9 / 102
ATM機能付き金庫ってありですか?
しおりを挟む
ピスピス……
鼻をピクピク動かしながら寝入るチビドラちゃん。
可愛いんだけど……ぬいぐるみみたいなんだけど……。
いつまで寝てるの?
ご飯何食べるんだろう……。
【ごっめーん。琴葉ちゃん。ちょっといい?】
バッグから出てきたのは、ビスクドール。
漆黒の艶やかな髪に、瞳は濃いめのブルーアイ。
まつ毛は長く本当に美しい。
【はぁい! 琴葉ちゃん。このドールをもらっちゃった。このお家の中ではこのドールだったら過ごせるみたい。よろしくね!】
ヒョイッと右の腕が持ち上がる。
ウインクするのもオプションだろうか?
【それでね? このバッグの中に、あなたの基本の持ち物になる家具とか入ってるのよ。確か……あ、ベッドはあるのね? 中にはなかったわ】
キョロキョロ首を動かしているのを見ると、ビスクドールの目を通じて家の中が見えているらしい。
この家は多分だけど一戸建て。
部屋は寝室の隣に、食卓を置けそうなもう一つの部屋、そして、水回りであるお風呂にキッチンがある。
洗濯物を干せる空間もあるのだがその向こうにも扉があるようだ。
淡いナチュラルな色と言えばいいのか、クリームに近い白の壁、ドアはアンティーク調のノブがついている。
窓の向こうは草原と木々?
少し遠くにイギリスの有名な時計台に似た石造りの塔がある。
自分の体をチェックした桜智は長めのスカートの裾をちょっとつまみ、心持ちゆっくりと歩き出した。
コツン、コツン……
ブーツの底を鳴らしながら歩くと、
【あらっ、結構歩きやすいのね。でもこの子って身長幾つくらいかしら?】
「大体70cmくらいだと思いますよ? ブーツサイズと髪の毛も含めてですが」
【へぇ……大きい方ね】
「えぇ、それに黒髪のドールって珍しいです」
【そうよね。私も見たことないわ。金髪でも良かったと思うのだけど、まぁ、美人でよかったわよね】
くるんっと回る姿もかわいい。
「素敵です! あぁ、もし出来たら、桜智さんの服を作らせてください! 漆黒の髪が美しいので、逆に白いふわふわもいいですね! それに、袴姿の女学生風もいいですよね!」
【あら! それも素敵! お願いしてもいい? 楽しみだわ】
嬉しそうな桜智だが、すぐにバッグのところに戻り、
【あ、そうそう、部屋が殺風景でしょ? 模様替えしちゃわない? バッグの中にアンティーク調の家具が揃ってるの】
「えっ? 私はハンドメイド作品しか……」
【クローゼットとか本棚、作業机や色々あったわよ。あ、これが金庫ね。ふーん……あ、バッグの中にあったお金の半分を入れておくわね。一応、コインだけどね】
金庫の上部の投函口のような部分を開け、コインが入っているらしい皮袋をポイっと器用に投げ込んだ桜智。
すると、しばらくして、
[日本円に変更しています。日本円を使用する際は下の扉を開け、中の注文窓から購入ください。支払いは保管している金庫内の現金を払います。商品はその日午前中注文、翌日午前中にこの部屋に届きます。その場所は必ず決め、十分な空間を開けておくことをお勧めいたします]
と音声が響いた。
[この金庫内で購入するお店は、加賀見琴葉殿のみ注文できます。注文したい店舗は、最初は二店舗、レベルアップごとに増やすことが可能です。金庫機能はこの地域のコインを預かる金庫機能、日本円に変更する機能、釣り銭交換機能があります]
【至れり尽くせりね……】
呆れ返る桜智。
「でも、どんなお店があるのでしょうか?」
恐る恐る扉を開けると、小さいATM機能のようなものが出てくる。
画面には[預金][出金][日本円に両替][店舗で購入]となっている。
恐る恐る、[店舗で購入]を押すと、[店舗追加][店舗削除]とあり、[追加]をクリック。
すると、[ABCスーパー]と[コンビニアルト]、[手芸店ミルク]、[片蔵書店]などが並ぶ。
【ABCスーパーって大型店舗よね?】
「そうですね。100均とパン屋、衣料品もあったと思います」
【じゃぁ、スーパーと、あなた、ハンドメイド商品を売るんだから、手芸店入れるべきよね?】
「……売れなきゃどう生活すればいいのか……不安です。それにどれくらいの価格で売ればいいのかわかりません……」
急に不安になり弱音を吐く。
行き当たりばったりで大丈夫だろうか?
【あら、そんなに心配なら外に出たらいいじゃない。あ、まずは店を決めて、食料なんかを確保して、生活の基盤は必要よ。あ、こちらでの服とかは多分バッグの中のあなたのクローゼットの中に揃ってるはずよ】
「はい……そうします。あ、えっ? 今日のご飯とか、今注文したら食べられない? 食器とかフライパンとか……」
がーん……ショックを受ける。
すると、
[初回特典として、3日分の食料品と加賀見琴葉、山本桜智の持っていた食器、台所用品、服などある程度の消耗品をこの後届ける]
と電子音が流れ、段ボール三つ分がドンドンと金庫の横に積み上げられたのだった。
[第一回目。あと3回届く]
【ヤバイわ……至れり尽くせり、ここまでとはね】
桜智は呟いたのだった。
鼻をピクピク動かしながら寝入るチビドラちゃん。
可愛いんだけど……ぬいぐるみみたいなんだけど……。
いつまで寝てるの?
ご飯何食べるんだろう……。
【ごっめーん。琴葉ちゃん。ちょっといい?】
バッグから出てきたのは、ビスクドール。
漆黒の艶やかな髪に、瞳は濃いめのブルーアイ。
まつ毛は長く本当に美しい。
【はぁい! 琴葉ちゃん。このドールをもらっちゃった。このお家の中ではこのドールだったら過ごせるみたい。よろしくね!】
ヒョイッと右の腕が持ち上がる。
ウインクするのもオプションだろうか?
【それでね? このバッグの中に、あなたの基本の持ち物になる家具とか入ってるのよ。確か……あ、ベッドはあるのね? 中にはなかったわ】
キョロキョロ首を動かしているのを見ると、ビスクドールの目を通じて家の中が見えているらしい。
この家は多分だけど一戸建て。
部屋は寝室の隣に、食卓を置けそうなもう一つの部屋、そして、水回りであるお風呂にキッチンがある。
洗濯物を干せる空間もあるのだがその向こうにも扉があるようだ。
淡いナチュラルな色と言えばいいのか、クリームに近い白の壁、ドアはアンティーク調のノブがついている。
窓の向こうは草原と木々?
少し遠くにイギリスの有名な時計台に似た石造りの塔がある。
自分の体をチェックした桜智は長めのスカートの裾をちょっとつまみ、心持ちゆっくりと歩き出した。
コツン、コツン……
ブーツの底を鳴らしながら歩くと、
【あらっ、結構歩きやすいのね。でもこの子って身長幾つくらいかしら?】
「大体70cmくらいだと思いますよ? ブーツサイズと髪の毛も含めてですが」
【へぇ……大きい方ね】
「えぇ、それに黒髪のドールって珍しいです」
【そうよね。私も見たことないわ。金髪でも良かったと思うのだけど、まぁ、美人でよかったわよね】
くるんっと回る姿もかわいい。
「素敵です! あぁ、もし出来たら、桜智さんの服を作らせてください! 漆黒の髪が美しいので、逆に白いふわふわもいいですね! それに、袴姿の女学生風もいいですよね!」
【あら! それも素敵! お願いしてもいい? 楽しみだわ】
嬉しそうな桜智だが、すぐにバッグのところに戻り、
【あ、そうそう、部屋が殺風景でしょ? 模様替えしちゃわない? バッグの中にアンティーク調の家具が揃ってるの】
「えっ? 私はハンドメイド作品しか……」
【クローゼットとか本棚、作業机や色々あったわよ。あ、これが金庫ね。ふーん……あ、バッグの中にあったお金の半分を入れておくわね。一応、コインだけどね】
金庫の上部の投函口のような部分を開け、コインが入っているらしい皮袋をポイっと器用に投げ込んだ桜智。
すると、しばらくして、
[日本円に変更しています。日本円を使用する際は下の扉を開け、中の注文窓から購入ください。支払いは保管している金庫内の現金を払います。商品はその日午前中注文、翌日午前中にこの部屋に届きます。その場所は必ず決め、十分な空間を開けておくことをお勧めいたします]
と音声が響いた。
[この金庫内で購入するお店は、加賀見琴葉殿のみ注文できます。注文したい店舗は、最初は二店舗、レベルアップごとに増やすことが可能です。金庫機能はこの地域のコインを預かる金庫機能、日本円に変更する機能、釣り銭交換機能があります]
【至れり尽くせりね……】
呆れ返る桜智。
「でも、どんなお店があるのでしょうか?」
恐る恐る扉を開けると、小さいATM機能のようなものが出てくる。
画面には[預金][出金][日本円に両替][店舗で購入]となっている。
恐る恐る、[店舗で購入]を押すと、[店舗追加][店舗削除]とあり、[追加]をクリック。
すると、[ABCスーパー]と[コンビニアルト]、[手芸店ミルク]、[片蔵書店]などが並ぶ。
【ABCスーパーって大型店舗よね?】
「そうですね。100均とパン屋、衣料品もあったと思います」
【じゃぁ、スーパーと、あなた、ハンドメイド商品を売るんだから、手芸店入れるべきよね?】
「……売れなきゃどう生活すればいいのか……不安です。それにどれくらいの価格で売ればいいのかわかりません……」
急に不安になり弱音を吐く。
行き当たりばったりで大丈夫だろうか?
【あら、そんなに心配なら外に出たらいいじゃない。あ、まずは店を決めて、食料なんかを確保して、生活の基盤は必要よ。あ、こちらでの服とかは多分バッグの中のあなたのクローゼットの中に揃ってるはずよ】
「はい……そうします。あ、えっ? 今日のご飯とか、今注文したら食べられない? 食器とかフライパンとか……」
がーん……ショックを受ける。
すると、
[初回特典として、3日分の食料品と加賀見琴葉、山本桜智の持っていた食器、台所用品、服などある程度の消耗品をこの後届ける]
と電子音が流れ、段ボール三つ分がドンドンと金庫の横に積み上げられたのだった。
[第一回目。あと3回届く]
【ヤバイわ……至れり尽くせり、ここまでとはね】
桜智は呟いたのだった。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる