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過去回想のモブ編
第17話 襲撃ー対召喚獣戦1
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「がはっ、なっんだと。」
アナハイムは驚愕の表情を浮かべ振り返った。
振り返った先には2人の魔人がいた。
その2人の反応は対照的だった。
一方は、驚きの表情のまま固まっていた。
もう一方は、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「なんのつもりだ。ダイィィ」
アナハイムは激高した。
「エドワード少年は実にGOOD。素晴らしい。
それに比べて隊長、あなたはSO BAD。何という体たらか。がっかりだよ。
という訳で死んでくれ。」
ダイはそういうと魔法スクロールを取り出した。
アナハイムはそのスクロールを見て理解したようだ。
「こ…の、裏切り者…め。」
強い憎悪の念を込めてダイに言い放つが、それがアナハイムの最期の言葉となった。
side:ダリウス
気づいたのは偶然。
他の2人の魔人もおかしいが、あの変態は方向性が違うおかしさだった。
最初はそういう奴なのだろうとスルーした。
けれど、常に浮いた言動を繰り返すアイツの姿がワザとらしく映った。
きっと本能的に察していたのだろう、その違和感に。
そして、違和感が確信へと変わったのはエドワードとアナハイムとの戦いの最中。
周囲が皆、戦っている2人に集中するなか、アイツだけは違った。
どこか機会をうかがっているような怪しさがあった。
だから警戒して、こっそりと親父に状況を伝えた。
こうして不穏な動きをすれば即動けるようにしながら事の成り行きを見守っていた。
結論から言えば間に合わなかった。
奴が動いた時には、エドの腹には氷弾が刺さっていた。
俺は自分の迂闊さに苛立った。
かといって起きてしまったことは覆せない。
「親父」
「おう」
だから俺達《親父と俺》はすぐに行動を開始した。
アイツはエドとアナハイムの様子を見ながらニマニマと気持ち悪い笑みを浮かべている。幸いこちらの動きに気づいていないようだ。
俺は<身体強化>を強めてアイツとの距離をいっきに詰めていく。
アイツはとどめとばかりに<氷弾>を発動し、アナハイムを串刺しにしていく。
アナハイムのすぐそばに倒れているエドにも<氷弾>が襲い掛かる。
「<土壁>」
親父の土魔法の発動が勝ったようで、<氷弾>は<土壁>に弾かれた。
エドは親父に担がれてすぐさまレインのもとに運ばれていく。
おっと、親父の邪魔をしようとしているな。
させるかよ。
「<火弾>」
俺は<火弾>で弾幕をはり、アイツの動きをけん制。
「くっ」
襲い来る<火弾>の対処に追われ、後ずさりした。
チャンス。
メイスの射程まで一気に入り込み、メイスを振りぬく。
「チェストォォォォ」
「ぐふぅ」
腹にいいのをもらってしまったアイツから苦しそうな呻き声が漏れた。
「す、素晴らしい一撃でした。」
かなり強めに殴ったんだがあまり効いてないのか、余裕を見せている。
全く魔人という種族はタフネス過ぎて嫌になるね。
「ですが、残念。足りませんねぇ。」
アイツはお返しとばかりに俺の腹をグーパン。腹を殴られた俺は吹っ飛ばされた。
「どういうことですか、ダイ?
なぜ隊長の戦いに横やりを入れたのです。」
ようやくショックから回復したマッドサイエンティストが叫ぶ。
その言葉がおかしかったのかアイツは嗤う。
「横やり?何を言う。
隊長の攻撃はエドワード少年を打倒するに至らなかった。
それどころか、未知の魔法をくらってからは動きの精細を欠いて防戦一方。
最後は武器も握ってられないほどに追いやられた。
どう見ても死に体だ。
この戦いはエドワード少年の勝利で幕引きさ。」
一呼吸を置いてアイツは話を続ける。
「だが、我らは魔人だ。敗北の2文字はあり得ない。
不名誉な生に逃げるくらいなら名誉の死を選ぶのが我らよ。
すでに勝負は決した。
であれば、ここからは1対1の闘いではなく魔人対人間の戦いだ。
戦いに正々堂々も汚いも無い。
あのまま無駄死にするくらいなら我らのために危険な芽を摘むためのサクリファイスになってくれた方が、隊長も本望というものよ。
我はそれに手を貸したに過ぎぬ。」
「我に屁理屈は通じませんよ。
隊長の名誉のためと言うならば、わざわざそのスクロールを見せる必要は無かったはずでしょう。」
アイツはさらに笑みを深めていく。
「ふふ。このスクロールはこれから必要になるので取り出しただけ。
まぁ、隊長の前で見せる必要は無かったが。
しかし、ソンよ。
君は1つ思い違いをしている。」
「なんですって?」
「確かにこのスクロールはヨルム派から必要があって頂いたもの。
だが、奴らの下についたわけではない。
我は我にのみ従う。もとより誰の下にもつかぬ。
んっ、念話?
