新月の光

恵あかり

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第二部 紅陽(完結)

13 道を探して

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 その日、珍しく犀星の屋敷は、慌しかった。
 歌仙から、大量の玲陽の荷物が届いたのである。
 荷物ははるばる馬車で運ばれ、市場近くの邸店に預けられた。知らせを受けて店まで行ったが、東雨は首を捻った。あまりに、多すぎる。ひとつひとつ運んでいては、一日では終わりそうもない。玲陽も、申し訳なさそうな顔で立ち尽くしている。
 犀星が落ち着いて荷を確認し、店の中に声をかけた。
「すまないが、荷車を貸してもらえませんか?」
「若様、親王自ら、荷車を引くつもりですか?」
「だめか?」
「だめです!」
 いくら犀星が良くても、東雨には考えられない。
「それなら、おまえが引け。俺が押すから」
「同じことです!」
 泣き出しそうな東雨に、犀星は驚いた顔をしながら、それでも、小さく笑った。
「では、どうしたらいい?」
「え?」
 東雨は一瞬黙った。それから、これしかないでしょう、と、
「俺が引きますから、ついてきてください」
 汗をかきながら東雨が引く荷車をこっそりと押しながら、犀星と玲陽は笑顔を見合わせた。
 こうして三人で過ごすことが、あまりに心地よかった。
 玲陽を迎えた二ヶ月前からは、信じられないほどに、全てが肌に馴染んでいた。
 雪の轍に苦労しながら、荷車はどうにか進んだ。
 はずむ白い息も、滑りそうになる足元の氷も、何もかもが輝くようなひと時だった。
 こうして、昼過ぎには、木箱や布袋がいくつも、玄関に近い応接室に積み上げられた。
 箱を開け、袋の紐を解く。荷物のいくつかには、犀家を表す刀の家紋と、玲家を表す炎の家紋とが刻まれていた。
 まるで、犀家の家人達と玲家の玲芳とが競い合って贈り物を届けさせたようだ。
 荷物の中には、どう考えても過保護すぎると思われるものが数多くあった。
 何着もの着物から始まり、履物、帯、手作りの綿入りの足袋、数種類の香り袋、刺繍が入った寝具が一式、携帯型の銅製の鏡と櫛、髪紐、暖を取るための温石。
 それに加え、干し柿や栗などの保存食、玲芳が自ら書いた養生をすすめる注意書きの書もある。さらに、玲家で使われていたと思われる古文書や護符までが、ぎっしりと詰められていた。
 玲陽が事前に頼んでいた治水に関わる書物は、隅の方に小さく肩身が狭そうに添えられていた。
 玲凛からは、二本の簪が同封されていた。月と星をかたどったもので、それぞれ、玲陽と犀星に宛てられていた。
「これは……」
 東雨は部屋を埋め尽くす荷物に、呆然とした。
 運び入れただけで、どっと疲れた。
 どうします? と、玲陽を見上げる。
 玲陽も、どうしましょう、という顔で東雨を見る。
 犀星は黙って荷物に近づくと、食料品だけを寄り分けた。
「厨房に持っていく」
 と、早足に部屋を出て行った。
 逃げましたね。
 玲陽と東雨はため息をついた。
 仕方がなく、二人は仕分けを始めた。
 母親とは、これほどに世話をやくものなのか。
 ひとつひとつの品に、玲陽への思いが込められている。東雨は滲むような羨ましさを感じた。
 自分は誰かに、こんなに大切にされたことなどない。
 優しい色合いに縫い上げられた着物を畳む、東雨の指先が震えていた。
 片付けなければならない荷物の多さよりも、別の何かが辛かった。
 あらかた片付け、今日はこれまで、と見切りをつけた午後。
 東雨はしっかりと綿入りの袍を着込み、回廊に座った。そして、脇に布を広げ、その上に、刀を整えるための道具を並べた。
 懐から短刀を取り出す。
 布で表面をしっかりと拭き、それからそっと、鞘を外す。
 口金の鳴る音は、東雨に不思議な安心感を与えてくれる。
