もう行き詰まったので、逃亡したい私〜異世界でこの中途半端な趣味を活かしてお金を稼ぎたいと思います〜

刹那玻璃

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桜智の愛読書のレア度疑惑

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 それからは、こちらの世界のことや、どんな生き物がこの近辺にいるのか……を琴葉や桜智が聞いて、アルスやヴァーロが答え、ラハシアがそれに追加したりと話は弾んだ。
 そして、もしよければ簡単な地図をもらって、自分たちもこの地域を知りたいというと、アルスとソフィアが琴葉のすんでいた世界を教えてほしいと言い、これから色々とお互い教え合うことにした。
 その後、作りおいていたふわふわのパウンドケーキとチーズケーキにジャムを乗せて出した。
 チーズケーキはバスク風とゼラチンで固めるタイプの方を両方用意し、まずはバスク風チーズケーキを、そして冷たいチーズケーキをお好みでと出しておいた。

「……ん? これは香ばしいケーキ……ん? ケーキなのか?」
「あ、こちらがベイクドチーズケーキ……焼いた方ですね。こちらの方は下にクッキーを砕いて敷き詰めた上にチーズと生クリームを混ぜたものを流し入れて冷やして固めたチーズケーキです。どちらともチーズは使っていますよ」
「チーズというと……」
「これは牛の乳を温めた後、酢や酸味の強い柑橘の汁を、混ぜて固まってきた部分を固めて作るものです。他にもヤギ、ブタなどでもできますが、お乳の量が集まらないので牛が多いです」

 アルスは考え込む。

「あぁ、酪農をしているここから東の地域の者が、家畜の乳で何かできないかと言っていたな」
「チーズの作り方は私は曖昧なのですが……」

【アタシの本の中に多分あるわよ。興味が湧いたら本を買ってたから。チーズにバター、生ハム、ベーコン、燻製造り、ピザの窯……ついでに納豆と酒の作り方もあったはず……】

 桜智の言葉に、意味は不明なもののヴァーロとアルスが呆れたような目をする。

「桜智って、惰性で買ってるとか、一回読むと飽きて見ないとかじゃないの? 結構本綺麗だったよね?」
「あぁ、琴葉の本は長い間読んでいたのか汚れとか傷もあったけど、桜智の本ってほぼ新品だろ? 処分考えなかったのか?」

【立ち読みNGだったのよ! それに古本屋でも一冊5円とかでしか売れなかったのよ!】

「……いつかは読むとか、言い訳して溜め込んでたんだな……」

 アルスは呟く。

【読みたかったけど読む暇がなかったのよ! これでもブラック企業……あんまり職場でいい扱いされてなかったの! 給料は安いし! サービス残業……決まった時間以外の仕事も多かったし、朝は早くに行って、夜は翌日ギリギリに帰宅だったのよ】

 ほおに手を当ててため息をつく。

【休みの日はほぼ一日寝てて……太陽浴びてない人生だったわ……本はここで役に立ってよかった……とか言うけど、琴葉変な本が多いのよ! アタシは凝り性だけど、自己啓発本の間に自分でチーズとか作ってみたいなぁとか思っちゃったけどね! アレは現実逃避なのよ! できなかったことをしたいと思うのよ! でもね! 琴葉は勘というか気になったら手に取って買っちゃうんでしょう?】

「えっ? ツボは頭痛や胃の痛みを一時的に治せるので……ロープの結び方とか風呂敷が実用的ですし」
「……まぁ、アルスとか喜んでるもんね」
「ハーブ事典とか助かってるぞ」

【アタシの本も褒めなさいよ!】

 ヴァーロもアルスも琴葉に甘い。
と文句を言いかけた桜智だが、ソフィアがホットココアを飲みながら微笑む。

「私は桜智の本楽しいですよ。綺麗な服とかの絵もありますし、他には色々面白い知恵がありますよね。タメになります」

【ソフィア、女神~!】

 桜智は女友達として友情を確立していたソフィアという味方を得て嬉しかったのだった。
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