新月の光

恵あかり

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第二部 紅陽(完結)

18 十六夜

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 その日はやけに静かだった。
 涼景は巡回する近衛隊の位置を把握しながら、自分は巡回の間隙を埋めるように、ゆっくりと歩いた。
 天輝殿の夜は、底知れない。
 柱の影、通路の奥、灯の届かぬ部屋の隅、あらゆる暗がりで何かが蠢く気配がある。悪寒を感じて振り返る時、常にこの世ならざる者の息遣いが耳元を掠める。
 何年勤めていても、落ち着く気持ちにはなれない。
 三百年以上続くこの国の歴史の闇が、澱となって住まう場所。それはいつ、どんな形で自分たちに襲いかかってくるか、知れなかった。
 明け方の白い光が感じられる時刻、涼景は、その夜が無事に過ぎることに静かに感謝した。
 月が西の空に傾き、夜が終わりを告げる。
 朝は、確実に地平線の下に息づいている。明けの金星が、太陽を招くように黎明の空に力強く輝いていた。
 あの星は犀星のようだ。
 眺めて、涼景は目を細めた。
 日が昇る時も、沈む時も、常に太陽とともにある。
 交代の兵が、門に姿を見せた。引き継ぎを済ませ、禁軍の指揮官と挨拶をかわし、涼景は夜警にあたっていた部下と共に天輝殿を出た。
 後は右衛房に戻り、今夜の記録を残し、一寝入りすれば良い。
 午前のうちに、暁番屋と演武場を視察したい。
 花街の暁隊は蓮章が押さえているだろうが、都のほうは野放しになっているのが気がかりだ。
 体調を崩していた左近衛隊長の見舞いにも行きたい。あれから音沙汰がないが、副長の処遇はどうなっているのか。
 午後の訓練が済めば、また、天輝殿の夜警に戻る。
 合間を見つけて、五亨庵にも顔を出さねばなるまい。最近はすっかり離れてしまっている。
 今日は犀星たちは、出仕であったか。それとも公休か。慌ただしく、そんな基本的なことすら抜け落ちてしまっている。
 蓮章がそばにいれば、その辺りの穴埋めをしてくれるのだが、今はそれも望めない。
 さっさと戻ってこい。
 涼景は苦笑した。
 自分が歌仙に遠征していたとき、蓮章はきっと、同じような思いを味わったはずだ。
 だが、涼景には、仕返しに山積みになるほどの報告書を書く余裕はなかった。あのようなことは、文官肌の蓮章ならではの技量である。
 涼景は、犀星が持ち込んだ薪の話を思い出していた。
 宮中に、なんらかの事情を知る者、あるいは当事者がいると考えるのは、あくまでもひとつの可能性に過ぎない。左近衛隊が管理していた矢倉は、簡単に部外者の出入りを許す場所ではないが、それとて絶対と言えるほどの確証にはつながらない。
 第一、何のために建物の一部に焼印を押したのか、という目的すら判然としないのだ。
 それでも、仮説として、犀星に対する個人的な感情が関与している線は捨てきれなかった。
 出世欲のために、上官を陥れる策謀は枚挙にいとまがない。だが、それが目的ならば、このような回りくどいことはしないはずだ。ならば、官職や金のため、という可能性は低くなる。
 そうすると……
 涼景は思考に沈みながら、雲ひとつない空に目を向けた。
 宮中にあって、犀星を精神的に追い詰めること、それをもって心の支配を目論む者。
 玲陽の件も、花街の件も、それが目的だと考えると筋が通る。
 しかも、玲陽が傷を受けた時期から見て、十年近く昔に端を発する。
 状況から、もっとも疑いが深くなるのが、宝順帝である。
 涼景は、宝順の性格を間近で見てきた。
 支配することに対する凄まじいまでの執着がある。
 それは、特定の人物に対して向きやすい。
 たとえば、宝順の弟であり、犀星の兄にあたる、第三親王・夕泉。
 彼は非常に穏やかで目立たない人物だが、警護を担当している左近衛隊からの裏の情報によると、宝順帝との関係には、決して表に出せないものがあるらしい。
 そうなれば、同じ親王という立場にあり、夕泉よりも高い才覚と美貌を備えた犀星に、宝順が興味を示さないわけがなかった。
 だからこそ、東雨を忍ばせ、その周辺を常に監視させていた。犀星が決して自分には屈しないと踏んで、周囲から崩しにかかる危険性は高い。完全な支配のためならば、手段を選ばない男である。
 そして、涼景自身もまた、宝順の毒に染められている。
 犀星が自分と同じ目にあうことだけは、何があろうと避けねばならない。
 それは、古い友への友情であり、自覚することのない、忠義でもあった。そして、犀星が築く未来へかける、確かな希望だった。
 今は、宝順らしき人物の、犀星に対する精神的な攻撃を止めることが優先される。
 このまま花街での事件が続けば、単に被害者が出るだけではない。犀星の性格上、明らかに心が疲弊する。また、五亨庵に加わった玲陽に対する、再度の攻撃も懸念される。
 蓮章は、何かを掴んだだろうか。
 蓮章には、自分や犀星にはない人脈と行動力がある。
 あいつ、まさか遊び歩いてはいまいな?
 涼景はちら、と疑った。優秀ではあるものの、それを否定しきれないのが、蓮章だ。
 右衛房が近くなる。
 湖馬が、自分を見つけて姿勢を正すのが見えた。涼景はほっと息をついて、隊列を組んでいた兵たちを先に帰し、自分は馬を降りて湖馬の前に立った。
「一晩、お疲れ様でした」
「おまえもな」
 涼景は、馬の首を撫でながら言った。湖馬は眠そうな目で、
「私は、ここに立ってただけですから。最近、少し、立ったままでも寝られるように……」
 と、言いかけて、はっと口を閉じた。涼景は悪戯っぽく笑って、
「倒れて怪我をする前に、長榻を置くことにするか?」
「それ、いいですね」
 と、湖馬も笑う。
 こんな軽口が叩ける相手は、隊でも数少ない。
 湖馬は、腰に下げていた荷物袋から一つの包みを取り出した。浅黄色の布で巻かれた細長いものだ。
「これ、東雨から預かりました。隊長に渡してくれって」
 涼景の眉が、小さく動いた。
「東雨が?」
「はい。伝言はありません……それ、何ですか?」
「形からして、多分、証拠の薪……」
 涼景は言いながら、何気なく布を開いて、中に包まれていたものに、一瞬、気が遠くなった。
 一目で、全てを悟る。
 震えが走る。戦場でも、これほどに恐れたことはなかった。
 何を……まさか、すでに?
 血の気が引いた。
 自分が東雨に渡した懐刀は、鞘までが、美しく磨かれていた。
 黒い下地は光沢を放ち、銀の流紋は浮き立って、虎の目には命が宿るようだった。
 鍔の宝玉に曇りはなく、まるで冬の空のように透き通っている。
 それは、東雨がどれだけこの刀を大切にしていたかを、如実に物語っていた。
 涼景はそっと、柄を握った。指先に力を込めて、かちゃりと引き抜く。
 もし、刃に血の影が見えたら、という恐怖が走る。
 しかし、引き抜かれた刀身は、まばゆいほどに朝の光を反射して、きらめいていた。
 一点の曇りもないとは、このことだ。
 その時、ふわりと覚えのある香りが漂った。東雨がいつも身に付けていた、金木犀の香りだった。
 涼景は、頭の中が熱くほてった。
 自分は、この刃に毒を仕込んで渡した。だというのに、東雨は優しい香りに包んで、返してきたというのか。
 涼景は、布ごと懐の中に押し込むと、素早く馬に乗った。
「星のところへ行く! あとは任せた!」
 涼景は馬の腹を蹴った。
 もう、迷う余地も、考える余地もなかった。
「隊長!」
 湖馬が驚いて呼び止めようとするが、すでに間に合わない。
「任せたって……私、何すればいいんですか?」
 湖馬はとりあえず、居眠りだけはしないようにしようと思った。

 激しい馬蹄の響きが、閑散たる通りに轟いた。
 早朝の薄い日の光の中を、黒と白の馬が、雪を蹴り立てて並走する。
 民家の間を駆け抜ける馬の背には、犀星と玲陽の姿があった。
 身を低め、馬の首に胸を寄せて風に耐える。
 朱雀門が開く時刻。ちょうど門番が、縄を引いているところだ。
 重たい地を擦る音がして、朱塗りの大扉の中央が開かれ、その隙間から、早朝の雪に煙った宮中の景色が、屏風絵のように覗かれる。
 兵たちが慌てて、横に飛び退いた。
 犀星と玲陽は、速度を落とすことなく、朱市に駆け込んだ。
 一面真っ白に開けた朱市のその奥から、一騎の鹿毛がこちらに向かって駆けてくる。
「涼景っ!」
 犀星が手綱を引いた。
 馬は興奮してすぐには止まらず、辺りを駆けて足を緩めた。
 涼景も乱暴に馬を止めた。
「ふたりか!」
「はい!」
 玲陽が泣くように返した。玲陽の動揺が、馬にも伝わるのだろうか。いつまでも足が落ち着かない。
