わたしがわたしをわすれるひ【R18】

仲村來夢

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後日譚~ミサの場合~

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「もうっ、上がるって言ったじゃないですか…なんで触るの…やんっ」

「ミサちゃんとお風呂入るのが初めてで嬉しくて」

部屋の中の露天風呂に2人で入って景色を眺めた後、湯船から上がろうとしたところを剛に後ろから抱きとめられて耳を舐められ、乳首を弄られてミサの体がびくっと反応した。

「や…ここ、一応外なんですよっ!」

「そう。興奮しない?どっかでミサちゃんがこんな風に触られてるの見られてるかもね」

「やだ、剛さんの変態っ…あ、あ…そんなに弄っちゃイヤ…」

「えー、乳首めっちゃ立ってるけど」

「あぁっ!だめですよぉっ…」

「そんなに暴れないの」

じたばたと動いて水面をびしゃびしゃと乱していたけれど、次第に力が抜けていったミサは剛にもたれかかって息を荒らげた。

感じているせいもあるけれど白い肌がピンク色に染まり、苦しそうにしているのはのぼせてきているから。

それを感じ取った剛がミサを湯船から出して、ミサの手を取り露天風呂から洗面所に移動した。

何か支えがないと立っていられないミサが洗面台に手をついた。

「何その体勢。誘ってんの?」

「や、違うもんっ!あ…」

剛が再びミサを後ろから抱きしめて、ミサの中に指を入れた。

「ひゃうっ」

「めっちゃ濡れてる」

「だって…お風呂上がりでお湯が…あっ!」

「それだけ?」

剛が指を激しく動かすと、ぐちゅぐちゅとミサの中から水音が漏れ始めた。

「あぁ、だめっ!!」

「お湯のせいじゃないと思うけどなー、どう思うミサちゃん」

「あ、わかんな…やんっ!!もう入れちゃ…あぁ!!」

いつもと違うシチュエーションに興奮した剛が、ミサの腰を自分の方に引き寄せバックで犯した。

「いいじゃんこんなに濡らしてるんだから」

「あ!あんっ、きもちいいよぉっ!すごい、もう…だめ、あ!!きもちよすぎておかしくなっちゃう!やぁんっ」

剛と同様にミサも今の状態に興奮して、いつもより大胆に、感じやすくなっている。

「そんなに大きい声出しちゃ隣に聞こえるよ」

「あっ、だって!!だってごうさんが!あ…どうしよぉ…いっちゃ…あぁっ!!」

ミサが体を震わせて絶頂した。剛の腰は止まない。

「もぉだめ!ごうさんっいや!あ、これいじょうだめ!だめぇ」

「もう、わかったって…」

剛が激しく腰を動かして、果てそうになった瞬間にミサの体を離して精液をミサのお尻に放った。

「はぁ…はぁっ…」

剛が崩れ落ちそうになるミサの体を抱き寄せた。

「剛さん…初めて…」

「ん?」

「剛さんの…で…」

「俺の何?」

「剛さんの…おちんちん、で初めていっちゃった…」

ミサの顔を見て、剛がキスをした。

「知ってる」

「指とまたちがくて…すっごい、きもちよかった…」

俯きながら顔を赤らめるミサ。その表情が可愛くて剛はミサの体を抱き寄せた。

「またミサちゃんの初めて奪っちゃったね」

「はい…」

湯冷めしないように二人はもう一度湯船に浸かった。

***

夕食の時、部屋にコースの料理が持ってこられる度にミサはにこにこしながら仲居さんにいちいちお礼を言って「すっごく美味しいです!」と伝えた。

仲居さんからすれば仕事をしているだけなのだけれど、ミサがあまりにも何度もお礼を言うから仲居さんは嬉しそうに笑った。

「にこにこして可愛らしい奥さんですね、美男美女の夫婦で羨ましいわ」

「いや、あの…」

突然夫婦だと言われ動揺したミサはつい、違うんですと言いそうになったが剛がそれを遮った。

「ありがとうございます。そうなんですよ、自慢の妻です」

「ふふ。仲良しなんですね。ではごゆっくり」

仲居さんが去ってからも、ミサは顔のにやけが止まらなかった。

自慢の妻です、だって。今はあたしのこと、奥さんって言ってくれるんだ…!

この旅館で働く従業員達はさほど若くないためかミサのことを知る人はいない。もちろん全員が全員ミサを見たわけではもちろんないけれど。

ミサの出演しているエステのTVCMだって都市圏中心で放映されているもので地方ではやっていないから「何となく見たことある」と思われることもない。

間近で見た仲居さんでさえも、すごい美人だな…と思った程度でミサが今をときめくモデルだなんて知らない。

あくまで仕事中なのだから例えミサを知っていても気付かないフリをするだろうけど、買い物に行った時や食事に行った時の「モデルのミサだ」と気付きながら何も言わない店員の動きや反応を知っているからこそ、ここの人達は本当に自分を知らないのだなとわかる。

自分を知っている人たちの前では冗談でも言えないのに。ここでは真面目な顔で妻です、なんて言ってもらえるんだ。もう帰りたくない!

ミサがそんな風に幸せを噛み締めてにやにやしているのを見て、剛が微笑んだ。

食事の後、寒いねと言いつつ浴衣に半纏を着て二人で外を少し歩いた。

手、繋ぎたいな…やっぱりだめかな。

到着してすぐこのあたりを散策した時は、恐る恐る、なおかつこっそり手を差し出してみたけど気付かない振りをされた。

当たり前だよね、わきまえなきゃ…。さっきはそう思ったけれど、ミサはまだ諦められなかった。

ミサが剛の方にそろそろと手を伸ばすと、剛がくすっと笑って自分とミサの手を絡めた。途端にミサの顔がぱあっと明るくなり、それを見て剛がまた笑った。

「なんで笑うんですか」

「いや、可愛くて」

「ダメ元だったから…嬉しかったんですもん…」

「そっか。まぁ周り誰もいないし大丈夫でしょ」

…いつか、人がいるところでも堂々と手を繋いで歩けるようになりたいな。

今だけでも…と思っていた願いが叶ってしまうともっと求めてしまう。

ほんとに、欲張り。

「また来たいね」

自分の欲深さを恥じたミサは剛にそう言われ、そんなことも吹き飛んで表情が華やいだ。

「はい!」

本当に今日は来れてよかった。ミサは心からそう思った。

眠る前にもう一度セックスをして、ミサは好き、と何度も剛に気持ちを伝えた。剛もミサに好きだと何度も囁いて、二人はほぼ同時に絶頂した。

今日だけは、剛さんの奥さんって思っていいんだよね?今日だけは…。

幸せだけど切なくて、けどやっぱり幸せで、目に少し涙が滲んでしまったのは部屋が暗いせいで剛にはきっと気付かれてないだろう。

二人は同じ布団に入り、ミサは剛にぴったりとくっついて眠った。

剛と出会ってから、今日という日が1番幸せだとミサは強く思った。

…誰が言い出したのか、人生には3つの坂があると言われている。上り坂、下り坂。それから、“まさか”。

これからミサが下り坂に転げ落ち、“まさか”の事態に陥ることは今のミサは知る由もなかった。
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