卑怯と言われても最強です。〜ヒロインは全てヤンデレだけど不意打ちスキルで異世界無双

真木悔人

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第一章 転生

第03話 ユニークスキル

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 、何日くらいが過ぎただろうか……。


 あの、大型で狼の姿をした魔物、三尾の狼。俺はあの後、何度も固有能力ユニークスキル不意討ちサプライズストライク】を発動し、何とか三尾の狼やつを仕留める事に成功した。木の枝で刺し、石で殴り。大量の返り血を浴びながら死闘を制し、どうにかこうして生きている。

「腹減ったな……」

 少しは、逞しくなったのか。俺は、随分この森での生活にも慣れて来た。時計が無いので、時間の感覚は分からない。何度も朝と夜を繰り返し、俺は、自分の能力ちからを検証しながら過ごしていた。

 ふと、視界に猪の様な姿の魔物が入る。俺は思わず笑みを零した。久しぶりの大物ご馳走だ。

「──【不意討ちサプライズストライク】!!」

 手慣れた段取りでユニークスキルを発動させ、猪の魔物に忍び寄る。奴は、全く気付く気配が無い。俺は、枝から切り出した自作の槍を構え、側面から一気に心臓を突いた。

《グギャッッ!!》

 一瞬だけ暴れ、直ぐに息途絶える猪の魔物。急所を一突きで仕留めたお陰で、派手な出血も無い。完全に動かなくなった事を確認し、俺は慣れた手付きで血抜きを始める。

猪の魔物こいつの肉は美味いんだ……」

 いつの間にか、当たり前の様に始めた魔物狩り。今の俺にとって、糧を得る為の大切な行為だ。石を研いだナイフで手際良く解体し、必要な部位を切り出す。もう、何度こうして魔物を解体したかわからない。気が付けば俺は、この森で逞しく生きるすべを体得していた。

「想像以上に使能力スキルだな……」

 独り言を零し、何気なくこれまでの事を振り返る。この世界に来て、いきなり襲って来た魔物の事。その戦いを期に、徐々にわかって来た自分の能力。そして、この世界のルール。

 ジジイは言っていた。この世界に存在する、ゲームの様な『スキル』という概念。そして、その熟練度レベルについて。

 確か、通常能力ノーマルスキル固有能力ユニークスキルも、その熟練度レベルは五段回。この世界に生きる人間や魔物等、その魂の質や狩った数でレベルは上がるらしい。正確な条件は聞いてないが、何となくでわかるそうだ。おそらく、俺はまだ初期の段回……つまり、レベル『一』。だが、何となく後少しで上がりそうな気がする。これが、という奴なのだろう。

 そして、俺の固有能力【不意討ちサプライズストライク】。

 これについては、何度も検証を重ねた。あのジジイが詳しく説明しなかったし、何より、俺の命に関わる問題だ。そして、結論としてわかったのは、この能力がとんでもなく有能だと言う事。

 発動すれば一定時間、相手の意識から強制的に俺が外れる。つまり、敵は俺を認識出来なくなると言う訳だ。しかもこの能力、何度でも発動出来る。まさに、強制的に相手の『不意』を創り出し『討つ』能力……『不意討ち』だ。

 但し、余り使い過ぎると目が痛くなり、視界が紅くならなくなる。おそらく、MPの様な物が切れるのだろう。こうなるともう、ユニークスキルは発動出来ない。だが、これもでMPが切れそうになるとわかる。

 問題点があるとすれば、相手によってその効果が異なる事か。所謂、が鋭い相手には長く持たない。それに、余り大きな音を立てたりすると、流石に感付かれる。完全に気配を断てると言う訳では無さそうだ。

 それでも、この能力は今の所、殆ど無敵と言ってもいい。何しろ発動すれば確実に、急所をピンポイントで討つ事が出来る。そもそも、普通の攻撃でも不意を突かれるとダメージはデカい。お陰で大した武器は無くても、何とかここまでやって来れた。

「これ食ったら、そろそろ行くか……」

 俺は、何日もかけて一通りの検証を終え、そろそろ森を出る事を考えていた。森の外、つまり未知の異世界。どんな危険リスクがあるのかわからない。慎重に検証を重ねて来たのはその為だ。

「剣と魔法の世界か……楽しみだな」


 ──猪の肉塊久々のご馳走を持ち抱え、俺は期待に胸を踊らせた。
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