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過去回想に映りこむモブ編
第37話 新たなピース
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「これはセルビーが受けた毒」
エドワードの発した言葉に場が固まり、皆一様に戸惑った表情を浮かべている。
「それについては俺が説明しよう。」
ドアを開けて入ってきたのはシドー。
誕生パーティーに男爵に成りすまして潜入していた男で、闇ギルドからの指名依頼を受けて任務中にダリウスに倒された男。
さらには、天使に命を狙われたが悪魔の介入によって事なきを得た男。
「えっ?誰?」
当然のことながら事情を知らないシスターマリアは首を傾げる。
「あんたは初めましてだな。
俺は元闇ギルド所属のシドーだ。
エドワードが持ってる小瓶は俺が提供したものさ。」
闇ギルドから今回の依頼を受けた時にギルド長が渡したのがその小瓶。
どうやら、その中に入っている液体を針かナイフに塗ったうえで相手に怪我をさせることが依頼主のお望みらしい。
「よくもそんな怪しさ満点の依頼を受けたわね。」
レインは呆れていた。
「そう言われてもな。この依頼はまだましな部類だぜ?
それにこの依頼は指名依頼だ。依頼主が権力者じゃ拒否できねーよ。」
「おや、なぜ依頼主が権力者だと思うんじゃ?」
「それはギルドの暗黙の了解ってやつだ。
指名依頼ってのは通常依頼と違って金が掛かる。
だが、ただ金を出せばいいって訳じゃない。
顧客の信用度と依頼内容が加味されるんだよ。
ギルドが今指名依頼が出せるのは貴族と教会、それと大手商人くらいか。
なっ、下手に拒否したらどうなるか分からねーところばかりだろ?」
シドーはそう言って肩を竦める。
「なるほどのぅ。」
ヘカテは頷く。
「それで、どうしてここにいるのかしら?」
レインはシドーに厳しい視線を浴びせている。
「まぁまぁ、そう睨みなさんな。
俺の依頼はそこにいるダリウス君のおかげで失敗したんだから。
で、俺は今、なぜか闇ギルドから狙われてる。
ああ、言っておくが、任務失敗したからといって殺されたりしねーよ。
そんな悲惨な労働環境だったら誰も残らねぇからな。
特に今回は俺は失敗したが別グループが任務達成したからな。」
「ぬっ、ではあのハゲと刺青とメイドは闇ギルド所属じゃったか。」
「闇ギルドに所属している奴らをすべて知ってるわけじゃないから俺には分からん。
ただ、少なくともゴリアは闇ギルドの一員だった。
なお、全員死んでるけどな。」
「口封じか。お主も厄介事に巻き込まれたものじゃな。」
ヘカテはくっくっと笑う。
「そうなんだよ。
ただ依頼を遂行した見返りが命狙われるとかやってられんぜ。」
シドーはため息をついた。
「…話を戻してもいいですか?」
「おっと、すまん。脱線したな。
その小瓶はギルドから渡されたものだ。当然、ゴリアの方にもな。
だから、同じ毒ってわけだ。」
「それで、どうして私に?
エドなら自分で診れるでしょ?」
「それがですね。僕では診ても名前くらいしか分からなかったんです。
知識不足だったりするのかと思いまして。
シスターマリアならポーション作成もしてますし詳しいかと。」
「なるほどね。ちなみに名前は?」
「…魔力増強薬」
困ったような表情でエドワードは答えた。
小瓶に入っていたのは毒ではなく薬であった。
***
パラメータ
名前:魔力増強薬(1000倍濃度)
成分:メラ草、魔石、ドラゴンの血液、水、アルコール
効果:身体活性化させて魔力供給を施す。
「…確かに魔力増強薬のようね。
効果は摂取すると液体に含まれている魔力を供給してくれるわ。いわゆる魔力回復薬よ。
ただ、問題はこの薬が通常の1000倍濃度ということね。」
小瓶の中身を鑑定したシスターマリアはその詳細を告げた。
「1000倍…。やりすぎでしょ。
でもそういうことですか。なるほど分かりました。」
オーバードーズ、薬の一回あたりの使用量が過剰であること、または薬物の過剰摂取に及ぶ行為を指す。
そのことを前世の知識として知っているエドワードはその桁外れの濃度に呆れながらも納得した。
強すぎる薬は毒になる。
そのことを知らないシスターマリア以外の面々は首を傾げている。
「エドは分かったみたいね。いい機会だから皆も覚えておきなさい。
薬というのはポーションもそうだけど身体を活性化させて効果を発揮するわ。
だけど、摂取には最適な量というものがるの。
大量に摂取すれば効果をちゃんと発揮しないどころか阻害、場合によっては毒に変わるわ。
つまり今回は薬の過剰摂取によって引き起こされた事象ということね。」
薬だと思っていたものが毒になる。その衝撃に皆が押し黙った。
「ひょっとしてこれ、ヤバい話なんじゃねーか?」
やがてボソッとシドーが口を開いた。
「あ、気づいちゃいました?