「東雨を見ていないか!」
 犀星が悲鳴じみた声をあげた。その目はすっかり冷静さを欠いている。
 涼景は一瞬で判断した。
「一度、五亨庵へ行こう」
 今は時が必要だ。一刻を争うが、むやみに動いても、無駄に過ごすだけだ。
 犀星と玲陽の焦りは、逆に涼景を慎重にさせた。
 五亨庵の扉を開き、三人はとりあえず、中央の長榻に向かい合った。
 火を焚くこともない。
 早朝の五亨庵は冷え切って、何に触れても冷たい。だが、むしろ熱い体にはちょうどよかった。
「東雨が、屋敷にいない?」
 押し殺した声で涼景が聞いた。
「はい」
 黙り込んでしまった犀星に代わって、玲陽が答える。
「今朝、起きて、厨房に行ったら姿がなくて。でも昨日の夜に粥が用意されていて……」
「粥?」
「はい。それも白米だったんです」
 玲陽は涙を流してはいなかったが、その目は赤く腫れていた。
「年が明けたら、お祝いに炊こうと、約束していたものです。だから、今、使うなんておかしい……」
 白い息をせわしなく吐きながら、玲陽は首を振った。髪を整える間も惜しんだのか、乱れた毛束が頬に流れている。
「気になって、部屋を調べたら……荷物がきれいに片付いていて、板戸は開けたままで。まるで、そこには誰も住んでなかったみたいに……」
 涼景は鋭く息を吐いた。
 苛立ちか、驚愕か、激しい波が涼景の感情を逆撫でた。玲陽は、襟の間から、木簡を取り出した。
「屋敷中探しました。そして、私の部屋で、これを見つけたんです」
 言って、差し出した玲陽の手は、小刻みに震えていた。
 涼景は木簡を受け取り、目を向けた。
 それは、昔、犀星が玲陽にあてて書いていた文のひとつだった。
 文面には東雨という少年のことが記されてあった。
『黒い髪に黒い瞳。利発で明朗で素直で、強い心を持っている。まるで陽のようだ。強がる仕草も、お前とよく似ている。いつか二人を会わせたい』
 涼景は戸惑いながら、文面を目で追った。
「これは?」
「裏を見てください」
 玲陽に促されて、涼景は木札を裏返した。
 そこには犀星の筆跡で、一遍の詩が綴られていた。
 犀星は顔を上げずに言った。
「俺の筆跡だが、書いたのは東雨だ」
 声に悔しさがにじんでいた。
「東雨どの……詩を書きたいって言ってたので、きっと……」
 玲陽の喉が詰まった。涼景は詩を辿った。明らかな戸惑いが目に浮かぶ。
「臨終詩ってやつか……」
「やめろ!」
 小さく呟いた涼景の言葉に、思わず犀星が声を上げた。が、すぐに矛をおさめる。
「……すまない」
 悔しそうに歯噛みして、犀星は短く息を吐いた。気持ちがぐらついて、どうにもならない。玲陽が犀星の肩を抱き寄せた。犀星はわずかに目を閉じ、胸を抑えた。
 涼景は犀星の呼吸が少しおさまるのを待って、懐から短刀を取り出した。
 そっと几案の上に置く。
「こいつは、歌仙で、東雨に渡したものだ。昨日の夜、返しに来た」
 犀星と玲陽が顔を見合わせた。
「これは俺の御身刀だ」
 涼景は鞘を撫で、
「誰かに見られたら、俺の関与が疑われる。だから……」
 と、悔しげに顔を歪めた。
「何をするつもりなんでしょうか……」
 玲陽は青ざめていた。ただでさえ白い肌が、さらに血の色をなくす。
 犀星はそっと、玲陽の手を握り、そのまま涼景の顔を見た。
 伝わってくる玲陽の不安、涼景の苛立ち、そして、二人のかすかな絶望。
 沈黙を続けていたが、犀星の頭の中では、目まぐるしくことが動いている。
 今こそ、力が試される。
 犀星はそう、直感した。
 どうするべきか、何ができるか。
 いや、考えるのはそれではない。
