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その時から日があまり開かないうちに2回目の食事をした時は仕事の話をした。
「剛くん、忙しいんじゃないの?あたしなんかとご飯食べてていいの?」
「うーん…忙しい時は忙しいけど息抜きもいるやん。頑張る時頑張って、こういう風に自分の時間作るん好きやねん」
…仕事ができる人の言葉って感じ。あたしなんか息抜きばっかりだよ…
「すごいなぁ剛くん…忙しくてもプライベートちゃんと充実させてて」
「まぁこうなるまで色々頑張ったしなー。菜々ちゃんはどうなん?」
「うーん…普通かなぁ。仕事も普通。あたしもなんか頑張らないと」
そういえばこの頃だったかも、蓮くんと遊ぶ様になったの。けど別にうきうきしてるわけでも無かったし、特に充実しているとも思っていなかった。
「なんかってアバウトやな」
剛くんが笑った。
「んー…剛くんみたいに頑張ったらなんかいいことあるかもやし」
「まぁ因果応報って言うからなー」
「え?それって悪い意味じゃないん?」
「悪い意味で使われること多いけど、自分のしたことにはそれ相応の結果が返ってくるってことやから悪い意味ばっかりじゃないねんで」
「ふーん…そうなんや。色んなこと知ってるんやな」
まぁ、そんな感じでご飯を食べながら色々話してその日もバイバイした。
…あれ?今日も何もなかった。
それが普通なはずなのに、全く手を出してこようとしない剛くんにやきもきした。
また悪い癖だ。自分が誘われないなんてどういうことって思ってる。
だっておかしい。いくら10年近く前だからって自分を誘って来た女と2人きりで会ってるのに何もしようとしないって。
2人きりで会って何もしてこない男なんてあたしの出会った中にはいないよ。
付き合ってって言ってきたり、ホテル行こうとしたりとか何かしらしてくるよ。いや剛くんに誘われても断ろうって思ってるけど。
どういうつもりであたしを食事に誘ってるの?何回あたしのプライドを傷付けたら気が済むの?
本当に、ただの地元の後輩って思ってるだけなのか。
それならそうと言ってよ。いや、菜々ちゃんは後輩だから何もしないよ、とか言われるのもおかしいか…
けど、3回目に会った時にいきなり状況が変わってしまった。
***
「あのさー剛くん」
「ん?」
食事をした帰りに、今日は車で来てるからって剛くんがあたしを家まで送ってくれることになり、一緒にご飯屋さんの近くの地下駐車場に向かっていた時に思い切って聞いてみた。
「剛くんさ…あたしのこと嫌いじゃなかったん?」
「え、何で?」
「…だって、昔」
「あぁ、高校の時?」
「興味ないって言ってシャットアウトしたやん」
「あー…あれな」
「何?」
あたしの先を歩く剛くんの方に小走りでついていって、追い越して剛くんの目を見た。
「どーしたん、いきなり怖い顔して…まぁまぁ入りーや、寒いやん」
暦の上では春だけど、まだまだ寒い。地下だと空気が余計にひんやりと感じた。
剛くんに促され車に乗ったあたしは、黙り込んでいた。
まさか昔のこと全然覚えてないのかな?とか思うと腹が立ってきて。あの頃、邪な気持ちで誘ったけど興味ないとか言われてこっちは傷付いたんだからいい加減、何を考えているのかちゃんと聞きたかった。
「剛くんはあの時のこと覚えてるん?」
「うん。ちゃんと覚えてるよ」
「何で今こうやってご飯行ったりするん?あの時の話も一切出さへんし」
「んー…話出したところで何て言ったらいいんかわからんしなぁ。何が聞きたいん?」
「興味ないって、バッサリ切り捨てといて何で今こんなに普通なんかよくわからん」
「だってこんだけ年月経ってるんやから普通じゃない方がおかしいやろ」
「…そうやけど」
「うーん、あの時付き合ってた同じクラスの彼女の束縛が凄くてさー。怖くて何も出来んかってん。他の女と目合わせんなとか言われてたし」
「ふーん…」
「彼女がどこで目光らせてるかわからんし、仲良く話そうもんなら俺どころか菜々ちゃんもなんかされそうやし冷たく突き放すしかなかってん」
「ほんまに?」
「ほんまやって。今更嘘ついてどうすんの」
「…その彼女のこと好きやった?」
剛くんがあたしをちらっと見て笑った。
「そんなん聞いてどーすんの?」
「だって、いくら束縛されててもそこまで好きじゃなかったら言うこと聞けへんやん。男って浮気するやん」
「皆が皆浮気せんやろ」
「だからよっぽど好きやったんかなって思って」
「…そりゃ、めっちゃ好きやったで。何言わせんの」
「そっか。じゃああたしに興味なくても仕方ないよな…」
「まあその彼女浮気して俺フラれたけどな!」
剛くんが笑っている。まぁ今となっては笑い話?になるのかな。嫌なことを思い出させちゃったのは間違いないと思うけど…
「はぁ?まじで?ありえへん」
「びっくりするよなー。束縛するヤツほど浮気するからな、自分がするから相手もするって思ってるんやろ」
「…なんかごめん」
「いやいいけど。おっけー?すっきりした?」
「した…」
ただ単に、大好きな彼女がいて裏切りたくないから冷たくされただけなんだ。当たり前だよね。あたしの感覚が狂ってるんだ…
「今は菜々ちゃんにめっちゃ興味あるよ」
剛くんがあたしにキスをした。…なんか、急に流れが変わってきたんだけど。
「そうなん…?」
「…帰したくないって言ったら怒る?」
「…怒らへん」
10年間忘れられなかったとかそんなんじゃない。
