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第一部 第四章 これが私の生きる道
44・勇者サオリ
お店に戻ってきました。
それはもう逃げるように。
フォレスは合体を解いてくれません。
「お願いだから無茶だけは止めて、フォレス」
体が馴染んできたのでしょうか。
声が二重に聞こえなくなりました。
私の声でもフォレスの声でもなく、完全に融合した声になっています。
「私からもお願いです。サオリ様……どうかあの、魔王を倒してください」
フォレスがそう言った時、お店の外に馬車が停まりました。
ランドルフが巡回に来たようです。
「何かあったのかい?」
「ランドルフ! 実は――」
「サオリ、何だか声がおかしいぞ。体調でも悪いのか?」
「えっと……これは」
ランドルフに一通り説明をします。
フォレスの事、魔王の事、そして――
「どうか、どうか魔王討伐のご協力を! ランドルフ様」
「おっと、いきなりサオリじゃなくなるんだな……魔王討伐とは、穏やかじゃないね」
私はバックルームから例のものを持ちだしてきます。
「ランドルフ、見て。ほら……私も持てるの」
「それは……聖剣じゃないか、サオリ」
魔力の高い天使が持てた事から、予想はしていました。
フォレスと合体して、尚且つ天使からドレインで魔力を供給された私には、この聖剣エクスカリバーを持つ事が出来るのです。
聖剣エクスカリバー。
勇者のみが持つ事を許された剣。
実際は高魔力の者ならば、誰でも持つ事が出来るという剣なのです。
私の細い腕でも軽々と持つ事が出来ます。
柄を握った瞬間に魔力が剣に注ぎ込まれ、まるで腕と一体化したような感覚で、すぐに馴染みました。
「サオリが勇者の資格を? これは驚きだ」
「だからってあの魔王を倒せるとは思えないの。ランドルフもそう思うでしょう?」
元勇者のローランドは、聖剣を持っていたはずなのに敗れているのです。
正確には魔王にさえなっていない、サーラという女性に殺されているのです。
そのサーラは今、魔王の側近です。
そして肝心の魔王は、私と同郷なのです。
いくら異世界とはいえ、私が人殺しなど、出来るわけがありません。
「あの魔王は規格外だからね。魔王だけじゃなく、一緒にいる連中も桁外れときてるからサオリが敵う相手じゃないよ」
「そうよね? だけどフォレスが諦めてくれないのよ」
「ただ、さっき聞いた話じゃフォレスの能力は『エナジードレイン』だと言うじゃないか。もし聖剣で魔王の『絶対防御』を破れたら、かなり有効なスキルだとは思うけどね」
「そうですよね? ランドルフ様! やれば出来ますよね!?」
ランドルフが余計な事を……今のフォレスにそんな事を言ってしまったら、諦めるどころか余計に火が点いてしまいます。
「焚きつけないでランドルフ。私は無理だと思うわ」
ランドルフは私をじっと見つめ、何やら考えています。
「フォレスとやら、ならちょっとその力を試してみないかい?」
「試す?」
嫌な予感しかしません。
「最近、西の洞窟にAランクの魔物が住みついてしまって、そこで採掘作業をしている連中を脅かしているんだ」
「魔物……ですか」
「勇者の資格を持った君なら、Aランクの魔物くらい楽勝で倒せるんじゃないかな。もしそれさえ出来ないと言うのなら魔王は諦めた方がいいと思うよ」
「はい! 余裕です! ランドルフ様」
これは……もしその魔物を倒す事が出来なかったら、フォレスに諦めさせるチャンスなのではないでしょうか。
ならば、ランドルフと相談して――
「サオリ様、インチキはいけませんわ。ランドルフ様と協力して魔物を倒せなくさせようとしても無駄です」
合体をしているので、私の考えが筒抜けでした……。
「いや、実際ちょっと困っていてね。討伐依頼は出しているんだが、Aランクの魔物の討伐となるとSランク冒険者じゃないと厳しいからね。今、王都には手の空いているSランクがいないらしい」
「そこで私の出番なのですね。ランドルフ様」
ああ……このまま私の体を使って、魔物の討伐なんて行かされるのでしょうか。
「ご心配なく、サオリ様。戦闘はすべて私にお任せください」
◇ ◇ ◇
「本当に俺も行かなくていいのかい?」
次の日、何だかんだと魔物の討伐をするため、洞窟へと向かう事になってしまいました。
「来てほしい……けど、天使が二人も居るから大丈夫よ、ランドルフ」
洞窟までは馬車で約一日との事です。
ランドルフに案内をと思っていましたが、フォレスがそれには及びません、と断ってしまいました。
カーマイルとラフィーも一緒に連れていきます。
これ以上ない程の、強力な守り神です。
「なんで私も行かなければならないのでしょう。お店はいいのですか」
私の監視も仕事のはずのカーマイルは、お店番の方が楽でいいみたいです。
「お店は騎士団の人たちが時間を決めて交代で見張ってくれるらしいから大丈夫よ、カーマイル。売り子はできないけど」
「売らなきゃ意味がないじゃないですか」
「じゃあ頼んだよ。洞窟の場所は渡した地図の通りだ。気を付けて行くんだよ、サオリ」
「はい、すぐに帰ります。ギルドの方にもよろしくお伝えくださいな、ランドルフ」
冒険者ギルドの正式な討伐依頼として受けたので、魔物を討伐すれば報酬も出ます。
幌付きの馬車も、騎士団からお借りしました。
御者台にはカーマイルが乗り、馬車を操縦します。
幌付きの荷台にラフィーと聖剣を抱えた私が乗り込んだのを確認したカーマイルは、すぐに馬車を走らせました。
「では、ちょっと行ってきますね」
「ああ、無事を祈る」
魔物の討伐だなんて、いつから私は冒険者になったのでしょう。
しかも聖剣なんて持っちゃっています。
いくら異世界に転移してきた身とはいえ、こういうのは私は望んでいないのです。
◇ ◇ ◇
カーマイルはひたすら、馬車を走らせます。
馬が疲れた頃を見計らって休憩はとりますが、その時に私に回復魔法を施させ、すぐにまた出発するカーマイル。
ほとんど走り通しという無茶っぷりです。
「カーマイル、もうちょっと休憩しない? 私、お尻が痛いんだけど……」
「何を言っているのですか、サオリ。こんな事はさっさと終わらせて帰った方がいいに決まっています」
一度行った事のある場所ならば、転移魔法で移動できるのですが、初めて行く場所ではそうはいきません。
ほとんど丸一日を走り切り、洞窟に着いてしまいました。
「着いたみたいよ、ラフィー」
「うみゅ」
ずっと寝ていたラフィーが目を擦ります。
か、可愛い……。
天使は十二人居るらしいのですが、このラフィーが一番可愛いのではないでしょうか。
見ているだけで癒されます。
「あそこに人が居ますよ、サオリ」
見れば洞窟の入り口付近に、男性が三人程集まっています。
「行ってみましょう」
近づいて行くと、向こうから声を掛けてきました。
「旅人かい? この洞窟には近寄らない方がいいぞ。面倒な魔物が住みついてる」
「あ、ギルドの依頼でその魔物を討伐に来た者です」
男の人は一瞬だけ怪訝な顔をしましたが、私の持つ剣を見て驚愕の顔へと変わりました。
「聖剣! これはこれは勇者様でしたか! 失礼いたしました。私はこの近くの村の者で、ちょうど洞窟の様子を見に来ていたのです」
世に知れ渡っている聖剣。
聖剣を持てるイコール勇者という事で、何も疑っていないようです。
男性三人は突然の勇者の登場に、喜びを露わにしています。
私は勇者でもないのですが、面倒なので説明はしません。
「そうでしたか。中の様子はどうですか?」
「実は勇者様、一匹の魔物によってこの洞窟での採掘作業が止まってしまっているのです」
魔物は一匹だけだったようです。
「Aランクの魔物だと聞きました」
「それですが勇者様。あいつはAどころか、AAもしくはAAAでもおかしくないくらいにやっかいなヤツです。なんと言っても不死身ときてるんですから」
不死身と聞いて、ちょっと引っかかりました。
「そんな魔物が居るのですね……ちなみにどんな魔物でしょうか?」
男性の次の言葉を聞いて、私はほぼ確信してしまいました。
「それが聞いてビックリの魔物でしてね、勇者様。なんとそいつはただのスライムなんですよ! スライムがAランク指定魔物とか聞いた事ないでしょう?」
