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第二章……帰還後、生きる意味を探す
54……vier und fünfzig(フィーアウントフュンフツィヒ)……針千本と鉗子は同じレベル
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瞬は周囲の声を聞きながら、無意識に笑っていた。
病院に行くまでに、止血のおかげで血はだいぶ止まったものの、麻酔をしつつ手などの傷を縫って貰いながら、そのちくちくする痛みに、その時は涙が止まらなかった。
元々楽観的で、負けず嫌いだが、今回は本当に心が折れそうになった。
両手のひらが傷つき、手首にも傷が出来た。
ゲームの世界の、雅臣が声をしていたディーデリヒが振るう剣の方が大きく、きっと斬られたら痛いし、生きていないのは分かる。
でも何で、戻って来て、余り知らない人から、こんなことをされないといけないのか……。
しかも、大好きな雅臣が兄の一人と尊敬しているガウェイン・ルーサー・ウェインが贈ってくれたのだと、嬉しそうに教えてくれた腕時計を盗んでいた……雅臣の大切なものを乱暴に扱っているのにカッとした。
雅臣は、軽く明るく自分の人生を語ってくれるが、今のご両親の元に行くまで大変だったのだと思う。
雅臣はご両親が本当に大好きで、両親とお兄さん達……家族を愛しているのだと分かる。
瞬も、両親や双子の姉が大好きだ。
だから、ゲームの世界の家族も大好きだけど、帰って来たのだ。
両親や姉達は怒ってるだろうけど、きっと最後には抱きしめてくれる。
それに、雅臣さんにも会えるかもしれない。
さっき、少し会えた。
名前も呼んで貰えた。
次は笑ってくれるかもしれない。
それに……。
「……側にいたいなぁ……」
「……ちゃん……瞬ちゃん……」
優しい声が聞こえる。
「目覚ましの声だけじゃ足りない。一杯一緒がいいなぁ……」
「瞬ちゃん?」
目が覚めたのか呟く声に、声をかけたのだが、こんこんと眠る瞬の目は開かなかった。
主治医となった先生も、
「多分、今日は起きないと思いますよ」
と言っていたが、両手に固めるように包帯を巻き、そして、上半身は縫わなくても良かったが傷があったのでガーゼが当てられている。
両手の怪我で、かなりの数の傷を縫っている為、毎日消毒の為包帯を変え、傷が塞がるまでこの状態。
一応起きてもいいが、転倒防止……よろけた時に壁などに手で支えるのは禁止の為、車椅子移動となっている。
抜糸の後は、固めておく為、衰えた筋肉を取り戻すリハビリが待っている。
しかも、筋力……手を握り元のように物を持つのですら、リハビリ中酷く痛みが走るのだ。
それを聞いた時、家族は泣き、雅臣達は言葉を失った。
瞬の人生を、あの女は奪ったようなものだ……と。
しかし、瞬の父、紀良は、
「でも……命があって良かったです。行方が分からなかった時よりマシです。私たちも一緒にリハビリをします。大丈夫です」
と言い切った。
紀良の強さに、雅臣はさすが、瞬の父親だと感心したのだが……。
「あの……目覚ましの声って?」
雅臣は問いかけると、双子が顔を見合わせる。
「雅臣さんの声よ。あ、睛ちゃん。まーちゃんの人形持ってきた?」
「えぇ。でもいいんじゃない? 起こして貰いましょう、生声で」
「目覚まし……」
「まーちゃん器用なのよ。テディベア作って、服を着せて、録音した声に起こして貰うの。まーちゃん、低血圧だから。ほらみてて」
デデン!
睛が取り出したのは、大きめのテディベアに、子供用の着ぐるみロンパースを着せている。
そして、ぽんっと頭を叩くと、雅臣のゲームドラマCDの声などが入っていた。
『もう朝だよ。起きなさい』
「……やーだー……もうちょっと……」
「まーちゃん。まーちゃんの大好きな、雅臣さんがいるよ? 起きなくていいの?」
睛の言葉に、何度か瞬きをして、目を開ける。
「睛ちゃん~。どこ? 瞬の目覚まし時計」
「時計じゃないわよ。本人だってば」
ケラケラ笑う瞳に、次第に意識が覚醒し、自分をじっと見守っている存在に気がつく。
「ま、ま、ましゃおみしゃん!」
どもり詰まり、出てきた言葉が幼児語に、瞬は顔を真っ赤にして絶望的な顔をする。
「大丈夫だよ。傷が酷くて、一応全身麻酔して手術したから、大丈夫?」
「大丈夫です!」
手をあげようとしたら、両腕が包帯に覆われていて、傷が引きつることに気がつき、息を飲む。
「手術は成功したよ。でも、抜糸までこのままで、その後、筋力が落ちてしまうし、手の動きをゆっくり曲げ伸ばしするリハビリがあるから、無茶はダメだよ?」
「えっ? 退院、まだですか?」
「駄目なんだって」
瞳が、瞬の着替えを仕舞いながら答える。
「まーちゃんの怪我をさせた犯人が、自分は悪くないって言うんだって。それに取材陣とか犯人のファンが家に押し寄せて大変なんだって。ママが、まーちゃんを守らないとって、大丈夫になるまで入院してもいいって言ってた」
「あー、那岐くんが『何なら、俺の実家に避難するか?』だって」
無表情の睛が、さらっと呼んだ名前に、瞬は唖然とする。
「せ、睛ちゃんが、那岐さんの名前呼んでる……」
「友達だから。瞳ちゃんも呼んでるよ。まーちゃんもそう呼んでって、那岐くん言ってた」
「友達?」
「うん、意気投合した~。あのね。那岐くんや那岐くんの家族って、男の人だけじゃなく女の人も何人か第1種猟銃免許に罠や網の免許持ってて、大型トラクターを公道で走らせることができる特別大型免許に、大型トラック免許とか持ってるんだって」
顔は瞬と瓜二つの睛だが、珍しくワクワクしている。
「今度、猟の様子とか、道具の準備のその映像見せてくれるって! 獲ってさばいているのは、慣れない女の子にあまり見せるもんじゃないからって……優しいよね」
「……まーちゃん。一応あたし、自分のテンション高すぎるの悪いなぁって思ってたけど、睛ちゃんのこのテンションみて、まーちゃんやパパとママに謝らないとって思った」
「何? 酷いよ。いつも、瞳ちゃんのテンション、これじゃない」
「だから言ってるでしょ。ごめんって」
瞳は答える。
「だから、退院したら、まーちゃんも私たちと、那岐くんの実家に行くからね。ほら、丹生さんのお兄さんが、那岐くんのお父さんだから」
「那岐くんの実家の地域にいるお医者さんが、元オリンピック強化選手で、リハビリのプロなんだって」
瞬は、人見知りで口数の少ない睛が、嬉しそうで驚く。
15年一緒にいた姉の、このテンションの高さは初めてである。
本当に楽しいことを見つけたのだろう。
「うん。退院したら、リハビリするね。あの、雅臣さん……お仕事大丈夫ですか?」
「えっと、今日は休み……」
「な訳ないでしょうが!」
バーン!
