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始まりは多分お別れという意味なのですわ。
何が悪かったんだ? なんでこんなことに……アンディール目線(ザマァ開始!)
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俺はアンディール・ラズラエラル。
一応、若くして暗殺された父方の祖父のファーストネームが同じアンディールというので、家族内ではディール、もしくはアンディールと呼ばれるが、職場ではラズラエラルというセカンドネームで呼ばれる。
まぁ、祖父は当時の王太甥……先代国王の甥に当たり、先代国王が結婚して後継者である現在の陛下が生まれるまではその地位についていた。
祖父は外面が良く、王宮内では『暴れ竜の調教師』と呼ばれて崇め奉られていたらしいが、本性は、先王と一緒に暴れ回り、躾と称して、曽祖母に術封じの腕輪に足輪をつけられては10日余り執務室に監禁され、仕事漬けの生活をたびたび送らされていたそうだ。
だが、それは祖父が当時後継者不足だった王族の人間だったからで、その後、祖父は祖母と、先王は俺からすれば祖母に当たる母上の母……あぁ、俺は父方も母方も破壊魔神たちの血を引いているのだ……と結婚してそれぞれ子供も産まれ、後継者に不安がなくなり、祖父は王太甥の地位を退き、マルムスティーン家に養子に入る予定だった。
暗殺事件が起こらなければ。
その後、色々あって親父が現在マルムスティーン侯爵なのだが……。
で、意味がわからないのは、どうして次の侯爵の俺が、術封じの腕輪、足輪、首輪に額飾りまでジャラジャラとつけられて、愛妻の七聆と子供たちとここ……七聆の弟のちぃ兄の部屋に繋がれているのか?
可哀想なことに、8歳と4歳の子供たちも、腕輪と腰に細いものの紐で縛られて、一定範囲しか移動できないようになっているし、七聆は俺と同じ術封じの上に喋れないように声まで封じられている。
食事や水は出されるけれど、なんで、俺たちがこんな目にあうんだ?
そういえば、ルナの育児放棄とか言ったな?
なんで、育児放棄なんて言うんだ?
おかしくないか?
そりゃ、俺たちは、親父から見れば、6歳のルナをあまり構わなかったかもしれないさ。
でも、その代わりに親父やじい様たちが、あいつを猫可愛がりしてきたじゃないか。
逆に、サディとミリアなんか、ルナほどみんなに可愛がられたことはない。
だから俺たちは、二人を可愛がってきたんだ。
なのに、それのどこが悪いんだ?
ひいきをするのが悪い?
ひいきなんてしていない。
ちゃんと見てきたはずだ。
それに俺が見られない時はある程度、ナナが見ていたはず……。
キキィ……扉が開き現れたのは、父のエドワードと、大叔父に当たるアルベルト。
「親父……」
「あぁ、安心して? 戸籍から君たちの名前を抹消したよ。だから、君はもう私の息子じゃない。私には娘しかいない。孫も、娘の子供3人とルナリアだけだ。だから、私とサーヤを父母と呼ばないでくれないか。ラズラエラル卿」
「な、何でだよ! 次の侯爵は俺だろ?」
「何を言うのかな? もう一度いう。君は私の息子ではない。つまり、マルムスティーンの一族の者ではない。それに君が私の息子、マルムスティーンの人間だったとする。でも、一族にはここにいるアルベルトをはじめとして、優秀な人材が多いんだ。君のような愚かな馬鹿に、跡を継がせるわけないじゃないか」
ハッ!
初めて見る、嘲笑う父に俺は怯む。
なんでこんなに冷たいんだ。
知らない。
こんな顔をするなんて……知らなかった。
「私たちは一応、君を子供として見守っていたつもりだ。教育も躾も、ちゃんとね? それに、常に言い聞かせていたはずだ。マルムスティーン家は歴史あるこの国を、王家とカズール家と共に見守って作り上げてきたと。その家に生まれた人間としての誇りと、代々の当主がどれだけの思いでこの国のために尽くしてきたかを理解し、次に繋げていく必要があるのだと。何度も何度も、私だけではなく、先代、先先代当主であるおじいさまたちが話していた。ちゃんと聞いていたのか?」
淡々と、しかし冷えた……怒りも悲しみも感じられない、家族の情を削ぎ落とし、要件のみを伝えるかのよう。
「で、次の当主のことだったかな? マルムスティーンの人間ではない君に、一応言ってあげよう。マルムスティーンの血の濃い後継者候補だったのは……まぁ、昨日までいた私の息子だったアンディール、そして私の叔父であるアルベルト。同年代だったね。この二人が有力だった。けれどかたや、10代から外交官としてさまざまな場に出向いて、他国の国王陛下や公主、外交官と会談、交渉を私の代理として担っていたアルベルト。そしてかたや、家の金を勝手に引き出して遊び回り、なんとかツテとコネを駆使し就職し、したとしても頻繁に無断で休む。出勤しても前日に浴びるように飲んだ酒の匂いをぷんぷんさせ、執務室でだらしなく寝ている。遅刻はほぼ毎日。ついでに、長女が熱を出した、風疹になった、水疱瘡になった、麻疹にかかったと休みを取ってる。まちがいないかな?」
「間違い……ないです。でも! 子供の病気は本当で……」
「へぇ……ねぇ? アルベルト。さっき、ちぃやおじいさま……君のお父さんがなんて言っていたか、教えてくれないかな?」
後ろで静かに立っていたアルベルトは、嫌そう顔を顰め首を振る。
「えーちょっと待って! 説明してよ~!」
「馬鹿嫌い。喋りたくない。これ見て」
持っていた小型の機械を、壁に向ける。
そして仕方なさそうに、
「これ、ルナの作った機械。盗聴、監視映像。加工してない」
「いやいや、楽しむためじゃないから、加工してないけど編集はしてるよね? それに、ラズラエラル卿? これは私が許可を与えて撮ってるものだからね? これが、君たちの言う、ルナリアのお遊びって言って腹を立てたり、馬鹿にしてたものだよ?」
父のその言葉とともに流されたものに、俺とナナは言葉を失った。
一応、若くして暗殺された父方の祖父のファーストネームが同じアンディールというので、家族内ではディール、もしくはアンディールと呼ばれるが、職場ではラズラエラルというセカンドネームで呼ばれる。
まぁ、祖父は当時の王太甥……先代国王の甥に当たり、先代国王が結婚して後継者である現在の陛下が生まれるまではその地位についていた。
祖父は外面が良く、王宮内では『暴れ竜の調教師』と呼ばれて崇め奉られていたらしいが、本性は、先王と一緒に暴れ回り、躾と称して、曽祖母に術封じの腕輪に足輪をつけられては10日余り執務室に監禁され、仕事漬けの生活をたびたび送らされていたそうだ。
だが、それは祖父が当時後継者不足だった王族の人間だったからで、その後、祖父は祖母と、先王は俺からすれば祖母に当たる母上の母……あぁ、俺は父方も母方も破壊魔神たちの血を引いているのだ……と結婚してそれぞれ子供も産まれ、後継者に不安がなくなり、祖父は王太甥の地位を退き、マルムスティーン家に養子に入る予定だった。
暗殺事件が起こらなければ。
その後、色々あって親父が現在マルムスティーン侯爵なのだが……。
で、意味がわからないのは、どうして次の侯爵の俺が、術封じの腕輪、足輪、首輪に額飾りまでジャラジャラとつけられて、愛妻の七聆と子供たちとここ……七聆の弟のちぃ兄の部屋に繋がれているのか?
可哀想なことに、8歳と4歳の子供たちも、腕輪と腰に細いものの紐で縛られて、一定範囲しか移動できないようになっているし、七聆は俺と同じ術封じの上に喋れないように声まで封じられている。
食事や水は出されるけれど、なんで、俺たちがこんな目にあうんだ?
そういえば、ルナの育児放棄とか言ったな?
なんで、育児放棄なんて言うんだ?
おかしくないか?