 冬の日差しに刀身をかざすと、波紋が美しく浮かぶ。それを眺めているだけで、心は静かに安らいでゆく。
 傷みがないことを確かめ、麻布で刀身を拭う。優しく、少しずつ重ねるように、丁寧な手つきである。
 刃は薄く鋭く、刃こぼれの様子はない。
 羽毛刷を使って、荏胡麻油をほんの少し取り、刃に伸ばす。光にかざし、薄く均等に広がるように、慎重に、刃の表を撫でる。背や峰にも抜かりなく油を塗る。刀をそっと布の上に置き、次に鞘を手に取る。
 木の芯に布を貼った棒で、鞘の中を丁寧に掃除する。冬場は乾燥するため、鞘のひび割れを防ぐよう、少しだけ油を添える。
 このやり方は、小さい頃に犀星から教わったものだ。
 侍童として、東雨には武芸を身につける必要はなかった。だが、犀星がすることに何でも興味を持った東雨は、自分からせがんで、剣術も道具の手入れも学んだ。
 残念ながら、剣の腕前は上達しなかった。だが、こうして刀を美しく整える腕前は、相当なものである。
 もともと、気性が優しい東雨には、こちらの方が向いていたのだろう。
 だが、運命は皮肉を好んだ。
 この刀で、東雨は人を一人、殺している。
 彼が刀を整えるのは、その罪を心に刻むためだ。
 どうか、二度とこの刃が血に染まることがないように。
 ……白々しい
 と、自嘲する。
 一度染めてしまった手は二度と元には戻らない。それでも自分はまだ、何かにすがろうとしている。
 自分が犯した罪は、決して忘れられない。それは、本人に知られることもなく、犀星のために振るった刃だった。
 たとえ、犀星が許したとしても、自分には許せない相手がいた。
 生かしておけば、いずれまた、犀星を苦しめることになる。誰かが斬らねばならないのなら、それは自分をおいて他にはいなかった。
 ……いいんだ、これで。
 そう割り切ろうとしても、どこかに寂しさが残った。
 東雨は刀を鞘に収めると懐に戻した。
 部屋の奥で、聞き慣れない音がしたのはその時だった。
 冬の冴えた空気が、ピンと張った音を伝えてくる。玲陽の部屋からだ。
 東雨は回廊を渡って部屋の前に立つと、そっと声をかけた。
「光理様」
 音が途切れ、
「どうぞ」
 玲陽の声が招き入れる。
 東雨は細く板戸を開け、中に体を滑り込ませた。室内の暖かさが逃げないうちに、すぐに閉める。
 明かり取りから差し込む柔らかい光が、部屋を満たしている。
 玲陽は部屋の真ん中に座り、膝の前に七弦の琴を置いていた。玲家から届けられたものの一つだ。
「懐かしくて、つい鳴らしていました」
「琴なんて、この屋敷で聞いたのは初めてです」
 東雨は、玲陽の正面に座った。
「若様は全然こういうこと、してくれないから……」
と、犀星の思い出を口にする。玲陽は小首をかしげる。
「兄様は、琴が弾けるはずなのですが」
「習っていたんですか?」
「はい。犀家に上手な方がいらして」
「そうでしたか」
 心の中に寂しい風が吹く。
 自分の知らない犀星を、玲陽が語る度に、胸がざわついた。
 東雨は、琴の盤面を覗き込んだ。
 琴は、昔、実際に玲陽が使用していたものだ。
 胴体は、全体的に赤みを帯びた木でできている。年月が経っているせいか、艶が増して、光に当たると部分的に琥珀がかった色味に見える。それは玲陽の瞳のようだった。
 表面の板は、なめらかな漆仕上げで、かすかに繊細な刷毛の目が残されている。よく練習をしたらしく、一部摩耗した部分もあったが、そこは漆が重ねられて補修が施されていた。
 左右の側面には、細い黄色の線で流れるような唐草紋がある。
 胴に張られた糸は絹だろうか。乳白色の優しい色合いだ。金具にはうっすらと「陽」の一文字が彫られている。
 琴を包んでいた紅花染めの布が、玲陽の隣に丁寧に畳まれて置かれていた。
「懐かしいです。すっかり忘れていました」
 玲陽は糸を撫でた。その糸よりも白い玲陽の指が、わずかに音を鳴らす。
「何か弾いてみてください」
 東雨は明るく言った。
