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「イーロア・フォン・エストラート! 貴様のような性根の腐った女との婚約は、今この時をもって破棄する!」
王城の大広間。
シャンデリアの煌めきが痛いほどに降り注ぐその場所で、王太子カイルの高らかな宣言が響き渡った。
周囲の貴族たちが息を呑み、ざわめきが波紋のように広がる。
その中心で、私は静かに扇を閉じた。
「……承知いたしました」
「ふん、殊勝な態度だな。だが、今さら泣いて許しを請うても無駄だぞ!」
カイル殿下は勝ち誇ったように鼻を鳴らし、隣に寄り添う可愛らしい少女、男爵令嬢リリィの腰を抱き寄せる。
まるで絵画のような「真実の愛」を見せつける二人。
私はその光景を眺めながら、内心でガッツポーズを決めていた。
(やっと……! やっと終わったわ……!)
こみ上げてくる歓喜を必死に抑え込み、表情筋を総動員して「冷徹な悪役令嬢」の仮面を維持する。
長かった。本当に長かった。
王命という名の業務命令により、「愚かな王太子の当て馬役」として配属されてから三年。
来る日も来る日も、殿下の癇癪に耐え、わざとらしく嫌味を言い、計算し尽くされたタイミングでヒロインをいじめる(ふりをする)日々。
それもこれも、すべてはこの瞬間のため。
「理由を申し述べよ、とは言わないのか?」
殿下が不満げに眉を寄せる。
どうやら、私が泣き崩れるか、見苦しく抵抗することを期待していたらしい。
私は優雅に首を横に振った。
「いいえ、殿下。その必要はございません。私の罪状は……リリィ嬢への度重なる暴言、教科書の損壊、および階段からの突き落とし未遂、といったところでしょうか?」
すらすらと暗唱してみせると、殿下は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「なっ……貴様、自覚があったのか!?」
「はい。すべて私が『意図的に』行ったことです」
(業務日報にも書いて提出済みですからね)
私は心の中で付け加える。
暴言については、リリィ嬢が貴族のマナーを間違えた際に「そのような所作では恥をかきますわよ」と指摘したものだし、教科書に関しては彼女がインクをこぼしそうになったのを庇って私が汚しただけだ。
階段の一件に至っては、足を踏み外した彼女を私が受け止めたというのが真実である。
だが、そんな事実はどうでもいい。
重要なのは、私が「悪役」として断罪され、円満に(?)婚約破棄されること。
それが、私と国王陛下との間で交わされた契約なのだから。
「ふん、開き直るとは呆れた女だ。リリィは心の優しい娘だ。貴様のような毒婦にいじめられ、どれほど心を痛めていたか……!」
「……」
私はちらりとリリィ嬢に視線をやる。
彼女は殿下の腕の中で、なぜか私に向かってキラキラとした尊敬の眼差しを送ってきていた。
(イーロア様! 今の「承知いたしました」の角度、最高にクールです! シビれます!)
そんな心の声が聞こえてきそうなほどだ。
実は彼女、私の隠れファンなのである。
いじめ(という名の指導)をするたびに、「ありがとうございます! 勉強になります!」と懐いてくるので、悪役を演じるのが一番大変な相手だった。
「黙っていないで何とか言ったらどうだ!」
「申し開きはございません。殿下のご判断は、誠に賢明かと存じます」
私は淡々と告げ、懐から一枚の書類を取り出した。
「な、なんだそれは」
「今後の手続きに関する書類でございます。殿下の署名をいただけますでしょうか」
「はあ? 手続きだと?」
「はい。婚約破棄に伴う、正式な合意書です。慰謝料の請求権放棄、および今後の相互不干渉について明記しております」
私はあらかじめ用意していたペンを添えて、彼に差し出す。
殿下は毒気を抜かれたようにぽかんと口を開けたが、すぐに悔しそうにペンを奪い取った。
「よかろう! 貴様のような女、金輪際関わりたくもないからな!」
さらさらと署名がなされる。
その筆跡を確認した瞬間、私の脳内でファンファーレが鳴り響いた。
(業務完了! ミッションコンプリート!)
これで私は自由だ。
王太子妃教育という名の重労働からも、殿下のご機嫌取りからも、派閥争いの面倒な根回しからも、すべて解放される。
これからは、領地の片隅にある別邸に引きこもり、誰にも邪魔されず、朝から晩まで惰眠を貪るのだ。
「では、私はこれにて失礼いたします」
「ま、待て! これで終わりか? もっとこう、悔しがるとか……」
「殿下、リリィ様とお幸せに。心よりお祈り申し上げております」
(二度と会うこともないでしょうけど)
私は完璧なカーテシーを披露し、踵を返した。
背後で殿下が何か喚いているが、もはや雑音にしか聞こえない。
大広間の重厚な扉を開ける。
夜風が頬を撫でた。
それは、自由の味がした。
「……終わった」
誰もいない回廊に出た瞬間、私は大きく息を吐き出した。
全身の力が抜けていく。
ピンと張っていた背筋を丸め、ヒールを脱ぎ捨てたい衝動に駆られる。
「あー、疲れた。早く帰って寝よ」
淑女の仮面を脱ぎ捨て、本来の怠惰な自分に戻った瞬間だった。
「――実に鮮やかな手際だったな」
不意に、闇の中から声がかかった。
「!?」
心臓が跳ね上がる。
誰もいないはずの回廊。
その柱の陰から、一人の男が姿を現した。
夜の闇を溶かしたような漆黒の髪。
氷のように冷たく、けれどどこか熱を孕んだ紫紺の瞳。
「……ジェイド・フォン・ルークス辺境伯?」
そこにいたのは、この国の「氷の冷徹公爵」と恐れられる男。
そして、元・第一王子であり、現在は王位継承権を放棄して国境を守る、カイル殿下の兄君だった。
(なぜ、こんなところに?)
彼は本来、王都の夜会になど顔を出さない人物のはずだ。
警戒心を強める私に、彼は愉しげに口角を上げた。
「今の契約解除のくだり、見せてもらったよ。……まさか、慰謝料も取らずにサインさせるとはね」
「……立ち聞きとは趣味が悪いですわね、閣下」
「人聞きが悪いな。涼んでいたら、面白い喜劇が始まっただけだ」
ジェイド公爵はゆっくりと私に近づいてくる。
その圧迫感に、私は思わず半歩下がった。
「それで? これからどうするつもりだ? 実家に帰って泣き暮らすのか?」
「まさか。……田舎で静かに暮らすだけです」
「ほう。あの野心家のエストラート公爵が、優秀な娘をただ遊ばせておくかな?」
痛いところを突かれた。
父は合理的で強欲な人だ。
王太子との婚約がなくなったとなれば、次はどこかの金持ち貴族か、あるいは諸外国の王族に私を売り飛ばそうとするかもしれない。
(だからこそ、父が動く前に既成事実を作って隠居する予定だったのに……)
私が黙り込むと、ジェイド公爵は私の目の前で足を止めた。
長身の彼に見下ろされると、威圧感が半端ではない。
逃げ出したい。早く帰ってふかふかのベッドにダイブしたい。
「イーロア嬢」
「……なんでしょうか」
「君、優秀だね」
「はい?」
唐突な言葉に、私は首を傾げた。
彼は私の瞳を覗き込み、獲物を見つけた肉食獣のような笑みを浮かべる。
「その事務処理能力、胆力、そして何より……本性を隠して猫を被り続ける演技力。どれも一級品だ」
「……買い被りですわ」
「謙遜はいらない。俺はずっと見ていたからな。君が裏で、カイルの尻拭いを完璧にこなしていたことを」
ぞわり、と背筋が震えた。
この男、どこまで知っている?
「単刀直入に言おう」
ジェイド公爵が手を差し出した。
「俺のところに来ないか?」
「……は?」
「給与は弾む。福利厚生も完備だ。君の能力を高く評価する」
これは、求婚?
いや、違う。
その目は、色恋の情熱ではなく、もっと即物的な――そう、便利な道具を見る目だ。
「お断りします」
私は即答した。
「私はもう働きません。絶対に、何があっても、指一本動かしたくないんです」
私の人生の目標は「有能な穀潰し」になること。
辺境伯領なんて過酷そうな場所に再就職なんて、まっぴらごめんだ。
「そう言うと思った」
ジェイド公爵は、なぜか嬉しそうに目を細めた。
嫌な予感がする。
「だが、拒否権はないと言ったら?」
「……えっ」
次の瞬間。
視界がぐるりと反転した。
「きゃっ!?」
気がつけば、私は米俵のように彼の肩に担ぎ上げられていた。
「な、何をなさいますか! 下ろしてください! 誘拐ですわよ!?」
「人聞きが悪い。これは『スカウト』だ」
「物理的すぎます!」
暴れる私の足を押さえつけ、彼は平然と歩き出す。
「安心しろ。君の望む条件は聞いてやる。……もっとも、俺の城に着いてからだがな」
「ちょ、待っ……私のスローライフ計画がぁぁぁ!!」
夜の王城に、私の悲鳴(という名の抗議)が虚しく響き渡る。
こうして、私の「悪役令嬢」としての業務は終了し――。
それより遥かに厄介な、「冷徹公爵の管理職」としての日々が始まろうとしていた。
王城の大広間。
シャンデリアの煌めきが痛いほどに降り注ぐその場所で、王太子カイルの高らかな宣言が響き渡った。
周囲の貴族たちが息を呑み、ざわめきが波紋のように広がる。
その中心で、私は静かに扇を閉じた。
「……承知いたしました」
「ふん、殊勝な態度だな。だが、今さら泣いて許しを請うても無駄だぞ!」
カイル殿下は勝ち誇ったように鼻を鳴らし、隣に寄り添う可愛らしい少女、男爵令嬢リリィの腰を抱き寄せる。
まるで絵画のような「真実の愛」を見せつける二人。
私はその光景を眺めながら、内心でガッツポーズを決めていた。
(やっと……! やっと終わったわ……!)
