もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

商売というかみていただきたい物です。

　緊張しつつ、桜智のテディを後回しにして作った物を差し出した。

「実は、これがコインケース……です。イメージは図鑑で見たパラプルって言う生き物なのですが……」
「あ、あははは！　本当だわ！　そっくり！」

　今回もがまぐち財布……形はヴァーロがこの世界にいる変な生き物だと言っていたパラプル。
　丸いパステル色の真ん中に大きな口、足はひよこの足と、翼は申し訳ない程度についているのだが、翼も足もほとんど使わず、ぽよぽよと丸い体を弾ませてあちこち移動する生き物なのだそうだ。
　甘いものが好きなのはドラゴンとはるらしく、ヴァーロが何度か旅に出た時、パラプルを見つけて後をつけると蜂の巣があったり、木に果物が実っていたらしい。

「可愛い！　メリッサが持っていたお魚も綺麗だったけれど、こちらはキュートね！」
「よかったです！　可愛すぎるかなと思ったのですが、柔らかい姿が面白いかなぁと思って」
「こんな可愛いコインケースなんてないと思うわよ？　それに、女性や子供って可愛い物好きなのよ」
「私も好き！」
「フェリも！」
「はーい、お菓子どうぞ」

　お菓子をヴァーロと６等分……一応、ヴァーロ、フェリシア、メリッサ、バーバラ、そして琴葉の分に分け、余ったものはジョシュとアルファードにと言いたいらしい。
　一応、琴葉は遠慮して、ジョシュとアルファードに勧めておく。
　そして、自分の座るソファに置いていたバッグに手を伸ばして、そっと出してみる。

「あの、今度登録して販売したいと思っているのですが、助言していただけたら幸いなのですが……」

　自分で前に作っていたものの実力は多分プロからすれば拙いものかもしれない。
　でも、指摘を受けて直して売りたい。
　出してみたのは大きさを変えた３種類4個のバッグ。

「これは？」

　並べた小物を興味深そうにみる少女たち。
　パラプルの見た目が面白そうだったのでバーバラ用のコインケースに作ってみたところ、案外可愛かったので、それ以外に、メリッサとフェリシアのお出かけ肩掛けバッグにしてみた。
　パラプル型のバッグは肩掛けだ。
　ピンクとブルーのパステルカラーは可愛い。
　それを一つずつ渡してみたところ、喜んでくれたのが嬉しかったりする。
　そして……、

「あの！　こう言うバッグ使いませんか！」

と可愛いグッズにテンション上がりまくりの女性陣に置き去りにされていたジョシュとアルファードに差し出したのは、リュックサックとヴァーロ用のベルト付きのポーチを少し改造したものだった。