 玲陽は困ったように、
「もう十年も弾いてないんですよ」
「構いません。途中まででもいいですから」
 東雨の目はまっすぐだ。玲陽はこのキラキラとする黒い目に弱い。
「わかりました。間違えても笑わないでくださいね」
「平気です。間違えたかどうかも、わからないので」
 東雨はいつもの調子で、玲陽を励ました。この笑顔に、玲陽はどれだけ救われて来ただろうか。
「では」
 と、玲陽は両手を糸の上に添えた。その仕草さえ綺麗だと、東雨は思った。真剣な瞳に長いまつげが震える。
 玲陽の指が、そっと糸をはじき始めた。
 目の前で玲陽が生み出す一音一音が、東雨の心を静かに叩く。
 抑えていた感情が少しずつほぐされて、音と一緒にぽろぽろと冬の明かりの中に散っていく気がした。
 玲陽は目を伏せたまま、丁寧に琴を弾く。指の動きがなめらかで、優しく撫でているようだ。
 目を閉じ、東雨はその音にすべてを預けた。こうしていると、自分がここにいて自然な気がしてくる。自分も、音になりたい。そうしたら、この場所にずっといても、きっと誰にも咎められることはないだろう。
 東雨はまぶたの裏に、熱いものが滲んでくるのを感じた。目を開けたらこぼれてしまう。そう思ってより強く目を閉じる。
 音とともに時が過ぎ、優しいぬくもりが魂を包んでいく。
 こんなにも自分を癒す人を、傷つけなければ、居場所を守れないというのか。
 そこまでして、生きていたいか……
 突然、短く音が切れた。
 東雨は目を開けた。玲陽が左手を見つめていた。
 東雨はとっさに、玲陽の左手を両手で包んだ。それはあまりにもわずかな間の出来事で、東雨も玲陽も一瞬、理解が遅れた。
「ごめんなさい……左手、痛いですよね」
 そう言って、そっと手のひらで温める。
 玲陽の手は、東雨よりも少し冷えていて、柔らかかった。
「急に使ったから、手がびっくりしたみたいです」
 玲陽は、安心させるように微笑んだ。
「冷えると古傷が痛みますよね。俺も右足が痛むのでわかります」
「東雨どの、怪我を?」
 心配そうに、玲陽が形の良い眉を寄せた。
「昔々のお話です。ちょっと転んで」
 小さな、嘘をついた。
 東雨の怪我は事故ではない。
 教育という名目で、何人もの男に強姦された。そのとき、乱暴に扱われて足を痛めた。それは、誰にも話せない記憶だった。
「大丈夫ですか」
 玲陽が、心配そうに覗き込んでくる。
 二人の手は重なっている。顔も近づく。東雨は目が離せず、息を止めた。玲陽の目が、ためらうように揺れる。
 思わず、東雨は握る手に力を込めた。痛みを感じ、玲陽の顔がわずかに歪んだ。
 東雨は、はっとして手を離した。
「ごめんなさい……」
「いいえ、平気です」
 玲陽は首を振って、なおも東雨のことを心配そうに見守る。
 東雨は耐えられなかった。
 この人を傷つけ、犀星を傷つけ、何が得られるというのか。
 皇帝が言ったことなど、まやかしだ。
 そう、思いたかった。
 これ以上は、心が持たなくなりそうで、東雨は思いを振り払うように立ち上がった。
「ありがとうございました。無理を言ってごめんなさい」
 部屋を出ようとした東雨に、玲陽が呼びかける。
 東雨は立ち止まっただけで、振り向くことができなかった。
 玲陽の切ない声が、背中から聞こえた。
「春になって暖かくなったら……痛みも和らぎます。そうしたら……その時、また、聞いてもらえますか?」
 東雨は両手で袖を握った。
 春。
 そのころ、自分は役目を果たせずに殺されているか。
 それとも、果たしてしまって、玲陽がこの世にいないか。
 どちらにしても、ふたりが並んで春を迎えることはない。
 ……そんな時は、来ない。
「約束、します」
 心で叫び、東雨は口元に笑みを浮かべていた。
 それから、少し声を低めた。
「光理様は、約束を破ったことありますか」
 自分でも、どうしてそんなことを尋ねたのかわからなかったが、自然と、言葉が口をついた。