扉を開けたのは、光流と那岐である。
「仕事ですよ! 仕事! しかも、直之さんと未布留姐さんがブチ切れて、あの馬鹿女の事務所に乗り込むって」
「だから俺、言ったんですよ。それより、あそこの事務所以外の事務所に、全部連絡して、アニメ会社とかゲーム会社にチクっといて、あそこの事務所の人間の仕事干したらどうですって。あ、そっかって、皆落ち着きましたよ。うちの親父と叔父達に聞いといて良かったです」
「おい! 那岐! テメェ! 茜ちゃんにもあれこれチクっただろう! 僕は悪くないのに!」
「茜が体調崩してるのも気が付かずに、臣さんのマンションに入り浸るのが悪い。俺の兄嫁と茜が同じ歳の従姉妹なんだよ。兄嫁が心配して『なっちゃん。あーちゃんの旦那さん、仕事忙しいって本当? 嘘ついたら本気で鉗子で舌引き抜くよ? って言っといてね~』だって」
「鉗子……」
双子は首を傾げると、雅臣が、
「手術の時とかに、ガーゼを挟むハサミとピンセットの半々みたいなのあるでしょう? あれだよ」
「テディベアにも使います!」
「あぁ、嘘ついたら針千本飲ますのと一緒ね」
つまらなそうに睛は見る。
「結構、この人嘘ついてそうだから、奥さん大変そう……」
「エェェェ、そうなの?まぁ、女好きそうね」
「何でだよ! しょ、初対面の子に何で……」
那岐は思い出したように、
「あ、そだっけ? 瞬ちゃんの双子のお姉さん達。こっちが、瞳って書いて瞳ちゃん、こっちが『画竜点睛を欠く』の睛ちゃん。えっと、歳幾つだっけ? まだ高校生? 聞いてなかった」
その言葉に顔を見合わせ、ぶっと噴き出した。
「私達は大学生よ。今年22ね」
「4年生。私は文学部。瞳ちゃんは理数学部」
「俺と同い年……何かショック……」
「何で?」
「年下だと思ってた~」
双子は顔を見合わせる。
「あぁ、睛ちゃんは言われるわよね。そっくりだからまーちゃんと双子とよく間違われるもんね」
「瞳ちゃんは落ち着きがないから、まーちゃんより年下に見られるでしょ」
「えーと。と言うか、俺、母親が年齢未詳なんだよな~。一応戸籍は親父より一つ上だけど。でも、兄嫁のとこの方が凄いんだ。兄嫁が俺の一つ上で、兄嫁の母さんとおばあちゃんに当たる3人が、髪の色と瞳の色以外はほぼ見た目、年が変わんないんだ。時々思うよな。年が見えないかなーとか」
「やめなっての。那岐。人の歳は聞かないの」
「っていうか、瞬ちゃん襲った若作り、あいつ40過ぎてたんだって」
那岐は顔をしかめる。
「あぁいうタイプ嫌いだ。化粧お化けめ。まぁ、そんなことを言ったってバレたら親父にボッコボコだけど、瞬ちゃんに酷い目に合わせた女は許さない! と言うことで、臣さん。瞬ちゃんは俺が見てるから、仕事」
ため息をつくと、雅臣は立ち上がり、
「じゃぁ、那岐。頼むな?」
と言って光流と去っていったのだった。
病院に行くまでに、止血のおかげで血はだいぶ止まったものの、麻酔をしつつ手などの傷を縫って貰いながら、そのちくちくする痛みに、その時は涙が止まらなかった。
元々楽観的で、負けず嫌いだが、今回は本当に心が折れそうになった。
両手のひらが傷つき、手首にも傷が出来た。
ゲームの世界の、雅臣が声をしていたディーデリヒが振るう剣の方が大きく、きっと斬られたら痛いし、生きていないのは分かる。
でも何で、戻って来て、余り知らない人から、こんなことをされないといけないのか……。
しかも、大好きな雅臣が兄の一人と尊敬しているガウェイン・ルーサー・ウェインが贈ってくれたのだと、嬉しそうに教えてくれた腕時計を盗んでいた……雅臣の大切なものを乱暴に扱っているのにカッとした。
雅臣は、軽く明るく自分の人生を語ってくれるが、今のご両親の元に行くまで大変だったのだと思う。
雅臣はご両親が本当に大好きで、両親とお兄さん達……家族を愛しているのだと分かる。
瞬も、両親や双子の姉が大好きだ。
だから、ゲームの世界の家族も大好きだけど、帰って来たのだ。
両親や姉達は怒ってるだろうけど、きっと最後には抱きしめてくれる。
それに、雅臣さんにも会えるかもしれない。
さっき、少し会えた。
名前も呼んで貰えた。
次は笑ってくれるかもしれない。
それに……。
「……側にいたいなぁ……」
「……ちゃん……瞬ちゃん……」
優しい声が聞こえる。
「目覚ましの声だけじゃ足りない。一杯一緒がいいなぁ……」
「瞬ちゃん?」
目が覚めたのか呟く声に、声をかけたのだが、こんこんと眠る瞬の目は開かなかった。
主治医となった先生も、
「多分、今日は起きないと思いますよ」
