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44話:目覚めの時
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本番前日。予行練習を行うため、大きな運動ドームに山本の通う学校の全生徒と全職員が集まる。
息を吐くようにして、大切な人とのネックレスを着用して胸の中に大切にしていた。本番までの時間を、計算しては緊張で胸を押さえたりと山本なりに自分の緊張を緩和しようともがく。
(最後になるのは分かってる。もうやり直しとかそんなのもできない。最後まで存続の危機から救ってくれた涼太君のためにも頑張らないと…。でも、今日までに彼が死んでいなかったらと思うと…)
山本は涙を我慢する。守山との約束でもう泣かないことを決めていたので、スポーツタオルを用いて汗を拭くような素振りを見せて他の人には誤魔化していた。
「さて、もうすぐマスゲームのリハーサルかぁ。下森さんと栗原さんとは縁切ったし、参加しないと言って先生にも許可もらったことだからずっとこの席から見とこうかな」
山本は1人ポツンと座ってその様子を見ている。
大山はその曲を聴きながら彼女たちと練習してた振り付けを完璧に仕上げていた。
「流石団長だな…。本当だったらあの人が横についてくれる予定だったけど、悔しいよ…涼太君…」
過去に戻れたら守りたかったと後悔していた。1人座ってる様子を見て気になったのか、男子応援団副団長の三國がそばに寄る。
「山本先輩…こんなところに座って何をしてるのですか?」
「ん?ううん…ただ私の大切な思い人のこと考えてただけだよ。失ったものはとても大きいな…。もう少しだけ私1人になっても良いかな?ごめんね…」
「確かに辛いですね…分かりました。あと30分後には太鼓とクリーニングした本番用の袴と演舞に使う特攻服が届くみたいです」
三國は説明したあと、次の綱引きに出るためそのまま駆け足で入場口へ向かった。山本の心は変わらずズーン…としている。
「もし生きてたらどうにか仲直りしてこのマスゲーム参加したあと、2人で誓うことができたらなぁ…」
リハーサルの時間が経つにつれて、翌日に行われる演舞本番の時間へ刻々と迫る。
以前なら、元気良く仕事を引き受けては笑顔で黙々とこなす山本なのだが彼女最後の体育祭なのに仲のいい友人から誘われても全て断っていた。声をかけたい親友の守山と高部、鶴海だったがそんな様子を見ては勇気出して声をかけれるわけもなく、ただじっと見守ることしかできなかった。
「まゆっち大丈夫かな…。泣いたらダメって怒ったの引きずってるんかな」
「なみは悪くないよ。団長としての判断でそう言えたんだから」
「やっぱキツイんだよ。涼太君との突然の別れに1人で必死に耐えてるに違いない。私たちはただ見守ることしかできないよ?強いて言うなら、まゆっちの中で起こる奇跡を待つしかないよ‼︎」
3人は荷物の届く搬入口へ足を運んで袴などの演舞用道具を待つ。
山本の様子見ながら待っていると、空気を読まずそのまま突き進む1人の男がいた。
「ちょっと!まゆっちの元に誰か行ってるよ」
「いやメンタル死ぬよ」
「嫌な予感しかしない」
3人はすぐに目を凝らして様子を見た。山本の元には、大山が向かっていた。
大山は山本の正面へと立ち止まって1枚の手紙を差し出す。その手紙は前宮のものだ。
「あいつがまだ入院する前に書いてた手紙だ。死んだ時に渡せってさ、2枚も書いて何してんだろうって思ったけど繋げれば何か分かるんじゃないか?」
「そうなのね…分かった。ありがとう、団長」
山本はその手紙を開けて読む。
内容は、山本の良さを知った上での彼氏らしい文字だった。
"真由へ"
この手紙は恐らく、大山から届いたんだろうと思う。俺が死んで空っぽになった心を塞ぐために1人で必死に悲しさと戦ってる最中かな。先に死んでしまったのは申し訳ない…。だからといって自分の責務を最後まで果たしてほしい。先輩としてその背中を追ってきた後輩も居るはずだ。青春が好きなら、悔いの残らないように最後まで突き進め!怖ければネックレスを付けるといいよ。僕が守るから。 前宮より
「涼太のバカ…死んでも私を慰めるなんて…。でもその思い、確かに感じたよ!責務を最後まで全うして次の後輩へ受け継ぐように頑張る」
山本の顔は明るくなった。
果たすべき責務を最後まで全うしなければ成り立たないと思ったのか、守山たちの元へ走って指示をもらう。心配していた3人だったが、その顔を見て安心した。なぜなら山本の姿はまさに死ぬ前の彼氏と一緒にいた時のあの狂喜乱舞したようなものだったからだ。
「まゆっち…!良かった。みんなも最後まで追い込んで成功しよう」
「そうだね!」
「集合させて良い最後を飾ろう」
荷物などを置いている団席に戻り、一つのお守りを首に下げた。下げた後祈るようにして手を合わせる。
「もう大丈夫だよ!君の勇気、私に貸して!そして天国から私たち女子応援団、男子応援団の演舞成功を祈っててほしい」
それが、山本の心の底から出てきた良心。すぐに持ち場へ向かい、守山たちと荷物が届くのを待った。
しかし三國が言う30分は既に過ぎており、2時間もかかっていた。運転手から守山のケータイに着信が入る。