不死身の……スライム。
「え、エリオット!?」
それはもう逃げるように。
フォレスは合体を解いてくれません。
「お願いだから無茶だけは止めて、フォレス」
体が馴染んできたのでしょうか。
声が二重に聞こえなくなりました。
私の声でもフォレスの声でもなく、完全に融合した声になっています。
「私からもお願いです。サオリ様……どうかあの、魔王を倒してください」
フォレスがそう言った時、お店の外に馬車が停まりました。
ランドルフが巡回に来たようです。
「何かあったのかい?」
「ランドルフ! 実は――」
「サオリ、何だか声がおかしいぞ。体調でも悪いのか?」
「えっと……これは」
ランドルフに一通り説明をします。
フォレスの事、魔王の事、そして――
「どうか、どうか魔王討伐のご協力を! ランドルフ様」
「おっと、いきなりサオリじゃなくなるんだな……魔王討伐とは、穏やかじゃないね」
私はバックルームから例のものを持ちだしてきます。
「ランドルフ、見て。ほら……私も持てるの」
「それは……聖剣じゃないか、サオリ」
魔力の高い天使が持てた事から、予想はしていました。
フォレスと合体して、尚且つ天使からドレインで魔力を供給された私には、この聖剣エクスカリバーを持つ事が出来るのです。
聖剣エクスカリバー。
勇者のみが持つ事を許された剣。
実際は高魔力の者ならば、誰でも持つ事が出来るという剣なのです。
私の細い腕でも軽々と持つ事が出来ます。
柄を握った瞬間に魔力が剣に注ぎ込まれ、まるで腕と一体化したような感覚で、すぐに馴染みました。
「サオリが勇者の資格を? これは驚きだ」
「だからってあの魔王を倒せるとは思えないの。ランドルフもそう思うでしょう?」
元勇者のローランドは、聖剣を持っていたはずなのに敗れているのです。
正確には魔王にさえなっていない、サーラという女性に殺されているのです。
そのサーラは今、魔王の側近です。
そして肝心の魔王は、私と同郷なのです。
いくら異世界とはいえ、私が人殺しなど、出来るわけがありません。
「あの魔王は規格外だからね。魔王だけじゃなく、一緒にいる連中も桁外れときてるからサオリが敵う相手じゃないよ」
「そうよね? だけどフォレスが諦めてくれないのよ」
「ただ、さっき聞いた話じゃフォレスの能力は『エナジードレイン』だと言うじゃないか。もし聖剣で魔王の『絶対防御』を破れたら、かなり有効なスキルだとは思うけどね」
「そうですよね? ランドルフ様! やれば出来ますよね!?」
ランドルフが余計な事を……今のフォレスにそんな事を言ってしまったら、諦めるどころか余計に火が点いてしまいます。
「焚きつけないでランドルフ。私は無理だと思うわ」
ランドルフは私をじっと見つめ、何やら考えています。
「フォレスとやら、ならちょっとその力を試してみないかい?」
「試す?」
嫌な予感しかしません。
「最近、西の洞窟にAランクの魔物が住みついてしまって、そこで採掘作業をしている連中を脅かしているんだ」
「魔物……ですか」
「勇者の資格を持った君なら、Aランクの魔物くらい楽勝で倒せるんじゃないかな。もしそれさえ出来ないと言うのなら魔王は諦めた方がいいと思うよ」
「はい! 余裕です! ランドルフ様」
これは……もしその魔物を倒す事が出来なかったら、フォレスに諦めさせるチャンスなのではないでしょうか。
ならば、ランドルフと相談して――
「サオリ様、インチキはいけませんわ。ランドルフ様と協力して魔物を倒せなくさせようとしても無駄です」
合体をしているので、私の考えが筒抜けでした……。
「いや、実際ちょっと困っていてね。討伐依頼は出しているんだが、Aランクの魔物の討伐となるとSランク冒険者じゃないと厳しいからね。今、王都には手の空いているSランクがいないらしい」
「そこで私の出番なのですね。ランドルフ様」
ああ……このまま私の体を使って、魔物の討伐なんて行かされるのでしょうか。
「ご心配なく、サオリ様。戦闘はすべて私にお任せください」
◇ ◇ ◇
「本当に俺も行かなくていいのかい?」
次の日、何だかんだと魔物の討伐をするため、洞窟へと向かう事になってしまいました。
