可愛いいとこがイケメン(?)に成長していました?

刹那玻璃

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始まり始まり

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「……あぁ、またか……」

 見合いをした会場から帰る道すがら、ルゥは遠い目になった。

 もう何十回、見合いをすることになったのだろう。
 まぁ、両親や祖父、伯父伯母たちはルゥの傷が深くなる前に、やめときなさいと言うのだが、母の弟……つまり一応国王叔父が面白がって見合い相手を見繕うのである。
 見返してやると思ったルゥも、ヤツ叔父に振り回されているのだろう。

 ムカつく、ムカつく……次こそは、ヤツをる!
 そうだ!
 いくら親友の夫とは言え、バカ叔父は敵だ!
 今度こそ殺りとげて見せよう!

 そうすれば大好きな父や伯父も、毎日疲れ切って帰っては来ないだろうし、幼なじみの慣れ親しんだ眉間のシワも減るだろう。
 ついでに、ストレス発散にもなる!
 最近、最愛の弟は仕事で会えないし、こんなドレスなど脱いで、弟の住む街に気晴らしに行くのもいいかもしれない。

と、言うわけでルゥはふんふんっと鼻歌を歌いながら着替えをする。

 一応、叔父が王なので、公式には姫と呼ばれている。
 ……笑いたければ笑うがいい!
 自分でも似合わないのは分かっているが、この国は現在、王族が極端に少ない。
 それに、王妃である親友は事情があり現在不在。
 数少ない王位継承者の伯母である先代王太女も忙しく、その仕事を減らそうと少々手伝っている。

 ……あぁ、話を戻そう。
 姫君であるルゥが、一人で着替えできるのか?
 それが……できるのである。
 メイドや女官は生活する場所でそれぞれ付くのだが、着替えを手伝ってもらうと逆に着飾ろうと力と時間を尽くしてくれるので、大変面倒くさい。
 自分で着替えをすれば、どんな服でも納得できるし、術で布を押さえておけば、プリーツやギャザーはお手の物、リボンも綺麗に整えられる。

 今日は、自宅に置いてある弟の服を盗んできた。
 普段借りていく父の服は、生地は家の象徴色の黒だが、裁縫の名手の母のお手製の黒から灰色や銀までの同系色を用いた糸を用いた刺繍で飾られ、凄まじく地味派手である。
 逆に父に瓜二つの弟は、年齢もあるのかシンプルで淡い色が多く、今回借りてきたものは淡いグレイで、縁はルゥが趣味で針をとった銀糸で刺繍されているものである。
 急いでいるものの、確認のために鏡を見て、

「……むっ……胸がきつい? 太ったか? いや……サイズが変わったのか?」

腕を回し、普段の行動に問題ないことを確認するが、ウエストや肩幅はゆるいと言うのに、胸がまたきつくなったのに、ショックを受ける。

「体重は増えてなかったのに、またサイズが変わったのか? なんで? うぅぅっ……母さまはほっそりしてるのに……セラヴィナおばあさまに似たのかな? ……おばあさまには申し訳ないけれど、これでは武器が持てない」

 次からは、サポーターか胸当てを用意しなければとため息をつく。

「それは次でいいから、まずは出かけようか」

 自分的には女性らしい体格より武器を持つ方が面白いのにと思いつつ、弟の職場のある街に急ぐのだった。
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