ボールド国年代記 史上初3D作戦誕生で世界は平和になる?

虎徹周磨

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デス魔術師

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早馬の一つの目的地は私のいるボールドの王宮だ。もう一つの目的地はフルナール国の王宮でラファエル二世宛になっている。三つ目はアーロ殿下に手渡されて終わっている。ごく簡単な調査票で〇か×しかない。私の元に届いた調査票はすぐにアンナ王女に渡して手紙の内容を聞いてみた。


「手紙を見せてもらったわけではないのですが、レオノール様は自信ありげに引き受けてくださいました。”召喚獣の魔法を私に見せてね”と書けば怖い感情は無くなるはずですとおっしゃっていました」
「そうですか、それだけで」
「異性にいいところ見せようと頑張る性分なので、そこをつけばいいみたいですね。それと私ノマキ東の訓練場に一緒に行きますね」
「え? いいのですか? 」
「ノマキ東の訓練場のノア兄に手紙を持っていく予定でしたし、父上からは許可をもらっていますので大丈夫です」
「それでは一緒に参りましょう」



翌朝、私とアンナ王女とルカとナディアに加えて護衛兵士が四人での移動となる。陛下と王妃に一同で挨拶して出発する。


昼食時間過ぎにはノマキ東の訓練場に到着して気にかかっている人物を最初に訪ねた。
「ノア兄!! お元気でしたか?? 」
「アンナ、よく来たな。でも、何故ここに? 」
「ノア兄が召喚獣の魔法が出来ていないからですわ」
「午前中の訓練では成功したよ。レオノーラ様のおかげ~」
「よかったですわ、父上から許可もらってここまで来た甲斐があります」
「早速僕の召喚獣見ていってよ」
「はい、ノア兄」


召喚獣用の訓練場に移動して自信満々のノア殿下が防御のガルムの準備を兵士に命令する。ガルムへの攻撃をする弓兵の準備が整う。


「ガルム」
少し遠くに雲のようなものが現れその中から牛のような大きさの狼犬に似た動物が走ってくる。仮想兵士の前に立ちはだかった。操作を続ける。弓兵部隊から矢の雨を仮想兵士に向けて降らせる。大きな狼犬は飛びあがり大きく口を開けて矢を横から咥えた。それでも矢の雨は続く。咥えきれなかった矢は尻尾で薙ぎ払い仮想兵士の上には落さない。次に来た矢は着地後に反転して飛びあがり矢を咥えた。矢は一本残らず仮想兵士には届かなかった。


間髪入れずに火矢が飛んでくる。大きな狼犬は飛び火矢の横で吹き消してから回転して尻尾で薙ぎ払った。投石部隊が様々な道具で投石を開始する。狼犬にはまったく通用しなかった。小さな石は飛んで口で回収して大きな石は仮想兵士に当たらないように足と尻尾ではたいて落している。最後に三人がかりでの投石器での大きな石も簡単に振り払われてしまった。
「解ガルム」
狼犬は遠くに出現した雲のようなものの中に帰っていった。


ケイトのときと変わらない内容でガルムの召喚は完了した。
「ノア兄!! 凄い!! 」
「まかせておけ、レオノーラ様~」


「カラドリウスの準備に入ってくれ」
「おす! 」



「カラドリウス」
空には虹がかかり虹の下から白っぽい鳥が飛んでくる。近づくにつれ首に黒い袋を下げているのがわかってきた。三十人余りの兵士の横に降りて兵士のまわりを歩きながら小さな目で兵士一人一人の目を見ながら歩いていく。上空から何かが降りてきた。呪文を唱える。
「解カラドリウス」
えっ!!!!
カラドリウスは強制的に消された。
その何かが呪文を唱える。
「…………」
空が真っ黒になり何かが飛んでくる。まずい、召喚獣だ!! 
咄嗟に動いたのはノア殿下だった。
「ガルム」
しかし上空からの呪文でガルムは消された。



次の瞬間に飛んできた召喚獣が火を吐いた。カラドリウスの回復訓練に集まっている三十人余りの兵士が燃え上がる。ノア殿下は上空から降りてきた何かに捕まったようだ。


水がいる。ガルグイユだ!! 
「ガルグイユ」
まだ上空にその何かがいるようだ。
「解ガルグイユ」
私のガルグイユも消された。そのあとに体力と魔法量がごっそり持っていかれた。取り消しされると発動した魔法使いへの身体への負担はかなり大きい。膝をつき肩で息をする。



「ガルグイユ」
アーロ殿下だった。
「ガルグイユ」
にわか雨が降り雲からドラゴンが飛びながら降りてきた。水の操作をする。洪水を起こすぐらいの大量の水が炎を浴びた兵士に向けて吐き出した。兵士の炎は消えたが怪我の具合は確認にいけない。何者かの召喚獣とアーロ殿下が召喚したガルグイユとのにらみ合いだ。アーロ殿下が動いた。炎を召喚獣にぶつけるのだろう。

「やめておけ」
低い声が響く。最初に降りてきた何者かが人の容姿に変化した。真っ黒の衣装に紫が矢のように入る毒々しい衣装だ。
「お前たち皇太子が集まっても上には上の強い国は多々ある。それでも尚も戦うか? お前たちの行動はルーシアには伝わっていないが他で気がついている国はある」
「わかった。一つだけ聞きたい。お前たちは何者だ? 」
「我々のことは魔法使い隊長ならわかるだろう」
「我々三つの国に協力してくれないか? 」
「面白い奴だな。事情はわかっている。頼むなら準備が必要だ。今はガルグイユを解除しろ。同時にこちらの召喚獣も解除する」


アーロ殿下「解ガルグイユ」
にわか雨が降ると同時に雲が空を覆いガルグイユは風を巻き起こして飛びあがり雲の中に去っていった。


「解…………」
召喚獣は真っ黒の空に飛び上がり帰っていった。
「我々は帰る。犠牲者が出たのは悪いが、召喚獣も魔法も命がけで使わないと無駄な犠牲者が出るからだ。さらばだ」
三人が同時に背景色に変化して上空を上がったかと思ったら南に高速移動して視界から消えていった。ノア殿下に兵士たちはどうなった? 



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