 ……何をしたいか。その一事だ。
 今までの記憶、現状の把握、未来への展望。何もかもを絡み合わせる。
 玲陽は、東雨を失う恐怖を見ている。
 涼景も、震えるほどに自分を押さえつけている。
 二人とも、己と戦っている。
 犀星は、深く息をし、玲陽の手を強く握り、そして涼景を見つめた。
 今、一人で動いても、敵が大きすぎる。
 自分がどれほど無力か、友がどれほど心強いか、このわずかな間に、犀星は身に染みていた。
「取り戻す」
 その声に、二人は顔を上げて、犀星を見た。
 声は静かだったが、深く揺れるように響いていた。
「でも、どうしたら……」
「陽」
 犀星は玲陽に顔を寄せ、頬に額をあてた。
「東雨が言っていただろう?」
「え?」
 玲陽は迷った目をした。
「ひとりで難しいことも、一緒ならできる、と」
 玲陽の息が、ひとつ、短く震えた。
 犀星はわずかに微笑んだ。涼景は、その笑みに目を見張った。
 それは、いつもの、何か確信を得ている頼もしい友の顔だ。
「そうだな!」
 玲陽より先に、涼景が頷いた。
「星、俺たちを使え」
 玲陽は驚いて涼景を見た。涼景も、笑っていた。玲陽は少しだけ、力が抜けるのを感じた。
「わかりました」
 笑えなかったが、頷くことはできた。
「どうしたらいい? 東雨はおそらく、天輝殿だ」
「涼景、おまえは、すぐにでもあそこに入れるな?」
「右近衛の管轄だ。問題ない」
「ならば、急ぎ向かって欲しい。おそらく、無事ではいないだろう。おまえなら、傷の治療もしてやれる。命に関わる恐れがある。適任だ」
「わかった」
 涼景は短刀を懐に収めた。
「陽」
 呼ばれて、玲陽は姿勢を正した。
「おまえはこれから緑権を連れて、録坊に向かって欲しい」
「録坊?」
「ああ。承親悌の名を出せば、無理も通せる」
 玲陽は頬を引き締めた。
「書類は俺が書く」
 そう言って、犀星は自分の几案に寄った。箪笥を探り、手が止まる。
「王印……」
「ないのか?」
 涼景が振り返った。
「あ」
 玲陽が、何かを思い出したように、足早に緑権の几案に近づいた。足元に乱雑に置かれていた毛氈の中を探る。
「ありました」
 嬉しそうに、玲陽は見つけ出した王印を掲げた。

 自ら望んで、天輝殿の階を上がったことが幾度あっただろうか。
 涼景は、五亨庵から天輝殿までを駆け通し、禁軍の兵の間を堂々とすり抜けた。
 月ごとに変わる天輝殿の警備は、今月、右近衛隊が担当している。隊長である涼景が出入りする事は容易だった。
 だが……
 涼景は急ぎ、階段を駆け上りながら思った。
 自分は昨夜ここにいた。だというのに、東雨に気づくことができなかった。そばにいながら、助けることができなかった。
 何のための近衛だ? 何のための友だ! 
 涼景にとって東雨はいつしか、友と呼ぶ相手になっていたと気づく。
 東雨は幼い頃から間者として犀星の元に潜み、その情報を全て宝順に流した。それが結果的に無関係な人々を傷つけることにつながったとしても、東雨を責めることはできない。
 あの少年は、昔からずっと仮面をかぶり、素顔を殺し、嘘と偽りで自らを封じてきたのだ。その姿を警戒という目的のもと、自分は誰よりも見つめてきた。だからこそ、涼景は知っている。どれほどに彼が傷つき、崩れていったのか。
 救いたかった。
 不器用な自分には難しかった。せめてきっかけとなれば、と、懐刀を託した。
 自分を頼って欲しかった。どのように利用しても構わない。その刀で道を開いて欲しかった。
 だが、東雨が選んだのは、涼景が思っていた以上に危うい道だった。
 このまま、見殺しにしてなるものか!
