小文草紙【しょうぶんそうし】

月輪 相 [つきのわ そう]

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風の散歩道

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 ちょうどいい天気だった。窓から見える空は、半曇りだった。幸い、荷物もあまりない。思いきって席を立った。

 最寄りの駅よりもひとつ前で、電車を降りた。迷うと怖いので、線路をつたって歩いた。窓から見ているだけの景色が、歩いていると違って見える。電車の速度にもっていかれるのではなく、自分の目でゆっくりと見える。どの家にも、店にも、道にも。おのおのの個性があり、魅力がある。素敵なものを見つけたら、立ち止まる。疲れがとれたら、また歩く。

 春に近づく陽ざしと、やわらかな風を浴びた。気がつくと暮らしの気づかれがすっきりと取れていた。またいつか、歩こう。少しだけ前向きな気持ちで、家路についた。

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