………、なるほど。ソンよ、たった今帰還命令が下った。」
「…、なぜあなたが?
念話の魔道具は隊長クラスにしか貸与されていないはず。」
「知れたこと。我はもとより隊長クラスだからよ。
今回は、任務のためアナハイム班に潜っていたに過ぎぬ。」
「上官命令ということで従います。
ですが、帰還後に改めて聞かせてもらいますよ。」
「よかろう。さて、話が長くなったな。
イーレ村の諸君、君らに敬意を表してプレゼントを用意している。」
変態《ダイ》がスクロールを開くと、空中に幾何学模様の魔法陣が出現。
禍々しい気配が漂ってきた。
「今宵は楽しい宴であった。
我らはこれで失礼するが、この後も楽しんでくれたまえ。」
ソンとダイの足元に魔法陣が展開した。おそらく転移魔法だろう。
「させるかよ。<バインド>」
俺は変態《ダイ》とマッドサイエンティストに拘束魔法を発動し四肢を拘束することに成功。
だが、一歩遅かった。転移魔法が発動してしまい奴等は光の中に消えていった。
残されたのはスクロールと空中に投影された魔法陣。
あれはおそらく召喚のスクロール。
問題は何が出てくるかだが…、嫌な予感しかしない。
そして、それは顕現した。
現れたのは全長10mほどの黒いうろこに覆われた龍。
まだ幼体と思われるその龍は御伽噺に出てくる悪の権化、黒龍。
かつて人間の村を一晩で5つ消滅させた。
黒龍の気分次第で山が無くなった。
数多く存在する魔獣の中でも強さの頂点に位置する災厄の1つ。
それが黒龍だ。
「おいおい、冗談じゃねーぞ。
魔獣の軍勢と戦って魔人と戦って、その後に黒龍だぁ?
ふざけろよ、クソったれめ。」
文句を言いながらも黒龍を分析するが、何も案が浮かばない。
強さを隠そうともしないその禍々しい魔力を纏う黒龍。
一方で体力、魔力ともに削られて疲労困憊のイーレ村住人。
「くそっ、負けてたまるか。
おい、エドはやれるか?」
レインは静かに首を横に振った。
「無理よ。気絶したように寝てるわ。連戦で疲労が溜まりすぎてるの。
無理をし過ぎて身体にガタが来てるから、ここで起こしても満足に戦えないわよ。」
なんとなく分かっていたが、嫌な報告だ。
当分エドは戦力として宛に出来ないって事か。
「何分だ?何分休ませれば復帰できる?」
俺は自分の頬を叩き気合いを入れる。
「やるの?」
「やらなきゃどうせ死ぬ。生き残る可能性はわずかでも高い方が良いだろう?」
「そうね。治癒魔法で回復させてる。15分で叩き起こしてやるわ。」
「ヒェッ、おっかねぇ。だけど頼りにしてる。」
レインと別れて親父のところにきた。
「親父。一応聞いておくが、何かいいアイディアあるか?」
「何を馬鹿なこと言っとる。あれは災厄だぞ。
策略でどうにかなる相手じゃねーのよ。」
「なんだよ。覚悟決めろってのかよ。
子ども使いが荒いんだよ。」
そんな事を言ってると黒龍が目を覚ました。
【おのれおのれおのれ、忌々しい魔人どもめ。
儂をこの程度で抑えつけれると思うなよ。復活したからには目にものを見せてくれる。】
「な、なんだ?声が聞こえる??