 涼景はまっすぐに石の間を目指した。
 宝順が東雨を捉えているのだとしたら、そこに違いなかった。
 天輝殿の中程に位置する石の間。その前の回廊は、近衛が巡回する道にあたる。だが、その部屋の特殊な性格上、あまり近寄りたいものではない。
 いかに堅牢な石で組み上げられた部屋といえども、明かり取りの窓や通風口からの声はどうしてもこぼれてくる。
 深夜、その扉の前で、中の惨劇の音を聞くのは耐え難かった。衛士たちも早足でその場を過ぎ、何が聞こえても、耳を塞いだ。
 涼景が石の間にたどり着いたとき、扉は固く閉ざされていた。部屋の前には一人、近衛が立っていた。
「隊長?」
 その兵は、涼景の顔を見て驚いた。まるでここにいるはずがない、という顔だ。
 涼景は焦りを殺し、平然を装った。
「気になることがあって、戻ってきただけだ」
 近衛は少し眉を寄せ、何かを言い淀んだ。
「どうした?」
 近衛が、震える声を出した。
「てっきり……隊長が、中にいるものかと…… 」
「今夜は、俺じゃない……」
 自分であれば、どれだけマシだろう。
「では、誰が……?」
 その時、かすかに近くで音がした。水の音だ。足元を見ると、石の間からの排水溝に、室内の水がゆっくりと流れてきた。その水はわずかに色づいていた。
 午前の早い時刻である。もし、中に東雨がいるというのなら、どれだけの時間、責め苦にさいなまれているのか。
 水を踏む音が微かに聞こえた。涼景と近衛は脇に避けた。
 内側から閂が外され、扉が開く。
 ひとり分の道が開く。
 先に出てきたのは、金軍の兵だった。鈍い黄金色の皮鎧も、その下に纏った薄黄の袍にも、血の痕があった。涼景は、それを見るなりぞっとした。
 別の人物が続いた。涼景は顔を伏せていたが、身に付けた裳で、それが宝順だとわかった。黒地に金の竜紋が織り込まれている。顔を上げずとも、その姿は想像できた。涼景はじっと目を伏せ、そこに立っていた。
 涼景の前を通りすぎる時、宝順の言葉が降ってきた。
「片付けておけ」
 その声色は愉悦に緩んでいた。
 涼景にはわかっていた。宝順のこの声は、残虐の限りが尽くされた証拠だ。
 涼景は最後尾にいた金軍の兵を押しのけ、中に飛び込んだ。
 匂いが襲ってくる。瞬時に胸がむかつく。それは体中の、あらゆる液体の匂いだ。混ざりあって部屋の空気に漂い、壁の油灯の炎で焦げ付き、異臭を放つ。仄黒い石の床に、おびただしい量の水が撒き散らされていた。
 宝順が歩むため、床の汚れを水で流したのだ。だが、その水には既に新たな血が混じり始め、うっすらと赤い蛇が床を這うように、涼景の方へと近づいてくる。
 血をたどる。その先に涼景は見た。
 おびただしく汚れた床の上で、少年が一人、無防備な姿をさらしていた。
 目にするや、全身に、得体の知れない力が湧き上がった。思考が、真っ赤に焼けて膠着する。
 それは涼景の雄叫びとなって、口をついた。怒りの咆哮が、石の壁に響いた。衝動に突き動かされ、涼景は少年の体にすがりついた。
 両手首が、濃緑の髪紐できつく縛りあげられていた。涼景の顔が憤りに歪む。少し前に五亨庵で会った時、東雨は、犀星が選んでくれたのだと、嬉しそうに笑っていた。
 それが今、血で黒く染まっている。
 東雨は、紐の端をしっかりと握っていた。自分に何が起きているのか、わかっていたのだろう。それでもなお、手放したくないものが、東雨にはあった。
 体中に石の上を引きずられた傷がついていた。華奢な体は、その痛みにどれだけ耐えたのだろう。
 アザは、全身に及んでいる。殴られたか、蹴られたか、踏みつけられたか。
 美しい黒髪も、柔らかい肌も、飛び散った白いもので穢されていた。かつての玲陽の傷が思い出されて、涼景は素早くまさぐった。中から、泡を立てた体液が流れ出た。血は混じっているが、大量の出血の原因ではない。
 まさか……!
 涼景は、うつ伏せになっていた体を半分、返した。しなやかな足の間に、真っ赤な血だまりができている。
「水を!」
 後ろにいた近衛が、その声に見回した。部屋の隅に水瓶があり、そのそばに手桶が見えた。衛士滑る床に足を取られながら、水を汲むと、手桶を涼景に渡した。
 涼景はそれを、東雨の下半身に浴びせた。一瞬、血が流れ落ちて、傷口があらわになる。
 陰茎が根本からすっぱりと切り落とされ、その断面が熟れすぎた赤黒い柘榴ざくろのように見えた。
 近衛が、腰を抜かして、その場に座り込んだ。ぴしゃりと血を含んだ水が跳ねる。
 この傷は死に直結する。
 無理だ!