「ありますよ」
 清らかに響く声が答えた。
 東雨は少し意外そうに目元を動かした。
「私は、大切な人との約束を、破ったことがあります」
 その声には、まっすぐに向き合った者だけが語ることのできる、強さがあった。
「でも」
 と、玲陽は続けた。
「兄様が約束を破ったことは、一度もありません」
 その声は誇らしかった。
「もし、どうしても守りたい約束があるのなら、その約束の守り方、兄様に聞いてみてください」
 東雨は声を出したら崩れてしまいそうで、ひとつ頷いて、そのまま部屋を後にした。
 玲陽の気配が遠のいても、心は少し暖かかった。
 回廊に、荷物を出しっぱなしにしていたことを思い出して、東雨は遠回りをして元いた場所に戻った。
 そこには今、犀星が座っていた。
 先程の自分と同じように陽の光に刀を掲げ、丁寧に整えている。東雨に気づいて、犀星はわずかに笑った。
「すまない。並んでいたから、そのまま使わせてもらった」
 東雨の表情が、かすかに揺れた。
「構いません」
 と、犀星の隣に座る。じんわりとぬくもりが伝わる、わずかな距離。こんな近くに座ったのは、いつ以来だろう。
 犀星はじっと刀を見て、どこか覚悟のある眼差しを向けている。
 どこまでも深い蒼色の目は、昔と変わることなく澄んでいた。
「人を、斬ったことがある」
 突然、犀星が言った。
 どきりとして、東雨はその横顔を見た。変わらずに美しかった。どこか儚げで寂しく、けれど、その目元には、いつも強い意志がある。
「大切な人を傷つけられた。だから斬った。後悔はない」
 犀星の声は、東雨の心の深いところを震わせた。
 同じ、罪。
 東雨は奥歯を噛んだ。
 犀星が語ったのは、彼の罪か、自分の罪か。
「それでも……重いものだな」
 そう言って、犀星は静かに、東雨を見た。
 若様、知っている?
 そんなはずはない。死体は見つかったが、犯人はわからないままに処理されたはずだ。
 けれど……
 東雨は、そっと、自分の手を見た。
 あなたのために、俺は……
「……はい。後悔はしていません」
 思わずそんな言葉が出た。
「でも、重たいです」
 それきり二人は黙った。
 東雨は自分の罪をはっきりとは言わない。けれど、犀星には見透かされているのかもしれない。いや、むしろ、そうであって欲しかった。せめて、犀星にだけは、自分がしたことを、その想いを、知っていて欲しい。
 犀星が刀を鞘に収める音がした。手際よく道具を片付け、立ち上がる。
「これから、時間はあるか?」
「え?」
「市場に行かないか?」
 東雨は驚いて、犀星を見上げる。
「どうした?」
「買い物なら光理様と行けばいいじゃないですか……」
 東雨は、思わず犀星を試すような、意地の悪いことを言ってしまった。
「陽は、荷物の片付けがある」
 気にしていない、と言うように犀星が首を振った。
「それとも、俺と出かけるのは嫌になったか?」
「え?」
「そうだな。俺はケチだから」
 と、笑う。
「そんなこと言ってないです」
 東雨は少し拗ねた。
「でも……」
「うん?」
「今までずっと三十文で頑張ってきたのに、光理様が来てからすぐに五百文なんて……今までの俺の努力が何だったのかなって……」
 するすると、東雨の口から本音が出てくる。
 犀星が少しだけ腰をかがめて、東雨の顔を見た。まるで小さな時のように。
 東雨の頬が赤くなる。
 犀星は、ただ微笑んでいる。
「行こう。暗くなる前に」
「……はい!」
 意地など、張る必要はなかった。
 犀星が自分を見て、自分を選んでくれたのだ。
 心のどこかに、玲陽の手が空かないから仕方がなくなのか、と、卑屈になる自分がいる。それでも、断る理由にはならない。
 東雨は急いで犀星の部屋から外出用の長袍を持ってくると、そっとつま先立ちして肩にかけた。
 違和感がある。
「背が伸びたな」
 犀星が言った。
「背伸びをしなくても届くだろ」
「あ……」
 いつの間に、こんなに近くなったんだろう。
 改めて、その目線の近さに驚いてしまう。心を覗かれているようで、少し照れくさかった。
「行こう」
 サッと翻った犀星の背中を追って、東雨は踏み出した。
 揃って屋敷を出て、大通りまでゆっくりと歩く。
 二人きりで出かけるなんて、本当にしばらくなかったな。
 東雨は記憶を辿った。
 歌仙に行く前、犀星が体調を崩したころからこちら、覚えがなかった。
 それまで当たり前だと思っていた時間は、今、東雨にとって本当に大切で手放しがたいものになっていた。
 犀星と並んで歩く。肩が近く、目線も揃う。
 いつの間に、近づいたのだろう。
 何度も、東雨は犀星の横顔を見てしまう。見上げていた顔が、すぐそばにある。それがくすぐったく、だが、たまらなく嬉しかった。
 冬空は鉛色に澱み、いつ雪が降り出してもおかしくない雰囲気だった。それでも東雨の心は浮き立っていた。
 石畳の中央通りに一歩出ると、途端に賑わいが強くなる。ちょうど午後の買い物時の時刻で、大勢が出歩いている。通りに沿って、店々の棚には色とりどりの商品が並んでいた。
 商人たちの呼び声が、あちらこちらから、少し枯れて聞こえてきた。
 東雨はわざと息をはぁっと吐く。白く煙るのが楽しい。犀星を見ると、やはり柔らかな白い霧が口元に漂う。息遣いが目に見える季節は、少し特別な気がする。
 荷車を引いた行商人たちが、小さな炉で手を温めながら、道行く人に声をかけている。車の荷台には、掘り出してきたばかりの野菜が山積みになっていた。今年最後の収穫だろう。
「大根はもうしばらくいらないです」
 と、東雨が言う。
「そうだな」
 と、犀星が応じる。
 たったそれだけのやりとり。
 だが、ふたりだけのやりとりだ。
 寒空に、東雨の頬はほんのりと赤くなり、手をこすりながら、それでも笑顔である。
 周囲は賑やかでも、二人の間にはほのかに暖かい空気が流れている。
 どこからともなく漂ってくる、煮物や揚げ物の匂い。近づくと、ふわりと香る甘い菓子の匂い。東雨の目が、つい、そちらに引き寄せられる。
 小さい頃に一度だけ買ってもらった、杏の蜜漬けに目がいく。
 あれは確か、腹を下して安珠のところに泊まりがけで世話になった時だった。
 犀星が、寂しがる自分のために、差し入れてくれたのだ。
 腹を壊しているのに、食べ物を持ってくるとは、と安珠は呆れていた。しかし、その時に犀星が言った言葉を、東雨は今でも覚えていた。
『これを食べたくて、治すはずだから、最良の薬だ』
 あの頃から、犀星は、人とは少し違っていた。そんな主人が頼もしく、ひそかに憧れていた。
「欲しいのか?」
 すっかり蜜漬けに釘付けになっている東雨に、犀星が短く聞いた。
 東雨は一瞬、黙ってから、
「……いいえ」
 と首を横に振った。
 本当は欲しい。
 けれど、わがままを言えば、この素晴らしい時間が終わりになってしまうようで、黙っていた。
 ふたりは、何を買うということもなく、市場をうろついた。
 気になるものを見つけては、短く言葉を交わす。
 犀星とのやりとりは相変わらずそっけない。それでも、自分にだけ向けられる言葉は特別で、とても重たく嬉しい。
 目の先に、色鮮やかな紐を扱う店が見えてきた。
 東雨は、ちらっと犀星の髪を見た。その不思議な色合いの髪に、白い紐がしっかりと結ばれている。犀星が淡い色を好きだということを東雨はよく知っている。
 店の前で、東雨は少し足を緩める。気づいて、犀星が立ち止まってくれた。色鮮やかな紐の間を、東雨の目線が行ったり来たりする。
 東雨は、ふっとつぶやいた。
「光理様なら、きっとこんな色が似合います」
 そう言って落ち着いたえんじ色を指さす。
「陽のことはいい」
 犀星が予想外の反応を見せた。東雨は思わず振り返った。じっと犀星の目が自分を見ている。
「お前は、どれがいい?」
 東雨は声が出なかった。
 ……いいの?
