10 / 102
カワウソもどきのミニドラゴン
しおりを挟む
「あの……」
気分が上がったのか、模様替えを手伝ってくれると言う桜智に声をかける。
今は寝室ルームのベッドの周りに文机がわりの小さなテーブルに椅子、その横に文机、本棚、ミシンを使うときのミシン台、その下には糸や布を入れる引き出しがキャスター付きで収められている。
しかも、それを出して設置してくれるのはドール姿の桜智。
最初はぎこちなく歩いたりしていたのに、動きを会得してからはバッグに戻ってドンドン出し入れを開始。
バッグを琴葉に移動させ、ポンポンと出していく。
一応窓の前ではなく、ドアと窓を避けた壁の角を荷物置き場として、移動できるように板にキャスターを取り付けたテレビ台のようなものを設置。
こちらは高さを少しずつ変え、五つ用意。
届いたらすぐ、台所やこの部屋のあちこちに移動させ荷物を仕分けすることにした。
あれこれものを出している間に、テレビ台……桜智と琴葉は宅配ボックスと呼ぶようにした……に段ボールが届く。
まずは保存食料。
お米やペットボトルの入った段ボール。
お餅、インスタントカレー、インスタントラーメン、どんぶりもの、スープ、味噌汁……。
「えっ? これは私購入してない……」
【あ、アタシだわ~。お餅とか好きだったのよ。乾燥ワカメとか、昆布とかついつい買っちゃう……のに料理できなかったのよね】
桜智の前世の情報は本人のお喋りによって知っていたものの、ドンドン届く荷物に汗をかく。
多分時間停止されているとは言え、どれだけ買い込んだのか……いや、多分心配性なのだろう。
水のペットボトルなんて、二リットル6本入った段ボールが4ケースもある。
【あはは……アタシのバッグに入れておくわ。インスタントラーメンを食べるためにタイマーとやかんいるわね】
「あ、私の荷物にそれは多分全部あります。私は食料品より何故か電池とか小物大量購入しちゃってて……」
その言葉通り、桜智の金品や時計などの貴重品の後、琴葉の荷物が届く。
最近友人の結婚式に行ったり、遠い遠い親戚のお祝いのお返しが届いていたのだが、食器とか鍋、包丁が多かった。
あ、たった一人、お返しに消火器をくれたなぁ……何を消せというのか……燃え上がっているのは二人の愛の炎(笑)だろうと突っ込まれていたっけ……。
県外から帰るのに、飛行機に乗るの大変だった……と思いながら、中にちゃっかり入っていたのに驚く。
続いて、パンやチーズ、ハムなどや、基本の調味料が保冷剤と共に届いたのにホッとする。
その後、手早く作ったサンドイッチとペットボトルのお茶を部屋に持ち込み、小さいテーブルと椅子で食べ始めるのだが……。
「そういえば、桜智さん。あのドラゴンちゃんは、まだ目が覚めないのでしょうか?」
起きるまでベッドはシーツも変えず、毛布を置いただけだったのだが、丸くなったまま眠るドラゴンを見る。
【あぁ……どうなのかしら? 死んではないのよ?】
「お腹すいちゃったのでしょうか? 何食べるのかなぁ? このチャチャちゃんは」
【チャチャ?】
「あ、えっと、この子は黒ちゃんなのですが、前にペットを飼うならチャチャってつけたいなぁって思ってて……あ、モモとかキキとか連続するのかわいいなぁって」
【あぁ、可愛いわよね。アタシもキキとかノノ、ムムってつけてみたかったわ。チャチャ、いいんじゃない?】
食べられるかどうかわからないけれどと、琴葉が作って一口サイズに切ってもらったサンドイッチを手にしながら桜智は首を傾げる。
お茶は陶器製のミニチュア食器に注いでもらっている。
キュアー
聞きなれない鳴き声に首を傾げる。
【あら? ドラゴン……チャチャの鳴き声みたいね】
「えっ? ドラゴンって猛獣じゃないんですか?」
【違うわよ。この世界のドラゴンは、基本討伐対象の敵じゃないのよ。アタシの前の持ち主だったバカは、ドラゴンや貴重な生物植物の密猟者や犯罪者を見つけてぶん殴って、騎士団とかその地域の領主に突き出す……一種の冒険者というか、金稼ぎみたいなもんだったのね。で、このチャチャも親はどこの地域のドラゴンかわかんないけど、ドラゴンの卵を売買しようとしてた悪徳商人のオークションに潜入したらしいわね。で、バッグに突っ込んで忘れてバッグの中は廃棄物まみれになっていたと……】
キュアァァ~
ゴソゴソ動くのに驚き、椅子から立ち上がり近づいていくと、小さい丸い真紅の目がキラキラした生き物がキョトンっとしていた。
「か、可愛い!」
【あら、ほんと】
小さい手足を動かして、何か訴えようとしているらしい。
「えーと……チャチャ?」
キュア!
