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プロローグ

今朝は花屋、夜はバー

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 とあるカフェテラスで、OLが三人丸テーブルに向かい合わせで座って談笑していた。
 
 「ねえねえ、今日うちの彼氏の誕生日なんだけど、この花どうかな?」
 「えー!すごく可愛い! 名前何て言うの?」
 「スパティフィラム。花言葉は包み込む愛!」
 「ステキ~! きっと彼氏君も喜んでくれるよ! 私も今度ママの誕生日に買おうかな~。その花どこで買ったの?」
 「狸商店街のさ、美容院あるでしょ、その向かい側の花屋さん」
 「え、そんなとこに花屋なんてあったっけ? あそこって古臭い骨董品のお店じゃないっけ?」
 「骨董品? 花屋でもないんじゃないの、あたし昨日あそこ通ったけど、お肉屋さんだったよ」
 「うそぉ。じゃあ私、いったいどこでこの花買ったのかしら……なんか怖くなってきた。渡すの止めようかしら」
 「やめた方がいいかもね。せっかく買ってきたけど」
 「そ、そうするわ……」

 この話をブレンドコーヒーを飲みながら、隣のテーブルで聞いていた男性がいた。
 男性は、コーヒーを飲み干すと口ひげに着いたコーヒーを拭きとり、黒いハットを被って立ち上がった。

 「またのご来店お待ちしております」

 男性は聞こえそうで聞こえない声でそう呟き、カフェを後にした。
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