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夏休み
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七月二十日。終業式が始まる。といっても、今年はあまりにも暑いので、校庭ではなく、教室でテレビを使ってするらしい。クラスの子たちも「こんなの初めて」と話していた。全員が起立する。
『それでは終業式をはじめます』
教頭先生がそう言って画面から外れると、校長先生が現れ、話しはじめた。
しばらくすると終業式が終わり、成績表と夏休みの注意が書かれているプリントが渡される。永田先生から夏休みを過ごすときの注意を受けて、宿題も配られる。どうやら八月の初めからお盆の手前くらいまでに、何日か学校にきてプールの授業を受けなければいけないらしい。プールの一限前には夏休みの宿題をするそうだ。
「もちろんおうちの用事がある人は、無理しなくていいぞー。よし、それじゃあいい夏休みをな」
今学期最後の日直の人が「起立」と言って、終わりのあいさつをすると、みんなうれしそうに教室から出て行った。
そういえば、ほうかちゃんは夏休みどう過ごすのだろうか。『モリス』に行く日は増えるのだろうか。聞きに行ってみることにする。
京はとなりのクラス、四組に行った。すると四組はまだ終わりの会のさいちゅうらしく、ろうかには京と同じように、友達を待っているのであろう子たちが立っている。
しばらくすると四組の子たちも教室から出てきた。京はほうかちゃんの姿を探す。すると水色のナップザックを背負っているほうかちゃんを見つけた。
「ほうかちゃん」
ほうかちゃんはこちらをむくと、「あ、京ちゃんっ」と京のほうへきてくれた。
「どうしたの?」
「えっと、明日から夏休みでしょ? だから『モリス』に行くのって、どうするのかなって」
「ああ、それならいっしょに帰りながら話そうよ」
「うん」
京とほうかちゃんは横に並んで、歩きはじめた。
「わたしのとこ、お父さんとお母さんが働いているから、家にいないんだ。だから夏休みもひとり。家か『モリス』にいるつもり。親せきも遠いし」
「そうなの?」
「うん。お父さんかお母さんがいないときには、インターホンが鳴っても出ちゃいけないし、家に入れてもだめだって。あぶないから」
「そうなんだ」
京は特に表情を変えていないほうかちゃんを見る。
「さみしくない?」
京がそう尋ねるとほうかちゃんはにっこり笑った。
「もう慣れたからだいじょうぶ。それに『モリス』の店員さん、みんな親切だし」
その表情に強がっているふんいきはない。それでも京の心にひっかかるものがあった。ほうかちゃんは『もう』と言った。きっと最初はさみしかったのだろう。もしかすると今もときどきさみしいときがあるかもしれない。
しかし京はどうすればいいのか、よくわからなかった。
ほうかちゃんの顔と言葉は、ばんごはんの時間になっても残っていた。
「京、どうしたんだ? ぼーっとして」
めずらしく早く帰ってきたお父さんにそう言われ初めて、自分が考えごとをしていると初めて気づいた。
「あら、京がそんな風になるなんて。なにかあったの?」
お母さんもいすに腰かけながら尋ねてきた。京はほうかちゃんのことを話した。するとお母さんが「そうだ」と続けた。
「もしも、そのほうかちゃんっていう子のご両親がいいって言ったら、うちで焼肉パーティーしましょ。しかも昼から。それにお母さんも手芸の話、したいわ」
「うんっ。お母さん、ありがとう」
それを聞いたお父さんは「焼肉……いいなあ」とつぶやいていた。
夏休みの初日、京は『モリス』でさっそくほうかちゃんをさそった。するとほうかちゃんは目をきらきらさせた。
「行きたいっ。お母さんとお父さんに聞いてみる」
そして次の日には「オッケーもらえたよっ」と報告してくれた。お母さんにそう知らせると、「週が明けての水曜日にしよっか」と言ってくれた。