 思わず、顔が緩んだ。
 犀星が、自分に何かを買い与えるなど、それこそ、杏の一件以来ではないだろうか。
 犀星は、わずかに照れた、優しい笑みをしている。東雨は完全に崩れた笑顔で、美しく吊り下げられている紐を見た。
 犀星にすぐ隣で見守られていると思うだけで、心臓が高鳴った。
 だが、東雨の顔は、徐々に、こわばっていった。
 自分が、どんな色の髪紐が好きかなど、考えたこともなかった……
 いつも、犀星なら何が好きか、そんなことばかりで、自分を見つめることをしなくなっていた。いつからそうなってしまったのか、覚えてはいない。綺麗な色はいくつもあるが、どれを選んで良いのか、わからなかった。
 途方にくれた東雨の顔を見て、犀星は一本の紐を手に取った。深い緑色で、幅広く織られた艶のある品である。両端が房になっており、柔らかい手触りだ。
「お前の髪に映えると思う」
 犀星はそっと、東雨の束ねた髪に紐をかざした。
 東雨は目をきょろきょろと動かして、どう答えていいか困っている。
「気に入らないか」
「いいえ!」
 激しく首を振って

「……考えたことがなくて…自分の好きな色なんて……」
 と戸惑う。
「では、試してみろ」
 そう言って、犀星はその紐を買い求め、その場で東雨の髪に結んでくれた。
 東雨は、顔が真っ赤に上気しているのを感じた。眉間のあたりが熱い。
 礼を言うこともできず、ただ犀星の顔を見つめる。
 犀星は普通の微笑みよりも、少し大きく笑ってくれた。それにつられて、東雨もにっこりと笑ってしまった。
 なんだかそのまま、飛び跳ねたい気分だ。
 買い物に出たといっても、何か目的があったわけではない。
 こうして街の空気を直に感じるのは、犀星にとっては当たり前のことだった。
 昔から、東雨と二人で、よくこうやって市場を歩いた。あちらこちらで人に呼び止められ、世間話をし、政治の文句を聞いた日が、遠く懐かしかった。
 寂しさを感じて、東雨は半歩先をゆく犀星を目で追う。背は近づいても、心が遠のいたようで不安だった。
 勇気を出したら、触れてしまえるのに!
 東雨は、揺れる犀星の袖を見た。
 もし、光理様なら、迷わない……
 そう思って、手を伸ばす。
 指先が袖をかすめたとき、道の向こうから、鋭い叫び声が聞こえた。
 それは人の声ではなかった。
 犀星がちらりと東雨を見た。東雨はうなずいて声のした方に駆け出した。
 このようなとき、犀星は必ずその場を確かめる。暁隊や三番隊よりも頼りになると東雨は思う。
 声の主はすぐにわかった。
 魚の干物がぶら下げられている店の前で、竹で組まれた籠の中に、一匹の汚れた猫が閉じ込められていた。当然、売り物ではない。その場にあった鶏の籠を使い、捕まえたらしい。
 周りの人だかりから声が聞こえてくる。
「また店を荒らしたんだね」
「昨日もだ」
「どうするんだ、あの猫?」
 東雨はそんな声を聞きながら、じっと猫の様子を見た。ずいぶんと痩せている。ネズミも捕れていないのだろう。それで店の魚を狙ったに違いない。
 ネズミを取れなくなった猫は、まるで役に立たなくなった自分と同じ……
 東雨は猫から、目が離せなかった。
 猫は気が立っていて、必死に檻の中で暴れ、盛んに声を上げている。それは東雨が知っている猫の声ではなく、赤ん坊の鳴き声のような、長く粘りついて、胸に残る音だった。
 猫は逃げようとして、何度も籠に体をぶつける。籠は古く、竹がささくれ立っている。棘が刺さって体が傷つき、毛皮に血が滲んでいた。
「そんなに暴れないで……」
 思わず、東雨はつぶやいていた。犀星がちら、と東雨を見たが、猫に夢中で気づかない。
 猫は牙を剥き出し、籠を揺らして転げ回る。
 何人かがそっと近づいた。
「よければ私、引き取りましょうか?」
 と、年配の女性が一歩前に出る。だが、猫は威嚇の声を上げてなおも暴れる。籠ががたがたと揺れる。
「俺も……」
 また一人、男性が近づいた。それでも猫は怒ったままだ。
 助けようと伸ばされる手に噛み付こうとする猫は、どこか、自分に似ている気がした。
 猫は決して強くはない。
 けれど、怖れるばかりで、周りが見えていない。
 暖かい手は差し伸べられているのに、自らそれを傷つけようとする。
 自由を求めて足掻いてもがくほどに、自分で自分を痛めつける……
 東雨はいつしか、体が震えていた。
 その時、
「うるせえなぁっ!」
 怒鳴り声とともに、一人の大柄な男が籠に近づき、乱暴に足で蹴飛ばした。
 籠ごと転がって、猫は少し先で、ふん、と唸ってうずくまる。
「何するんだよ!」
 東雨は、飛び出した。
 男は酔っ払っている。しかも体格が良く、東雨がどうにかできる相手ではない。
 あっという間に襟首をつかまれ、吊るし上げられる。足をばたつかせたが、浮かされて抵抗のしようがなかった。それでも東雨は精一杯、男を睨みつけた。
「怖がってるだけじゃないか!」
 精一杯、東雨は叫んだ。喉にわずかに、血の味を感じた。
 男は酒臭い息を東雨に吐きかけた。
 殴られるか、投げられるか。
 東雨が覚悟したその時……
 東雨を掴み上げる男の手首に、すっと犀星が指をかけた。反対の腕が、東雨の体を抱えるようにして後ろから支える。
 東雨の目の前で、犀星の手が男の手首を硬く締め上げる音がした。
「うちの東雨が、何か?」
 静かな犀星の声は、ただそれだけで男の肝を冷やした。
「いや……」
 怖気付いて、男が手を離す。東雨は犀星の片腕に支えられて、静かに下に降ろされた。
 犀星はただじっと男を見るだけだ。それだけで、男は二、三歩後ずさり、そのままふっと息を吐いて、通りの向こうへと逃げ去っていく。見守っていた人々から、ワッと歓声があがった。
 さすがは歌仙さまだ、と声がかかる。だが、それは、東雨にはどこか遠かった。
「大丈夫か」
 犀星はそっと東雨の体を探った。
「はい…」
 上ずった声で、東雨は答えた。まだ、体が震えている。
 思わず犀星の二の腕を掴む。食い込むほどに、東雨は強く握った。そうすると少しだけ怖さが遠のく。じんわりと手のひらに伝わってくる犀星の熱が、胸の鼓動を鎮めてくれる。
 いつだってこの人は、俺のこと……
 東雨は俯くようにして、犀星に倒れ込んだ。昔は胸に顔を埋めた。今では肩に額があたる。その変化が、東雨を驚かせた。
 しばらく犀星はじっとして、東雨のするに任せてくれた。
 ややあって、東雨はそっと手の力を抜き、下ろした。
 冷たいものがさらりと頬に触れる。東雨は空を見た。
 世界の音が吸い込まれていくように、しんしんと雪が降り始める。
 犀星は黙って、東雨の乱れた襟を指先で直した。一瞬、胸元に直接指が触れて、東雨はその感触に体を強ばらせた。
「すまない」
 小さく犀星が言い、
「いいえ」
 短く東雨が答える。そんな他愛のないやりとり。
 東雨は、犀星の後ろに転がっていた猫を見た。籠の中で、猫はうずくまったままだ。犀星も東雨の視線を追うように振り返った。そして何を思ったか、そっと東雨の背中に手を当てた。
「心配ない。あの猫は強いから」
 その声、その言葉。
 東雨は途端に泣き出してしまった。
 歌仙様が東雨を泣かせた、と、市場の人々がなぜか楽しそうに囃し立てた。犀星は気まずさで顔を歪め、そっと、東雨の頭を撫でた。だが、東雨の涙は余計に止まらなくなった。

 屋敷に戻り、その日が暮れる。
 東雨は泣き止んでもなお興奮が残り、気持ちが浮ついていた。
 どうにも落ち着かない。
 犀星と過ごした市場での一部始終が、鮮やかに東雨のまわりを巡っていた。