黒龍の声か?なんでだ。アイツ喋ってないだろ。」
誰かがパニックになり叫んでいた。
【あ”っ?なんだ矮小な人間ではないか。
儂はいま非常に機嫌が悪い。悪いが八つ当たりさせてもらうぞ。】
黒龍が腕を払う。それだけで暴風が吹き荒れ、悲鳴が聞こえた。
見ると、村人が一人倒れている。
龍の爪にやられたのだろう傷が身体に出来ていた。
【カカカ、脆い脆い。人間は脆いのぅ。
このままチマチマと潰すのも一興じゃが、目覚めの一発じゃ。】
大地が震えだし、膨大な魔力が黒龍の口に集まっていく。
「ありゃヤバいぞ。御伽噺に聞く龍のブレスという奴だ。
おい、魔力の残ってるものは集まれ。一斉に<土壁>で防御するぞ。」
親父の怒声で呆けていた村人たちがハッとして一斉に動きだした。
一方、黒龍の方は魔力をどんどん高めていく。
【ククク、準備はいいかのぅ? いくぞ、龍の息吹】
「「「「<土壁>」」」」
巨大な火球が黒龍の口から吐き出され、<土壁>にぶつかっていく。
俺達は熱波に曝されながらも<土壁>に魔力を送り続けた。
バリンッ
<土壁>が割られていくが、龍の息吹の威力は全然落ちない。
1枚、また1枚と割られていく<土壁>。
このままでは遠からず焼かれて全滅するのは目に見えていた。
〉諦めるのか?
ふざけるな、諦めてたまるか。
〉だが、どうする?このままじゃ勝てないぜ?
どうするも何も今足掻かなきゃ殺されるだけだぜ。俺はやる前から諦めるクソ野郎には成りたく無いね。
〉耳が痛い話だな。なら、覚悟は決まったのか?
そんなもん決まるかよ。先のことは分からねえからよ。俺はガムシャラにやれる事をやるだけさ。
まぁ、きっとエドがなんとかしてくれるだろ。(笑)
〉死ぬのは怖く無いか?
死ぬほど怖えわ。けど、やんなきゃよ。
俺はイーレ村村長の息子だからな。
〉そうか。俺はお前だ。好きなようにやれ。
ああ、俺は俺の道を進む。
エドが神託を受けてから考えてたよ。
なんで神様ってやつは助けてくれないのかってな。
その疑問に答えをくれたのはエドだ。
神が救ってくれないなら俺が英雄となって救ってやる。てね。
直接言われたわけじゃ無いけど、トレーニング中の鬼気迫る様子を見てたからなんとなくわかったんだ。
ああ、英雄ってのはこういう奴の事を言うんだろうなって。
だからさ。英雄が戻ってくるまで繋がなきゃな。
俺が、俺たちが村を救う英雄になってやる。
そうだろ、エド。
「覚悟しろよ、黒龍。
<最後の蛮勇>」
アナハイムは驚愕の表情を浮かべ振り返った。
振り返った先には2人の魔人がいた。
その2人の反応は対照的だった。
一方は、驚きの表情のまま固まっていた。
もう一方は、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「なんのつもりだ。ダイィィ」
アナハイムは激高した。
「エドワード少年は実にGOOD。素晴らしい。
それに比べて隊長、あなたはSO BAD。何という体たらか。がっかりだよ。
という訳で死んでくれ。」
ダイはそういうと魔法スクロールを取り出した。
アナハイムはそのスクロールを見て理解したようだ。
「こ…の、裏切り者…め。」
強い憎悪の念を込めてダイに言い放つが、それがアナハイムの最期の言葉となった。
side:ダリウス
気づいたのは偶然。
他の2人の魔人もおかしいが、あの変態は方向性が違うおかしさだった。
最初はそういう奴なのだろうとスルーした。
けれど、常に浮いた言動を繰り返すアイツの姿がワザとらしく映った。
きっと本能的に察していたのだろう、その違和感に。
そして、違和感が確信へと変わったのはエドワードとアナハイムとの戦いの最中。
周囲が皆、戦っている2人に集中するなか、アイツだけは違った。
どこか機会をうかがっているような怪しさがあった。
だから警戒して、こっそりと親父に状況を伝えた。
こうして不穏な動きをすれば即動けるようにしながら事の成り行きを見守っていた。
結論から言えば間に合わなかった。
奴が動いた時には、エドの腹には氷弾が刺さっていた。
俺は自分の迂闊さに苛立った。
かといって起きてしまったことは覆せない。
「親父」
「おう」
だから俺達《親父と俺》はすぐに行動を開始した。
アイツはエドとアナハイムの様子を見ながらニマニマと気持ち悪い笑みを浮かべている。幸いこちらの動きに気づいていないようだ。
俺は<身体強化>を強めてアイツとの距離をいっきに詰めていく。
アイツはとどめとばかりに<氷弾>を発動し、アナハイムを串刺しにしていく。
アナハイムのすぐそばに倒れているエドにも<氷弾>が襲い掛かる。
「<土壁>」
親父の土魔法の発動が勝ったようで、<氷弾>は<土壁>に弾かれた。
エドは親父に担がれてすぐさまレインのもとに運ばれていく。
おっと、親父の邪魔をしようとしているな。
させるかよ。
「<火弾>」
俺は<火弾>で弾幕をはり、アイツの動きをけん制。
「くっ」
襲い来る<火弾>の対処に追われ、後ずさりした。
チャンス。
メイスの射程まで一気に入り込み、メイスを振りぬく。
「チェストォォォォ」
「ぐふぅ」
腹にいいのをもらってしまったアイツから苦しそうな呻き声が漏れた。
「す、素晴らしい一撃でした。」
かなり強めに殴ったんだがあまり効いてないのか、余裕を見せている。
全く魔人という種族はタフネス過ぎて嫌になるね。
「ですが、残念。足りませんねぇ。」
アイツはお返しとばかりに俺の腹をグーパン。腹を殴られた俺は吹っ飛ばされた。
「どういうことですか、ダイ?