そして水曜日がやってきた。『モリス』で待ち合わせて、京はほうかちゃんを家に案内した。家に帰ってくると、リビングのテーブルの上には掃除が楽になるように、新聞紙がひかれた状態で、ホットプレートが置かれていた。そばには野菜や肉が置かれている。
「あら、あなたがほうかちゃんね。いらっしゃい。いつも京がお世話になってます」
「いえ、こちらこそ。あの、これお母さんからです」
ほうかちゃんは持っていた紙袋をお母さんに渡した。するとお母さんはうれしそうに声を上げた。
「ここ、焼き菓子がおいしいところじゃない。おやつにみんなでいただきましょ。ほうかちゃん、そこ座って」
お母さんがほうかちゃんに京のとなりをすすめた。ほうかちゃんが座ってから、京も席に座る。
「じゃあ、好きなお肉焼いていこうか。おはしは食べるのと別のものをつかってね」
京は「はーい」と返事をして、さっそく牛のモモ肉をホットプレートの上に何枚か置いた。するとほうかちゃんは目をぱちくりしていた。
「どうしたの? 焼かないの?」
京がそう尋ねるとほうかちゃんは言った。
「わたしのとこ、もう焼いたものが出てくるから、ちょっとびっくりしちゃった。こんな風にホットプレート出して、みんなでやったことないんだ」
「そうなんだ。楽しいよ。はい」
京は近くの肉のパックを、ほうかちゃんに渡した。ほうかちゃんはためらいがちに受けとり、肉用の割りばしを使って、肉をホットプレートに置いた。じゅうっと音がする。
「それで、自分でお肉をひっくり返したり足したりするんだよ」
「へえ」
ほうかちゃんはじいっと肉を見ていた。そしてひっくり返して、食べて、新しい肉を乗せている。
「わたし、こんな風にごはん食べるの、初めてかも」
ほうかちゃんはぽつりとつぶやいた。
「楽しいし、おいしい」
ほうかちゃんの笑顔を見ると、京も自然と同じ表情になった。二人はときどき野菜も食べながら、肉をたくさん食べた。
「ごちそうさまでした」
ほうかちゃんに続いて京も「ごちそうさまでしたあ」と手を合わせた。するとほうかちゃんがお母さんにあることをたのんだ。
「あの、おばさんのつくったパッチワーク見せてもらえませんか?」
「あら、いいわよ。ちょっと待っててね」
お母さんはそう言ってリビングから出ていくと、すぐにパッチワークを大中小のサイズごとに持ってきた。お母さんがテーブルからはなれてパッチワークをゆかに置くと、ほうかちゃんが近づく。
「一番大きいのが姿見のカバー。こっちはクッションカバー、そっちはパッチワークしてからつくったポーチ」
「わあ、パッチワークだけで終わるんじゃないんだ。ポーチ、かわいい」
お母さんのパッチワークがほめてもらえて、京もうれしかった。
そのあと二人はリビングで、ビーズとフェルトでそれぞれのものをつくりはじめた。しばらくするとお母さんも裁ほう箱と、つくりかけのパッチワークを持ってきた。
「お母さんもいっしょにやっていい?」
「わたしはいいよー」
「わたしもおばさんともいっしょにできるとうれしいです」
三人でおしゃべりをしながら、手を動かした。お母さんは今、ベッドカバーをつくっているらしく、キルト生地という厚みのある布を使っている。
「パッチワークってどんな風につくるんですか?」
ほうかちゃんがお母さんに尋ねた。お母さんはぬっているとちゅうのパッチワークを見せてきた。
「大きなパッチワークはね、基本的に九まいで一組にしたものを組み合わせていくの。それで今は九枚ずつにしているところなのよ。こっちは九枚にできたもので、こっちは今から組み合わせるところ」
ほうかちゃんは興味深そうにお母さんの話を聞いていた。ミシンを使ったほうが楽なのだが、お母さんはいつも手ぬいだ。お母さんがまだ小学生だったときに、ミシンの針が折れたらしい。とても怖かったらしく、今でも使えないそうだ。