 涼景は、目の前がかすんだ。
 何度も、戦場で仲間を見送った。その無力感と喪失が蘇った。
 その時、かすかに、東雨の表情が動いた。
 そうだ、まだ……
 涼景は注意深く、東雨の体を抱き上げた。新しい血が溢れ、涼景の衣を染めていく。
 これ以上、一人にはしない。
「東雨の私物と痕跡を、全て集めろ。五亨庵へ持って行け、至急だ!」
 涼景の指示に、衛士は慌てふためきながらうなずいた。
 涼景は東雨をしっかりと抱きかかえ、石の間を抜けると、医房へと急いだ。
 犀星が、東雨の体を自分に預けてくれた。その期待に応えねばならない。

 涼景を見送って、犀星はすぐに玲陽を遣いに出した。 
 五亨庵に残った犀星は、机の上に何枚もの木簡を並べ、小筆を手に何事かを案じている。
 犀星の表情は引き締まっていた。だが、恐れてはいない。それは戦いに挑む決意に近かった。
 これは好機だ。
 犀星は疑わなかった。
 いかなる手を使おうとも、この無理を押し通す。東雨が命懸けで選んだ未来は、必ず、自分の手で繋いで見せる。
 それは、犀星にしかできないことだった。
 犀星は木簡の表を見つめた。浮かび上がる木目は、彼に何かを語りかけてくるようだ。掴み取りたい未来は、この中にある。
 犀星は慎重に筆先を置いた。そして、軽やかに筆を走らせた。
 言葉は自然と文字になった。
 順に、札を仕上げていく。書くべきことを整然と、いつもの、氷の表情のままに。
 一通り書き終えると、重要な箇所に、王印を押す。
 朱泥の色が、力強く目に映えた。
 それを終えると、何枚かの木簡を麻紐で閉じ、脇に置く。さらに残った木簡に紐を通し、こちらは閉じずに机上に置いたままにした。
 そうしている間に、扉を叩く音がした。
 犀星は自ら扉を開いた。そこには、真っ青な顔に、頬だけ赤く染め、汚れた袍を抱えた近衛が息を切らして立っていた。
 犀星は頷いて、荷物を受け取ると、私室に持ち込む。几案にそれを広げるまでもなく、すでに鼻を刺す臭いがする。
 見覚えのある袍は、自分が東雨と初めて会った日に身につけていたものだ。
 おまえは、最期に、俺を……
 いつも、我慢ばかりさせ、自分の古着を東雨にまわし、新しいものを仕立ててやることもしなかった。
 恨まれても仕方がないというのに……
 きっと、東雨なら笑って言うだろう。
『若様の着物が、一番嬉しいです』と。
 玲陽や涼景の前では泣けなかった。東雨の血を吸った、自分の着物を前にして、一気に堰を切った。
 胸が潰される思いに、犀星はしばし、泣き崩れた。
 絶対に、助けてやる!
 犀星は目を見開いた。蒼い眼に、鬼気迫る炎が燃える。
 乱れた息を整え、犀星は丁寧に荷物を確かめた。帯は刀で切られていた。襦袢には引き裂かれた痕があった。まさぐる手が震える。それはやがて、玉佩を探し当てた。
 白く丸い石の表面には、『龍令』の二文字が刻まれていた。それは確かに、東雨が、皇帝の密使であることを意味していた。
 驚きはしなかった。ただ、静かに受け入れる。
 犀星は、自分がずっと目を背けてきたその現実を、しっかりと握りしめた。
 これは、鍵だ。今度は俺が、扉を開けてやる。
 犀星は一呼吸をつくと、背を伸ばした。
 広間で声がして、慈圓と緑権が入ってくるのがわかった。
 二人とも、何が起きているのか、まだ知らない。 
 犀星は、まるでいつも通りだ、という顔で挨拶を交わし、緑権に、炉に火を入れるように言いつけた。緑権がそれを苦手としていることは充分承知の上だ。
 慈圓が席につくと、犀星はそっとそばに寄り、何事かを耳打ちした。そして、先ほど書き上げた木簡をこっそりと見せた。
 慈圓は驚いた顔をしたが、やがて、面白い策を得た、というように笑った。犀星はその頼もしい笑みに大きくうなずいた。
 炉の準備に手間取っている緑権は、ふたりのやりとりに気づいていない。
 謀児は何も知らない方が良い。
 それも、犀星の計画のうちだった。
 ようやく緑権が薪に火をつけた頃、玲陽が戻ってきた。
 入ってくるなり、犀星へ、大切そうに何枚かの木札を差し出した。そこには、安珠の字が記されていた。 
 犀星は自分が作ったものと合わせて、丁寧に紐で綴った。最初の束と分けて、それぞれを別の布で包み、玲陽に託す。玲陽はわずかに緊張した面持ちで、二つの荷物を受け取り、しっかりと抱きしめた。 
「……なんだか忙しそうですけど?」 
 それを見ていた緑権は、自分だけ、のけものにされている気がした。 