「はい、守山です。どうかされましたか?」
「もう…し…わけありま…せ…」
電話はそこで途切れた。何が起きたのか一同は理解するまでにフリーズする。
息を吐くようにして、大切な人とのネックレスを着用して胸の中に大切にしていた。本番までの時間を、計算しては緊張で胸を押さえたりと山本なりに自分の緊張を緩和しようともがく。
(最後になるのは分かってる。もうやり直しとかそんなのもできない。最後まで存続の危機から救ってくれた涼太君のためにも頑張らないと…。でも、今日までに彼が死んでいなかったらと思うと…)
山本は涙を我慢する。守山との約束でもう泣かないことを決めていたので、スポーツタオルを用いて汗を拭くような素振りを見せて他の人には誤魔化していた。
「さて、もうすぐマスゲームのリハーサルかぁ。下森さんと栗原さんとは縁切ったし、参加しないと言って先生にも許可もらったことだからずっとこの席から見とこうかな」
山本は1人ポツンと座ってその様子を見ている。
大山はその曲を聴きながら彼女たちと練習してた振り付けを完璧に仕上げていた。
「流石団長だな…。本当だったらあの人が横についてくれる予定だったけど、悔しいよ…涼太君…」
過去に戻れたら守りたかったと後悔していた。1人座ってる様子を見て気になったのか、男子応援団副団長の三國がそばに寄る。
「山本先輩…こんなところに座って何をしてるのですか?」
「ん?ううん…ただ私の大切な思い人のこと考えてただけだよ。失ったものはとても大きいな…。もう少しだけ私1人になっても良いかな?ごめんね…」
「確かに辛いですね…分かりました。あと30分後には太鼓とクリーニングした本番用の袴と演舞に使う特攻服が届くみたいです」
三國は説明したあと、次の綱引きに出るためそのまま駆け足で入場口へ向かった。山本の心は変わらずズーン…としている。
「もし生きてたらどうにか仲直りしてこのマスゲーム参加したあと、2人で誓うことができたらなぁ…」
リハーサルの時間が経つにつれて、翌日に行われる演舞本番の時間へ刻々と迫る。
以前なら、元気良く仕事を引き受けては笑顔で黙々とこなす山本なのだが彼女最後の体育祭なのに仲のいい友人から誘われても全て断っていた。声をかけたい親友の守山と高部、鶴海だったがそんな様子を見ては勇気出して声をかけれるわけもなく、ただじっと見守ることしかできなかった。
「まゆっち大丈夫かな…。泣いたらダメって怒ったの引きずってるんかな」
「なみは悪くないよ。団長としての判断でそう言えたんだから」
「やっぱキツイんだよ。涼太君との突然の別れに1人で必死に耐えてるに違いない。私たちはただ見守ることしかできないよ?強いて言うなら、まゆっちの中で起こる奇跡を待つしかないよ‼︎」
3人は荷物の届く搬入口へ足を運んで袴などの演舞用道具を待つ。
山本の様子見ながら待っていると、空気を読まずそのまま突き進む1人の男がいた。
「ちょっと!まゆっちの元に誰か行ってるよ」
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3人はすぐに目を凝らして様子を見た。山本の元には、大山が向かっていた。
大山は山本の正面へと立ち止まって1枚の手紙を差し出す。その手紙は前宮のものだ。
「あいつがまだ入院する前に書いてた手紙だ。死んだ時に渡せってさ、2枚も書いて何してんだろうって思ったけど繋げれば何か分かるんじゃないか?」
「そうなのね…分かった。ありがとう、団長」
山本はその手紙を開けて読む。
内容は、山本の良さを知った上での彼氏らしい文字だった。
"真由へ"
この手紙は恐らく、大山から届いたんだろうと思う。俺が死んで空っぽになった心を塞ぐために1人で必死に悲しさと戦ってる最中かな。先に死んでしまったのは申し訳ない…。だからといって自分の責務を最後まで果たしてほしい。先輩としてその背中を追ってきた後輩も居るはずだ。青春が好きなら、悔いの残らないように最後まで突き進め!怖ければネックレスを付けるといいよ。僕が守るから。 前宮より
「涼太のバカ…死んでも私を慰めるなんて…。でもその思い、確かに感じたよ!責務を最後まで全うして次の後輩へ受け継ぐように頑張る」
山本の顔は明るくなった。
果たすべき責務を最後まで全うしなければ成り立たないと思ったのか、守山たちの元へ走って指示をもらう。心配していた3人だったが、その顔を見て安心した。なぜなら山本の姿はまさに死ぬ前の彼氏と一緒にいた時のあの狂喜乱舞したようなものだったからだ。
「まゆっち…!良かった。みんなも最後まで追い込んで成功しよう」
「そうだね!」
「集合させて良い最後を飾ろう」
荷物などを置いている団席に戻り、一つのお守りを首に下げた。下げた後祈るようにして手を合わせる。
「もう大丈夫だよ!君の勇気、私に貸して!そして天国から私たち女子応援団、男子応援団の演舞成功を祈っててほしい」
それが、山本の心の底から出てきた良心。すぐに持ち場へ向かい、守山たちと荷物が届くのを待った。
しかし三國が言う30分は既に過ぎており、2時間もかかっていた。運転手から守山のケータイに着信が入る。
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