けど剛くんと再会したことであの時のことをやっと聞けて気が抜けてしまったあたしは、絶対断ってやる!なんて思っていたことをすっかり忘れて剛くんの誘いに乗ってしまったのだった。
「剛くん、忙しいんじゃないの?あたしなんかとご飯食べてていいの?」
「うーん…忙しい時は忙しいけど息抜きもいるやん。頑張る時頑張って、こういう風に自分の時間作るん好きやねん」
…仕事ができる人の言葉って感じ。あたしなんか息抜きばっかりだよ…
「すごいなぁ剛くん…忙しくてもプライベートちゃんと充実させてて」
「まぁこうなるまで色々頑張ったしなー。菜々ちゃんはどうなん?」
「うーん…普通かなぁ。仕事も普通。あたしもなんか頑張らないと」
そういえばこの頃だったかも、蓮くんと遊ぶ様になったの。けど別にうきうきしてるわけでも無かったし、特に充実しているとも思っていなかった。
「なんかってアバウトやな」
剛くんが笑った。
「んー…剛くんみたいに頑張ったらなんかいいことあるかもやし」
「まぁ因果応報って言うからなー」
「え?それって悪い意味じゃないん?」
「悪い意味で使われること多いけど、自分のしたことにはそれ相応の結果が返ってくるってことやから悪い意味ばっかりじゃないねんで」
「ふーん…そうなんや。色んなこと知ってるんやな」
まぁ、そんな感じでご飯を食べながら色々話してその日もバイバイした。
…あれ?今日も何もなかった。
それが普通なはずなのに、全く手を出してこようとしない剛くんにやきもきした。
また悪い癖だ。自分が誘われないなんてどういうことって思ってる。
だっておかしい。いくら10年近く前だからって自分を誘って来た女と2人きりで会ってるのに何もしようとしないって。
2人きりで会って何もしてこない男なんてあたしの出会った中にはいないよ。
付き合ってって言ってきたり、ホテル行こうとしたりとか何かしらしてくるよ。いや剛くんに誘われても断ろうって思ってるけど。
どういうつもりであたしを食事に誘ってるの?何回あたしのプライドを傷付けたら気が済むの?
本当に、ただの地元の後輩って思ってるだけなのか。
それならそうと言ってよ。いや、菜々ちゃんは後輩だから何もしないよ、とか言われるのもおかしいか…
けど、3回目に会った時にいきなり状況が変わってしまった。
***
「あのさー剛くん」
「ん?」
食事をした帰りに、今日は車で来てるからって剛くんがあたしを家まで送ってくれることになり、一緒にご飯屋さんの近くの地下駐車場に向かっていた時に思い切って聞いてみた。
「剛くんさ…あたしのこと嫌いじゃなかったん?」
「え、何で?」
「…だって、昔」
「あぁ、高校の時?」
「興味ないって言ってシャットアウトしたやん」
「あー…あれな」
「何?」
あたしの先を歩く剛くんの方に小走りでついていって、追い越して剛くんの目を見た。
「どーしたん、いきなり怖い顔して…まぁまぁ入りーや、寒いやん」
暦の上では春だけど、まだまだ寒い。地下だと空気が余計にひんやりと感じた。
剛くんに促され車に乗ったあたしは、黙り込んでいた。
まさか昔のこと全然覚えてないのかな?とか思うと腹が立ってきて。あの頃、邪な気持ちで誘ったけど興味ないとか言われてこっちは傷付いたんだからいい加減、何を考えているのかちゃんと聞きたかった。
「剛くんはあの時のこと覚えてるん?」
「うん。ちゃんと覚えてるよ」
「何で今こうやってご飯行ったりするん?あの時の話も一切出さへんし」
「んー…話出したところで何て言ったらいいんかわからんしなぁ。何が聞きたいん?」
「興味ないって、バッサリ切り捨てといて何で今こんなに普通なんかよくわからん」
「だってこんだけ年月経ってるんやから普通じゃない方がおかしいやろ」
「…そうやけど」
「うーん、あの時付き合ってた同じクラスの彼女の束縛が凄くてさー。怖くて何も出来んかってん。他の女と目合わせんなとか言われてたし」
「ふーん…」
「彼女がどこで目光らせてるかわからんし、仲良く話そうもんなら俺どころか菜々ちゃんもなんかされそうやし冷たく突き放すしかなかってん」
「ほんまに?」
「ほんまやって。今更嘘ついてどうすんの」
「…その彼女のこと好きやった?」
剛くんがあたしをちらっと見て笑った。
「そんなん聞いてどーすんの?」
「だって、いくら束縛されててもそこまで好きじゃなかったら言うこと聞けへんやん。男って浮気するやん」
「皆が皆浮気せんやろ」
「だからよっぽど好きやったんかなって思って」
「…そりゃ、めっちゃ好きやったで。何言わせんの」
「そっか。じゃああたしに興味なくても仕方ないよな…」
「まあその彼女浮気して俺フラれたけどな!」
剛くんが笑っている。まぁ今となっては笑い話?になるのかな。嫌なことを思い出させちゃったのは間違いないと思うけど…
「はぁ?まじで?ありえへん」
「びっくりするよなー。束縛するヤツほど浮気するからな、自分がするから相手もするって思ってるんやろ」
「…なんかごめん」
「いやいいけど。おっけー?すっきりした?」
「した…」
ただ単に、大好きな彼女がいて裏切りたくないから冷たくされただけなんだ。当たり前だよね。あたしの感覚が狂ってるんだ…
「今は菜々ちゃんにめっちゃ興味あるよ」
剛くんがあたしにキスをした。…なんか、急に流れが変わってきたんだけど。
「そうなん…?」
「…帰したくないって言ったら怒る?」
「…怒らへん」
10年間忘れられなかったとかそんなんじゃない。
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