 犀星は感情を見せず、 
「謀児、陽を録坊まで案内してくれ」
「え?」
 犀星が玲陽を手放したことがないことを、緑権はよく知っている。まさか、自分が案内役に抜擢されるなど、思っても見なかった。
「光栄です!」
 緑権は顔を輝かせた。
「お任せください! しっかり、案内させていただきます! いただきますとも!」
 と、鼻息荒く、出かける支度をする。
 犀星たちは視線を交わし、少しだけ、表情をなごませた。
 玲陽は緑権の道案内を頼りに、五亨庵を出た。ここから先、宮中の奥へ足を踏み入れるのは初めてだった。
 軽い足取りの緑権に反して、玲陽の歩みは堅実で、そのひとつひとつに落ち着きと静かな強さがあった。
 緊張した面持ちで、緑権の後に続いて歩く。
 玲陽の服装は質素で、髪も結わず飾り気がない。
 だが、その姿は周囲の目を引く。
 白と灰の雪景色の中で、玲陽の柔らかく煙る金色の髪が、ふわりと風に揺らいだ。穏やかな眼差しには奥深い慈愛と、見るものを惹きつけてやまない魅惑の色が感じられた。
 高価な衣装を纏った女たちが、何度も振り返り、そわそわとささやき合いながら玲陽を見る。
 玲陽はわざと、そちらへ視線を向けた。
 まるで射抜かれたように、女たちは飛び跳ね、声を高めて歓声を上げる。
 蓮章ならば、きっとここで不敵に微笑んだことだろう。
 緑権は、行きすぎる人々が玲陽に見惚れ、あれこれと騒ぎ立てて興奮する様子を、実に満足そうに見ていた。羨望を集める玲陽を連れて歩けることが嬉しくてならず、これでもか、というほど、自慢げな笑顔である。 
 対して玲陽は、静かな表情を崩さず、それはどこか寂しげにも見えた。
 ふたりの前に、録坊の入り口が見えてきた。
 宮中を出入りする人間の登録はすべて、この役所が管轄している。
 玲陽を承親悌に任ずる際にも、犀星はここで手続きを行った。
 あの日が、懐かしいな。
 思いながら、玲陽は緑権に遅れないよう、足を早めた。
 格式高い作りをした、いかにも厳格な控え室へと通される。承親悌である玲陽の扱いは、親王と同じだ。その言葉は、犀星の言葉と同等の力を持つ。
 私に、押し通すことができるだろうか。
 いよいよとなって、玲陽は一抹の心細さを感じた。だが、すぐにそれを振り払う。玲陽は決してひとりではない。犀星が託してくれた木簡は、勇気づけるかのように温かい。
 隣で、笑顔のまま座っている緑権を、ちらりと見る。
 緑権は何も知らない。その方が良い、と犀星が判断したのだから、玲陽はそれに従うだけだ。
 少しして、控えの間から、正式に奥の部屋へと招かれた。
 ここからは、玲陽が先に立つ。緑権はきょろきょろしながら、落ち着きがない。それがかえって、玲陽の心を平静に保たせてくれた。
 部屋で待っていた担当の官吏が、玲陽の髪と目に、息を飲むのがわかった。
 だが、玲陽は眉一つ動かさない。ただ少し物悲しそうな顔をして、礼儀正しく立っている。
 ここにおいて、玲陽は、歌仙親王の承親悌・犀陽である。
 玲陽はおごそかに、荷物の一つを解き、中の木簡を開いた。 
「こちらを、受理していただきたいのです」 
 玲陽の声は、かすかに震え、まるで涙をこらえているかのようだった。その横顔を見て、緑権は笑顔をやめた。
 緑権には、どうして玲陽がそれほど悲しそうなのかが、理解できない。案内を任されたことが嬉しくて舞い上がっていた緑権は、今になってようやく、用件を聞いていなかったことを思い出した。
 緑権は、わざとらしく咳払いをして玲陽の横に立ち、机上に広げられた木簡を横目で覗き見た。
 文字を辿る。
 そして、決定的な一文を見つけ、悲鳴をあげた。
 そこには、東雨の死亡が明記されていた。 
 緑権は乱暴に木簡を取り上げ、慌てて目を通した。
 犀星が書いた死亡証明書、安珠の死体見分書、そして、遺品として、白い玉佩が添えられていた。犀星の署名も、王印も、全てが揃っていた。
「そんな……」
 緑権は目を見開き、震えながら内容を確かめた。
「死因……間諜の疑いにつき……親王自ら、誅殺……っ!」
 緑権はその場に崩れ落ちた。わなわなと震え、そして、大声で泣き出した。
「そんな、酷すぎます! あんまりだ!」
 その取り乱しようは、あまりに現実味があった。
 申し訳ないけれど、今は泣いていてください。 
 玲陽は胸の中で、そっと詫びた。
 官吏は、緑権が床に投げ出した木簡を拾い上げると、サッと目を通した。