こみ上げてくる歓喜を必死に抑え込み、表情筋を総動員して「冷徹な悪役令嬢」の仮面を維持する。
長かった。本当に長かった。
王命という名の業務命令により、「愚かな王太子の当て馬役」として配属されてから三年。
来る日も来る日も、殿下の癇癪に耐え、わざとらしく嫌味を言い、計算し尽くされたタイミングでヒロインをいじめる(ふりをする)日々。
それもこれも、すべてはこの瞬間のため。
「理由を申し述べよ、とは言わないのか?」
殿下が不満げに眉を寄せる。
どうやら、私が泣き崩れるか、見苦しく抵抗することを期待していたらしい。
私は優雅に首を横に振った。
「いいえ、殿下。その必要はございません。私の罪状は……リリィ嬢への度重なる暴言、教科書の損壊、および階段からの突き落とし未遂、といったところでしょうか?」
すらすらと暗唱してみせると、殿下は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「なっ……貴様、自覚があったのか!?」
「はい。すべて私が『意図的に』行ったことです」
(業務日報にも書いて提出済みですからね)
私は心の中で付け加える。
暴言については、リリィ嬢が貴族のマナーを間違えた際に「そのような所作では恥をかきますわよ」と指摘したものだし、教科書に関しては彼女がインクをこぼしそうになったのを庇って私が汚しただけだ。
階段の一件に至っては、足を踏み外した彼女を私が受け止めたというのが真実である。
だが、そんな事実はどうでもいい。
重要なのは、私が「悪役」として断罪され、円満に(?)婚約破棄されること。
それが、私と国王陛下との間で交わされた契約なのだから。
「ふん、開き直るとは呆れた女だ。リリィは心の優しい娘だ。貴様のような毒婦にいじめられ、どれほど心を痛めていたか……!」
「……」
私はちらりとリリィ嬢に視線をやる。
彼女は殿下の腕の中で、なぜか私に向かってキラキラとした尊敬の眼差しを送ってきていた。
(イーロア様! 今の「承知いたしました」の角度、最高にクールです! シビれます!)
そんな心の声が聞こえてきそうなほどだ。
実は彼女、私の隠れファンなのである。
いじめ(という名の指導)をするたびに、「ありがとうございます! 勉強になります!」と懐いてくるので、悪役を演じるのが一番大変な相手だった。
「黙っていないで何とか言ったらどうだ!」
「申し開きはございません。殿下のご判断は、誠に賢明かと存じます」
私は淡々と告げ、懐から一枚の書類を取り出した。
「な、なんだそれは」
「今後の手続きに関する書類でございます。殿下の署名をいただけますでしょうか」
「はあ? 手続きだと?」
「はい。婚約破棄に伴う、正式な合意書です。慰謝料の請求権放棄、および今後の相互不干渉について明記しております」
私はあらかじめ用意していたペンを添えて、彼に差し出す。
殿下は毒気を抜かれたようにぽかんと口を開けたが、すぐに悔しそうにペンを奪い取った。
「よかろう! 貴様のような女、金輪際関わりたくもないからな!」
さらさらと署名がなされる。
その筆跡を確認した瞬間、私の脳内でファンファーレが鳴り響いた。
(業務完了! ミッションコンプリート!)