 その光景の中に、答えがありそうな気がした。
 この半月、ずっと自分が苦しみながら、探し求めていた真実が、隠されているはずだった。
 もう少しで見えそうなのに、その『少し』が足りない。
 そんなことを思いながら、夜着に着替えようとして、東雨は手を止めた。
 襟を、緩めることができなかった。
 小さな油灯の明かりの中で、襟元に目を落とす。きちんと合わさったそれは、犀星が整えてくれたものだ。
 髪に手をやれば、滑らかな髪紐が優しく触れた。
 どうしよう……
 真剣に、東雨は困ってしまい、しばらくぼんやり立っていた。そして、やがて心を決めて部屋を出た。
 まっすぐ、犀星のもとへ。
 もう、休んでいるだろうか。
 玲陽と寄り添う姿を見たくはなかったが、直接、話がしたかった。
「若様?」
 遠慮がちに、部屋の外から声をかけた。
「どうした?」
 あっけないほど簡単に、犀星の声が返ってきた。そして、犀星の方から、東雨のそばへ、歩み寄ってくる。東雨は不思議な気持ちで待っていた。
 犀星は手にしていた灯籠を足元に置いた。
「あの」
 東雨は、無意識に玲陽の姿を探した。
「陽なら、いない」
「え?」
「今日は、新月だから」
 ああ、と、東雨は思い出した。
 新月には、玲陽はその特殊な力のため、身体がぼんやりと光るのだという。その姿を見られるのを嫌って、ひとりで部屋に閉じこもるのだ。
「あの、若様」
 東雨は視線を彷徨わせながら、
「ちょっと、困ってしまって」
 と、ためらいがちに、
「あの、ですね」
「うん」
「……これ、ほどいてもらえませんか?」
 と、頭を垂れる。
 犀星の肩が少し下がった。
「……気に入らなかったか?」
「違うんです」
 東雨は首を振った。
「自分で、ほどけないんです」
「え?」
「もったいなくて……」
「……そうか」
 犀星の反応が、やや、遅れた。声が、かすかに笑っていた。東雨はホッとした。
 犀星の手が髪を撫でるように、動いて、紐が擦れる優しい音がした。丁寧に紐を束ね、東雨に差し出す。そっと、東雨は受け取る形で手を出した。犀星はしっかりとその手に紐を預け、指を添えて握らせてくれた。
「あの……」
 と、東雨がまた、何かを言おうとした。
「いつでも、結えてやるから」
 ぴくっと東雨は震え、見開いた目で犀星を見た。
「どうして……」
「わかる、それくらいは」
 と、やんわりと笑う。
 東雨はまた泣きそうになりながら、それでも、どうにか堪えた。
「それじゃ、ついでに……」
 東雨は真顔で、
「襟も、緩めてください」
「……東雨!」
 犀星の戸惑った声に、東雨はにっこりと笑った。
 東雨は、髪紐を両手で胸に抱いた。
「若様」
 と、静かに呼ぶ。
「ひとつ、教えて欲しいんです」
「ああ」
 犀星は、声を落ち着けてうなずいた。
「約束を破りたくないときは、どうしたらいいですか?」
「……はじめから、しないことだ」
「もう、しちゃったんです」
 と、東雨は言った。
「難しい約束なんです。でも、守りたいんです」
 犀星は息をついて、少し考えた。それから、東雨の前に膝をついた。灯籠のあかりで、犀星の顔がはっきりと見える。
「それなら……」
 と、犀星は優しく笑みを浮かべた。東雨の頬が、赤く染まった。
「決して、忘れないことだ」
「……忘れないこと?」
「ああ」
 東雨は、吸い込まれるような犀星の瞳を見つめた。
 たったひとつの約束を、十年の間、心に秘めて、守り通した犀星の言葉は、信じるに値する。
「わかりました」
 東雨は目を細めてうなずいた。
 月のないその夜に、東雨は自分の道標となるほしを、その胸に深く刻んだ。
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