実は僕もこれは想像以上にヤバい話だと思う。」
「何がヤバいんじゃ?」
「これってあくまでも超高濃度の薬だろ。
毒として検出されないってことは、やりたい放題じゃねーか。
しかも、すぐに死ぬわけじゃない。魔力を失ってやがて死ぬ。」
「ということは、魔力増強薬で魔力器官がおかし…「ん”ん”ー。」」
ダリウスの言葉を引き継いでレインが推測を話しかけたときに、エドワードがセリフを遮る。
「聞いた?」
「えっ、何が?魔力器官がどうとか…。」
エドワードがシドーに確認するが、残念ながらしっかりと聞かれていた。
「あーあ。まぁもうヤバい話に片足突っ込んでるしいいだろ。」
ダリウスの言葉に戸惑うシドー。
「ま、その話は後にしよう。
それで、シドーさんは誰がこの計画を立てたかわかる?」
エドワードは話題を変えてシドーに質問する。
尋ねられたシドーは思わず口を噤んだ。額から冷や汗が垂れている。
既にシドーの頭の中には可能性のある人物が思い浮かんでいたからだ。
「あら、シドーさんはもう分かったようね。
優秀なのは素晴らしいけど、もう少しうまく隠さないとバレバレよ?」
そう言ってにっこり微笑むのはシスターマリア。
シドーはいま、蛇に睨まれた蛙のような状態。
シスターマリアの笑顔とは裏腹に「さっさと吐け」と言外の威圧を受け、彼は屈した。
「恐らくパドレス辺境伯の誰かだろう。
長男のノイズ様の母リンダリン様が怪しいと思う。」
パドレス辺境伯の子どもは正妻であるリンダリンとの間に生まれた長男ノイズ。
そして側室キルミィとの間に生まれ、10歳になられた次男ミュート。
この2人のどちらかが家督を継ぐことになるのだが、母親同士がバチバチやり合ってるらしい。
さらに次男ミュートには鑑定の儀で魔力量が少なかった疑惑が噂されている。
その噂に便乗して、ミュートに仕掛ける可能性があるというのだ。
「いや、その論理はおかしい。
それならセルビー様が狙われた理由が分からない。
直接ミュート様を狙えばいいはずだ。」
「恐らく実験ですね。」
ダリウスの疑問に答えたのはエドワード。
「えっ」
「本当に効果があるのかを確認するために試したんだ。
下位貴族の子どもで魔力量がほどほどに多い方が効果は分かりやすい。
セルビー嬢は元が500以上の魔力を持っていたから検証にはうってつけだ。」
「じゃが、それならどうやって確認するのじゃ?
魔力は見た目では分からんじゃろ。」
「だからワザと針を刺すなんて目に見える形で怪我を負わせた。
そうすれば治療のために教会に行くから。
これだからでかい教会は嫌いなのよ。」
シスターマリアはため息をついた。
「ま、待て待て。俺は今聞いちゃいけないことを聞いた気がするんだが?
