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始まりのご挨拶から……ぼっこぼこです(笑)
この世界はまともな人ほど不幸度が高いです。(特にシュティーン)
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シュティーンは、ちょこんっと成時の横に座った少女を見る。
物心つくかつかないかの頃に会った亡き叔母……先代国王アヴェラートの皇后セリカに瓜二つ。
では……この子が……。
「父様。このお兄ちゃんは誰ですか?」
珍しい右目が青、左目が深紅の銀の髪の少女が首を傾げると、シエラは、
「あぁ、紹介するよ。サーヤ。このお兄ちゃんは、幸矢の守役の一人で、サーヤのおばあ様セリカ様の甥……マガタ家当主のスティファン卿。シュティーンお兄ちゃんだよ。そして、シュティーン。見て分かる通り、この子が幸矢と蒼記の妹の清夜。さーこの本名が清子だから、サーヤって呼んでるの。でも、ビックリでしょ?」
「あぁ、私が最後にお会いしたのは3才位で、もううろ覚えだけれど……本当にセリカ叔母上に似てる。全部じゃない。でも雰囲気が似てる。フワッと優しい笑顔が似てる。親父どのが喜ぶ……親父どのは本当にセリカ叔母上を可愛がっていたんだ。サーヤ様。もし、私の父に会ったら笑ってくれませんか?」
「シュティーンお兄ちゃんのお父さん? ……お祖父ちゃん?」
「え?」
シュティーンがキョトンとすると、
「ママンセラは、さーの本当のお父様はパパファンだって言ってた。あ~ちゃんもそうだよーって」
「はぁ? ちょ、ちょっと待って! 私は……」
「あ~ちゃんは『僕たちはあのどーしようもない、女たらしの浮気性で、ろくでもないのが父親だけど、サーヤのパパはパパファンだからね!』って言ってた」
違うの?
と言いたげに首をかしげる叔母に瓜二つのサーヤに、だらだらと冷や汗をかきつつ、
「えっと……サーヤ様のおばあ様のセリカ叔母上と、私の親父どのが年の離れた兄妹なんです。で、セリカ叔母上は、アヴィ叔父上と結婚されて最後に生まれたのが、私の3才下の従弟になる、サーヤ様たちご兄弟の父親の……」
「俺でーす!」
何故かほふく前進をして登場する従弟に、咄嗟に駆け寄り、
「馬鹿か? お前は馬鹿か? 何つー登場だ? 初対面の娘に会うのに、それはないだろ? え~と、サーヤ様っ!」
必死に馬鹿な従弟の不審としか言い様のない行動を、それなりに言い訳しようとしたシュティーンは、目の前を通りすぎる湯呑みが、従弟の額に激突する様に硬直する。
「あっつー! あつあつあつつ! シュティーン助けて! 熱い!」
「えっ! え~と、水……」
と、清夜を見ると、指で示すのが池。
ちょっと待て! 仮にも国王に……?
と今度はシエラと成時を見ると、同じく池……しかもシエラは、
「投げ込んでいいよ! 後で怒られるのはアレクだし。一気に逝け! アレク!」
「逝ってらっしゃい」
と、手を振る成時と清夜に、やけくそになったシュティーンは、重すぎる巨体を池に蹴り込んだのだった。
「あぁぁ……何したの? あの池には、エイの可愛がってる鯉がいるんだよ? その鯉、向こうの通貨で一匹数十ルゥド(1ルゥドは、約100万圓)するのもいるんだよ? 珍しいのわんさかだよ? エイがぶちきれるよ? 誰が池に入れた……って、シュティーン……シエラや子供たちのおもちゃ認定されてどうするの?」
呆れた口調でヴィクターは、兄の孫を見る。
「それに、アレクサンダー・レオンハルト!」
「は、はいぃ……」
ずぶ濡れで、庭に座り込むひ孫達の父親を見下ろし、
「もし、鯉が一匹でも行方不明、もしくは怪我、ショック死してたら、エイに思う存分八つ当たりされてこい! ついでに、汚い! 風呂に入ってこい!」
フワッと巨体のアレクの体が浮き上がり、そのまま風呂の有る離れに突っ込んだ。
「わー、父様すごーい!」
「何が?」
シエラの言葉に問いかけたヴィクターに、成時が、
「おお祖父様。今お風呂って……」
「きゃぁぁぁ!」
「女の敵! ぶっ潰す!」
「変態!」
風呂場から悲鳴に、泣き声が響き、
「な、貴方は! 私の妻子や妹の入っている風呂に、何しに来たんですか!」
ドカ、バキ、ドスーン!
という凄まじい粉砕音と共に、
「ち、違う! 風呂に入ってこいって投げ込まれて!」
必死に訴える声に、
「言い訳も大概にしなさい! 反省の言葉もないのなら、このまま……」
ぎゃぁぁー!