と言っていたが、両手に固めるように包帯を巻き、そして、上半身は縫わなくても良かったが傷があったのでガーゼが当てられている。
両手の怪我で、かなりの数の傷を縫っている為、毎日消毒の為包帯を変え、傷が塞がるまでこの状態。
一応起きてもいいが、転倒防止……よろけた時に壁などに手で支えるのは禁止の為、車椅子移動となっている。
抜糸の後は、固めておく為、衰えた筋肉を取り戻すリハビリが待っている。
しかも、筋力……手を握り元のように物を持つのですら、リハビリ中酷く痛みが走るのだ。
それを聞いた時、家族は泣き、雅臣達は言葉を失った。
瞬の人生を、あの女は奪ったようなものだ……と。
しかし、瞬の父、紀良は、
「でも……命があって良かったです。行方が分からなかった時よりマシです。私たちも一緒にリハビリをします。大丈夫です」
と言い切った。
紀良の強さに、雅臣はさすが、瞬の父親だと感心したのだが……。
「あの……目覚ましの声って?」
雅臣は問いかけると、双子が顔を見合わせる。
「雅臣さんの声よ。あ、睛ちゃん。まーちゃんの人形持ってきた?」
「えぇ。でもいいんじゃない? 起こして貰いましょう、生声で」
「目覚まし……」
「まーちゃん器用なのよ。テディベア作って、服を着せて、録音した声に起こして貰うの。まーちゃん、低血圧だから。ほらみてて」
デデン!
睛が取り出したのは、大きめのテディベアに、子供用の着ぐるみロンパースを着せている。
そして、ぽんっと頭を叩くと、雅臣のゲームドラマCDの声などが入っていた。
『もう朝だよ。起きなさい』
「……やーだー……もうちょっと……」
「まーちゃん。まーちゃんの大好きな、雅臣さんがいるよ? 起きなくていいの?」
睛の言葉に、何度か瞬きをして、目を開ける。
「睛ちゃん~。どこ? 瞬の目覚まし時計」
「時計じゃないわよ。本人だってば」
ケラケラ笑う瞳に、次第に意識が覚醒し、自分をじっと見守っている存在に気がつく。
「ま、ま、ましゃおみしゃん!」
どもり詰まり、出てきた言葉が幼児語に、瞬は顔を真っ赤にして絶望的な顔をする。
「大丈夫だよ。傷が酷くて、一応全身麻酔して手術したから、大丈夫?」
「大丈夫です!」
手をあげようとしたら、両腕が包帯に覆われていて、傷が引きつることに気がつき、息を飲む。
「手術は成功したよ。でも、抜糸までこのままで、その後、筋力が落ちてしまうし、手の動きをゆっくり曲げ伸ばしするリハビリがあるから、無茶はダメだよ?」
「えっ? 退院、まだですか?」
「駄目なんだって」
瞳が、瞬の着替えを仕舞いながら答える。
「まーちゃんの怪我をさせた犯人が、自分は悪くないって言うんだって。それに取材陣とか犯人のファンが家に押し寄せて大変なんだって。ママが、まーちゃんを守らないとって、大丈夫になるまで入院してもいいって言ってた」
「あー、那岐くんが『何なら、俺の実家に避難するか?』だって」
無表情の睛が、さらっと呼んだ名前に、瞬は唖然とする。
「せ、睛ちゃんが、那岐さんの名前呼んでる……」
「友達だから。瞳ちゃんも呼んでるよ。まーちゃんもそう呼んでって、那岐くん言ってた」
「友達?」
「うん、意気投合した~。あのね。那岐くんや那岐くんの家族って、男の人だけじゃなく女の人も何人か第1種猟銃免許に罠や網の免許持ってて、大型トラクターを公道で走らせることができる特別大型免許に、大型トラック免許とか持ってるんだって」
顔は瞬と瓜二つの睛だが、珍しくワクワクしている。
「今度、猟の様子とか、道具の準備のその映像見せてくれるって! 獲ってさばいているのは、慣れない女の子にあまり見せるもんじゃないからって……優しいよね」
「……まーちゃん。一応あたし、自分のテンション高すぎるの悪いなぁって思ってたけど、睛ちゃんのこのテンションみて、まーちゃんやパパとママに謝らないとって思った」
「何? 酷いよ。いつも、瞳ちゃんのテンション、これじゃない」
「だから言ってるでしょ。ごめんって」
瞳は答える。
「だから、退院したら、まーちゃんも私たちと、那岐くんの実家に行くからね。ほら、丹生さんのお兄さんが、那岐くんのお父さんだから」
「那岐くんの実家の地域にいるお医者さんが、元オリンピック強化選手で、リハビリのプロなんだって」
瞬は、人見知りで口数の少ない睛が、嬉しそうで驚く。
15年一緒にいた姉の、このテンションの高さは初めてである。
本当に楽しいことを見つけたのだろう。
「うん。退院したら、リハビリするね。あの、雅臣さん……お仕事大丈夫ですか?」
「えっと、今日は休み……」
「な訳ないでしょうが!」
バーン!
