前世の私が変態だったばっかりに~ある悪役令嬢の受難~

浅見

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「……え!?」

 つまり、ギプリス様は性的に興奮されているということ?
 いま? こんな状況で?
 しかも彼の視線はまっすぐに私に向けられていて……。

「?」

 自分が見られていることに気付いたギプリス様が、訝しげに首を傾げる。
 その角度すら美しく、一瞬、私は全てを忘れて見とれてしまった。

 ――ギプリス様が、私を見て性的に興奮しておられる。

 それって多少なりとも、私に好意を持っておられるということでは……。

「あの、ギプリス様……」

 気がつけば、私はギプリス様の名前を呼んでいた。
 もちろん、ギプリス様のアレが天を向いていることには、私以外誰も気付いていない。
 他の人には、ギプリス様は服を着て見えている。その場所を凝視すれば分かるのだろうけど、彼にそんな不躾な真似が出来る人はいないだろう。そもそも観衆の視線はこちらに釘付けだ。

「私のことを、た、助けてくださいませんか?」

 叫ぶと、周りがざわっとして、ギプリス様も不思議そうな表情を浮かべた。

「……私が? なぜ君を」

『ギプリス様が勃起しておられるので、私のことを好きなら助けてくれるかもしれないと思って』とは言えない。
 私は必死に、この場を切り抜けるための言葉を探した。

「それは……ずっとお慕い申し上げておりましたので……!」

 嘘ではないわ。
 前世の推しキャラだったもの!

「ティリティア! 恥知らずにも程あるぞ!」

 そばで殿下が叫んでいるけれど、私は無視した。
 急に振り返るとセルフモザイクが外れてしまうからだ。

「君が、私を……?」

 ギプリス様が不思議そうに首を傾げる。
 私は涙目になって、こくこくと必死に頷いた。
 ギプリス様の反応も、そう悪いものではないように感じる。 
 畳みかけるならいまだと思った。

「私、ギプリス様のためなら何でもいたします! だから、その! お願いします、助けてください!」
「へぇ?」

 眼鏡の奥で、銀色の双眸が鈍く光る。 

「何でも?」
「ティリティア、いい加減に……」

 殿下が私の腕を掴もうとするのを、前に出てきたギプリス様が間に入って制する。
 私は両手で顔を覆って俯いた。だって二人とも裸だから。

 こんなに近いとセルフモザイクが追いつかない……!

「いいですよ、助けてさしあげましょう」
「ギプリス?」

 驚く殿下を無視して、ギプリス様が私の腕を掴んだ。
 セルフモザイクが外れ、美しい肢体と、天を突くギプリス様のソレを真正面から見てしまい、私は顔を真っ赤に染めた。恥ずかしさのあまり、目に涙が滲む。
 それを見たギプリス様が、小さく舌なめずりをした。

「殿下はもうティリティア様を要らないのでしょう? なら、私が貰っていこうと思います」
「し、しかし! ティリティアは数々の悪事を……!」
「それですが……殿下がいうような悪事をティリティア様が働いたという証拠がないのです」
「え!?」

 ギプリス様の言葉に声をひっくり返したのは私だった。
 だって、ゲームではギプリス様が全ての証拠を揃えてティリティアを追い詰めていたから。

「殿下は、そこの彼女に騙されておられるのでは?」
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