なんでこんなとこに?

刹那玻璃

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緑の精霊王と紅の狼

本能の伯父と幼い婚約者

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 国境の険しい道では、

「琥珀ちゃん~!」
「ぎゃぁぁ! いやぁぁ! 変態! 胸やお尻触んないで! エレナ! 助けて~!」

という悲鳴が響き渡っていた。



 クリスは、非常に迷惑をかけているとわかるその悲鳴に、引き離そうとしたものの、石ころが散乱するこの場に、抱きついてきた少女をそのままにしておくこともできず、少々ためらったものの、ヒョイッと片腕に抱き……軽いなぁと思いつつ伯父団子に近づいた。

「伯父貴。やめてやれよ……」
「ヒィィ! 瓜二つ、同じ顔! 気持ち悪い!」
「琥珀ちゃん~! 僕以外の顔みちゃダメ!」
「いやぁぁ! 顔近づけないで!」

 気持ち悪い!

 そう言われたのはショックだが、パニックを起こす少女に言い返すのを躊躇われ、少女の顔をなるべく見ないようにしながら、

「一応、伯父貴。このままいても大変だから、馬車に乗ってもらって移動しよう。そうすれば、今日中にフェル伯父の屋敷に到着するから」
「あ、そっか! それに、ミューのお家は新婚ほやほやだからダメだよね~?」
「いやぁぁ! エレナ! 助けて~!」
「エレナ?」

クリスは腕の中にいる少女を覗き込む。
 そういえば昔、さまざまな国を点々としていたときに、同じ名前の小さい少女がいたなぁ……と思ったのである。
 小さいエレナは、この地域には珍しい淡い髪をしていたと思う……。

「エレナって……母上お気に入りのちっこい……こんなに小さかったっけ?」
「じゅ、じゅうごしゃいでしゅ!」
「……じゅうごしゃい」

 舌をかんだのか、涙目になって口を押さえるエレナに、微妙に癒されつつ、

「あぁ、ごめんごめん。じゃぁ、可愛いお姫様。俺……私とルーズリアに向かってくださいますか?」
「はい!」
「で、君が……はい、見ません。見ないので、名前だけ教えてください」
「ティア……ティアラーティアです」
「ティアラーティア……?」

 あれ?

リーとクリスは顔を見合わせる。

「どっかで……その名前聞いたような……」
「俺もそう思った。でも、伯父貴が覚えてないんじゃ、重要じゃないのかな? でも、最近聞いたぞ?」
「最近……うーん? 僕は最近じゃないと思う」

 首を傾げつつ、しばらく考えてもお互いに出てこなかったので、

「ま、いっか~? 琥珀ちゃん。一緒に帰ろ~?」
「いやぁぁ!」

必死に逃げようとしても、無理だろうになぁ……と憐れみつつ、馬車に案内する。
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