 それから、哀れなほどに泣き崩れている緑権と、それを辛そうに見つめる玲陽を見比べた。歌仙親王が侍童を斬るなど、思いもよらないことではあったが、二人の様子は、嘘をついているようには見えなかった。
 官吏は、なぜか自分まで、涙が滲んできた。
「……わかりました。受理させていただきます」
 そう言って、木簡を引き取り、死亡通知の札を玲陽に渡した。
「それから……」
 声を震わせ、玲陽はもうひとつの木簡を差し出した。同じように、几案の上に置く。 
「つきましては、一名、登録したい者がおります」 
 玲陽は木簡をめくって、中を示しながら、
「不忠の侍童に代わり、私の弟を、新たに親王の近侍として任命したい」 
 それを聞いて、緑権は真っ青になった。
「……なんてことをおっしゃるんですか!」 
 その声は泣き声というよりも悲鳴だ。甲高く部屋の中に響く。 
 玲陽は、思わず顔を伏せた。唇の端が、震えていた。
 緑権は鼻水をすすりながら、玲陽の裾にしがみついた。
「見損ないました! 東雨を殺して、すぐに次を選ぶなんて、どうかしてます! そういうの、人でなしって言うんですよっ!」
 なんと言われようと、今は通すしかないんです。 
 玲陽は、必死に感情を殺し、緑権の叫びを無視した。
 官吏は、ちらっと玲陽を見る。なぜか、官吏までが自分を責めているように思われて、玲陽は苦しかった。 
「登録、いただけますか」
 玲陽は、冷静を装った。 
 官吏は、じっと木簡の文面を追った。札をめくる音が、緑権の泣き声に混じって聞こえた。札には必要な情報があますところなく記載され、ひとつの不備も見当たらない。断ることはできなかった。
 官吏は、どこか残念そうに、頷いた。
「わかりました。では登録を行います」 
 官吏は、木札に証明する文言を書き、印を押した。その様子を、玲陽はただ黙って見守っていた。
 死亡証明と、登録証明。
 二枚の木札を重ねて襟の間に入れて、玲陽は部屋を出た。
 玲陽の後ろから、緑権が、大声で泣きながら着いてくる。
 周囲の者たちがその様子に驚いて、こちらを振り返った。いまや、玲陽よりも緑権の方が、注目の的だった。
 散々に犀星と玲陽を避難して、東雨を悼み、やがて緑権は泣き疲れた。その顔は土気色になり、こすった目元が腫れている。
 玲陽は、自分がとてつもない悪人のような気がした。
 録坊を出ると、冷たい空気が、心地よく火照った身体を冷やしてくれた。
 門の近くで、小柄な男とすれ違った。
 玲陽は気に留めなかったが、男の方は何かを感じ、玲陽をちらっと見た。通り過ぎてから、立ち止まる。気配に気づいて、玲陽も足を止めた。 
 緑権が玲陽の背中に、ぶつかる。その衝撃で体が揺らいだが、玲陽は何も言わず、男を見つめていた。
 男は小柄で、見慣れない形の着物を身に付けている。雰囲気が、どことなく不気味だった。
 男は細い目で、頭から足の先まで、玲陽を見ていた。 
「そなた、光理……」 
 と、男は玲陽の字をつぶやいた。しかし、玲陽には相手が誰か、わからない。
 玲陽は、失礼があってはいけないと思い、丁寧に礼をした。
 緑権が、赤い目で男を振り返った。 
「紀宗様……?」 
 その名に、玲陽は心当たりがあった。
 以前、東雨が話をしていた、陰陽官だ。五亨庵の建設時にも犀星に助言し、それからも度々、気にかけていたという。
 紀宗は、玲陽の顔をじっと見た。それからふっと胸のあたりに視線をずらした。そして、小さな声で言った。 
「面白いものを、お持ちですな」 
 玲陽は首をかしげた。
 紀宗はぶつぶつ、口の中で何か言っている。聞き取れなかったが、玲陽は、いい気持ちがしなかった。 
 常に他の者には穏やかに、笑顔でいる玲陽だが、今はなぜか、本能的に身構えていた。 
 紀宗は、玲陽を見たまま、少し大きく口を開いた。 
「五亨庵に気をつけなされよ。あれは……」 
 そう言って、また、独り言を言いながら、ゆっくりと録房へと消えていった。
 玲陽は意味もわからず、胸が騒いだ。
 見えない何かが、忘れたい過去から、自分を追いかけてきたような気がした。
 玲陽は、長袍の袖を握りしめ、首を振った。
 今は、何より、犀星の元に帰ることが先だ。玲陽は顔を上げると、しっかりとした足取りで歩き始めた。
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