パッチワークの説明が終わると、京とほうかちゃんとお母さんは再びそれぞれ手を動かした。最初はおしゃべりをしていたが、とちゅうから三人とも作業に集中していた。
そのときかべにかけている時計が、短いメロディーをかなでた。三時のようだ。
「三時になったし、ほうかちゃんが持ってきてくれたおかし、食べましょうか。ほうかちゃん、ジュースでだいじょうぶ?」
「は、はい」
京とほうかちゃんはオレンジジュース、お母さんは紅茶で、持ってきてくれたおかしを食べた。とくにフィナンシェはバターのかおりのおかげで、食べているあいだはとても幸せだった。なんとなく一気に食べてしまうのがもったいなくて、京は一口食べるごとに作業をした。ちらりと見るとお母さんも同じ気持ちなのか、一口かじってからしばらく手を動かしていた。
夕方になると、お母さんといっしょにほうかちゃんを家まで送った。家の前に着くとほうかちゃんは京とお母さんのほうをむいた。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ。いつでもうちにきてね」
お母さんはにこにこしながら、ほうかちゃんに言った。
「京ちゃん、本当はうちにもきてほしいけど、無理だから。……だから『モリス』でまたいろいろつくろうね」
「うん、またね」
「またね」
ほうかちゃんが家の中に入ってから、京とお母さんも帰る。
「ほうかちゃん、楽しそうにしてくれてよかったわ」
お母さんはどこかうれしそうだ。京は疑問に思ったことを尋ねた。
「ねえ、なんでほうかちゃん連れてきていいって言ってくれたの?」
「お母さんもね、ほうかちゃんと同じだったの。よくひとりで留守番しててね、慣れてくるんだけど、やっぱりときどきさみしくなっちゃってね。だから友達の家にいられたり、いっしょに楽しいことしたりして、うれしかった。お母さんが友達のおばさんたちにしてもらったことを、ほうかちゃんにもしたかったの」
お母さんはやさしくほほえんだ。京はうれしくなって、心がほかほかしてきた。
「ありがとう、お母さん」
「いえいえ」
京はお母さんと家に帰った。
『それでは終業式をはじめます』
教頭先生がそう言って画面から外れると、校長先生が現れ、話しはじめた。
しばらくすると終業式が終わり、成績表と夏休みの注意が書かれているプリントが渡される。永田先生から夏休みを過ごすときの注意を受けて、宿題も配られる。どうやら八月の初めからお盆の手前くらいまでに、何日か学校にきてプールの授業を受けなければいけないらしい。プールの一限前には夏休みの宿題をするそうだ。
「もちろんおうちの用事がある人は、無理しなくていいぞー。よし、それじゃあいい夏休みをな」
今学期最後の日直の人が「起立」と言って、終わりのあいさつをすると、みんなうれしそうに教室から出て行った。
そういえば、ほうかちゃんは夏休みどう過ごすのだろうか。『モリス』に行く日は増えるのだろうか。聞きに行ってみることにする。
京はとなりのクラス、四組に行った。すると四組はまだ終わりの会のさいちゅうらしく、ろうかには京と同じように、友達を待っているのであろう子たちが立っている。
しばらくすると四組の子たちも教室から出てきた。京はほうかちゃんの姿を探す。すると水色のナップザックを背負っているほうかちゃんを見つけた。
「ほうかちゃん」
ほうかちゃんはこちらをむくと、「あ、京ちゃんっ」と京のほうへきてくれた。
「どうしたの?」
「えっと、明日から夏休みでしょ? だから『モリス』に行くのって、どうするのかなって」
「ああ、それならいっしょに帰りながら話そうよ」
「うん」
京とほうかちゃんは横に並んで、歩きはじめた。
「わたしのとこ、お父さんとお母さんが働いているから、家にいないんだ。だから夏休みもひとり。家か『モリス』にいるつもり。親せきも遠いし」
「そうなの?」
「うん。お父さんかお母さんがいないときには、インターホンが鳴っても出ちゃいけないし、家に入れてもだめだって。あぶないから」
「そうなんだ」
京は特に表情を変えていないほうかちゃんを見る。
「さみしくない?」
京がそう尋ねるとほうかちゃんはにっこり笑った。
「もう慣れたからだいじょうぶ。それに『モリス』の店員さん、みんな親切だし」
その表情に強がっているふんいきはない。それでも京の心にひっかかるものがあった。ほうかちゃんは『もう』と言った。きっと最初はさみしかったのだろう。もしかすると今もときどきさみしいときがあるかもしれない。
しかし京はどうすればいいのか、よくわからなかった。
ほうかちゃんの顔と言葉は、ばんごはんの時間になっても残っていた。
「京、どうしたんだ? ぼーっとして」
めずらしく早く帰ってきたお父さんにそう言われ初めて、自分が考えごとをしていると初めて気づいた。
「あら、京がそんな風になるなんて。なにかあったの?」
お母さんもいすに腰かけながら尋ねてきた。京はほうかちゃんのことを話した。するとお母さんが「そうだ」と続けた。
「もしも、そのほうかちゃんっていう子のご両親がいいって言ったら、うちで焼肉パーティーしましょ。しかも昼から。それにお母さんも手芸の話、したいわ」
「うんっ。お母さん、ありがとう」
それを聞いたお父さんは「焼肉……いいなあ」とつぶやいていた。
夏休みの初日、京は『モリス』でさっそくほうかちゃんをさそった。するとほうかちゃんは目をきらきらさせた。
「行きたいっ。お母さんとお父さんに聞いてみる」
そして次の日には「オッケーもらえたよっ」と報告してくれた。お母さんにそう知らせると、「週が明けての水曜日にしよっか」と言ってくれた。
そして水曜日がやってきた。『モリス』で待ち合わせて、京はほうかちゃんを家に案内した。家に帰ってくると、リビングのテーブルの上には掃除が楽になるように、新聞紙がひかれた状態で、ホットプレートが置かれていた。そばには野菜や肉が置かれている。
「あら、あなたがほうかちゃんね。いらっしゃい。いつも京がお世話になってます」
「いえ、こちらこそ。あの、これお母さんからです」
ほうかちゃんは持っていた紙袋をお母さんに渡した。するとお母さんはうれしそうに声を上げた。
「ここ、焼き菓子がおいしいところじゃない。おやつにみんなでいただきましょ。ほうかちゃん、そこ座って」
お母さんがほうかちゃんに京のとなりをすすめた。ほうかちゃんが座ってから、京も席に座る。
「じゃあ、好きなお肉焼いていこうか。おはしは食べるのと別のものをつかってね」
京は「はーい」と返事をして、さっそく牛のモモ肉をホットプレートの上に何枚か置いた。するとほうかちゃんは目をぱちくりしていた。
「どうしたの? 焼かないの?」
京がそう尋ねるとほうかちゃんは言った。
「わたしのとこ、もう焼いたものが出てくるから、ちょっとびっくりしちゃった。こんな風にホットプレート出して、みんなでやったことないんだ」
「そうなんだ。楽しいよ。はい」
京は近くの肉のパックを、ほうかちゃんに渡した。ほうかちゃんはためらいがちに受けとり、肉用の割りばしを使って、肉をホットプレートに置いた。じゅうっと音がする。
「それで、自分でお肉をひっくり返したり足したりするんだよ」
「へえ」
ほうかちゃんはじいっと肉を見ていた。そしてひっくり返して、食べて、新しい肉を乗せている。
「わたし、こんな風にごはん食べるの、初めてかも」
ほうかちゃんはぽつりとつぶやいた。
「楽しいし、おいしい」
ほうかちゃんの笑顔を見ると、京も自然と同じ表情になった。二人はときどき野菜も食べながら、肉をたくさん食べた。
「ごちそうさまでした」
ほうかちゃんに続いて京も「ごちそうさまでしたあ」と手を合わせた。するとほうかちゃんがお母さんにあることをたのんだ。
「あの、おばさんのつくったパッチワーク見せてもらえませんか?」
「あら、いいわよ。ちょっと待っててね」
お母さんはそう言ってリビングから出ていくと、すぐにパッチワークを大中小のサイズごとに持ってきた。お母さんがテーブルからはなれてパッチワークをゆかに置くと、ほうかちゃんが近づく。
「一番大きいのが姿見のカバー。こっちはクッションカバー、そっちはパッチワークしてからつくったポーチ」
「わあ、パッチワークだけで終わるんじゃないんだ。ポーチ、かわいい」
お母さんのパッチワークがほめてもらえて、京もうれしかった。
そのあと二人はリビングで、ビーズとフェルトでそれぞれのものをつくりはじめた。しばらくするとお母さんも裁ほう箱と、つくりかけのパッチワークを持ってきた。
「お母さんもいっしょにやっていい?」
「わたしはいいよー」
「わたしもおばさんともいっしょにできるとうれしいです」
三人でおしゃべりをしながら、手を動かした。お母さんは今、ベッドカバーをつくっているらしく、キルト生地という厚みのある布を使っている。
「パッチワークってどんな風につくるんですか?」
ほうかちゃんがお母さんに尋ねた。お母さんはぬっているとちゅうのパッチワークを見せてきた。
「大きなパッチワークはね、基本的に九まいで一組にしたものを組み合わせていくの。それで今は九枚ずつにしているところなのよ。こっちは九枚にできたもので、こっちは今から組み合わせるところ」
ほうかちゃんは興味深そうにお母さんの話を聞いていた。ミシンを使ったほうが楽なのだが、お母さんはいつも手ぬいだ。お母さんがまだ小学生だったときに、ミシンの針が折れたらしい。とても怖かったらしく、今でも使えないそうだ。
パッチワークの説明が終わると、京とほうかちゃんとお母さんは再びそれぞれ手を動かした。最初はおしゃべりをしていたが、とちゅうから三人とも作業に集中していた。
そのときかべにかけている時計が、短いメロディーをかなでた。三時のようだ。
「三時になったし、ほうかちゃんが持ってきてくれたおかし、食べましょうか。ほうかちゃん、ジュースでだいじょうぶ?」
「は、はい」
京とほうかちゃんはオレンジジュース、お母さんは紅茶で、持ってきてくれたおかしを食べた。とくにフィナンシェはバターのかおりのおかげで、食べているあいだはとても幸せだった。なんとなく一気に食べてしまうのがもったいなくて、京は一口食べるごとに作業をした。ちらりと見るとお母さんも同じ気持ちなのか、一口かじってからしばらく手を動かしていた。
夕方になると、お母さんといっしょにほうかちゃんを家まで送った。家の前に着くとほうかちゃんは京とお母さんのほうをむいた。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ。いつでもうちにきてね」
お母さんはにこにこしながら、ほうかちゃんに言った。
「京ちゃん、本当はうちにもきてほしいけど、無理だから。……だから『モリス』でまたいろいろつくろうね」
「うん、またね」
「またね」
ほうかちゃんが家の中に入ってから、京とお母さんも帰る。
「ほうかちゃん、楽しそうにしてくれてよかったわ」
お母さんはどこかうれしそうだ。京は疑問に思ったことを尋ねた。
「ねえ、なんでほうかちゃん連れてきていいって言ってくれたの?」
「お母さんもね、ほうかちゃんと同じだったの。よくひとりで留守番しててね、慣れてくるんだけど、やっぱりときどきさみしくなっちゃってね。だから友達の家にいられたり、いっしょに楽しいことしたりして、うれしかった。お母さんが友達のおばさんたちにしてもらったことを、ほうかちゃんにもしたかったの」
お母さんはやさしくほほえんだ。京はうれしくなって、心がほかほかしてきた。
「ありがとう、お母さん」
「いえいえ」
京はお母さんと家に帰った。
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