そりゃ、俺たちは、親父から見れば、6歳のルナをあまり構わなかったかもしれないさ。
でも、その代わりに親父やじい様たちが、あいつを猫可愛がりしてきたじゃないか。
逆に、サディとミリアなんか、ルナほどみんなに可愛がられたことはない。
だから俺たちは、二人を可愛がってきたんだ。
なのに、それのどこが悪いんだ?
ひいきをするのが悪い?
ひいきなんてしていない。
ちゃんと見てきたはずだ。
それに俺が見られない時はある程度、ナナが見ていたはず……。
キキィ……扉が開き現れたのは、父のエドワードと、大叔父に当たるアルベルト。
「親父……」
「あぁ、安心して? 戸籍から君たちの名前を抹消したよ。だから、君はもう私の息子じゃない。私には娘しかいない。孫も、娘の子供3人とルナリアだけだ。だから、私とサーヤを父母と呼ばないでくれないか。ラズラエラル卿」
「な、何でだよ! 次の侯爵は俺だろ?」
「何を言うのかな? もう一度いう。君は私の息子ではない。つまり、マルムスティーンの一族の者ではない。それに君が私の息子、マルムスティーンの人間だったとする。でも、一族にはここにいるアルベルトをはじめとして、優秀な人材が多いんだ。君のような愚かな馬鹿に、跡を継がせるわけないじゃないか」
ハッ!
初めて見る、嘲笑う父に俺は怯む。
なんでこんなに冷たいんだ。
知らない。
こんな顔をするなんて……知らなかった。
「私たちは一応、君を子供として見守っていたつもりだ。教育も躾も、ちゃんとね? それに、常に言い聞かせていたはずだ。マルムスティーン家は歴史あるこの国を、王家とカズール家と共に見守って作り上げてきたと。その家に生まれた人間としての誇りと、代々の当主がどれだけの思いでこの国のために尽くしてきたかを理解し、次に繋げていく必要があるのだと。何度も何度も、私だけではなく、先代、先先代当主であるおじいさまたちが話していた。ちゃんと聞いていたのか?」
淡々と、しかし冷えた……怒りも悲しみも感じられない、家族の情を削ぎ落とし、要件のみを伝えるかのよう。
「で、次の当主のことだったかな? マルムスティーンの人間ではない君に、一応言ってあげよう。マルムスティーンの血の濃い後継者候補だったのは……まぁ、昨日までいた私の息子だったアンディール、そして私の叔父であるアルベルト。同年代だったね。この二人が有力だった。けれどかたや、10代から外交官としてさまざまな場に出向いて、他国の国王陛下や公主、外交官と会談、交渉を私の代理として担っていたアルベルト。そしてかたや、家の金を勝手に引き出して遊び回り、なんとかツテとコネを駆使し就職し、したとしても頻繁に無断で休む。出勤しても前日に浴びるように飲んだ酒の匂いをぷんぷんさせ、執務室でだらしなく寝ている。遅刻はほぼ毎日。ついでに、長女が熱を出した、風疹になった、水疱瘡になった、麻疹にかかったと休みを取ってる。まちがいないかな?」
「間違い……ないです。でも! 子供の病気は本当で……」
「へぇ……ねぇ? アルベルト。さっき、ちぃやおじいさま……君のお父さんがなんて言っていたか、教えてくれないかな?」
後ろで静かに立っていたアルベルトは、嫌そう顔を顰め首を振る。
「えーちょっと待って! 説明してよ~!」
「馬鹿嫌い。喋りたくない。これ見て」
持っていた小型の機械を、壁に向ける。
そして仕方なさそうに、
「これ、ルナの作った機械。盗聴、監視映像。加工してない」
「いやいや、楽しむためじゃないから、加工してないけど編集はしてるよね? それに、ラズラエラル卿? これは私が許可を与えて撮ってるものだからね? これが、君たちの言う、ルナリアのお遊びって言って腹を立てたり、馬鹿にしてたものだよ?」
父のその言葉とともに流されたものに、俺とナナは言葉を失った。
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