と叫ぶアレクの声に、
「あ、忘れてた。あの子達が入浴中なのを……」
「良いんだよ。父様。六槻に瑞波ちゃん泣かせたんだから、もうとことんやっちゃおう! じゃぁ、私も隼人の加勢に行ってきます!」
「湯船だけは壊さないように! 良いね?」
「他は?」
と問いかけたシュティーンに、ヴィクターは真顔で、
「私の子供達と清子にかかれば、何でも破壊するからねぇ……もう、いつもエイが嘆いてるよ。家や離れ位、破壊も当然。諦めたというより吹っ切ったよ。うん、長男の暴走よりまだまし! リュシオンは、シェールドの国庫284年分を一度に破壊したし……王都のマルムスティーン侯爵邸とその隣の広大な広場も壊して……もう少しで、チェニア宮を壊そうとして、ランス義父上が必死に止めたんだよね~? それに比べたら小規模小規模!」
あはは~
と笑う祖父の弟に、どう返事を返して良いのか……言葉のないシュティーンだった。
物心つくかつかないかの頃に会った亡き叔母……先代国王アヴェラートの皇后セリカに瓜二つ。
では……この子が……。
「父様。このお兄ちゃんは誰ですか?」
珍しい右目が青、左目が深紅の銀の髪の少女が首を傾げると、シエラは、
「あぁ、紹介するよ。サーヤ。このお兄ちゃんは、幸矢の守役の一人で、サーヤのおばあ様セリカ様の甥……マガタ家当主のスティファン卿。シュティーンお兄ちゃんだよ。そして、シュティーン。見て分かる通り、この子が幸矢と蒼記の妹の清夜。さーこの本名が清子だから、サーヤって呼んでるの。でも、ビックリでしょ?」
「あぁ、私が最後にお会いしたのは3才位で、もううろ覚えだけれど……本当にセリカ叔母上に似てる。全部じゃない。でも雰囲気が似てる。フワッと優しい笑顔が似てる。親父どのが喜ぶ……親父どのは本当にセリカ叔母上を可愛がっていたんだ。サーヤ様。もし、私の父に会ったら笑ってくれませんか?」
「シュティーンお兄ちゃんのお父さん? ……お祖父ちゃん?」
「え?」
シュティーンがキョトンとすると、
「ママンセラは、さーの本当のお父様はパパファンだって言ってた。あ~ちゃんもそうだよーって」
「はぁ? ちょ、ちょっと待って! 私は……」
「あ~ちゃんは『僕たちはあのどーしようもない、女たらしの浮気性で、ろくでもないのが父親だけど、サーヤのパパはパパファンだからね!』って言ってた」
違うの?
と言いたげに首をかしげる叔母に瓜二つのサーヤに、だらだらと冷や汗をかきつつ、
「えっと……サーヤ様のおばあ様のセリカ叔母上と、私の親父どのが年の離れた兄妹なんです。で、セリカ叔母上は、アヴィ叔父上と結婚されて最後に生まれたのが、私の3才下の従弟になる、サーヤ様たちご兄弟の父親の……」
「俺でーす!」
何故かほふく前進をして登場する従弟に、咄嗟に駆け寄り、
「馬鹿か? お前は馬鹿か? 何つー登場だ? 初対面の娘に会うのに、それはないだろ? え~と、サーヤ様っ!」
必死に馬鹿な従弟の不審としか言い様のない行動を、それなりに言い訳しようとしたシュティーンは、目の前を通りすぎる湯呑みが、従弟の額に激突する様に硬直する。
「あっつー! あつあつあつつ! シュティーン助けて! 熱い!」
「えっ! え~と、水……」
と、清夜を見ると、指で示すのが池。
ちょっと待て! 仮にも国王に……?
と今度はシエラと成時を見ると、同じく池……しかもシエラは、
「投げ込んでいいよ! 後で怒られるのはアレクだし。一気に逝け! アレク!」
「逝ってらっしゃい」
と、手を振る成時と清夜に、やけくそになったシュティーンは、重すぎる巨体を池に蹴り込んだのだった。
「あぁぁ……何したの? あの池には、エイの可愛がってる鯉がいるんだよ? その鯉、向こうの通貨で一匹数十ルゥド(1ルゥドは、約100万圓)するのもいるんだよ? 珍しいのわんさかだよ? エイがぶちきれるよ? 誰が池に入れた……って、シュティーン……シエラや子供たちのおもちゃ認定されてどうするの?」
呆れた口調でヴィクターは、兄の孫を見る。
「それに、アレクサンダー・レオンハルト!」
「は、はいぃ……」
ずぶ濡れで、庭に座り込むひ孫達の父親を見下ろし、
「もし、鯉が一匹でも行方不明、もしくは怪我、ショック死してたら、エイに思う存分八つ当たりされてこい! ついでに、汚い! 風呂に入ってこい!」
フワッと巨体のアレクの体が浮き上がり、そのまま風呂の有る離れに突っ込んだ。
「わー、父様すごーい!」
「何が?」
シエラの言葉に問いかけたヴィクターに、成時が、
「おお祖父様。今お風呂って……」
「きゃぁぁぁ!」
「女の敵! ぶっ潰す!」
「変態!」
風呂場から悲鳴に、泣き声が響き、
「な、貴方は! 私の妻子や妹の入っている風呂に、何しに来たんですか!」
ドカ、バキ、ドスーン!
という凄まじい粉砕音と共に、
「ち、違う! 風呂に入ってこいって投げ込まれて!」
必死に訴える声に、
「言い訳も大概にしなさい! 反省の言葉もないのなら、このまま……」
ぎゃぁぁー!
と叫ぶアレクの声に、
「あ、忘れてた。あの子達が入浴中なのを……」
「良いんだよ。父様。六槻に瑞波ちゃん泣かせたんだから、もうとことんやっちゃおう! じゃぁ、私も隼人の加勢に行ってきます!」
「湯船だけは壊さないように! 良いね?」
「他は?」
と問いかけたシュティーンに、ヴィクターは真顔で、
「私の子供達と清子にかかれば、何でも破壊するからねぇ……もう、いつもエイが嘆いてるよ。家や離れ位、破壊も当然。諦めたというより吹っ切ったよ。うん、長男の暴走よりまだまし! リュシオンは、シェールドの国庫284年分を一度に破壊したし……王都のマルムスティーン侯爵邸とその隣の広大な広場も壊して……もう少しで、チェニア宮を壊そうとして、ランス義父上が必死に止めたんだよね~? それに比べたら小規模小規模!」
あはは~
と笑う祖父の弟に、どう返事を返して良いのか……言葉のないシュティーンだった。
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