竜と王と剣と盾~改訂版

刹那玻璃

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始まりのご挨拶から……ぼっこぼこです(笑)

寝起きの六槻ちゃんは余り意味を理解してません。(騎士にとって最高の栄誉です)

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 最終的に、逃走したアレクを捕まえたアルドリーは、

「パパファン! もうこの人、どこか異空間に捨てていい? 知慧ちえ姉さんや綾ちゃんと日向夏ひゅうか月歩つきほの入浴を覗くなんて!」
「もう正直、父親とも思いたくない……僕」

アーサーは半目で父親を見る。
 その姿に、一応保護者であるシュティーンは、

「アレク謝れ! 女性の入浴を覗くなんて、最低の……」
「裸って言ってもそんなに胸とか見てねーし、それにセイラもそうだけど、グランディアの女ってボンキュッボンじゃ……」
「このボケが~! 死ね! 下衆!」

突然背後からアレクの後頭部を蹴った人物に、周囲は唖然とする。

「おら~! てめぇ、よくもまぁ、自分のことを棚に上げといて言えたもんだ! てめぇこそ……」
「姉様、これ以上下品な言葉言っちゃダメ! 父様泣いちゃうよ! それに、姉様はいつも言ってるでしょ! 美貌とは顔だけでなく!心も体も美しい人間が持つべきだって!」
「だが! こいつのさっきの失礼きわまりない! 暴言の数々を許せるか?」

 美少女はアレクを見つめ、

「許せないね! この下品きわまりないのが国王で、この下で働くなんて、許せない!
殺っちゃう!」

アレクをヘッドロックした後、バックドロップと連続技を成功させつつ怒鳴り付けようとしたプラチナブロンドの真っ直ぐの髪の一ふさのみ蒼く、瞳も蒼い美女。
 そして瓜二つだが、髪は蜜色のくるくるとウェーブがかかり、瞳は碧の美少女……だが、声は僅かに低い。

「だが、フィア! お前、手を出しすぎると、今後に差し障りが……」
「大丈夫! 僕がこの人をイチコロに出来る情報! 集めてるんだ! 途中で抜ける。後で父様と、ヴィク叔父様とアン叔母様に言いつけるし~! それに、兄様~! 会いたかったよぉ!」

 誰か『兄』の所に行くついでと言わんばかりに、アレクの急所をグリグリと踏みつけた美少女は満面の笑みで、

「兄様~! 僕頑張ったんだよ! 凄いでしょ? 凄いでしょ? 見てみて!」

先程アレクを蹴りつける際の嫌そうな表情とはうって変わり、きゃっきゃと見るのは、

「フィア! うわぁ! 凄いじゃない! えぇ? フィア、騎士団長? どこの?」

シエラはフィアと呼ぶ少女のピアスと腕章、そして胸を飾る階級章を確認し、

「……え? もしかして、白?」
「うん! でね、紅はウェイト兄様で、蒼がルー兄様。で、リオン兄様は王宮、エリー兄様が黒にウィン姉様は黄だよ!」
「は? じゃぁ、ラ……カイは?」

すると、残念そうに、

「あのね……最終昇級テストの二位になってて、王宮騎士団長候補だったんだけど、テスト前日、エリー兄様がお酒飲んで、ふらふらなのを支えようとしたら、突き飛ばされて、手首骨折に足の捻挫で……その上、くりあがりで団長になったエリー兄様の所の副団長になっちゃって……毎日仕事漬け!」
「何だってぇ! 私の可愛い一番弟子がそんな目に! エリオット……殺る!」
「えぇぇ! 兄様! 僕、可愛くないの?」

べそをかく美少女に、慌ててシエラは、

「フィアは私の可愛いフィア! 可愛いよ! だから、弟子とは違うからね? ね? 泣かないでね?」
「本当? わぁぁい! 兄様大好き!」

満面の笑みでシエラに抱きついた少女だが、その足は逃亡を図るアレクを再び気絶させている……その姿に、すいは、

「あれがマルムスティーン家の技か……僕も真似しよう! フィア兄さん凄いなぁ……」

その呟きに、周囲……セイラとアルドリーとアーサー以外は、ぎょっとして振り返る。

「に、兄さん?」
「うん、そうだよ。セイ。父さんに抱きついてるのが、マルムスティーン侯爵シルベスター卿の長男、リュシオン・フィルティリーア卿。歳は……」
「24歳だよ!」

 きゃはっ!

と可愛らしく笑う少女にしか見えない、成人男子フィア。
 そして、

「ルゥちゃん! 会いたかった!」

と、もう一人を抱き締めるのは、

「アル! 大きくなったなぁ……私より背が伸びて……」
「当然! 俺はルゥちゃんに手を引かれて、泣いてばかりだった子供じゃないんだよ? 明日16になるんだからね! 後4年だよ? 覚悟してよね?」

自分を抱き上げるアルドリーに艶然と微笑む。

「覚悟するが……アルも覚悟を決めるんだぞ? この私を妻とすると言うことは……このボケをぶっ殺す!」

 アルドリーの腕の中からスルッと抜け出、バック転を華麗に決めた美女は、逃走を図ったアレクを、同様に反応し走り出したフィアと共に、

「おらぁ! 逝け! このバカ叔父!」
「セリカおばあ様に土下座と、リュー父様にグリグリされてこい! ど阿呆!」

ウエスタンラリアットに八の字固めを決められ、

「ギ、ギブアップ! もうこれ以上されたら、死ぬ……」

必死に訴えるがシエラは、

「大丈夫だよ! 二人とも! もっとやれ!」
「OK!」

親指を空に向け拳を握ったルゥは、見事なまでの技を次々披露する。

「……なぁ、幸矢」

 横で呟く従兄の成時に、

「何? セイ」
「あの人……お前の父親って不死身……? ついでにあの二人……顔は本当に瓜二つの美人なのに、何で……」
「ルゥちゃんとフィアちゃんのお父さんである、俺のもう一人の育ての親のシルゥじいが、すごく強いんだよね……。それにあのパパファンも、そのお父さんであるルードじいに、シルゥじいとルードじいのお父さん……おおじいさまのお兄さんも強いんだよ。聖騎士だから」

アルドリーの言葉に、

「聖騎士?」
「うん。騎士の中でももっとも優れた功績をあげた、騎士の中の騎士。次は、多分フィアちゃんだよ」
「えっ? 世襲制?」

聞き返す従兄に首を振る。

「違うよ。白って、シエラ父さん言ったでしょ? 白はカズールの色。カズール伯爵家は騎士の一族。全ての騎士団を統率する剣の一族。その色を纏う騎士団長は、地位について数年後には聖騎士試験を受ける資格が生じるんだよ。それに、騎士団総帥のカズール伯爵の補佐官でもある。相当優秀でないとなれないんだよね。で、何でフィアちゃんが白の正装、ルゥちゃんが黒の略装かと言うと、黒はマルムスティーン侯爵家の色。そして、術師……魔術師といった方が早いのかな? その一族だよ。で、紋章は盾にエリオニーレの花に水の精霊オンディーヌ。カズールの紋章は剣にルエンディードの花に、ホワイトドラゴン。カズールとマルムスティーンがいないと、王は立てない。王にあるのは、国を守る責務と5爵のみ。もし、騎士を統率するカズールと術師を纏めるマルムスティーンに愛想をつかされたら、シェールドはおしまい。王族と二つの家は神話時代から代々続く古い家なんだよ」
「で、シェールドには6つの地域があって、東がマガタ公爵領。マガタ家の色はブルーブラック。だから、蒼騎士団って言う通称がある。南がファルト男爵領。ファルトはレッド。紅騎士団。西がカズール。色は白。北がマルムスティーン。黒。そして、中央南部と言っても殆ど占めるのはヴェンナード=シェールド子爵の領地のヴェンナード。色はダンデライオン。黄騎士団。中央の都市……と言うより王宮の回りの街がシェールド王家の領地。そこを守るのは王宮騎士団。シェールド王家は蒼。ブルーの正装だね」

 彗は答える。

「でも、ファルト家は昔、アシール大陸の中の西の隣国だったんだけど、狂王の乱の時に偽物の王を騙ったエアデールに滅ぼされて、アレクサンダー王がエアデールの凶行を阻んだ。王家の土地や財宝、全てをもう一つのスティアナと言う国にも分けた。で、スティアナ公国は南の土地を返して貰い……ファルト家共々アレクサンダー王に貰った財は、全て偽物の王によって苦しめられた人々にと全額国に戻した。で、実はラディリア公国と言う国があったんだけど、そこが一番被害が大きかったんだよね。マルセル公主と言う方がその当時の君主の一族だったけれど、国は断絶。人々も散り散り……君主の遺児ミュリエル公主も身を隠して……平和になっても民は100人足らず……。土地を買い人々を集め、途絶えかけたラディリアの伝承等を集めて、書籍、民具を残して……仕事を成したと言うかのように公主は消えたんだって。だから、マガタ家がラディリア公国を代理として治めてるんだって」

 アーサーの言葉に絶句する。

「そ、そうなのか……」
「うん、でも、本当に……あれ……僕の父親だって思いたくないんだけど……幸矢の言う通り、どっかに捨ててきてよ! パパファン! 何ならレッドドラゴンの繁殖期に投げ込んで! 僕が許す!」

 アーサーの言葉にシュティーンも疲れたのか、

「私も捨てたい……あれのお守り、もう嫌だ……」

とガックリする横に、ひょこっと顔を覗かせたのは、くりくりとした小さな少女。

「……にーちゃ。あれ、何してるの?」

 くいくいっとアルドリーの袖を引っ張る少女を優しくだっこしたアルドリーは、指で示す。

「あの、蒼い髪のおじさんは近づいちゃダメ。で、白っぽい金の真っ直ぐな髪のお姉さんはルゥちゃん。にーちゃんのお嫁さんになるの。で、彗よりも濃いはちみつ色の髪のお兄ちゃんはフィアちゃん。ルゥちゃんの弟なの」
「ルゥちゃんとフィアちゃん?」
「そうだよ。六槻むつき。ルゥちゃんとフィアちゃんに頑張って! って応援しようね? それよりも……」

 アルドリーは六槻の耳にこそこそ囁く。
 しばらく聞いていた六槻は頷き、そして、

「……えっと、えっと……ル、ルゥちゃん! フィアちゃん! 大好き! 頑張ってね! 後でむーちゃん、ほっぺにチュッてするね~!」

手を振り声援を贈る美少女の笑顔と勝利の戦利品に、アレクは敵うはずもなかったのだった…。
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