ひょっとして教会もグルなのか?」
「当然ね。教会って聖人君子の集まりじゃないのよ。
特に中央の古狸どもは欲まみれよ。
貴族と結託して権力や金を振りかざして好き勝手やってるわ。
ここもパドレス辺境伯の息がかかってるなら可能性は高いよね。」
シスターマリアの言葉にシドーは顔を真っ青にさせたまま気絶していた。
数分後にシドーが復活した時、話題はセルビーの魔力減少の話に移っていた。
「セルビーさんの魔力減少が起きてるのって、超高濃度の魔力増強薬で魔力器官が耐えきれなくて壊れたことが原因てこと?」
「多分ね。魔力器官が正常に動くようになれば解決するんだと思う。
だけど問題はそれがどこにあるのかってことかな。」
エドワードの言う通り、魔力器官は身体のどこにあるのかが分かっていない。
「いや、分かるぞ?」
あっけらかんと言ってのけたのは先ほどまで顔を青くしてたシドー。
「俺のスキル<探査>を使えば見つけれるはずだ。
有効範囲が半径10mと短いから遠くの探査には使えないけど近くならほぼ完ぺきに見つけれるぜ。だが、見つけてどうするんだ?」
「治すだけよ。治癒魔法には欠損部位に特化した回復もあるから。
欠損箇所の指定を正確にしないと効果が無いからできなかったけど、見つけ出せるならやれるわね。」
シドーの言葉にレインは自信を持って答えた。
「それにしても、よく協力する気になったのぅ?」
「完全に巻き込んだよな。知りたくもないこと言いやがって。
ここから傍観者でいるとかできねーだろうが。
それに、盗み聞きしてるやつもいるようだしよぉ。なぁ、おい?」
するとドアが開き一人の執事服を着た青年が現れた。
「あれ?バレちゃった。うまく隠れてたはずなのになぁ。
シドーさんが依頼失敗とか聞いたからどんくさい人なのかと思ってましたけどちゃんと凄腕じゃないですか。」
照れてるのかポリポリと頭をかいている。
「お主は確かモドキ=セーバスじゃな。
どうしてここに?」
「誕生パーティー以来ですね。ヘカテさん。
もちろん仕事ですよ。闇ギルドとしての。
これからは仕事の時間です。
すみませんがシドーさんを渡してください。」
「残念じゃが、こやつは必要でな。
そっちに渡せんなぁ。」
「困りました。交渉決裂ですね。
すみませんがよろしくお願いします。」
困った表情を見せながらセーバスは誰かに声を掛ける。
「全く。最初から私の言う通りにしておればよかったのよ。」
そうして現れたのは、あの夜に対峙した天使だった。
エドワードの発した言葉に場が固まり、皆一様に戸惑った表情を浮かべている。
「それについては俺が説明しよう。」
ドアを開けて入ってきたのはシドー。
誕生パーティーに男爵に成りすまして潜入していた男で、闇ギルドからの指名依頼を受けて任務中にダリウスに倒された男。
さらには、天使に命を狙われたが悪魔の介入によって事なきを得た男。
「えっ?誰?」
当然のことながら事情を知らないシスターマリアは首を傾げる。
「あんたは初めましてだな。
俺は元闇ギルド所属のシドーだ。
エドワードが持ってる小瓶は俺が提供したものさ。」
闇ギルドから今回の依頼を受けた時にギルド長が渡したのがその小瓶。
どうやら、その中に入っている液体を針かナイフに塗ったうえで相手に怪我をさせることが依頼主のお望みらしい。
「よくもそんな怪しさ満点の依頼を受けたわね。」
レインは呆れていた。
「そう言われてもな。この依頼はまだましな部類だぜ?
それにこの依頼は指名依頼だ。依頼主が権力者じゃ拒否できねーよ。」
「おや、なぜ依頼主が権力者だと思うんじゃ?」
「それはギルドの暗黙の了解ってやつだ。
指名依頼ってのは通常依頼と違って金が掛かる。
だが、ただ金を出せばいいって訳じゃない。
顧客の信用度と依頼内容が加味されるんだよ。
ギルドが今指名依頼が出せるのは貴族と教会、それと大手商人くらいか。
なっ、下手に拒否したらどうなるか分からねーところばかりだろ?」
シドーはそう言って肩を竦める。
「なるほどのぅ。」
ヘカテは頷く。
「それで、どうしてここにいるのかしら?」
レインはシドーに厳しい視線を浴びせている。
「まぁまぁ、そう睨みなさんな。
俺の依頼はそこにいるダリウス君のおかげで失敗したんだから。
で、俺は今、なぜか闇ギルドから狙われてる。
ああ、言っておくが、任務失敗したからといって殺されたりしねーよ。
そんな悲惨な労働環境だったら誰も残らねぇからな。
特に今回は俺は失敗したが別グループが任務達成したからな。」
「ぬっ、ではあのハゲと刺青とメイドは闇ギルド所属じゃったか。」
「闇ギルドに所属している奴らをすべて知ってるわけじゃないから俺には分からん。
ただ、少なくともゴリアは闇ギルドの一員だった。
なお、全員死んでるけどな。」
「口封じか。お主も厄介事に巻き込まれたものじゃな。」
ヘカテはくっくっと笑う。
「そうなんだよ。
ただ依頼を遂行した見返りが命狙われるとかやってられんぜ。」
シドーはため息をついた。
「…話を戻してもいいですか?」
「おっと、すまん。脱線したな。
その小瓶はギルドから渡されたものだ。当然、ゴリアの方にもな。
だから、同じ毒ってわけだ。」
「それで、どうして私に?
エドなら自分で診れるでしょ?」
「それがですね。僕では診ても名前くらいしか分からなかったんです。
知識不足だったりするのかと思いまして。
シスターマリアならポーション作成もしてますし詳しいかと。」
「なるほどね。ちなみに名前は?」
「…魔力増強薬」
困ったような表情でエドワードは答えた。
小瓶に入っていたのは毒ではなく薬であった。
***
パラメータ
名前:魔力増強薬(1000倍濃度)
成分:メラ草、魔石、ドラゴンの血液、水、アルコール
効果:身体活性化させて魔力供給を施す。
「…確かに魔力増強薬のようね。
効果は摂取すると液体に含まれている魔力を供給してくれるわ。いわゆる魔力回復薬よ。
ただ、問題はこの薬が通常の1000倍濃度ということね。」
小瓶の中身を鑑定したシスターマリアはその詳細を告げた。
「1000倍…。やりすぎでしょ。
でもそういうことですか。なるほど分かりました。」
オーバードーズ、薬の一回あたりの使用量が過剰であること、または薬物の過剰摂取に及ぶ行為を指す。
そのことを前世の知識として知っているエドワードはその桁外れの濃度に呆れながらも納得した。
強すぎる薬は毒になる。
そのことを知らないシスターマリア以外の面々は首を傾げている。
「エドは分かったみたいね。いい機会だから皆も覚えておきなさい。
薬というのはポーションもそうだけど身体を活性化させて効果を発揮するわ。
だけど、摂取には最適な量というものがるの。
大量に摂取すれば効果をちゃんと発揮しないどころか阻害、場合によっては毒に変わるわ。
つまり今回は薬の過剰摂取によって引き起こされた事象ということね。」
薬だと思っていたものが毒になる。その衝撃に皆が押し黙った。
「ひょっとしてこれ、ヤバい話なんじゃねーか?」
やがてボソッとシドーが口を開いた。
「あ、気づいちゃいました?
実は僕もこれは想像以上にヤバい話だと思う。」
「何がヤバいんじゃ?」
「これってあくまでも超高濃度の薬だろ。
毒として検出されないってことは、やりたい放題じゃねーか。
しかも、すぐに死ぬわけじゃない。魔力を失ってやがて死ぬ。」
「ということは、魔力増強薬で魔力器官がおかし…「ん”ん”ー。」」
ダリウスの言葉を引き継いでレインが推測を話しかけたときに、エドワードがセリフを遮る。
「聞いた?」
「えっ、何が?魔力器官がどうとか…。」
エドワードがシドーに確認するが、残念ながらしっかりと聞かれていた。
「あーあ。まぁもうヤバい話に片足突っ込んでるしいいだろ。」
ダリウスの言葉に戸惑うシドー。
「ま、その話は後にしよう。
それで、シドーさんは誰がこの計画を立てたかわかる?」
エドワードは話題を変えてシドーに質問する。
尋ねられたシドーは思わず口を噤んだ。額から冷や汗が垂れている。
既にシドーの頭の中には可能性のある人物が思い浮かんでいたからだ。
「あら、シドーさんはもう分かったようね。
優秀なのは素晴らしいけど、もう少しうまく隠さないとバレバレよ?」
そう言ってにっこり微笑むのはシスターマリア。
シドーはいま、蛇に睨まれた蛙のような状態。
シスターマリアの笑顔とは裏腹に「さっさと吐け」と言外の威圧を受け、彼は屈した。
「恐らくパドレス辺境伯の誰かだろう。
長男のノイズ様の母リンダリン様が怪しいと思う。」
パドレス辺境伯の子どもは正妻であるリンダリンとの間に生まれた長男ノイズ。
そして側室キルミィとの間に生まれ、10歳になられた次男ミュート。
この2人のどちらかが家督を継ぐことになるのだが、母親同士がバチバチやり合ってるらしい。
さらに次男ミュートには鑑定の儀で魔力量が少なかった疑惑が噂されている。
その噂に便乗して、ミュートに仕掛ける可能性があるというのだ。
「いや、その論理はおかしい。
それならセルビー様が狙われた理由が分からない。
直接ミュート様を狙えばいいはずだ。」
「恐らく実験ですね。」
ダリウスの疑問に答えたのはエドワード。
「えっ」
「本当に効果があるのかを確認するために試したんだ。
下位貴族の子どもで魔力量がほどほどに多い方が効果は分かりやすい。
セルビー嬢は元が500以上の魔力を持っていたから検証にはうってつけだ。」
「じゃが、それならどうやって確認するのじゃ?
魔力は見た目では分からんじゃろ。」
「だからワザと針を刺すなんて目に見える形で怪我を負わせた。
そうすれば治療のために教会に行くから。
これだからでかい教会は嫌いなのよ。」
シスターマリアはため息をついた。
「ま、待て待て。俺は今聞いちゃいけないことを聞いた気がするんだが?
ひょっとして教会もグルなのか?」
「当然ね。教会って聖人君子の集まりじゃないのよ。
特に中央の古狸どもは欲まみれよ。
貴族と結託して権力や金を振りかざして好き勝手やってるわ。
ここもパドレス辺境伯の息がかかってるなら可能性は高いよね。」
シスターマリアの言葉にシドーは顔を真っ青にさせたまま気絶していた。
数分後にシドーが復活した時、話題はセルビーの魔力減少の話に移っていた。
「セルビーさんの魔力減少が起きてるのって、超高濃度の魔力増強薬で魔力器官が耐えきれなくて壊れたことが原因てこと?」
「多分ね。魔力器官が正常に動くようになれば解決するんだと思う。
だけど問題はそれがどこにあるのかってことかな。」
エドワードの言う通り、魔力器官は身体のどこにあるのかが分かっていない。
「いや、分かるぞ?」
あっけらかんと言ってのけたのは先ほどまで顔を青くしてたシドー。
「俺のスキル<探査>を使えば見つけれるはずだ。
有効範囲が半径10mと短いから遠くの探査には使えないけど近くならほぼ完ぺきに見つけれるぜ。だが、見つけてどうするんだ?」
「治すだけよ。治癒魔法には欠損部位に特化した回復もあるから。
欠損箇所の指定を正確にしないと効果が無いからできなかったけど、見つけ出せるならやれるわね。」
シドーの言葉にレインは自信を持って答えた。
「それにしても、よく協力する気になったのぅ?」
「完全に巻き込んだよな。知りたくもないこと言いやがって。
ここから傍観者でいるとかできねーだろうが。
それに、盗み聞きしてるやつもいるようだしよぉ。なぁ、おい?」
するとドアが開き一人の執事服を着た青年が現れた。
「あれ?バレちゃった。うまく隠れてたはずなのになぁ。
シドーさんが依頼失敗とか聞いたからどんくさい人なのかと思ってましたけどちゃんと凄腕じゃないですか。」
照れてるのかポリポリと頭をかいている。
「お主は確かモドキ=セーバスじゃな。
どうしてここに?」
「誕生パーティー以来ですね。ヘカテさん。
もちろん仕事ですよ。闇ギルドとしての。
これからは仕事の時間です。
すみませんがシドーさんを渡してください。」
「残念じゃが、こやつは必要でな。
そっちに渡せんなぁ。」
「困りました。交渉決裂ですね。
すみませんがよろしくお願いします。」
困った表情を見せながらセーバスは誰かに声を掛ける。
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