扉を開けたのは、光流と那岐である。
「仕事ですよ! 仕事! しかも、直之さんと未布留姐さんがブチ切れて、あの馬鹿女の事務所に乗り込むって」
「だから俺、言ったんですよ。それより、あそこの事務所以外の事務所に、全部連絡して、アニメ会社とかゲーム会社にチクっといて、あそこの事務所の人間の仕事干したらどうですって。あ、そっかって、皆落ち着きましたよ。うちの親父と叔父達に聞いといて良かったです」
「おい! 那岐! テメェ! 茜ちゃんにもあれこれチクっただろう! 僕は悪くないのに!」
「茜が体調崩してるのも気が付かずに、臣さんのマンションに入り浸るのが悪い。俺の兄嫁と茜が同じ歳の従姉妹なんだよ。兄嫁が心配して『なっちゃん。あーちゃんの旦那さん、仕事忙しいって本当? 嘘ついたら本気で鉗子で舌引き抜くよ? って言っといてね~』だって」
「鉗子……」
双子は首を傾げると、雅臣が、
「手術の時とかに、ガーゼを挟むハサミとピンセットの半々みたいなのあるでしょう? あれだよ」
「テディベアにも使います!」
「あぁ、嘘ついたら針千本飲ますのと一緒ね」
つまらなそうに睛は見る。
「結構、この人嘘ついてそうだから、奥さん大変そう……」
「エェェェ、そうなの?まぁ、女好きそうね」
「何でだよ! しょ、初対面の子に何で……」
那岐は思い出したように、
「あ、そだっけ? 瞬ちゃんの双子のお姉さん達。こっちが、瞳って書いて瞳ちゃん、こっちが『画竜点睛を欠く』の睛ちゃん。えっと、歳幾つだっけ? まだ高校生? 聞いてなかった」
その言葉に顔を見合わせ、ぶっと噴き出した。
「私達は大学生よ。今年22ね」
「4年生。私は文学部。瞳ちゃんは理数学部」
「俺と同い年……何かショック……」
「何で?」
「年下だと思ってた~」
双子は顔を見合わせる。
「あぁ、睛ちゃんは言われるわよね。そっくりだからまーちゃんと双子とよく間違われるもんね」
「瞳ちゃんは落ち着きがないから、まーちゃんより年下に見られるでしょ」
「えーと。と言うか、俺、母親が年齢未詳なんだよな~。一応戸籍は親父より一つ上だけど。でも、兄嫁のとこの方が凄いんだ。兄嫁が俺の一つ上で、兄嫁の母さんとおばあちゃんに当たる3人が、髪の色と瞳の色以外はほぼ見た目、年が変わんないんだ。時々思うよな。年が見えないかなーとか」
「やめなっての。那岐。人の歳は聞かないの」
「っていうか、瞬ちゃん襲った若作り、あいつ40過ぎてたんだって」
那岐は顔をしかめる。
「あぁいうタイプ嫌いだ。化粧お化けめ。まぁ、そんなことを言ったってバレたら親父にボッコボコだけど、瞬ちゃんに酷い目に合わせた女は許さない! と言うことで、臣さん。瞬ちゃんは俺が見てるから、仕事」
ため息をつくと、雅臣は立ち上がり、
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