「来てほしい……けど、天使が二人も居るから大丈夫よ、ランドルフ」
洞窟までは馬車で約一日との事です。
ランドルフに案内をと思っていましたが、フォレスがそれには及びません、と断ってしまいました。
カーマイルとラフィーも一緒に連れていきます。
これ以上ない程の、強力な守り神です。
「なんで私も行かなければならないのでしょう。お店はいいのですか」
私の監視も仕事のはずのカーマイルは、お店番の方が楽でいいみたいです。
「お店は騎士団の人たちが時間を決めて交代で見張ってくれるらしいから大丈夫よ、カーマイル。売り子はできないけど」
「売らなきゃ意味がないじゃないですか」
「じゃあ頼んだよ。洞窟の場所は渡した地図の通りだ。気を付けて行くんだよ、サオリ」
「はい、すぐに帰ります。ギルドの方にもよろしくお伝えくださいな、ランドルフ」
冒険者ギルドの正式な討伐依頼として受けたので、魔物を討伐すれば報酬も出ます。
幌付きの馬車も、騎士団からお借りしました。
御者台にはカーマイルが乗り、馬車を操縦します。
幌付きの荷台にラフィーと聖剣を抱えた私が乗り込んだのを確認したカーマイルは、すぐに馬車を走らせました。
「では、ちょっと行ってきますね」
「ああ、無事を祈る」
魔物の討伐だなんて、いつから私は冒険者になったのでしょう。
しかも聖剣なんて持っちゃっています。
いくら異世界に転移してきた身とはいえ、こういうのは私は望んでいないのです。
◇ ◇ ◇
カーマイルはひたすら、馬車を走らせます。
馬が疲れた頃を見計らって休憩はとりますが、その時に私に回復魔法を施させ、すぐにまた出発するカーマイル。
ほとんど走り通しという無茶っぷりです。
「カーマイル、もうちょっと休憩しない? 私、お尻が痛いんだけど……」
「何を言っているのですか、サオリ。こんな事はさっさと終わらせて帰った方がいいに決まっています」
一度行った事のある場所ならば、転移魔法で移動できるのですが、初めて行く場所ではそうはいきません。
ほとんど丸一日を走り切り、洞窟に着いてしまいました。
「着いたみたいよ、ラフィー」
「うみゅ」
ずっと寝ていたラフィーが目を擦ります。
か、可愛い……。
天使は十二人居るらしいのですが、このラフィーが一番可愛いのではないでしょうか。
見ているだけで癒されます。
「あそこに人が居ますよ、サオリ」
見れば洞窟の入り口付近に、男性が三人程集まっています。
「行ってみましょう」
近づいて行くと、向こうから声を掛けてきました。
「旅人かい? この洞窟には近寄らない方がいいぞ。面倒な魔物が住みついてる」
「あ、ギルドの依頼でその魔物を討伐に来た者です」
男の人は一瞬だけ怪訝な顔をしましたが、私の持つ剣を見て驚愕の顔へと変わりました。
「聖剣! これはこれは勇者様でしたか! 失礼いたしました。私はこの近くの村の者で、ちょうど洞窟の様子を見に来ていたのです」
世に知れ渡っている聖剣。
聖剣を持てるイコール勇者という事で、何も疑っていないようです。
男性三人は突然の勇者の登場に、喜びを露わにしています。
私は勇者でもないのですが、面倒なので説明はしません。
「そうでしたか。中の様子はどうですか?」
「実は勇者様、一匹の魔物によってこの洞窟での採掘作業が止まってしまっているのです」
魔物は一匹だけだったようです。
「Aランクの魔物だと聞きました」
「それですが勇者様。あいつはAどころか、AAもしくはAAAでもおかしくないくらいにやっかいなヤツです。なんと言っても不死身ときてるんですから」
不死身と聞いて、ちょっと引っかかりました。
「そんな魔物が居るのですね……ちなみにどんな魔物でしょうか?」
男性の次の言葉を聞いて、私はほぼ確信してしまいました。
「それが聞いてビックリの魔物でしてね、勇者様。なんとそいつはただのスライムなんですよ! スライムがAランク指定魔物とか聞いた事ないでしょう?」
不死身の……スライム。
「え、エリオット!?」
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