【チャチャが名前だとわかってるみたいね?】
ベッドの上をよたよたと歩き、こちらを必死に見上げるチャチャに私たちはメロメロになる。
【可愛い! うちの子ってことで、アタシたちとお揃いのリボンとかいいわよね!】
「いいですね! 黒い毛ですがまんまるの紅の目なので、パステル色のリボンはどうでしょうか?」
【あ、まだ赤ちゃんだし、Tシャツっぽい服を着せてもいいかも!】
「外の散歩はリードとハーネスもいいですよね?」
【可愛いのにするのよ!】
食事を終えた後、琴葉はチャチャのための空間を作り、置かれていた本からドラゴンのこと全般について調べることにし、その横で桜智はチャチャの首に結ぶリボンを、琴葉のハンドメイド用雑貨から探していたのだった。
気分が上がったのか、模様替えを手伝ってくれると言う桜智に声をかける。
今は寝室ルームのベッドの周りに文机がわりの小さなテーブルに椅子、その横に文机、本棚、ミシンを使うときのミシン台、その下には糸や布を入れる引き出しがキャスター付きで収められている。
しかも、それを出して設置してくれるのはドール姿の桜智。
最初はぎこちなく歩いたりしていたのに、動きを会得してからはバッグに戻ってドンドン出し入れを開始。
バッグを琴葉に移動させ、ポンポンと出していく。
一応窓の前ではなく、ドアと窓を避けた壁の角を荷物置き場として、移動できるように板にキャスターを取り付けたテレビ台のようなものを設置。
こちらは高さを少しずつ変え、五つ用意。
届いたらすぐ、台所やこの部屋のあちこちに移動させ荷物を仕分けすることにした。
あれこれものを出している間に、テレビ台……桜智と琴葉は宅配ボックスと呼ぶようにした……に段ボールが届く。
まずは保存食料。
お米やペットボトルの入った段ボール。
お餅、インスタントカレー、インスタントラーメン、どんぶりもの、スープ、味噌汁……。
「えっ? これは私購入してない……」
【あ、アタシだわ~。お餅とか好きだったのよ。乾燥ワカメとか、昆布とかついつい買っちゃう……のに料理できなかったのよね】
桜智の前世の情報は本人のお喋りによって知っていたものの、ドンドン届く荷物に汗をかく。
多分時間停止されているとは言え、どれだけ買い込んだのか……いや、多分心配性なのだろう。
水のペットボトルなんて、二リットル6本入った段ボールが4ケースもある。
【あはは……アタシのバッグに入れておくわ。インスタントラーメンを食べるためにタイマーとやかんいるわね】
「あ、私の荷物にそれは多分全部あります。私は食料品より何故か電池とか小物大量購入しちゃってて……」
その言葉通り、桜智の金品や時計などの貴重品の後、琴葉の荷物が届く。
最近友人の結婚式に行ったり、遠い遠い親戚のお祝いのお返しが届いていたのだが、食器とか鍋、包丁が多かった。
あ、たった一人、お返しに消火器をくれたなぁ……何を消せというのか……燃え上がっているのは二人の愛の炎(笑)だろうと突っ込まれていたっけ……。
県外から帰るのに、飛行機に乗るの大変だった……と思いながら、中にちゃっかり入っていたのに驚く。
続いて、パンやチーズ、ハムなどや、基本の調味料が保冷剤と共に届いたのにホッとする。
その後、手早く作ったサンドイッチとペットボトルのお茶を部屋に持ち込み、小さいテーブルと椅子で食べ始めるのだが……。
「そういえば、桜智さん。あのドラゴンちゃんは、まだ目が覚めないのでしょうか?」
起きるまでベッドはシーツも変えず、毛布を置いただけだったのだが、丸くなったまま眠るドラゴンを見る。
【あぁ……どうなのかしら? 死んではないのよ?】
「お腹すいちゃったのでしょうか? 何食べるのかなぁ? このチャチャちゃんは」
【チャチャ?】
「あ、えっと、この子は黒ちゃんなのですが、前にペットを飼うならチャチャってつけたいなぁって思ってて……あ、モモとかキキとか連続するのかわいいなぁって」
【あぁ、可愛いわよね。アタシもキキとかノノ、ムムってつけてみたかったわ。チャチャ、いいんじゃない?】
食べられるかどうかわからないけれどと、琴葉が作って一口サイズに切ってもらったサンドイッチを手にしながら桜智は首を傾げる。
お茶は陶器製のミニチュア食器に注いでもらっている。
キュアー
聞きなれない鳴き声に首を傾げる。
【あら? ドラゴン……チャチャの鳴き声みたいね】
「えっ? ドラゴンって猛獣じゃないんですか?」
【違うわよ。この世界のドラゴンは、基本討伐対象の敵じゃないのよ。アタシの前の持ち主だったバカは、ドラゴンや貴重な生物植物の密猟者や犯罪者を見つけてぶん殴って、騎士団とかその地域の領主に突き出す……一種の冒険者というか、金稼ぎみたいなもんだったのね。で、このチャチャも親はどこの地域のドラゴンかわかんないけど、ドラゴンの卵を売買しようとしてた悪徳商人のオークションに潜入したらしいわね。で、バッグに突っ込んで忘れてバッグの中は廃棄物まみれになっていたと……】
キュアァァ~
ゴソゴソ動くのに驚き、椅子から立ち上がり近づいていくと、小さい丸い真紅の目がキラキラした生き物がキョトンっとしていた。
「か、可愛い!」
【あら、ほんと】
小さい手足を動かして、何か訴えようとしているらしい。
「えーと……チャチャ?」
キュア!
【チャチャが名前だとわかってるみたいね?】
ベッドの上をよたよたと歩き、こちらを必死に見上げるチャチャに私たちはメロメロになる。
【可愛い! うちの子ってことで、アタシたちとお揃いのリボンとかいいわよね!】
「いいですね! 黒い毛ですがまんまるの紅の目なので、パステル色のリボンはどうでしょうか?」
【あ、まだ赤ちゃんだし、Tシャツっぽい服を着せてもいいかも!】
「外の散歩はリードとハーネスもいいですよね?」
【可愛いのにするのよ!】
食事を終えた後、琴葉はチャチャのための空間を作り、置かれていた本からドラゴンのこと全般について調べることにし、その横で桜智はチャチャの首に結ぶリボンを、琴葉のハンドメイド用雑貨から探していたのだった。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる