竜と王と剣と盾~改訂版

刹那玻璃

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始まりのご挨拶から……ぼっこぼこです(笑)

フィアちゃんは見た目は美少女(本性はネコ科の突撃魔です)。

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 美少女の声援に奮起し、ぐったりとするアレクの横でにっこりと笑う美貌の姉弟。

「ふわぁ~! ルゥちゃんもフィアちゃんも可愛い! それに……」

 フィアにとって可愛いという言葉は、公ではスルーするのだが私事の場合は、特に気分が高揚している今だと血の雨を見る……特にシュティーンは青ざめるが、美少女の六槻むつきは嬉しそうに、

「フィアちゃん! とーちゃまの言ってたフィアちゃんでしょう? あのね、あのね?むーちゃん、フィアちゃん大好き! にーちゃの次にかっこいいの!」
「に、にーちゃの次……?」
「うん。にーちゃ!」

無邪気に従兄のアルドリーを示す。

 いくら王太子であり、少女が共に育ったとはいえ、二番……と微妙にどう返答して良いのか困っていると、

「あ、大丈夫。フィアちゃん。俺の次っていうのは、本当に特別だから」

アルドリーが下ろすと六槻に、

「六槻? 二人におおじいさまから習ったご挨拶からね?」
「あい。みなしゃま、はじめまして。む、私は、グランディアの名前では清水六槻。六槻・アエラ・アルカサール・エクティフィン・サラ・カズールと申しましゅ。よろしくお願いしましゅ」

本来令嬢は父、もしくは傍のパートナーが挨拶をするのが礼儀だが、六槻はシェールドの正式な戸籍はなく、シェールドのマルムスティーン侯爵と言う高位の令嬢と令息に対する挨拶が優先である。
 可愛らしく、照れ笑う少女にメロメロになりかけ近づきかけた弟を取っつかまえ、ルゥは優雅な挨拶をする。

「初めまして。六槻。私は、ルエンディード・カエサール・ドーエン・サー・マルムスティーンと申します。マルムスティーン家の当主シルベスターの長女です。ルゥと呼んでくれるととても嬉しいわ。六槻と呼んでも構わないかしら?」
「は、はい、ル、ルゥちゃん……ルゥお姉さま?」

 考え込む六槻に、ルゥは微笑み、

「ルゥちゃんで嬉しいわ。そう呼んでちょうだいね?」
「はい、ルゥちゃん」

 六槻は近づくと、ルゥの頬に唇を寄せる。
 音はしなかったのだが、

「大好きのチュッ! なの!」

という言葉とテレテレと頬を赤らめる少女に、ルゥもクラクラしつつ、

「じゃ、じゃぁ、ルゥちゃんも六槻に大好きのチュッ!」

返ってきたキスに嬉しかったのか、

「ルゥちゃん、だーい好き!」

ぎゅーっと抱きつく六槻に、ルゥはメロメロになった……兄弟に違いはない……。

「姉様ずるーい! 僕も、僕も!」

 訴える弟の声に我に帰り、

「あ、悪かった。フィア……自分を忘れかけた」
「ずるーい!」

ぷくーっと頬を膨らませるフィアにてててっと近づくと、六槻が、

「フィアちゃん、フィアちゃん!」
「あ、な、なぁに? 六槻ちゃん」
「お名前教えて? フィアちゃんのお名前聞きたいの」

にこぉっと無邪気な笑顔に、再びクラクラとするフィアを今度はシュティーンが止める。

「暴走しない! フィア」
「で、でも、可愛いんだもん!」
「……したいなら、ちゃんと挨拶の上に、シエラにアルドリーたちにOKを貰ってからにしてくれないか……本気で……頼む! 誰か私の重荷を減らしてくれ!」

 シュティーンの心からの叫びを周囲はさらーと流すが、六槻が、

「おにいちゃま?」

手招きをする六槻に腰を屈めたシュティーンの頭を、

「おにーちゃま、良い子良い子。良く頑張りました、なの」

呆気に取られ硬直するシュティーンに、首をかしげ、

「んっと……んっと……良い子良い子、ダメ?」
「え、あ……ありがとうございます。剣の一族の姫君。感謝いたします」

優雅に頭を下げたシュティーンにぶーっと頬を膨らませ、

「ずるーい! シュティーン兄様まで!」
「じゃ、じゃぁ、フィアも挨拶をして……」

フィアはにっこりと六槻に微笑みかける。

「初めてお目にかかります。私はリュシオン、リュシオン・フィルティリーア・ルエン・サー・マルムスティーン。マルムスティーン家の長男で、騎士としての地位はカズール領騎士団、団長兼先代陛下アヴェラート・グジェリェーン様より直々に、アルドリー王太子殿下が誕生より、殿下の側近としてお仕えするようにとお言葉を賜っております」

 小難しい言葉に首をかしげた少女に、フィアは、

「えっと……僕はリュシオン・フィルティリーアです。ルゥちゃんの弟で、アルドリー……えっと幸矢こうやくん?の親代わりだった、シルゥじいじの息子です。六槻ちゃんのお父さんに、勉強や剣の握り方とか一杯教えて貰ったんだよ? そして、幸矢君のお祖父ちゃんのアヴィ伯父様に、大きくなったら幸矢君を支えてほしいって直々にお願いされたの。だから、一杯勉強して……それに騎士になって、頑張ってきたの。だから、六槻ちゃん。仲良くしてね? あ、リュシオンのリューっていう通称は、六槻ちゃんの伯父様のリュー父様の愛称だから、フィアって呼んでね?」
「フィアちゃん。あのね、あのね! むーちゃんね? フィアちゃんに会いたかったのよ?」

近づいた六槻は頬に先程と同じように、

「フィアちゃんに大好きのチュッ! なの」

頬にキスをされ、一瞬我を忘れかけたフィアを正常に機能させたのは、

「あれ……? フィアちゃん。普通、騎士になったりすると、カズール伯爵に忠誠を誓うし……5爵以外は国に、5爵は王に忠誠を……だよね?」

アルドリーの問いかけにフィアは、

「シエラ兄様、教えてなかったの?」
「うん。面倒だし~それに、この馬鹿みたいになっては困る……っと、おりゃぁぁ!」

シエラが柔道の一本背負いを決めると幸矢を見る。

「えっと、一応簡単にいうと、私はこのアレクに忠誠を誓うつもりは毛頭、これっぽっちもなくって…」

 爪の先を示す。

「国を出ていきまっす! って宣言したら~、アヴィ兄様が、じゃぁ、将来アレクに子供が生まれて、自分の忠誠を誓うに足る存在になったら誓って欲しいって言われたの」
「はぁ? お、俺、一言も聞いてないよ?」
「うん、言ってないもん。ついでに、私がカズールの人間だから、マルムスティーンの方も出すことにするって、で、本当はシルゥ兄様が手を挙げたんだけど、幾らなんでも当主が形ばかりの忠誠を誓ってても、バカでも、義弟でもアレクを見捨てるのはってで、フィアにその役目が与えられたの」

 絞め技に押さえ込み……それを面白がる周囲の横で、

「え、ええぇ? 父さん、どうするの? 俺の騎士って……お給料払ってないけど……? その上、養われてるんだけど……?」

アルドリーの一言に、お返しのチュッを返したフィアが、

「大丈夫だよ? 僕がアルの財産管理に投資に、色々やっておいたよ? 『王太子殿下から』ってことで、慈善団体に寄付とか、幾つか運営もしてるし……それと、投資したら個人財産国庫200年分になってるし……それとは別に、僕の分のお給料とシエラ兄様たちがアルを育ててたこと、そう言うことも解ってたから、別に財団立ち上げて……一つはシエラ兄様の財団、一つはアルのお祖父様と伯父様の共同運営財団に、セイラ姉様の弟さんたちのも立ち上げてて、結構優良だから、安心して!」
「そ、そこまで……」

周囲が絶句するなか、フィアは真顔で、

「マルムスティーンは外交交渉を中心に行う一族ですので、情報を得たらすぐに動くようにしてますから。それに、カズールは戸籍を守る確認する一族で、マルムスティーン家で生まれ、カズールで育った私には訳もないことです」
「き、騎士の仕事……?」
「え? 面倒で、諜報部隊に入ってて~15才から転々と……で、17歳の時に、えーと……何回目だったかな? 死にかかった上に記憶がぶっとんじゃって~。で、3年間療養して、20で復帰。暴走するから、蜜竜ハニードラゴンは檻に閉じ込めろって、閉じ込められてる」

聞いてはならない言葉を聞いたような気がしてアルドリーは、

「死にかかったって……何したの? フィアちゃん」
「ん? えっと……」

と気軽に話し出したものだが、想像を越える言葉に絶句することになる。

「最初は紅騎士団で、人身売買組織に連れ去られていた王家の……アルのお祖父様の姉上の孫に当たる公女を見つけ出したけど、その人は正体がバレそうになって、代わりに僕が救出して逃げようとしたら、その組織のトップが当時の紅騎士団副団長で、バレたら困るって公女を殺しかけて……庇って背中バッサリ! 20日位、生死の境をさ迷って……目が覚めたら、蒼にいた騎士の館の同期で親友のファーが、紅の潰した組織と関連がある組織に誘拐されたの。団長と僕の遠縁のウェイト兄様が、ファーや組織に異国に売られていく女子供を見過ごせるか! って激怒してるのに、他の騎士は仕方ない。諦めろって……。じゃぁウェイト兄様が一人でも! って突っ走るのを……」
「止めたの?」
「ううん。団長と数人の騎士見習いとで、ちょうど静養に来ていたシュティーン兄様の父様に手を貸してくれって頼みに行ったら『俺もいく~。最近腕がなまってたんだよな~ちょっくら、遊んでくるか』って、伯父様来てくれて~で、突撃! 僕小さいでしょ? 小回りきくから、ちょろちょろ敵の船の中を動き回って、船の主要部分を破壊して、で、船底に監禁されている被害者達のところに行ったら、敵に拘束されていた親友が斬られてて、ウェイト兄様が蒼白になってて、動けない上に相手もそっちしか見てなかったから、近づいてファーを救出して、戦ってたら、監禁されてる女の人の一人が組織の人間で、そこらにあったボロボロの木の板のとがってるところで、ここ刺されて……その上次は目を狙ってくるから、庇った腕の3ヶ所……だったかなぁ……刺されて~。寝てるの億劫だし、まだ密売組織がいるっていう黒に行って、連携で壊滅まで追い込んだんだけど、最後に、又刺されて真冬の河にざっぶーんで、凍死寸前?」

 指で数えていく、その可愛い……と言っては本人は嫌がるだろうが、愛らしい美少女にしか見えないフィアの口から再び……。

「で、んーと、黄色では、窃盗団が王宮周辺で盗んだものを売りさばいてるからって、調べて壊滅。その時は何ともなかったんだけどねぇ……王宮に不審な組織があるって言うことで侵入したら、そこ、裏の世界での賞金首を狙ってる暗殺者集団だったんだよ~。で、そこに集まってた人間の半分以上は潰したんだけど、そこで、頭を殴られて…手足縛られた上に猿ぐつわの姿でアンブロシアス河にポッカリ。その時に助けてもらったのが、カイ兄様で……皆に良く助かったなって今でも言われる。アハハ~。若かった!」
「アハハじゃないでしょ!」

 シエラは、今度はテコンドーで足技を食らわせながら説教する。

「そんな特攻、誰に習ったの!」
「兄様」

 フィアの一言にシエラは一瞬青ざめたものの、アレクに次は何をしようか……と自己逃避をしたのだった。
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