絶対に可愛い妹をバッドエンドから取り戻す。

刹那玻璃

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第一章

王家の闇を使い尽くすことで未来を描く。

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 スラヴォミールは、魔石に溜め込んでいた魔力を優先的に使いながら、自分たちの過去に戻ろうとしていた。
 しかし、父の言う通り自分たちの力は使わないようにしているものの、思ったより集めた力が少なく、内心苛立ちと焦りが生まれる。
 ツィリルとエマヌエルとクリスチナが潤沢な力を持っているが、その両親は才能と同じく枯渇しているのか、質も量も少なくスカスカだった。

「大丈夫か?」

 ラディスラフは弟に問いかける。

「俺の力を使え」
「まだ、一応あるから……でも、思ったより少なかった」
「まぁ、そうだろうな」

 そう小声で話す弟達を見ながら、カシュパルは思い出した。

「母上。ベンヤミーンさまがこうおっしゃっておられました。『スラヴォミールに伝えろ。力を尽くせ。そして、マグダレーナに……アレを使え』と」
「……お父さまは、アレを使えとそうおっしゃったの?」
「はい。アレと言っても、伝わるのかわからないので、何になりますかと聞きましたが、言えばわかると」
「そう……」

 マグダレーナは肌身離さず身につけていたネックレスを外すと、スラヴォミールに差し出す。

「スラヴォミール。こちらを使いなさい」
「これはなんでしょうか?」
「……過去の王家の汚点です。使い切りなさい。お父さまも構わないと言っていたのだから。私が死ぬ前に人知れず砕くようにと言われていたものだけれど、この時に使うのも運命ね」

 躊躇う息子に押し付けるように握らせると、ハッとしたようにマグダレーナの顔を見る。

「……この中のものの正体は口に出さないように……口に出しては、貴方も王家の闇に巻き込まれてしまう」
「……はい」

 スラヴォミールは受け取ったネックレスの石を握りしめると、家族の力を使わずとも余りあるその秘められた力を吸い上げていくことを決めたのだった。
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