1 / 1
はじまり
しおりを挟む
「人生とは、何か。みんな一度は考えたことがあると思う。」
クラスの大多数が目を閉じ、このつまらない時間から意識を飛ばしている。
本来は夏休みのはずなのに、そのなかで一週間ほどの課外授業がはいった。
涼しいクーラーの下では、人間の行動意欲は大いに削がれる。
先週までは夜更かししては昼頃に起きるような生活をしていた高校生たちには、久々の授業をしっかり受けてやろうなんて気はさらさらない。
ただ椅子に座り、体を眠りやすいように整えて、ひたすら静かに待つ。
ほとんど真面目に受けている生徒がいないのに、この暑い中、きちんとネクタイを締めた中年の国語教師がこんなことを言い出す。
「死生観や人生観、その他多くの考え方があり、それは人間の数だけ無数に存在する。」
そんなの当たり前だ、と思った。
十人十色。10人いれば考え方は10通り出てくるに決まっている。
多少似通った考え方はあるだろう。しかし、いままで育った環境、もともとの性格によって相違が出てくるのだ。
「このあとカラオケ行く?」
「いいね!駅前のでしょー」
もはや授業などBGMにしか思っていない斜め前のクラスメイトは、教師の目など気にせずお喋りに夢中。
「おい、トモヤ、寝てんなよ」
左隣のクラスメイトは、気持ちよさげに眠っている友人に消しゴムを投げてわざと起こす。
平和だ、と思った。
普段となにも変わらない。
ただ、先月の終業式からひとつ違うのは、一番後ろの窓際の席が空席で、なおかつ机の上に花が生けられた花瓶あるということだけだった。
クラスの大多数が目を閉じ、このつまらない時間から意識を飛ばしている。
本来は夏休みのはずなのに、そのなかで一週間ほどの課外授業がはいった。
涼しいクーラーの下では、人間の行動意欲は大いに削がれる。
先週までは夜更かししては昼頃に起きるような生活をしていた高校生たちには、久々の授業をしっかり受けてやろうなんて気はさらさらない。
ただ椅子に座り、体を眠りやすいように整えて、ひたすら静かに待つ。
ほとんど真面目に受けている生徒がいないのに、この暑い中、きちんとネクタイを締めた中年の国語教師がこんなことを言い出す。
「死生観や人生観、その他多くの考え方があり、それは人間の数だけ無数に存在する。」
そんなの当たり前だ、と思った。
十人十色。10人いれば考え方は10通り出てくるに決まっている。
多少似通った考え方はあるだろう。しかし、いままで育った環境、もともとの性格によって相違が出てくるのだ。
「このあとカラオケ行く?」
「いいね!駅前のでしょー」
もはや授業などBGMにしか思っていない斜め前のクラスメイトは、教師の目など気にせずお喋りに夢中。
「おい、トモヤ、寝てんなよ」
左隣のクラスメイトは、気持ちよさげに眠っている友人に消しゴムを投げてわざと起こす。
平和だ、と思った。
普段となにも変わらない。
ただ、先月の終業式からひとつ違うのは、一番後ろの窓際の席が空席で、なおかつ机の上に花が生けられた花瓶あるということだけだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる