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過去回想のモブ編
第01話 死亡フラグ
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プロローグ
「は?」
間抜けな声が漏れた。
「だから、あなたの名前はエドワードよ。
でもどうやらその様子じゃまだ理解できてないようね。
昨日、魔力酔いで倒れてさっきまで寝てた後遺症ってところかしら。」
女性の艶やかな声が聞こえてくる。
彼女の名前はマリア。この孤児院を経営しているシスターマリア。
長髪ブロンドヘアの美人。すらっとしたモデル体型は素晴らしいの一言。実に眼福である。
欲を言えばもう少し胸に主張があるほうが僕は好k…、いやいや胸に貴賤は無い。
何やら殺気を感じた気がしたがきっと気のせいだろう。
ちなみに年齢は不詳。二十歳から年を取っていないなんて噂もでるほど。
だが、年齢を尋ねるのはご法度だ。勇気ある先輩が質問したことがあるらしいが、何やら記憶が曖昧になってて良く覚えていないらしい。
うん、君子危うきに近寄らずってね。
さて、僕は今非常に混乱している。
原因は僕の中にある記憶が関係してくる。
記憶の中の名前は、世渡 流(よわたり ながれ)。
関東出身の日本人で20歳の大学生。
一人暮らしで大学とバイト、ゲームに明け暮れていた。
僕はどうやら夢中になったらのめり込むタイプだったらしい。
食事や睡眠など削れるものをとことん削ってゲームの資金やプレイ時間にあてていた。
まぁ、わかると思うけど、いくら若くてもそんな不摂生な生活をいつまでも続けられるはずはなく、限界が来た僕はアパートの中で倒れた。
その後の記憶が無いので、衰弱死したのだろう。
心残りなのは、童貞のままだったことだ。
ちゃんと高校生の時は彼女が居たんだよ。
だけど、進学先が別々になって次第に時間が合わなくなって疎遠になっていった。
ありがちな自然消滅パターンだ。
いま思えば、もっと積極的にいってれば大人の仲間入りができたのだろう。
高校生の僕は初心過ぎたんだ。
閑話休題。
つまり、僕にはいわゆる前世の記憶というものがあるわけだ。
それとは別に今生のエドワードという少年の記憶もある。
エドワードは7歳の子どもで、髪はブロンド、顔は中世的だが整っている。
前世の世渡 流の時と比べると顔面偏差値はかなり高い。
前世の知識もあるし、イケメンだしこれは勝ったな。なんて思っていた。
さて、1つ確認しておくことがある。
それは先ほどのシスターマリアの言葉だ。
「魔力酔いって何?」
魔力という言葉からこの世界には魔法があるのではないかとワクワクしながら聞いてみたが、その通りだった。
「人間にはみんな魔力が備わってて魔力を作り出す機能があるのよ。
ただ、幼いころはその機能が出来上がってないの。
でね、個人差はあるけど6歳~9歳くらいでその機能が出来上がると言われているわ。
機能が出来上がると魔力が蓄積されるんだけど、最初はどうしても慣れないから魔力酔いが発生するの。
つまり、魔力酔いになるってことは大人になった証拠なのよ。」
うふふと笑いながら答えてくれるシスターマリアは神々しさすらあった。
思わず見惚れてしまった。
「ちょっとエド。
またシスターマリアに鼻の下伸ばして。いやらしい。」
横には不貞腐れた様子の女の子の姿があった。
エドワードの記憶の中で彼女の名前も知っている。
彼女の名前はレイン。僕と同い年で彼女もまたこの孤児院に暮らしている。
燃えるような真っ赤な髪をポニーテールの美少女。
将来はかなりの美人さんになるだろう。
喜怒哀楽がはっきりしてて、感情が表情に出やすいことと負けず嫌いで所が魅力であり欠点でもある。
「あら、エドワード。じゃあ大きくなったら貰ってくれる?」
「はい。喜んで。」
シスターマリアの魅力的な提案に居酒屋の店員みたいに反射的に答えていた。
「なっ!!あんた変な勘違いしちゃダメよ。
シスターマリアはあんたなんか眼中にないんだからね。」
レインは真っ赤な顔で僕を睨みつけている。
「えっ、いや、その。」
僕はタジタジになりながら言い訳を考える。
彼女はちょっと喧嘩っ早いところがあり、不機嫌になると拳や蹴りが飛んでくることがあるのだ。
そんな様子をシスターマリアは「あらあら」なんて言いながらのんきに眺めている。
それがいつものパターンであった。
***
前世の記憶を取り戻して1週間。
僕はエドワードとしての記憶と世渡 流としての記憶の整理つき、この世界に馴染んできていた。
だが、何か引っかかってりモヤモヤとした気持ちになっていた。
重大なことを見落としているような妙な不安が拭えなかった。
なので、身体を動かして発散することにした。
どうやらエドワード君は冒険者になる夢を持っていて、記憶を取り戻す前からこっそり鍛えていた。
なので、前世の知識から7歳の身体に負担がかかりすぎない範囲でトレーニングを強化した。
自分では無理のないレベルだと思っていたけど、知らず知らずのうちに疲労がたまっていたようだ。
もう少し注意していれば不幸な事故は起きなかったが、疲労がたまっていると思考能力も低下してしまうわけで。
その日も日課のトレーニングをこなしたが、いつも以上にクタクタになって孤児院に戻ってきた。
汗を流そうと風呂場に行くとどうやら先に人が入っているようだった。
この時、僕は失念していた。
風呂は男女で分かれているのだが、一週間毎に交互に交換する仕組みになっている。
その日はちょうど男女の入替の日だったのだ。
いつも通り男の時間だと思っていた僕は、先に入っているのが男だと思って一緒に入ろうと思ったんだ。
「一緒に入らせてもらう………よ。」
扉を開けて中に入ると、セミロングの赤髪が目についた。
想定外の事態に僕は思考停止し、固まってしまった。
一方、目の前にいるレインもまた、絶句していた。
次第に状況を理解していく両者。
「きゃぁぁぁぁあぁぁ」
「あぁぁぁぁぁあぁぁ」
風呂場に悲鳴が響き渡った。
そこには一糸まとわぬレインが身体を真っ赤にしていた。
一方、僕は血の気が引き顔が真っ青になっていた。
あの後、ひと騒動あったものの顔面に2発食らっただけで許された。
レインは世界を狙えるいいパンチを持っていた。
まぁ、今となっては風呂場のラッキースケベイベントなんてどうでもいい。
そんなことよりも重要なことを思い出した。
モヤっとしていた理由が分かりスッキリした半面、パニック状態に陥っていた。
やばい やばい やばい やばい やばい やばい やばい。
ひっじょーにヤバイ。
僕はこの時、自分に死亡フラグが立っていることに気づいたのだ。
「は?」
間抜けな声が漏れた。
「だから、あなたの名前はエドワードよ。
でもどうやらその様子じゃまだ理解できてないようね。
昨日、魔力酔いで倒れてさっきまで寝てた後遺症ってところかしら。」
女性の艶やかな声が聞こえてくる。
彼女の名前はマリア。この孤児院を経営しているシスターマリア。
長髪ブロンドヘアの美人。すらっとしたモデル体型は素晴らしいの一言。実に眼福である。
欲を言えばもう少し胸に主張があるほうが僕は好k…、いやいや胸に貴賤は無い。
何やら殺気を感じた気がしたがきっと気のせいだろう。
ちなみに年齢は不詳。二十歳から年を取っていないなんて噂もでるほど。
だが、年齢を尋ねるのはご法度だ。勇気ある先輩が質問したことがあるらしいが、何やら記憶が曖昧になってて良く覚えていないらしい。
うん、君子危うきに近寄らずってね。
さて、僕は今非常に混乱している。
原因は僕の中にある記憶が関係してくる。
記憶の中の名前は、世渡 流(よわたり ながれ)。
関東出身の日本人で20歳の大学生。
一人暮らしで大学とバイト、ゲームに明け暮れていた。
僕はどうやら夢中になったらのめり込むタイプだったらしい。
食事や睡眠など削れるものをとことん削ってゲームの資金やプレイ時間にあてていた。
まぁ、わかると思うけど、いくら若くてもそんな不摂生な生活をいつまでも続けられるはずはなく、限界が来た僕はアパートの中で倒れた。
その後の記憶が無いので、衰弱死したのだろう。
心残りなのは、童貞のままだったことだ。
ちゃんと高校生の時は彼女が居たんだよ。
だけど、進学先が別々になって次第に時間が合わなくなって疎遠になっていった。
ありがちな自然消滅パターンだ。
いま思えば、もっと積極的にいってれば大人の仲間入りができたのだろう。
高校生の僕は初心過ぎたんだ。
閑話休題。
つまり、僕にはいわゆる前世の記憶というものがあるわけだ。
それとは別に今生のエドワードという少年の記憶もある。
エドワードは7歳の子どもで、髪はブロンド、顔は中世的だが整っている。
前世の世渡 流の時と比べると顔面偏差値はかなり高い。
前世の知識もあるし、イケメンだしこれは勝ったな。なんて思っていた。
さて、1つ確認しておくことがある。
それは先ほどのシスターマリアの言葉だ。
「魔力酔いって何?」
魔力という言葉からこの世界には魔法があるのではないかとワクワクしながら聞いてみたが、その通りだった。
「人間にはみんな魔力が備わってて魔力を作り出す機能があるのよ。
ただ、幼いころはその機能が出来上がってないの。
でね、個人差はあるけど6歳~9歳くらいでその機能が出来上がると言われているわ。
機能が出来上がると魔力が蓄積されるんだけど、最初はどうしても慣れないから魔力酔いが発生するの。
つまり、魔力酔いになるってことは大人になった証拠なのよ。」
うふふと笑いながら答えてくれるシスターマリアは神々しさすらあった。
思わず見惚れてしまった。
「ちょっとエド。
またシスターマリアに鼻の下伸ばして。いやらしい。」
横には不貞腐れた様子の女の子の姿があった。
エドワードの記憶の中で彼女の名前も知っている。
彼女の名前はレイン。僕と同い年で彼女もまたこの孤児院に暮らしている。
燃えるような真っ赤な髪をポニーテールの美少女。
将来はかなりの美人さんになるだろう。
喜怒哀楽がはっきりしてて、感情が表情に出やすいことと負けず嫌いで所が魅力であり欠点でもある。
「あら、エドワード。じゃあ大きくなったら貰ってくれる?」
「はい。喜んで。」
シスターマリアの魅力的な提案に居酒屋の店員みたいに反射的に答えていた。
「なっ!!あんた変な勘違いしちゃダメよ。
シスターマリアはあんたなんか眼中にないんだからね。」
レインは真っ赤な顔で僕を睨みつけている。
「えっ、いや、その。」
僕はタジタジになりながら言い訳を考える。
彼女はちょっと喧嘩っ早いところがあり、不機嫌になると拳や蹴りが飛んでくることがあるのだ。
そんな様子をシスターマリアは「あらあら」なんて言いながらのんきに眺めている。
それがいつものパターンであった。
***
前世の記憶を取り戻して1週間。
僕はエドワードとしての記憶と世渡 流としての記憶の整理つき、この世界に馴染んできていた。
だが、何か引っかかってりモヤモヤとした気持ちになっていた。
重大なことを見落としているような妙な不安が拭えなかった。
なので、身体を動かして発散することにした。
どうやらエドワード君は冒険者になる夢を持っていて、記憶を取り戻す前からこっそり鍛えていた。
なので、前世の知識から7歳の身体に負担がかかりすぎない範囲でトレーニングを強化した。
自分では無理のないレベルだと思っていたけど、知らず知らずのうちに疲労がたまっていたようだ。
もう少し注意していれば不幸な事故は起きなかったが、疲労がたまっていると思考能力も低下してしまうわけで。
その日も日課のトレーニングをこなしたが、いつも以上にクタクタになって孤児院に戻ってきた。
汗を流そうと風呂場に行くとどうやら先に人が入っているようだった。
この時、僕は失念していた。
風呂は男女で分かれているのだが、一週間毎に交互に交換する仕組みになっている。
その日はちょうど男女の入替の日だったのだ。
いつも通り男の時間だと思っていた僕は、先に入っているのが男だと思って一緒に入ろうと思ったんだ。
「一緒に入らせてもらう………よ。」
扉を開けて中に入ると、セミロングの赤髪が目についた。
想定外の事態に僕は思考停止し、固まってしまった。
一方、目の前にいるレインもまた、絶句していた。
次第に状況を理解していく両者。
「きゃぁぁぁぁあぁぁ」
「あぁぁぁぁぁあぁぁ」
風呂場に悲鳴が響き渡った。
そこには一糸まとわぬレインが身体を真っ赤にしていた。
一方、僕は血の気が引き顔が真っ青になっていた。
あの後、ひと騒動あったものの顔面に2発食らっただけで許された。
レインは世界を狙えるいいパンチを持っていた。
まぁ、今となっては風呂場のラッキースケベイベントなんてどうでもいい。
そんなことよりも重要なことを思い出した。
モヤっとしていた理由が分かりスッキリした半面、パニック状態に陥っていた。
やばい やばい やばい やばい やばい やばい やばい。
ひっじょーにヤバイ。
僕はこの時、自分に死亡フラグが立っていることに気づいたのだ。
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