これで私は自由だ。
王太子妃教育という名の重労働からも、殿下のご機嫌取りからも、派閥争いの面倒な根回しからも、すべて解放される。
これからは、領地の片隅にある別邸に引きこもり、誰にも邪魔されず、朝から晩まで惰眠を貪るのだ。
「では、私はこれにて失礼いたします」
「ま、待て! これで終わりか? もっとこう、悔しがるとか……」
「殿下、リリィ様とお幸せに。心よりお祈り申し上げております」
(二度と会うこともないでしょうけど)
私は完璧なカーテシーを披露し、踵を返した。
背後で殿下が何か喚いているが、もはや雑音にしか聞こえない。
大広間の重厚な扉を開ける。
夜風が頬を撫でた。
それは、自由の味がした。
「……終わった」
誰もいない回廊に出た瞬間、私は大きく息を吐き出した。
全身の力が抜けていく。
ピンと張っていた背筋を丸め、ヒールを脱ぎ捨てたい衝動に駆られる。
「あー、疲れた。早く帰って寝よ」
淑女の仮面を脱ぎ捨て、本来の怠惰な自分に戻った瞬間だった。
「――実に鮮やかな手際だったな」
不意に、闇の中から声がかかった。
「!?」
心臓が跳ね上がる。
誰もいないはずの回廊。
その柱の陰から、一人の男が姿を現した。
夜の闇を溶かしたような漆黒の髪。
氷のように冷たく、けれどどこか熱を孕んだ紫紺の瞳。
「……ジェイド・フォン・ルークス辺境伯?」
そこにいたのは、この国の「氷の冷徹公爵」と恐れられる男。
そして、元・第一王子であり、現在は王位継承権を放棄して国境を守る、カイル殿下の兄君だった。
(なぜ、こんなところに?)
彼は本来、王都の夜会になど顔を出さない人物のはずだ。
警戒心を強める私に、彼は愉しげに口角を上げた。
「今の契約解除のくだり、見せてもらったよ。……まさか、慰謝料も取らずにサインさせるとはね」
「……立ち聞きとは趣味が悪いですわね、閣下」
「人聞きが悪いな。涼んでいたら、面白い喜劇が始まっただけだ」
ジェイド公爵はゆっくりと私に近づいてくる。
その圧迫感に、私は思わず半歩下がった。
「それで? これからどうするつもりだ? 実家に帰って泣き暮らすのか?」
「まさか。……田舎で静かに暮らすだけです」
「ほう。あの野心家のエストラート公爵が、優秀な娘をただ遊ばせておくかな?」
痛いところを突かれた。
父は合理的で強欲な人だ。
王太子との婚約がなくなったとなれば、次はどこかの金持ち貴族か、あるいは諸外国の王族に私を売り飛ばそうとするかもしれない。
(だからこそ、父が動く前に既成事実を作って隠居する予定だったのに……)
私が黙り込むと、ジェイド公爵は私の目の前で足を止めた。
長身の彼に見下ろされると、威圧感が半端ではない。
逃げ出したい。早く帰ってふかふかのベッドにダイブしたい。
「イーロア嬢」
「……なんでしょうか」
「君、優秀だね」
「はい?」
唐突な言葉に、私は首を傾げた。
彼は私の瞳を覗き込み、獲物を見つけた肉食獣のような笑みを浮かべる。
「その事務処理能力、胆力、そして何より……本性を隠して猫を被り続ける演技力。どれも一級品だ」
「……買い被りですわ」
「謙遜はいらない。俺はずっと見ていたからな。君が裏で、カイルの尻拭いを完璧にこなしていたことを」
ぞわり、と背筋が震えた。
この男、どこまで知っている?
「単刀直入に言おう」
ジェイド公爵が手を差し出した。
「俺のところに来ないか?」
「……は?」
「給与は弾む。福利厚生も完備だ。君の能力を高く評価する」
これは、求婚?
いや、違う。
その目は、色恋の情熱ではなく、もっと即物的な――そう、便利な道具を見る目だ。
「お断りします」
私は即答した。
「私はもう働きません。絶対に、何があっても、指一本動かしたくないんです」
私の人生の目標は「有能な穀潰し」になること。
辺境伯領なんて過酷そうな場所に再就職なんて、まっぴらごめんだ。
「そう言うと思った」
ジェイド公爵は、なぜか嬉しそうに目を細めた。
嫌な予感がする。
「だが、拒否権はないと言ったら?」
「……えっ」
次の瞬間。
視界がぐるりと反転した。
「きゃっ!?」
気がつけば、私は米俵のように彼の肩に担ぎ上げられていた。
「な、何をなさいますか! 下ろしてください! 誘拐ですわよ!?」
「人聞きが悪い。これは『スカウト』だ」
「物理的すぎます!」
暴れる私の足を押さえつけ、彼は平然と歩き出す。
「安心しろ。君の望む条件は聞いてやる。……もっとも、俺の城に着いてからだがな」
「ちょ、待っ……私のスローライフ計画がぁぁぁ!!」
夜の王城に、私の悲鳴(という名の抗議)が虚しく響き渡る。
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