姉妹の愚痴〜心身障害者への理解を〜

刹那玻璃

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第2章〜承

ユエさんと私と父

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 先日散歩のついでに実家に忘れ物を取りに行った時のこと。

 ユエさんは本当に散歩の時、最初が嫌がる。
 家から連れ出されるのが嫌なのか、過去のことを思い出すのか必死に腰を落として抵抗する。
 でも、散歩はユエさんのためにもなるし、私自身引きこもりで運動不足なので楽しく一緒に散歩がしたいと思っていたので、しつけを教わることも兼ねて、散歩の仕方を父に一から教わることにした。

 丁度GW。
 父に迎えに来てもらい、一回実家にある荷物を片付け、その後実家の犬を父が、ユエさんを自分がハーネスを手に出発した。
 すると、すぐにトイレを済ませ、くるっと実家の方向に戻ろうとするユエさんに、

「ユエさん、まだ出発して5分も経ってないよ!行くよ?」

と言うが、踏ん張る。
 すると父が、

「お前が近づいて横について、軽く行くぞと、二回引っ張ってみぃや」

と言う。

「犬は人間について歩くことを覚えさせないかんぞ。お前のペースにまだ慣れんのやが。まずはお前が横について、一緒に行くぞと教えないかんが~」

 それもそうかとユエさんに近づき、横に並ぶと、

「ユエさん。行くよ」

と軽く引くと、のそのそと歩き出す。

 えっ?
 あんなにおいで、行くぞ~、ほら、となだめたり引っ張ったりしていたのに、横に並びツンツンと軽く引っ張っただけで歩く。
 前はモップのような毛だったが、刈ると自分でも予期していなかったテディベアカットのプードルになったユエさんは、前は目を隠すような長い頭の毛を思いっきり刈ったので体が軽くなったのかトコトコと歩く。
 目の調子もいいらしく、耳がダンボのように進むたびにぴょこぴょこパタパタ揺れている。
 しかも、今までの散歩とは違い、尻尾を振っていた。

「なんでぇぇ……行こうや~、ユエさん~って毎回言ってたのに、横に並んで行くよって引くだけで、こんなにご機嫌に歩くの~?」
「お前が甘やかしすぎなんぞ。ユエは頭が良い。お前を自分を甘やかしてくれる、何しても許してくれるとおもとるわ。下には見てないが、お前はユエの主人ならちゃんと厳しい時は厳しく躾けないかんぞ。散歩だけでもお前がユエを甘やかしとんがよう分かるわ」
「うぅぅ……」

 一応言っておくと、トイレのしつけと餌、無駄吠えはやめさせることは教えたが、餌は今、飼い始めた頃の1日6回から何とか3回に減らしたいのだが、多く与えると、お腹を壊すのと途中で酷くむせて吐く。
 しかし三回にすると、夜寝る前に足りないと、お手お手と右前足でペシペシと腕を叩く。

「……1日4回か……」
「甘やかすなよ」
「違うよ~。父さん。ユエさんはお腹を壊すのと、むせるのとで一回の量を控えてるんだよ……朝昼晩。そうしたら、22時に頂戴頂戴って」
「散歩はサボるなよ」
「はーい!」



 今日もユエさんと散歩をする。
 同じコースだけでなく、時々、入ったことのない小道を行ったりして新しいものを見つける。
 そしてもっと自分が元気になれるように……ユエさんが幸せになれるように、私と一緒に歩く日々を幸せだと思ってもらえるようになりたいと思った。

 今日は散歩した。
 昨日よりも遠くまで歩いた。
 明日も歩く。
 梅雨になる前に雨ガッパを買おう。
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