わたくしは親も兄弟もおりません!自由にさせていただきます!……はぁぁ?今更何をおっしゃいますの?

刹那玻璃

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その後……辺境の医術師の話と《蘇芳プロジェクト》

その後……荷物を送ることにする(マルムスティーン侯爵夫人目線)

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 私は、国王の上の妹で、現在のマルムスティーン侯爵夫人だ。
 一応公的な名前はレイ・ディーアと言う。
 でも、14歳までは母方の親族のもとで、清夜さやという名前で育ったので、呼ばれると返事に困る。
 違和感が半端ないのだ。
 それにレイは元々、この世界の創造の女神の名前の一部で、美しく聡明な子供に育ってほしいと女の子につけられる一般的な名前。
 実父が付けてくれたのだが、彼には壊滅的なほど名前のセンスがなかったようだ。
 他にはロイド、ブラッド、カイト、ヨシュアなどという男性の名前を選んでおり、まだ女性につけても違和感のない、マシなこれになったともいう。
 ちなみに私以外の男兄弟の正式名称は父方の祖父が、妹は父方の祖母が考えて遺していた名前だという。
 他にも考えていたものがあったようだ。
 そちらを貰いたいとお願いすればよかった、チッ!
 
 ……話を戻そう。
 私は前国王の第三子で第一王女になる。
 兄弟は私を含め五人。
 2歳上の双子の兄たち……国王アルドリー、王弟アーサー以外に、14歳下の双子の弟妹……王妹アラバニール、王弟アルトゥールがいる。
 兄たちも弟妹たちも双子、なんて羨ましい。
 私にも、双子の弟妹がいればよかったのにと何度も思ったのだが……

「よししだよ? 気が合うかどうかもわからないだろうし」

と、長兄幸矢こうやの弁。

「そうそう。僕はひがんだりしない、いい子だったからね。うまくいったけど、ほら、セイの弟妹の三つ子たち見てごらんよ。二葉ふたばはおっとり、千夜ちやがお利口、七聆ななきは手のつけられないお転婆」
「うちのねがいのぞみはどちらも大人しくて優しくていい子たちだけどね。二卵性だからあんまり似てないけど、お目目くりくりで可愛い」
「……幸矢。あんまり甘やかさないようにね?」
蒼記あおきこそ、猫の親みたいにデレデレしないんだよ。《獅子は千尋せんじんの谷に我が子を落とす》って言う言葉あるけど、そこまでしないにしろ、ちゃんと成長するときに距離を置くことも大切だからね?」
「幸矢ほどじゃない。まぁ、僕たちは男同士だから、希は可愛い! そしてさーやも可愛い。二人とも、そんなに遠くに嫁に出さないでよかった」

 次兄蒼記が言う言葉に少し呆れる。
 たった二つ違いだと言うのに、兄たちが私や弟妹を見る目線が、一人前に親だ。
 私の旦那と同じ歳なのに、父親目線ってどうなの?

 ちなみに、ねがちゃんはカズール伯爵である私たちの養父、シエラシール父様の甥の子になるセナ君と結婚している。
 セナ君はカズール家の人間だけどまだ若いし、王都で仕事をしているから、希ちゃんは王都にある屋敷……私の嫁ぎ先であるマルムスティーン邸の別館で生活している。
 子供は二人。
 見た目は迫力美女だけど、結構ぽややんの希ちゃんは、今子育てに奮闘中だ。

 末っ子のみぃちゃんは、見た目詐欺の子。
 兄弟一がっしりした筋肉質で、キリッとしすぎた目つき……ちょっと吊り目のせいか、瞳が濃い青のせいか、怖がられるのよね。
 でも、蓋を開ければ一番人見知りで、臆病なところもあって、小さい頃は私たち兄姉や、私たちを育ててくれた養父たちしか懐かなかった。
 兄たちが当時王太子と第二王子という立場で、当然守られる人物だから、護衛が多かったものの、その人たちにすら怖がって、よくギャン泣きしていた。
 同年代の子供のいる人は大丈夫……あ、ルー兄さまやエリオット兄さまはダメだったわ。
 成人してエレオノーレちゃんという、我がマルムスティーン家のお姫様と結婚。
 こちらは3人の子供の父。
 兄さまたちはそれぞれ3人の娘と二男一女の父。



「あ、さーやはちゃんと大人の女性なんだよ? でもね? 俺たちはもうちょっと甘えて欲しかったなぁって」
「そうだよね。だってさ~反抗期はそんなになかったけど、僕たちと距離あったじゃない? 寂しかったよね」
「幸矢も蒼記も甘すぎる! もっと厳しくして! さーやはこの間、ドレスを改造して、家での茶会で隠していた暗器を出して暴れてたんだよ! もうやめようよ! 僕の嫁! 昨日なんて食事中に、どっかにあったチャクラムを出してきて、遠心力で飛ばしてついでに術ぶっ放したいから、改造してなんて無理難題を押し付けるんだよ! 僕に言ったらいいって蒼記が言ったでしょ!」

 横で旦那が文句を言う。
 昔は、術の研究に寝食を忘れ没頭していたせいか、生きているのかわからなくて、たまに会ってもぼーっとした人だったのに、最近口やかましい。
 もっとおおらかに生きてほしいものである。


 一応、私は小さい頃からブラコンで、結構双子の兄たちの前では猫をかぶって可愛く大人しく、お淑やかに見せていたけれど、婚約者だった旦那にはその巨大で数十を数える猫がバレていたと思う。
 兄たちと同じ歳の旦那は、物心ついたときにはすでにそばにいた。
 特に病弱だった上の兄と、一つ年上の六槻むつきちゃん、身体が不自由だった4歳上の綾ちゃんは家の周りや、家の中で遊ぶことが多く、一番小さい私はなるべく三人と一緒にいなさいと言われることが多かったものの、ガキ大将の次兄のあーちゃんとその二つ上の、私からすれば従兄弟のセイちゃん……責任感がある男の子の二人は、住んでいた森の中に入り、薪を集めたり、川で魚を釣ったり、猪やウサギを獲ったりしていた。
 ちなみに川は家の周りに引き込んであって、小さな池を作ってマスやイワナの卵を取って養殖していたけれど、そんなに育てられるはずもない。
 家族は私たちだけでも七人、他は曽祖父や祖父母、セイラママ、セイちゃんの両親である伯父夫婦、育ての両親で六槻ちゃんとしゅーちゃんの両親、綾ちゃんのお兄さんの隼人兄様夫婦と大所帯。
 収入はほぼゼロ。自給自足で、服は昔の大人の着物を仕立て直したり、じいちゃまたちが隠居するときに前すんでいた家からごっそり引き取ったお社のお供物だった反物を、少しずつ使う。
 そして、普段は育てていた綿や麻を六槻ちゃんのママの清泉ママが丁寧に糸にして機織りをしていた。
 私も六槻ちゃんもそれを覚え、必死に機織りをしたものの、1日織り続けても一反まで仕上げるのはかなり時間がかかる。
 特に身体の弱い六槻ちゃんには酷だと、途中から機織りは私、仕立ては六槻ちゃんと分担した。
 糸は綿や麻以外にも蚕の糸もある。
 蚕は数種類いるけれど、その中でも糸の色の違いでピンクがかった《桃花》とよんでいる糸と、《銀竜》と呼ぶ糸は細くしなやかな美しい糸で何年も機織りをしてきた私でも滅多に織ることができない。
 綾ちゃんは自分にも何かできないかといい、蚕の養育を始めた。
 大きなものを運ぶのは難しいかもしれないけれど、時々様子を見たり、桑の葉の手配のチェックもしてくれるし、それ以外にも細々したことをしてくれる。
 にーちゃは家族で一二を争うほど身体が弱い人だったけれど、家の中のことだけじゃなく、家のそばの畑の作業や、料理をするようになった。

 結構貧しかったし、自給自足だったし、今のように魔道具があるわけでもなかったから夜は暗いし、冬は寒い。
 夏はそこまで暑くはなくても、虫が多いから蚊帳かやを吊っていた。
 まぁ、集まる虫はどう言う原理かはわからないものの、おおじいちゃまが集めて、一部は養殖している魚の餌にしていた。
 夏のセミは微妙だけど、秋のスズムシやコオロギは、隼人兄様が外の市で売っていた。
 音色が風流だと買ってくれる人がいるらしい。

 まぁ、そんなことを言うより、生きるって厳しいよねってこと。
 実父の顔は知らないけど、親族と一緒ならこのままでもいっか~と思っていた。
 けど、ここに戻った。

 猫をかぶって、深窓のお姫様を演じるのは苦痛だけど、苦労して育ててくれた家族も一緒だしいいやと。
 でも、結婚して子供三人産んで、自分ではそこそこ頑張った! と思ってたのに……長女と次女は嫁がせたけど、一番の不安材料が跡取り候補の長男だった。
 一応美貌の私に、そこそこイケメンの旦那の子だからと期待してたのに、なんで実父に似てしまったのだろう。
 まぁ、弟のミィちゃんも外見のみ実父似なんだけど、ミィちゃんは本当に見た目詐欺な子で、目は鋭くて筋肉質だけど、結構おっとりで、温厚。
 鉄拳制裁愛の鞭なんて一回もなかった。
 小さい頃から可愛かったし、いつも、

「姉様! あのね? あのね?」

ってやってきてはニコニコ笑って、お花や街で見つけたと言って小物を贈ってくれる。
 この前は、いろいろな形のクッキーを持ってきてくれた。
 聞いたところ、ミィちゃんは職場の先輩のお子さんたちを連れてある小さいお祭りに行ったらしい。
 お家のお手伝いをして貰ったお小遣いを持って行った子供たちは、ボール釣りやくじ引きをして楽しんだらしい。
 そして、小さいお店で子供たちの分も一緒に、沢山のクッキーを買ったそうだ。
 その買ったクッキーを作っているのは……家を叩き出した息子が支援しているという小さな孤児院の子供たちだった。

 紙袋はそんなにいいものではない。
 ごく普通のもの。
 でも、ついているのは細いものの可愛い5色のリボン。
 ちょっと歪んでいるけれど、一つ一つ結ばれているその可愛さに微笑む。

「わぁ! 可愛いわね」
「でしょ? 姉様。子供たちにも持って帰らせようと思って、その場にある予約で取り置き分以外の全部買い占めちゃった。でも、よく考えたら、食べられない子いるかも! って思ったら、アレルギーが出にくいお菓子っていうのもあるんだね? まぁ、兄さまは無理だろうけど、この白いリボンのは、彩映も大丈夫なお菓子だったよ。ちぃ兄のところにも渡しておいた」
「あら! それは素敵ね」
「なんかね? 子供たちが作ってるから、ちょっと歪んだりして見た目は良くないんだけど、味は素朴で美味しかったよ。甘すぎないし、この後職場の休憩で食べてもらおうかと思ってるんだ。彗兄にも分けてね? ナッツとレーズン、アップル、チョコはそれぞれ黄色、赤、緑、青のリボンだよ?」
「嬉しい! 彗ちゃんのマジックバッグに入れておきましょう」

 こんな可愛いミィちゃんが、私の息子ならと何度思っただろう。
 それに、従姉妹なのだけど……一応、ママの兄の子になる七聆は、はっきり言って我が一族でも一二を誇る悪女というか我儘で強欲で馬鹿な女だった。

 三つ子のちぃちゃんは、カッコいい男を目指しているのか、ちょっと大人ぶるけれど、努力家で負けず嫌い。
 泣くのだけは我慢して、よく隠れて泣いていたのを知ってる。
 理不尽にも三つ子唯一の男だからと、いつのまにか七聆の保護者をやらされているのが可哀想すぎ、ちょっと早めに騎士の館に送り出して正解だったとほっとしたものの、職場はどうしても成績がよすぎたせいか、エリート街道まっしぐらで即幹部クラス。
 一時期研修を兼ねて他国に半年、そしてマルムスティーン領に一年いたけれど、それ以外は馬鹿女が自分のそばにいろと追いかけ回し、迷惑をかけ回り、王都に戻る羽目になった。

 そして、ふぅちゃんは、本当に瑞波ママに似たおっとりとした性格だけど頑張り屋。
 グランディアの生活は知らないはずだけど、多分何度も何度も聞かされていたのだと思う。
 物を大切にするし、周囲に気を遣えるし、手に職を持ちたいと裁縫や料理を教わった。
 もちろん勉強も。
 そして、幼い頃から大好きだったレクちゃんと結婚した。
 若いからって甘えなかった。
 知らない土地になるスティアナ領に二人で向かい、苦労しながら3人の子供を産んで育て、途中で戦乱が起き、着の身着のままでこちらに逃れた。
 最後まで残ると言い張るふぅちゃんを、こちらに連れ戻したのは私たち。
 大事な妹を失いたくないと、私が頼んだ。
 一応他国になるスティアナに手を差し出すのはと、躊躇う兄さまたちが苦悩していたのを知っていた。

 でも、他国がなんだ、私にとっては大事な大事な妹の一人。
 側に置いてもいいじゃないか。
 ふぅちゃんの裁縫の腕は確かなんだから、私専属のドレスを作ってもらうのよ!
 『妖精たちの輪フェアリーズ・リング』のような素晴らしいデザインをきっと作ってくれる!

 そして戻ってきたことをほっとしたのも束の間、勘違い馬鹿女がしでかした!
 『私の我儘』の裏を考えようともせず、ふぅちゃんを馬鹿にするようになったのだ。
 あのクソガキの性根を叩きのめしたいと思いつつ、扇を何本もへし折り願ったものである。
 そして、一度本気で扇で殴り飛ばし、文字通り口封じをした。
 文句を言いにきた愚息には、正座させ三時間延々と説教をして置いたのだが、全く効き目がなかった。

 でも、最近の状況は、害悪の毒が抜け始めたようだ。
 このままねじ曲がった根性を少しでも真っ直ぐにして、今までのことを反省して生きてほしい。
 ついでに、口先だけの反省と慰謝料のようなものは要らない。
 私たちに反省よりも、子供に頑張って生きてきたと胸を張れる男になってくれ、と思っている。



 ということで……。

 今回は何を送ってあげようかしら……
 旦那は、なんだかんだと甘いから、衛生用品や食糧、水を送るだろうけれど、私はお馬鹿さんたちが使っていた子供時代の本に、古い教科書、小説にちょっとした雑誌、使いっぱなしの使えるペンやメモ、使っていないノート、使えるものがいいでしょうね。向こうの人も使える布もいいでしょう。一緒に基本の服の仕立て方の本や、裁縫道具も5つほど収めて、針と糸は多めにね。次いつ送るかわからないから……。

 これは、一応お馬鹿さんに贈るのではないの。
 今、この家に余っているのを送るのよ。
 愚息の助手になった子供さんたちと、そのお母さんには別に送らないとね。
 そして……。

「さーや……。一応、一度に送れるのは木箱10個だよ。決まりなんだよ? 運ぶ荷物は運搬隊の負担になるからね。僕たちの私的なのは三つに納めるつもりなのは、決まってるんだけど……」
「大丈夫! 全体の箱10個に見せて、20個くらい十分入るマジックバッグをイオにあげるついでです。そのバッグに入る分用意していますから! それに、決まりなんて隠せば大丈夫!」
「……それがダメなんだって! って言っても聞かないんだから……僕が甘いんじゃなくて、君がツンデレなんだよ」

 うるさいですわ!
 私はツンデレではありません!


~*~~*~~*~

【人物説明】

 レイ・ディーア……ディ(アンディール)の母。現国王アルドリーの妹。夫がマルムスティーン侯爵エドワード。彩映の実の祖母。千夜の従姉妹でもある。見た目はおっとりしたお姫様だが、かなりのツンデレ。猫を何十匹も飼っている。武器は鞭。

 エドワード……ディの父。結構面倒くさがりで、集中したら寝ずに何かをする。特に術の研究や古書を読み耽るのが好き。一応、光、水、風の術が得意。嫁の尻に敷かれているが、なんだかんだ言って嫁ラブ。過去、ちょっとした事件があり、記憶を封じている……らしい。

 望……ミィ。レイ・ディーアの弟。いい意味で見た目詐欺。温厚で優しい。今までほとんどの間育ててくれている兄たちや姉のためにと色々努力中。妻と子供あり。長女は愛称ヒナ。


【ウンチク?】

 ちなみにチャクラムとは、古代の武器の一つで、ブーメランのような真ん中に大きく穴が開き、外側全体が刃になっている。
 投げ方は真ん中に指を入れ回して投げたり、もしくは硬い皮の手袋をした手で横に薙ぐようにして投げるらしい。
 投げたら敵を薙ぎ、最後には戻ってくるという危険極まりないもの。
 よく、とある『封○演義』の哪吒なたくが使っていたとかありますが、自分に戻ってくる云々うんぬんよりどうやって持ち運ぶのか、自分に戻ってくる危険を自覚してないのか……捨て身の武器とも言えます。
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