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《10》R-18指定かよ

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「は?魔王?なにいってんの?」

するとその、青髪ショートはうなずいてから、胸を張り

「そうだよ。正確に言えば2代目だよ。残念ながら勇者に負け、今は、仲間と隠居生活だけどね。」

いきなり魔王とかなに言ってくれてるんだ。
本物の魔王に怒られるぞ。
何かめんどくさいから相手に話を合わせよう。

「いや、ちょっとまて。勇者に負けた?なにいってんの?じゃあ、よばれた勇者が戦う相手は?」
「そりゃあ、私のお父さんを倒して、調子乗った前勇者を倒すためじゃない。」

ふむ。なかなか裏事情に詳しいな。
しかしなんだろう僕が異世界に求めているものと圧倒的に何かが違う気がする。

「お父さんの城に居座った、前勇者を倒すために今回よばれた勇者はレベル上げさせられている、といったところだと思うけど。」

本物っぽいな。
さっき、素手で封印の岩壊してたし。

何か、もう少し、後先考えて勇者召喚しようよ。

「というか、青髪魔王のお父さんはそんなに強いのか?」
「青髪魔王って.....、まあいいや。うん。もともと、お父さんは勇者でさ~

なんかハンザキさんが言ってることと話が似てる気がする。
ハンザキさんは今、水のなかで、なんかやってる。
たまに引きこもるときがあるけど、そっとしておいてやる。
僕が引きこもっていたとき、ほっといてもらうって意外と嬉しかったからね。
多分そんな理由じゃないと思うけど、めんどいだけ。

迫ってくる悪い人間、倒しまくってたら、いつの間にか、レベルMAXになってて、そしたら人類を脅かす存在だっていわれて軍隊が襲ってきて、5万の軍隊を全部、戦闘不能の状況にしたら魔王とか言われるようになったって。
かつて、お父さんに助けられた人たちが仲間になってくれて、それで魔王軍とかができました。」

魔王かわいそう。

「つまり、魔王は人間で悪い人ではないわけなの?」

ずっと話についていけてなかったフグリが突然しゃべった。
しゃべる度に触手がぷるん、と揺れてかわいい。
触りたいが僕は抑えきれる。

「勇者って強いの?」
「いや、弱いよ。スキルが厄介で手出しできないんだよ。お父さんはスキルで私を人質にされて負けたの」
「ふーん。」

なるほど。でもまだ倒されてないってことは、それなりにできるのだろうか。

「それで、スキルってどんなの?」
「聞いて驚かないでよ。『全部俺ノ物』っていうスキルをもってるの。」

名前が国民的アニメのガキ大将のセリフみたいだな。

「で、どんな効果なの?」

フグリも興味を示したようだ。
スキルのことも、勇者のことも知っていたし、フグリの身にあったことを詳しくおしえてもらわないとな。

「効果はね、髪の毛を触ったら女の人なら言いなりにできるっていう恐ろしい効果なの。
男の人には効果ないけどね。前勇者のようなクズが持ったらどんな風に使うかは、おとこのこなら想像できるよね。」

なんということだ。
国民的アニメなんかじゃなかった。
R-18指定だった。

「前勇者はそのスキルで魔王軍の女性をすべて自分の奴隷にしたんだよ。」

ヤバイやつだな。前勇者。
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