なぜ隊長の戦いに横やりを入れたのです。」
ようやくショックから回復したマッドサイエンティストが叫ぶ。
その言葉がおかしかったのかアイツは嗤う。
「横やり?何を言う。
隊長の攻撃はエドワード少年を打倒するに至らなかった。
それどころか、未知の魔法をくらってからは動きの精細を欠いて防戦一方。
最後は武器も握ってられないほどに追いやられた。
どう見ても死に体だ。
この戦いはエドワード少年の勝利で幕引きさ。」
一呼吸を置いてアイツは話を続ける。
「だが、我らは魔人だ。敗北の2文字はあり得ない。
不名誉な生に逃げるくらいなら名誉の死を選ぶのが我らよ。
すでに勝負は決した。
であれば、ここからは1対1の闘いではなく魔人対人間の戦いだ。
戦いに正々堂々も汚いも無い。
あのまま無駄死にするくらいなら我らのために危険な芽を摘むためのサクリファイスになってくれた方が、隊長も本望というものよ。
我はそれに手を貸したに過ぎぬ。」
「我に屁理屈は通じませんよ。
隊長の名誉のためと言うならば、わざわざそのスクロールを見せる必要は無かったはずでしょう。」
アイツはさらに笑みを深めていく。
「ふふ。このスクロールはこれから必要になるので取り出しただけ。
まぁ、隊長の前で見せる必要は無かったが。
しかし、ソンよ。
君は1つ思い違いをしている。」
「なんですって?」
「確かにこのスクロールはヨルム派から必要があって頂いたもの。
だが、奴らの下についたわけではない。
我は我にのみ従う。もとより誰の下にもつかぬ。
んっ、念話?
………、なるほど。ソンよ、たった今帰還命令が下った。」
「…、なぜあなたが?
念話の魔道具は隊長クラスにしか貸与されていないはず。」
「知れたこと。我はもとより隊長クラスだからよ。
今回は、任務のためアナハイム班に潜っていたに過ぎぬ。」
「上官命令ということで従います。
ですが、帰還後に改めて聞かせてもらいますよ。」
「よかろう。さて、話が長くなったな。
イーレ村の諸君、君らに敬意を表してプレゼントを用意している。」
変態《ダイ》がスクロールを開くと、空中に幾何学模様の魔法陣が出現。
禍々しい気配が漂ってきた。
「今宵は楽しい宴であった。
我らはこれで失礼するが、この後も楽しんでくれたまえ。」
ソンとダイの足元に魔法陣が展開した。おそらく転移魔法だろう。
「させるかよ。<バインド>」
俺は変態《ダイ》とマッドサイエンティストに拘束魔法を発動し四肢を拘束することに成功。
だが、一歩遅かった。転移魔法が発動してしまい奴等は光の中に消えていった。
残されたのはスクロールと空中に投影された魔法陣。
あれはおそらく召喚のスクロール。
問題は何が出てくるかだが…、嫌な予感しかしない。
そして、それは顕現した。
現れたのは全長10mほどの黒いうろこに覆われた龍。
まだ幼体と思われるその龍は御伽噺に出てくる悪の権化、黒龍。
かつて人間の村を一晩で5つ消滅させた。
黒龍の気分次第で山が無くなった。
数多く存在する魔獣の中でも強さの頂点に位置する災厄の1つ。
それが黒龍だ。
「おいおい、冗談じゃねーぞ。
魔獣の軍勢と戦って魔人と戦って、その後に黒龍だぁ?
ふざけろよ、クソったれめ。」
文句を言いながらも黒龍を分析するが、何も案が浮かばない。
強さを隠そうともしないその禍々しい魔力を纏う黒龍。
一方で体力、魔力ともに削られて疲労困憊のイーレ村住人。
「くそっ、負けてたまるか。
おい、エドはやれるか?」
レインは静かに首を横に振った。
「無理よ。気絶したように寝てるわ。連戦で疲労が溜まりすぎてるの。
無理をし過ぎて身体にガタが来てるから、ここで起こしても満足に戦えないわよ。」
なんとなく分かっていたが、嫌な報告だ。
当分エドは戦力として宛に出来ないって事か。
「何分だ?何分休ませれば復帰できる?」
俺は自分の頬を叩き気合いを入れる。
「やるの?」
「やらなきゃどうせ死ぬ。生き残る可能性はわずかでも高い方が良いだろう?」
「そうね。治癒魔法で回復させてる。15分で叩き起こしてやるわ。」
「ヒェッ、おっかねぇ。だけど頼りにしてる。」
レインと別れて親父のところにきた。
「親父。一応聞いておくが、何かいいアイディアあるか?」
「何を馬鹿なこと言っとる。あれは災厄だぞ。
策略でどうにかなる相手じゃねーのよ。」
「なんだよ。覚悟決めろってのかよ。
子ども使いが荒いんだよ。」
そんな事を言ってると黒龍が目を覚ました。
【おのれおのれおのれ、忌々しい魔人どもめ。
儂をこの程度で抑えつけれると思うなよ。復活したからには目にものを見せてくれる。】
「な、なんだ?声が聞こえる??
黒龍の声か?なんでだ。アイツ喋ってないだろ。」
誰かがパニックになり叫んでいた。
【あ”っ?なんだ矮小な人間ではないか。
儂はいま非常に機嫌が悪い。悪いが八つ当たりさせてもらうぞ。】
黒龍が腕を払う。それだけで暴風が吹き荒れ、悲鳴が聞こえた。
見ると、村人が一人倒れている。
龍の爪にやられたのだろう傷が身体に出来ていた。
【カカカ、脆い脆い。人間は脆いのぅ。
このままチマチマと潰すのも一興じゃが、目覚めの一発じゃ。】
大地が震えだし、膨大な魔力が黒龍の口に集まっていく。
「ありゃヤバいぞ。御伽噺に聞く龍のブレスという奴だ。
おい、魔力の残ってるものは集まれ。一斉に<土壁>で防御するぞ。」
親父の怒声で呆けていた村人たちがハッとして一斉に動きだした。
一方、黒龍の方は魔力をどんどん高めていく。
【ククク、準備はいいかのぅ? いくぞ、龍の息吹】
「「「「<土壁>」」」」
巨大な火球が黒龍の口から吐き出され、<土壁>にぶつかっていく。
俺達は熱波に曝されながらも<土壁>に魔力を送り続けた。
バリンッ
<土壁>が割られていくが、龍の息吹の威力は全然落ちない。
1枚、また1枚と割られていく<土壁>。
このままでは遠からず焼かれて全滅するのは目に見えていた。
〉諦めるのか?
ふざけるな、諦めてたまるか。
〉だが、どうする?このままじゃ勝てないぜ?
どうするも何も今足掻かなきゃ殺されるだけだぜ。俺はやる前から諦めるクソ野郎には成りたく無いね。
〉耳が痛い話だな。なら、覚悟は決まったのか?
そんなもん決まるかよ。先のことは分からねえからよ。俺はガムシャラにやれる事をやるだけさ。
まぁ、きっとエドがなんとかしてくれるだろ。(笑)
〉死ぬのは怖く無いか?
死ぬほど怖えわ。けど、やんなきゃよ。
俺はイーレ村村長の息子だからな。
〉そうか。俺はお前だ。好きなようにやれ。
ああ、俺は俺の道を進む。
エドが神託を受けてから考えてたよ。
なんで神様ってやつは助けてくれないのかってな。
その疑問に答えをくれたのはエドだ。
神が救ってくれないなら俺が英雄となって救ってやる。てね。
直接言われたわけじゃ無いけど、トレーニング中の鬼気迫る様子を見てたからなんとなくわかったんだ。
ああ、英雄ってのはこういう奴の事を言うんだろうなって。
だからさ。英雄が戻ってくるまで繋がなきゃな。
俺が、俺たちが村を救う英雄になってやる。
そうだろ、エド。
「覚悟しろよ、黒龍。
<最後の蛮勇>」
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