れるときにいつも私の頬にキスをくれる。また頑張ろうとする気にしてくれる女の子だ。


西南西に向かって街道を走って五分ほどだろうか、ナディアが大きな声を上げた!!
「アンドレア殿下、止まってください。魔力を感じます」
一行速度を落して街道の脇に佇む。ナディアが目をつむったままで動かないので何かあると確信した。
「みんな、馬を木に繋いで休憩にしよう。ナディアも木陰に入ろう」
声をかけると目を開けてつぶやいた。
「アンナ王女です。もうすぐ馬で来ます」



馬と人の影が見えた。三組か。私はアンナ王女の顔を知らない。ナディアは顔見知りなのだろうか? 影が近くなるにしたがって襲歩から速歩まで下がってきている。私たちの一行の前で三組の人と馬は停止した。
「ナディア来てくれたの!! 」
「アンナ様、ノア殿下とアンドレア殿下とアーロ殿下の手配で私めなどが推薦されアンドレア殿下の同伴を許可されました」
馬から飛び降りてナディアに抱きつくアンナ王女が子供のしぐさを見せる。



「アンナ様、紹介をさせていただきます。こちらがボールド国皇太子アンドレア殿下、隣が皇太子補佐のルカ殿になります」


アンナ王女は私に近寄り両手で私の右手を取りしっかりと握りしめる。その手を王女の胸元に持っていったかと思うと大きな両目は私の顔をジッと見つめる。アンナ王女の両目から大粒の涙が零れ落ちる。涙は……私の袖口を濡らし、肘まで伝ってきた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

処理中です...