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homonym3
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「…お前のこと好きだから、ほっとけなくて仕事になんないんだよ」
見上げると、透吾さんの顔が真っ赤になっている。
「え、っとあの…」
「…ごめん。座って」
救急箱を持ってきた透吾さんがあたしの怪我の手当てをしてくれた。大して深く切ったわけでもないのに、ガーゼに包帯を巻いてくれた。
「洗い物は俺がするから」
「ありがとうございます…あの…さっきのって」
「ごめん。抱き締めたりなんかして、忘れて」
「…嬉しかったです…」
「え!?」
透吾さんが急に大声を出したのであたしは固まってしまった。
「お前俺のこと嫌いだろ!?」
「誰がそんなこと言ったんですか?」
「いや、誰も言ってないけど俺めっちゃ厳しくしてるから絶対嫌われてると思ってたんだけど…」
「あたしは透吾さんが好きです…」
「え、は?何?え?どういう好きなのそれ」
透吾さんの顔が再び真っ赤になる。こんな透吾さん見るの、初めてだ…
「…付き合いたい、っていう好きです」
「マジかよ…」
「だめですか…?」
「ダメなわけないだろ…」
次はあたしが抱きついて、顔を見上げ透吾さんの目をじっと見た。透吾さんの顔が近付いてきて、目を閉じると唇が触れ合った。
「…今日このまま透吾さんと一緒にいたい。ダメですか…?」
「…いいに決まってるじゃん。早く終わらせよ」
透吾さんは洗い物をすごいスピードで終わらせ、売り上げの計算を始めた。あたしはチャームの補充をしたり、少なくなってきたボトルと備品をメモに書き出したりしていた。
「透吾さん、在庫のメモこんな感じでいいんですか?」
目が合った瞬間、透吾さんが計算していた伝票がバサバサと床に散らばり、透吾さんが焦って拾い始めた。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫、メモもそれで大丈夫!」
透吾さんってこんな風に焦ったりするんだ。いつも冷静でミスもしない人なのに。
…もしかして照れてる?
***
「お邪魔します」
店を閉めた頃には6時を回っていた。何だかんだで二人とも疲れているのは間違いなかったし、店の近くに住んでいる透吾さんの家にお邪魔した。
透吾さんの家は物が少なくて、家具はほぼ白と黒で統一されていた。男の人の部屋って感じでかっこいい…
「あんまジロジロ見んなよ恥ずかしいから」
「透吾さんの部屋かっこいいなって思って見てたんですけど…」
「普通だよ。…ていうかその透吾さんって言うのやめろよ。透吾でいいし」
「いきなり呼び捨てなんか出来ません…」
「敬語もやめろって。仕事の時以外は普通にして」
「わかりまし…わかった。透吾くんって呼ぶね」
なんか変な感じ…あたし達本当に付き合う事になったんだ。
「なんか飲む?ビールかお茶しかないけど」
透吾くんが冷蔵庫の中身を見ながらあたしに言った。
「…じゃ、ビールで」
「お前けっこう酒強いよな。はい」
「好きなだけで弱いですよ…今日も酔っちゃったからあんな風になったし…」
「まぁシャンパンは回るよな…それでまだ酒飲めるってなかなかだよなー。乾杯」
二人ともビールで乾杯した。お茶にした方が良かったかな。あたしがビール飲んだら透吾くんも飲まないわけにはいかないもんね…失敗しちゃったかな。
けど、お酒が入っていない状態でここにいるのは緊張しすぎてまともに話せなさそうだし…。自分から一緒にいたいって言ったくせに、お酒に頼らなきゃ話せない。付き合っていくうちに慣れていくよね、きっと…
「今日のあのお客さんだけど、次来た時とかそんなにびびらなくて大丈夫だよ」
「ほんとですか…?」
「一回忘れ物したから次の日会社に届けに来いって言われて行ったんだけど」
「そんなことしないとだめなの?!」
「いや超めんどくさかったけど。昼間会ったらまじで別人だった、すげー腰低かった。酔ってる時のことあんま覚えてないっぽい」
「そっか…」
「だからいっつも誰か連れてくるのかもな、一人じゃ危ないし」
「なるほど…」
「次会った時にこの前すみませんでしたってさらっと言っとくぐらいでいいと思うよ」
「わかった…」
透吾くんに怒られたり好きって言われたりしてちょっと忘れかけてたけど、怒られたこととか色々思い出してきた。
「…」
「どうしたんだよ、黙り込んで」
「…触られたこと思い出しちゃって」
「あぁ…」
急にしーんとしてしまった。このこと、透吾くんどんな風に思ってるんだろ…
「…あの、透吾くん」
「ん?」
「…あたしの胸触ってくれませんか?」
透吾くんが飲んでいたビールを吹き出して、むせた。
「大丈夫ですか?」
しばらく咳き込んだ後、透吾くんが口を開いた。
「何、言ってんのお前っ…痴女かよ…」
「好きじゃない人に触られたの嫌だったから…忘れたい。好きな人に触って欲しい…それって痴女なの?」
「それは違うかもだけど…胸触るっていうのはちょっと…」
「嫌ですか…?」
「嫌じゃないしなんなら触りたいよ。…でも」
「でも?」
「胸なんか触ったら絶対他のところも触りたくなる…」
透吾くんが頭を掻いた。さっきから俯いて全然目を見てくれない。そして顔が赤い。
なんか透吾くんって、いい意味で思ってた感じと全然違う。普段厳しいし怖いし、Sっぽいのに。あたしが積極的になりすぎて引いてるのかな。…けど透吾くんと触れ合いたいこと、素直に伝えたい。
「他のところも触って欲しい…その先も、してほしい…」
「…じゃキスしていい?」
やっと目、見てくれた。
「うん…」
あたしと透吾くんはキスをした。さっきお店でした時よりもゆっくり、だんだん激しくなってきた。
見上げると、透吾さんの顔が真っ赤になっている。
「え、っとあの…」
「…ごめん。座って」
救急箱を持ってきた透吾さんがあたしの怪我の手当てをしてくれた。大して深く切ったわけでもないのに、ガーゼに包帯を巻いてくれた。
「洗い物は俺がするから」
「ありがとうございます…あの…さっきのって」
「ごめん。抱き締めたりなんかして、忘れて」
「…嬉しかったです…」
「え!?」
透吾さんが急に大声を出したのであたしは固まってしまった。
「お前俺のこと嫌いだろ!?」
「誰がそんなこと言ったんですか?」
「いや、誰も言ってないけど俺めっちゃ厳しくしてるから絶対嫌われてると思ってたんだけど…」
「あたしは透吾さんが好きです…」
「え、は?何?え?どういう好きなのそれ」
透吾さんの顔が再び真っ赤になる。こんな透吾さん見るの、初めてだ…
「…付き合いたい、っていう好きです」
「マジかよ…」
「だめですか…?」
「ダメなわけないだろ…」
次はあたしが抱きついて、顔を見上げ透吾さんの目をじっと見た。透吾さんの顔が近付いてきて、目を閉じると唇が触れ合った。
「…今日このまま透吾さんと一緒にいたい。ダメですか…?」
「…いいに決まってるじゃん。早く終わらせよ」
透吾さんは洗い物をすごいスピードで終わらせ、売り上げの計算を始めた。あたしはチャームの補充をしたり、少なくなってきたボトルと備品をメモに書き出したりしていた。
「透吾さん、在庫のメモこんな感じでいいんですか?」
目が合った瞬間、透吾さんが計算していた伝票がバサバサと床に散らばり、透吾さんが焦って拾い始めた。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫、メモもそれで大丈夫!」
透吾さんってこんな風に焦ったりするんだ。いつも冷静でミスもしない人なのに。
…もしかして照れてる?
***
「お邪魔します」
店を閉めた頃には6時を回っていた。何だかんだで二人とも疲れているのは間違いなかったし、店の近くに住んでいる透吾さんの家にお邪魔した。
透吾さんの家は物が少なくて、家具はほぼ白と黒で統一されていた。男の人の部屋って感じでかっこいい…
「あんまジロジロ見んなよ恥ずかしいから」
「透吾さんの部屋かっこいいなって思って見てたんですけど…」
「普通だよ。…ていうかその透吾さんって言うのやめろよ。透吾でいいし」
「いきなり呼び捨てなんか出来ません…」
「敬語もやめろって。仕事の時以外は普通にして」
「わかりまし…わかった。透吾くんって呼ぶね」
なんか変な感じ…あたし達本当に付き合う事になったんだ。
「なんか飲む?ビールかお茶しかないけど」
透吾くんが冷蔵庫の中身を見ながらあたしに言った。
「…じゃ、ビールで」
「お前けっこう酒強いよな。はい」
「好きなだけで弱いですよ…今日も酔っちゃったからあんな風になったし…」
「まぁシャンパンは回るよな…それでまだ酒飲めるってなかなかだよなー。乾杯」
二人ともビールで乾杯した。お茶にした方が良かったかな。あたしがビール飲んだら透吾くんも飲まないわけにはいかないもんね…失敗しちゃったかな。
けど、お酒が入っていない状態でここにいるのは緊張しすぎてまともに話せなさそうだし…。自分から一緒にいたいって言ったくせに、お酒に頼らなきゃ話せない。付き合っていくうちに慣れていくよね、きっと…
「今日のあのお客さんだけど、次来た時とかそんなにびびらなくて大丈夫だよ」
「ほんとですか…?」
「一回忘れ物したから次の日会社に届けに来いって言われて行ったんだけど」
「そんなことしないとだめなの?!」
「いや超めんどくさかったけど。昼間会ったらまじで別人だった、すげー腰低かった。酔ってる時のことあんま覚えてないっぽい」
「そっか…」
「だからいっつも誰か連れてくるのかもな、一人じゃ危ないし」
「なるほど…」
「次会った時にこの前すみませんでしたってさらっと言っとくぐらいでいいと思うよ」
「わかった…」
透吾くんに怒られたり好きって言われたりしてちょっと忘れかけてたけど、怒られたこととか色々思い出してきた。
「…」
「どうしたんだよ、黙り込んで」
「…触られたこと思い出しちゃって」
「あぁ…」
急にしーんとしてしまった。このこと、透吾くんどんな風に思ってるんだろ…
「…あの、透吾くん」
「ん?」
「…あたしの胸触ってくれませんか?」
透吾くんが飲んでいたビールを吹き出して、むせた。
「大丈夫ですか?」
しばらく咳き込んだ後、透吾くんが口を開いた。
「何、言ってんのお前っ…痴女かよ…」
「好きじゃない人に触られたの嫌だったから…忘れたい。好きな人に触って欲しい…それって痴女なの?」
「それは違うかもだけど…胸触るっていうのはちょっと…」
「嫌ですか…?」
「嫌じゃないしなんなら触りたいよ。…でも」
「でも?」
「胸なんか触ったら絶対他のところも触りたくなる…」
透吾くんが頭を掻いた。さっきから俯いて全然目を見てくれない。そして顔が赤い。
なんか透吾くんって、いい意味で思ってた感じと全然違う。普段厳しいし怖いし、Sっぽいのに。あたしが積極的になりすぎて引いてるのかな。…けど透吾くんと触れ合いたいこと、素直に伝えたい。
「他のところも触って欲しい…その先も、してほしい…」
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やっと目、見てくれた。
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